女子エペ団体、連覇逃す

フェンシング

 全日本選手権(全日本)団体戦もいよいよ終幕を迎えた。最終日に行われた試合は、女子エペ団体と男子サーブル団体。女子エペ団体は、順調に決勝戦まで勝ち上がった。しかし、決勝戦で日大との激闘を制することができず敗北。連覇を達成することはできなかった。また、男子サーブル団体は、ケガで茂木雄大(スポ4=神奈川・法政二)が不在の中試合に臨むことに。2回戦を突破するものの、準々決勝で強敵・Aに敗北を喫しベスト8となった。

★日大との激闘を制せず2位(女子エペ団体)

 初戦を圧勝し、準々決勝に進んだ早大。準々決勝では、序盤にリードを許してしまうが、「想定内な感じ」(駒場みなみ、スポ2=富山西)と早大に焦りなどない。後半で巻き返しに成功し、順当に白星を挙げた。続く、準決勝も難なく突破し、無事決勝戦へ。そして、トーナメントの反対側を勝ち上がってきたのは、またしても日大。今シーズン、早大が全日本学生選手権(インカレ)でようやく勝利を上げることができた宿敵である。今回、日大を撃破することで、早大の強さが証明される重要な一戦。両者互角で、序盤から一進一退の攻防が続く。だが、終盤になるにつれて、相手の単独得点が多くなってきた。そして、3点のビハインドで迎えた第8セット。エース才藤歩夢(スポ4=埼玉栄)が2点を奪取し、一時は1点差にまで詰め寄った。だが、逆転に成功することはできず、このセットを終える。才藤は駒場に力強くハイタッチし、勝敗を駒場に委ねた。3点を追い掛けるかたちとなった最終セット。駒場は1本を奪いに行くが、日大のエース馬場は手強かった。日大に連取を許し、苦しい時間帯が続く。終盤、駒場が1点を返したものの、健闘及ばず敗北を喫した。

表彰式後の女子エペ陣

 接戦を制することができず連覇を逃した早大。今季インカレ優勝を果たし、勢いづいていただけに、悔しい結果となった。そして、今大会は、エース・才藤の早大フェンサーとして最後の試合。来シーズンから、才藤が抜ける穴は大きいだろう。しかし、「ワセダが弱くなったと他の人に思われないように、頑張りたい」(駒場)と、女子エペ陣は来季に向けて躍動を誓った。この悔しさをバネに、来シーズンも高みを目指して、戦い続ける女子エペ団体に注目である。

(記事 本野日向子、写真 柴田侑佳)

★力及ばず…男子サーブルはベスト8という結果に(男子サーブル団体)

 男子サーブル団体は、無難に2回戦を突破すると、準々決勝で昨年の全日本王者・Aと当たる。序盤から相手の勢いに押され、思うように点を挙げることが出来ない。中盤に追い上げる場面が見られたものの、戦局は変えられず敗戦。ベスト8で今年の挑戦に幕を閉じた。

準々決勝で快進撃を見せた小山

 ケガで茂木雄大(スポ4=神奈川・法政二)を欠き、若手中心で試合に臨んだ早大男子サーブル。初戦となった2回戦は、各選手が実力を発揮し、順当に勝利を挙げる。続く準々決勝で対したのは、法大OBで構成されるA。「全員が全員実力のある」(高木良輔、スポ3=埼玉・立教新座)難敵に、早大は序盤から劣勢の展開を強いられる。しかし中盤、苦しむ早大に転機が訪れる。第5セットに入った小山桂史(スポ2=東京・クラーク)が際どいプレーをことごとく勝ち取り、8連続ポイントを挙げるなど、大活躍。10点あったビハインドを、一気に3点にまで縮めることに成功した。このまま勢いに乗りたい早大だったが、昨年王者のカベは高かった。続く第6セットに入った高木は、相手の強烈な攻撃の前に自分のフェンシングができず、簡単に5点を取られ、その後は再び相手ペースに。早大も必死に食らいつくが、流れを変えるまでには至らず。最後は小山が相手に得点を決められ、敗戦。ベスト8で今大会を終えることになった。

 格上相手だったとはいえ、逆転の可能性はあっただけに、今回の敗戦は悔しいものがあるだろう。しかし、より高いレベルにたどり着くためのヒントが見えたことは、大きな収穫だったと言える。高木は、「今いるチームで、団体戦を優勝したい」と語った。来年こそは栄冠を。早大男子サーブルの奮闘は続く。

(記事 小原央、写真 本野日向子)

 ※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

 ※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

 ※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽女子エペ
早大[才藤歩夢(スポ4=埼玉栄)、澤浦美玖(スポ3=群馬・沼田女)、駒場みなみ(スポ2=富山西)、村上夏希(スポ2=三重・津東)] 2位
 2回戦:○45−29安来高
 準々決勝:○45−39朝日大
 準決勝:○45−33岡山クラブ
 決勝:●37−45日大

