日本一の栄誉を懸け、激戦が続く全日本選手権(全日本)。2日目は男女フルーレの個人戦が行われた。男子フルーレは2人が出場。竹田陸人(社5=神奈川・法政二)は2回戦で第3シードの選手から金星を挙げるなど、全日本の舞台で活躍。全日本では自身初のベスト16という結果を残した。一方の女子フルーレは5人が出場。溝口礼菜(スポ3=千葉・柏陵)と狩野央梨沙(スポ1=宮城・常盤木学園)は持ち味を生かし、ベスト8に進出する。それでも全日本の壁は高く、11月に行われる準決勝に進むことはできなかった。
★竹田、日本代表を下しベスト16に進出!(男子フルーレ個人)
早大の選手では唯一トーナメント戦にコマを進めた竹田。プール戦では2敗を喫したものの、接戦となった1回戦を物にし「エンジンがかかった」(竹田)。続く2回戦は第3シードの西藤俊哉(長野クラブ)との対決に臨むことに。日本代表としての経験、技術で勝る相手に、苦戦は避けられないものと思われた。しかし試合は、そんな予想とは一転、お互いに点を取り合う接戦となる。「相手に気持ちいいフェンシングをさせない」(竹田)との言葉通り、西藤の攻撃は無効面への当たりが多く、思うような攻撃をさせない。一方で、竹田は前に積極的なアタックを展開し、5-6からの7連取の猛攻。優位に試合を進めた竹田は終盤に追い上げを受けるものの、難敵から価値ある白星を挙げた。西藤は今大会の注目選手ということもあり、多くの観客が注目していた一戦。その中で大番狂わせを演じてみせた。3回戦の相手は今年度のインターハイを制した飯村一輝(龍谷大平安)。注目の新星を相手にこの試合もまた、序盤から競った展開に。しかし中盤、連続でアタックを決められ、「相手を乗らせてしまった」(竹田)。その勢いを崩すことはできず、悔し涙を飲む結果となってしまった。
それでも全日本ベスト16は竹田自身最高の結果。1か月後に迫る最後の関東学生選手権(関カレ)に向けて、好材料になったはずだ。「今日の試合をバネに」(竹田)、学生大会でも快進撃を披露して見せる。
積極的に攻める竹田(右)
★2人がベスト8に進出も…(女子フルーレ個人)
期待のルーキーが躍動した。狩野は1回戦、2回戦と危なげなく突破し、シード選手である西岡詩穂(警視庁)との対戦に挑んだ。先に主導権を握ったのは狩野。リーチを生かした攻撃がはまり、相手を寄せ付けない。7-2と大きくリードを奪ってファーストセットを終える。しかし、その後は相手の追い上げをしのぐ苦しい時間が続く。ファイナルセットになっても勢いを止められず、残り6秒で2点のビハインドと雌雄は決したかに見えた。それでも最後の望みを懸け仕掛けたフレッシュが決まり1点差。続くプレーも同じように攻撃を仕掛ける。すると、試合終了を知らせるブザーとほぼ同じタイミングで狩野が一本を決めたのだ。執念ともいえる粘りで一本勝負に持ち込み、流れは完全に狩野に。そして、ここでも思い切りのいいアタックを決めて、劇的な逆転勝利を果たした。準々決勝はいきなり5連続得点を挙げ、試合を優位に進めるものの、またしてもセカンドセットから失速する形に。終盤はレッドカードによる痛い失点もあり、決着は再び一本勝負に委ねられる。だが、「自分の悪い癖がでてしまった」(狩野)と先に相手に仕掛けられ、それが決勝点に。ルーキーの日本一への挑戦はここで幕を閉じた。
一本勝負を決め、喜ぶ狩野(右)
プール戦を全勝で突破した溝口は、トーナメント戦も好調をキープ。3回戦ではそれまで見せていた積極的な試合展開とは打って変わって、慎重な試合運びとなる。時間を使いながらもお互いに点を取り合うシーソーゲームに。しかし、ファイナルセットになると溝口の独壇場に。アタックが面白いように決まり6連続ポイントを挙げるなど、一気に勝利を手繰り寄せた。勝ち上がって迎えた準々決勝は第2シード、菊池小巻(セガサミー)との激しい打ち合いに。しかし、溝口は技の駆け引きで優位を握られてしまい、ファーストセット終了後には大きく許してしまう。その後も劣勢を覆すことはできず、ベスト8で姿を消した。
悔しい結果に終わってしまったが、昨年からの成長、そして早大の強さを見せることができた大会だった。「練習不足が目立った」(狩野)といった課題も露見されたが、日本最高峰の舞台で今の自分の力を遺憾なく発揮し、結果につなげることができたのは何よりの収穫だ。次の大会である関カレは1か月後に迫っている。課題を見つめなおし、いい流れをつなげたい。
(記事 小原央、写真 高鳥希実)
※掲載が遅くなり、大変申し訳ありません
※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。
結果
▽男子フルーレ
竹田陸人(社5=神奈川・法政二) 16位
1回戦:◯15-11松渕真平(日大)
2回戦:◯15―12西藤俊哉(長野クラブ)
3回戦:●12-15飯村一輝(龍谷大平安)
中埜匡貴(創理4=東京・早大学院)
プール戦敗退
▽女子フルーレ
溝口礼菜(スポ3=千葉・柏陵)6位
1回戦:◯15-6 山口寿々奈(鹿児島南)
2回戦:◯15-8 岡田芽生(大垣南)
3回戦:◯15-8 高橋風子(秋田市役所)
準々決勝:●8-15 菊池小巻(セガサミー)
