各種目、目標遠く及ばず。涙のインカレ3日目

フェンシング

 全日本学生選手権(インカレ)3日目の早大勢は、各々悔しい結果で幕を閉じた。男子エペ個人は、安雅人(スポ2=茨城・水戸一)が9位、小野真英(スポ3=埼玉栄)が12位と、両者共不完全燃焼に終わった。女子サーブル個人では、木村結(社2=山口・柳井学園)が6位入賞を果たしたものの、目指していた優勝には届かなかった。男子フルーレ団体は準々決勝で明大に敗れ、まさかのベスト8でインカレを終えた。

☆安、小野、共にベスト16止まりに。団体戦での巻き返しなるか(男子エペ個人)

 関東学生選手権(関カレ)で3位に入った安は、インカレでもプール戦で全勝し、好調さが続いているかのように思われた。2回戦を突破し迎えた3回戦では、安と同じく茨城県出身で親交のある山田森太郎(中大)と対戦。「プレースタイルが合わず、やりづらい」と安自身苦手意識を持っており、試合中盤時点で7−11と4点ビハインド。しかし安も意地を見せ、そこから4連取し同点にまで持ち込んだ。そこから追い付き追い越されを繰り返し、スコアは13−13。だがその後、安が得点することはかなわなかった。関カレ3位の実力者のインカレは、3回戦で終了となった。

悔しさにより、ピスト上で丸まる安

 小野は1回戦を圧勝で終え、2回戦へと進んだ。しかし「タイミングが取りづらくてやりにくかった」と、後半にまくられる展開となる。なんとか3点差で勝利したが、迎えた3回戦では序盤からリードされるかたちに。「失点を許してから、後半もずるずると引きずってしまった」と、その後もなかなか点差を縮めることができないまま試合が進んでいった。最終結果は10−15。安と共に3回戦で姿を消すこととなった。

3回戦での小野

 個人戦では悔しい結果に終わった男子エペ陣だが、団体戦では関カレチャンピオンとしてインカレに挑むこととなる。個人戦で成績が振るわなかった悔しさを団体戦にぶつけ、関東一に加えて日本一の称号を獲得したい。

☆木村が入賞果たすも、悔いの残る結果に(女子サーブル個人)

 関カレで2位に入り、インカレ優勝を狙っていた木村。しかしどの試合でもあまり本来の力を発揮できなかった。「関カレの時より動きが悪く、ミスしても戦術が変えられなかった」と、初戦では格下相手に想定外の失点を許し、2回戦では点を取られては取り返すという厳しい展開となった。それでも準々決勝まではい上がった木村であったが、そこでの相手は昨年の関カレで敗北を喫した狩野菜々子(日体大)。「相手のペースで試合が展開されてしまった」と序盤に5連取され、そのまま流れを覆すことができなかった。結果は6位と最低限の入賞は果たしたものの、目標には及ばかった。

試合中の木村

 次の試合はインカレ団体戦。全日本選手権(全日本)に進出するためには、1回戦通過が必要不可欠となる。まずは着実に1回戦を通過し、昨年果たせなかった全日本進出を目指していく。

☆無念の準々決勝敗退…この悔しさは全日本で晴らす(男子フルーレ団体)

 ピスト上に倒れ込む松山恭助(スポ3=東京・東亜学園)。必死に涙をこらえる松山大助(スポ5=東京・東亜学園)と北原達也(スポ4=長野・伊那北)。敗北の事実に耐えきれず、山根周佑(スポ4=埼玉栄)の肩を借り涙を流す奥武大輔(スポ1=大分豊府)。悲嘆、後悔、自責。様々な悲痛な思いが試合後の早大ベンチに渦巻いた。

 初戦の専大戦から苦戦を強いられた。「調子が良くなかった」(松山大)と第1セットで松山大が満足にリードを奪えず、そこからしばらく点差を離せない状況が続いた。しかし第5セットで奥武が5連取に成功すると、続く松山恭が4点プラスで次に回す。この2セットで流れが早大に引き寄せられた。序盤は競る展開になったものの、最終的には45−33で勝利。準々決勝へと駒を進めた。

 準々決勝の相手は明大。ことしの関カレでも対戦しており、勝利を収めていた。しかし連戦の疲れもあり、松山恭が出だしから思うようにポイントを稼げない。その後もシーソーゲームが続き、3点ビハインドで第5セット迎える。だがここで、松山恭が第1セットでの借りを返すかのような8連取。5点のリードが生まれ、このままの勢いで試合を進めたいところであった。ところが第7セットで奥武がまさかの9失点。試合終盤での逆転を許してしまった。悪い流れを引きずって松山大も2点マイナスで回してしまい、6点差で迎えた最終セット。もうあとがない早大。全ては最後回りの松山恭に託された。失点、2連取、失点、3連取。繰り返す緊張と安堵。ひたすらに逆転勝利を願う早大であったが、松山恭がそれ以上の得点を相手から奪取することはなかった。