▽男子サーブル
早大[高木良輔(スポ3=埼玉・立教新座)、小山桂史(スポ2=東京・クラーク)、岸本大輝(社2=東京・早実)、青木貴雅(スポ1=静岡・沼津西)] ベスト8
 2回戦:◯45−27専大
 準々決勝:●35−45A

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コメント

女子エペ陣試合後対談〔才藤歩夢(スポ4=埼玉栄)、澤浦美玖(スポ3=群馬・沼田女)、駒場みなみ(スポ2=富山西)、村上夏希(スポ2=三重・津東)〕

――2位となりましたが今のお気持ちは

才藤  インカレも優勝して、流れとしては良かったかなと思うし、去年も優勝しているので連覇というのを目標にしていたので、できなくて悔しいです。

澤浦  今回、歩夢(才藤歩夢)先輩が早大生として学生最後の試合で、2人も気合入っていたと思うんですけど、そこで優勝できなかったのが悔しいと思います。

駒場  目標としては連覇というのと、歩夢先輩との最後の試合で、優勝したいと思っていました。優勝という目標でやっていたのでできなくて悔しいです。

村上  同じように、優勝して連覇して、最後に歩夢先輩と戦える団体戦、良く終わりたかったんですけど、できなくて悔しさと申し訳なさとでいっぱいです。

――連覇がかかっていることに対してプレッシャーはありましたか

才藤  プレッシャーは特になくて、1つ1つ勝っていったら優勝できるかなという感じでした。どこも安心できる試合はないし、目の前の試合に集中してやりました。

駒場  連覇したいという気持ちはあったんですけど、そこに関してあまり気負ってはなかったです。

村上  私も同じように、プレッシャーとかを感じているわけではなく、とりあえずただ優勝したいという思いだけでやっていました。

――準々決勝では序盤相手にリードされていましたが、振り返っていかがですか

駒場  でも想定内な感じでした。最初の周りで取られてしまうというのは想定内ではあって。

――後半に取り返すというプランでしょうか

駒場  どこかで取れるかなというところがありました。

――決勝戦では、インカレの決勝戦と同じ時のローテーションにしました。今回も、第8セットで才藤選手がリードを広げるという作戦だったのでしょうか

才藤  8セット目でというよりは、全体的にそっちの時の方がインカレで私たちの中でしっくりきていたので、その時と同じでいいのではないかということでそうなりました。

――決勝戦は、ずっと接戦となりましたが、点差をつけたいという焦りなどはありましたか

才藤  私は焦ってはなかったです。

澤浦  ベンチからも焦っているような感じではなかったです。

駒場  いつもこんな感じなので。取り急いで取られてしまうパターンが一番怖いなと思っていて、取れるところで取るというイメージでした。

――今回は日大に負けてしまったが敗因は

村上  全試合マイナスにしてしまったので、プラスで持っていけていればと思います。

澤浦  インカレの時と日大の早回りの選手が違ったので、どうなるのかが分からないなというのがありました。

――今年はインカレで優勝し、全日本では2位となりましたが、どのような1年間でしたか

才藤  1年の最後の戦いなので勝って終わりたいというのがあったんですけど、とりあえずインカレで優勝はしていたので優勝しなきゃという感じよりは、楽しんで試合ができたかなと思います。1年間の感想じゃなかったわ(笑)。

澤浦  団体でいうと、昨年2人が1年生として入ってきて、初めての団体だったので、うまくいかないこととかもあって。最後の全日本で結果は出たんですけど、昨年はその1回だけの優勝で。今年は学生の大会でも優勝や準優勝となって、団体の絆というかやりやすさが伝わってきました。

駒場  昨年はあまり勝てなくて最後全日本で勝って団体戦のやり方がわかってきたところで、今シーズンが始まって。今年は歩夢先輩が最後ということで、個人よりも団体で勝ちたいという思いがずっとありました。全部1位か2位で、昨年よりも成績が良かったのは良かったと思います。エペの団体戦が分かってきたというか、それがうまくかみ合ってインカレとか、リーグ(関東学生リーグ戦)とか勝てたし、今回と、関カレ(関東学生選手権)もきちんと決勝まで行くことができて、個人的にもチーム的にも成長できたのかなと思います。

村上  昨年1年を通して、いろいろな結果が出たりして、やっと団体戦でどうしたらいいのかが分かってきた上での今年1年で、団体戦となったら自分の役割をしっかり果たそうと思っていました。頼れるところをいっぱい頼らせていただいて、とりあえず自分のやっていけるところをやっていこうとした1年だったです。あと、もっとこれから頑張ろうと思える1年でした。

――才藤選手は引退となりますが、才藤選手に向けて何か伝えたいことはありますか

駒場  本当にありがとうございました。たくさん迷惑も掛けたし、本当に大変な思いを試合中にたくさんさせたので、本当にありがとうございました。歩夢先輩のおかげで、勝てた試合がたくさんあって、歩夢先輩がいないと勝てていなかった試合もたくさんあって。あまり教場にはいらっしゃらないんですけど、たまに来られた時とか、チームのことを考えて、団体戦の話とかもしてくれるし。フェンシングに関係ない話とかも、くだらない話とかもしてくれて。