狩野央梨沙(スポ1=宮城・常盤木学園)7位
1回戦:◯15-4 東佑夏(乙訓)
2回戦:◯15-10 坂井真子(専大)
3回戦:◯15-14 西岡詩穂(警視庁)
準々決勝:●11-12 阿部広美(警視庁)
登尾早奈(スポ3=愛媛・三島)34位
1回戦:●10-15 吉崎沙織(日女体大)
高原真央(人2=福井・武生)40位
1回戦:●11-15 梅津春香(法大)
遠藤里菜(スポ3=群馬・高崎商大付)51位
1回戦:●10-14 齊藤利莉(埼玉栄)
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コメント
竹田陸人(社5=神奈川・法政二)
――今大会のベスト16という結果をどのように捉えていますか
そうですね、高校生に負けたということで今はまず悔しいですね。すごく強い高校生だったのですが、勝てる試合だったのでまず悔しいということが1つです。ただその前に、今はナショナルチームですけど、小さい時からずっと一緒に遠征に行ったり、プレーをしてきた西藤(俊哉、長野クラブ)に勝てたことが今回はすごく収穫だったというか。そこは良かったなと思いますね。
――1日を通して調子はどうでしたか
調子はすごく良かったわけではないです。予選は2敗していますし。エンジンがかかったのはやっぱり1回戦目の日大の松渕(真平)のときですね。なぜかかったかというと、去年の関カレ(関東学生選手権)のときに、初戦に一本勝負で負けているんですね。なのでこれはリベンジだと思って本当に必死にやりました。そこでなんとか勝てたことでスイッチが入って、その後も西藤に勝つことができたので良かったと思います。
――2回戦で当たった西藤選手への対策はありましたか
向こうの方が経験も豊富ですし、駆け引きしたら絶対に負けると思ったので、相手に気持ちいいフェンシングをさせないように、少し言い方が変ですけど、気持ち悪いフェンシングをさせるようにしました。それにハマってくれたので良かったと思います。相手のフェンシングをさせないようにしたのが工夫したところですね。
――試合を優位に進めることができた要因は何だと思いますか
西藤はスーパーシードでしたが、僕は1回戦からやっていたので、体のコンディション的にもエンジンがかかってきてアドレナリンも出てる状態でした。片や西藤は僕との試合が1試合目でしたし、結構メディアも来ている雰囲気の中で緊張していたのも分かっていたので、そういう要因も味方してくれて、結果的には良い試合運びができたのかなと思います。
――3回戦で当たった飯村一輝(龍谷大平安)選手にはどのような印象がありましたか
飯村くんは、実はすごく小さい時から付き合いがあって、彼がフェンシング始めたての時は僕のユニフォームを着てプレーしていたんですよ(笑)。僕がお下がりあげてフェンシングをやっていたぐらい本当に小さい時から知っていて、すごい可愛がってました。なのでまずは全日本という舞台で一輝と試合ができたことが嬉しかったですね。ただ、それと勝負というのは別なので。絶対勝たなきゃいけないとは思っていたんですけど、結果的には相手の方が一枚上手だったということですごく悔しいですね。
――勝ちきれなかった要因は何だと思いますか
7-7ぐらいまでお互い良い勝負をしていたのですが、そこからポンポンっと2、3点アタックで取られて。そこで1回時間を開けた方が良かったなと思います。そこで相手に乗らせてしまったのかなというのが1つですね。あと、自分のフェンシングが後半に行くにつれてすごく簡単になってきているなと後から考えると思いますね。後から考えるのではなくてプレー中にしっかりと修正できるようにならなくてはいけないなと思いました。
――関カレへの意気込みをお願いします
もう1ヶ月もないというところで。最後の関カレになりますし、今日の試合をバネにというわけではないですけど、頑張っていこうと思います。
狩野央梨沙(スポ1=宮城・常盤木学園)
――きょうの結果をどう捉えているか
良かった部分もあったのですが、練習不足が目立ったのかなと思いました。
――予選全勝でしたが、調子はどうでしたか
(調子は)そんなに良くなかったですが、なんとか全勝できて良かったです。もともと予選プールがきつかったので、全勝するという目標を持って戦いました。
――3回戦で西岡詩織(警視庁)選手と対戦しましたが、どのようなゲームプランでしたか
西岡選手には今まで1回も勝ったことがなかったので、勝ちたいという気持ちはもちろんありましたが、あわよくば勝てればいいかなという感じで臨みました。試合の組み立てとしては特になく、自分が思うようにプレーをしました。
――セカンドセットから失速しましたが、その要因は
2セット目から急激に体力がなくなって、自分で自分自身をコントロールできなかったです。
――1本勝負になる時に何を考えていたか
西岡さんとの時は、最後の3本を前に攻めてついたので、迷わずにいこうと決めてました。2回目は最後迷ってしまい、自分の悪い癖がでました。
――準々決勝の試合を振り返って課題は
最初は良かったのですが、後半失速してしまったのは今後の課題かなと思います。
――関東学生選手権(関カレ)に向けて
優勝目指して頑張ります。