立ち上がることのできない松山恭(下)に、先輩として優しく声を掛ける北原(上)

 4年間エンジの看板を背負って戦った松山大、北原にとっては、最後のインカレであった今大会。北原は自身の4年間を振り返り、「ワセダで良かった」と口にした。今回は、残念という一言では片付けられないような悔しい結果に終わってしまったが、次戦の早慶定期対抗戦で弾みをつけ、続く全日本でこの無念を晴らし、本年度の有終の美を飾りたい。

(記事 藤岡小雪、写真 加藤千咲)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

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結果

▽男子エペ個人

安雅人(スポ2=茨城・水戸一)9位

2回戦:○15−11 清水駿斗(拓大)

3回戦:●13−15 山田森太郎(中大)

小野真英(スポ3=埼玉栄)12位

1回戦:○15−5 平松宏基(京大)

2回戦:○15−12 武井偉也(日大)

3回戦:●10−15 伊藤寛高(法大)

▽女子サーブル個人

木村結(社2=山口・柳井学園)6位

1回戦:○15—8 佐林優(慶大)

2回戦:○15−12 服部紀冬未(法大)

準々決勝:●8−15 狩野菜々子(日体大)

齊藤里羅子(スポ2=山形東)19位

2回戦:●12−15 向井晴香(朝日大)

佐野友香(スポ2=静岡・沼津西)38位

▽男子フルーレ団体
早大〔松山大助(スポ5=東京・東亜学園)、北原達也(スポ4=長野・伊那北)、松山恭助(スポ3=東京・東亜学園)、奥武大輔(スポ1=大分豊府)〕 ベスト8
2回戦:○45—33専大
準々決勝:●39—45明大

コメント

松山大助(スポ5=東京・東亜学園)

――今の率直な感想は

信じられないという気持ちが強いですね。優勝を目指して、最低でもベスト4はと思ってやっていたので、自分の中では結構下で負けてしまったという気持ちです。

――専大戦は前半でかなり競っている印象がありましたが、苦労した点はありますか

僕の調子が良くなかったので、なかなか(点差を)離せずに五分五分の戦いをしてしまって、チームに迷惑をかけてしまったかなあという思いがありますね。

――そんな中で勝てた要因は

まず恭助(松山恭助、スポ3=東京・東亜学園)が、(点差を)突き放さなければいけないというところで(点を)取ってきてくれたことが大きいです。流れを一気につかんで、そのまま進められたのが勝利の要因かなと思っています。

――明大戦の敗因はなんだと考えていますか

明大は最初から警戒していました。というのも穴が無くて、みんなそれなりにレベルのある選手がそろったチームなので。敗因としては、最後の方で僕や奥武(大輔、スポ1=大分豊府)がしっかり5点取りきれずに負けてしまったことですかね。せめて負けるにしても、5点しっかり取った方が恭助の負担も減りますし。もうちょっとどうにかできたのではないか、という思いがあります。

――早大での最後の試合は全日本選手権(全日本)の団体戦になりますか

そうですね。一応そのつもりでいます。

――では今後の意気込みをお願いします

今回満足できる結果で終わらせることができなかったので、この悔しい思いを本当のラストチャンスである全日本の団体戦でしっかりと晴らして、今度こそ笑って終われるように、しっかりと練習して頑張っていきたいと思います。

北原達也(スポ4=長野・伊那北)

――おとといの個人戦を振り返って、結果としてはいかがでしたか

勝てるかわからない相手に勝てもしたんですけど、それで油断したのか、予選プールでも勝てそうな大事なところで落としてしまって。ただ、ポイントの精度はいつもより結構良くて、調子もいいなとは思ったんですけど、あと一踏ん張りというか、最初に点を離され過ぎたりだとか、そういうとこで少し甘さが出てしまったかなという感じですね。

――個人戦の結果には納得していますか

団体戦に向けてという気持ちの方がすごく強かったので、個人戦は個人戦の結果として、早稲田の看板を背負う団体戦の方に力を入れていこうという気持ちにすぐにシフトしました。その時(個人戦直後)に後悔とか心残りとかは多少はあったんですけど、そこまでなかったですね。

――関東学生選手権(関カレ)で足の肉離れがあった影響は今回ありましたか

今回は特にはなかったです。結構治ったので、関カレではファンデブも打たないようにしていたんですけど、今回のインカレではどんどん入れて。アタックでのポイントも取れたので、自分ではそれほどその影響は感じていませんね。