才藤  くだらないって言われた(笑)。

一同  (笑)。

駒場  みんなで関係のない話とかもして、すごい良くしてもらって、すごく感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

村上  本当に頼もしい先輩で、歩夢先輩がいてくれたからワセダはしっかり成り立っていたし、きょうの試合を見ていても本当に頼もしくて、歩夢先輩がいてくれたから、昨年の全日本も優勝とか、自分が1人の力では経験できないことをさせていただいたなということをすごく感じながら、きょうもプレーしていました。そういうところで戦わせてくださって、ものすごく優しくしてくれて歩夢先輩目指して頑張ろうというふうに思っています。本当にありがとうございました。

澤浦  私も1年の時に、4年生が2人先輩がいらっしゃったんですけど、その先輩が2人卒業した後に、歩夢先輩が教場に練習に来られることがあまりないので、本当にどうすればいいのかなと思っていました。けど、なんだかんだ歩夢先輩におんぶに抱っこな状態で、ここまで来てしまって申し訳なかったです。すごく甘えてしまったんですけど、その優しさがすごく大好きで、本当にありがとうございます。

――才藤選手も後輩に向けてメッセージをお願いします

才藤  私はあまり部活に行けていなくて、先輩らしかったことはあまりなかったかなと。

――みなさん、才藤選手に感謝の気持ちでいっぱいですが

才藤  本当に〜?(笑)

澤浦、駒場、村上  本当ですよ(笑)。

才藤  あと少しで卒業してしまうので。全日本団体でワセダとして出る試合が終わってしまったんですけど、また部活には顔を出そうかな。卒業後も練習できたらいいかなという感じです。

澤浦、駒場、村上  ぜひ、お願いします。

――来年の目標を教えてください

才藤  大学生としてではなく、企業で続ける予定で。そういうところに所属して競技を続けるということは一番に結果が求められると思うので、より気を引き締めて頑張りたいと思います。

澤浦  歩夢先輩が抜けてしまうので、来年のワセダ女子エペのレベルが落ちると他大に思われていると思うんですよ。それをいい意味で裏切れるように頑張っていきたいなと思います。

駒場  歩夢先輩が抜けてチームがガラッと変わってしまうので、不安はあるんですけど、目標は常に高く。美玖(澤浦美玖)先輩もおっしゃったんですけど、ワセダが弱くなったと他の人に思われないように、頑張りたいと思います。

村上  歩夢先輩が卒業してしまって、結構大きな穴が空いてしまうんですけど、それを少しでも埋めていけるように、歩夢先輩の代わりになれると思うつもりでしっかり頑張っていきます。

高木良輔(スポ3=埼玉・立教新座)

――ベスト8という結果でしたが、振り返っていかがですか

優勝を狙っていただけに、悔しい面は強いんですけど、課題が見えてきたので、そこは前向きに捉えられる試合だったかなと思います。

――茂木選手をケガで欠いた中で試合に臨むことになりましたが、何か心境に変化とかはありましたか

前々からケガで試合に出られない、ということは分かっていたので、今いるメンバーで最大限力を出せればいい、と思っていました。春からは茂木先輩が帰ってきて、茂木先輩がいるチームでまたやれると思うので。特に、うわ、嫌だな、とは思わなかったです。

――準々決勝では昨年全日本団体を優勝したAと当たりましたが、何か対策は立てていましたか

全員が全員実力のある選手なので、作戦以前に自分達が力を最大限に出さないと勝負にならない、と思っていました。最大限の力を発揮できるように、楽しくやろうということを心掛けていました。

――試合は序盤から苦しい展開が続いたと思います。何を考えながらプレーしていましたか

どこかで流れを変えなければいけない、と思っていたんですけど、小山が5巡目か6巡目かで、すごく点数を取ってきてくれて。流れがこっちに来たかな、と思ったんですけど、そのあと自分がポポポン、と5点取られてしまって。小山が流れを変えてくれただけに、自分の不甲斐なさを感じましたね。

――今後の課題を具体的に教えてください

自分達の技の引き出しが少ないということを痛感しました。そこを春のリーグ戦まで時間があるので、増やしていきたいです。あとは苦しい展開になると単調になったりして、相手にタイミングとか取られちゃったりするので、苦しい展開でも落ち着いてプレーできるように、普段から技術面、メンタル面共に鍛えていきたいと思います。

――今年最後の試合だったと思いますが、今年1年を振り返っていただけますか

個人的に主将を務めることになって、すごく悩んだり葛藤した1年だったんですけど、自分がフェンシングという競技が好きだな、と再確認出来た1年だったと思っています。その中で、まだ団体戦で一度も優勝出来ていないので、今いるチーム、自分が半年作り上げてきたチームで、団体戦を優勝したいな、という気持ちがありますね。今年1年の振り返りにはなっていないですけど、今後はそうなれるように頑張りたいと思います。