――きょうの団体戦では3回戦敗退となってしまいましたが、今の率直な気持ちをお願いします

次の試合ももちろんあるものとして試合をしてしまっていたので、残念としか言いようがないですね。明治が強いというのは分かっていたんですけど、ここで終わるというのはやっぱりショックですね。奥武(大輔、スポ1=大分豊府)とどこで出るかは相談しながらお互いやっていたんですけど、奥武も疲れている中最後の試合まで任せてしまって、ありがたかったですけど、申し訳なかったです。

――自分が出ていれば…とは思いますか

いや、そういうのはないですね。関カレでも明大と当たったんですけど、その時自分が最後回りで久米(春貴)とやって、個人的に明大全体にあまり良いイメージが持てなくなって。逆に奥武は明大に練習に行って、相性が良いというのを聞いていたので。ただ、実際自分が逃げてしまったじゃないですけど、自分が責任を持ってやっても良かったのかなという思いはありますね。

――最後のインカレで、団体戦には特別な思いがありましたか

そうですね。ずっと去年も先輩の姿を見てきて、ワセダの団体戦は雰囲気もすごく良くて。やっていて楽しいし、自分もワセダの看板を背負って戦って、そこで勝ってチームに貢献できた時のうれしさはすごく感じてきましたね。ワセダで良かったなと今も思います。

――引退する試合は決めていますか

全日本選手権の団体は迷っていたんですけど、今回最後悔いしか残らなかったので、出ようかなという気持ちもあります。その前の早慶戦(早慶対抗定期戦)は出ます。

――では早慶戦に向けての意気込みを

伝統ある早慶戦なのでもちろん勝って、自分が10年間やってきたフェンシングの集大成をぶつけたいです。

小野真英(スポ3=埼玉栄)

――ベスト16という結果について、今のお気持ちを聞かせてください

結果を狙ってやっていたので、正直自分としては情けない結果で終わってしまったなという感じです。

――1回戦と2回戦を振り返っていかがですか

1回戦の相手はきのうのプールのラウンドにいた人で、どういう感じでやればいいのか自分自身で分かっていたので、それをなるべく変えずにやりました。2回戦の相手はタイミングが取りづらくてやりにくかったので、自分の得意なところで勝負できたのかなと思います。

――3回戦ではリードされがちな部分がありましたが

3回戦で戦った相手はこの前の試合で当たっていて、そのときに勝てていたので良いイメージがありました。ですが自分のイメージを崩されたというか、相手のうまいポイントに惑わされて、そこで失点を許して後半もずるずると引きずってしまったのかなという感じです。

――3回戦で指をケガされていましたが、団体戦への影響はありますか

団体戦は、あしたは1試合しかなくて試合数も少ないので、そこは自分の調子を見ながらやれると思うので、支障はないと思います。ただ接戦になったり熱が入ったりしてしまうと、どうしてもケガのことを忘れてやりすぎてしまうと思うので、なるべく自分でも調整しながらやっていこうかなと思います。

――団体戦への意気込みをお願いします

個人戦ではあまり良い結果が出なかったので、団体戦では関カレ(関東学生選手権)に続いてしっかり優勝を狙っていきたいと思います。

木村結(社2=山口・柳井学園)

――きょうの目標を教えてください

関カレ(関東学生選手権)2位ですごく悔しい思いをしたので、インカレ(全日本学生選手権)は優勝したいなと思っていました。

――6位という結果はどのように感じていますか

トーナメントの1回戦から自分の思うような動きができなくて、1回戦も2回戦も結構危ない場面が多かったです。関カレの時より動きが悪く、ミスしても戦術が変えられなくて、そのままやられてしまいました。あと、点が欲しいという欲が出すぎてしまいました。

――1回戦は15-8で勝利されてご自分のペースで試合を進められていたと感じましたが、いかがですか

最初は結構競っていて、途中から立ち直せたので良かったのです。ただいつもだったら多分こんなに(点を)取られなかったと思うので、考えてできていなかったかなと思いました。

――2回戦は競り合って厳しい展開でしたが、どのように勝ちに繋げましたか

同じことで点を取られていたのでコースを変えたのと、どうしても負けたくなくて気持ちで負けないように前に行くことを意識しました。

――準々決勝では最初から点を取られてしまう展開でしたが

去年の関カレで同じ相手に負けて苦手意識を持っていて、気持ちに余裕がなくなってしまっていつもの自分の動きができず、相手のペースで全部試合が展開されたかなと思います。

――あさっての団体戦への意気込みをお願いします

団体戦は、とりあえず1回戦は絶対勝ちたいです。全日本(全日本選手権)につなげられるように、3人で勝ちに行きます。

安雅人(スポ2=茨城・水戸一)

――ベスト16という結果をどのように受け止めていますか

負けた相手は自分と同じ茨城県出身で、あまり良いイメージはなかったので、ちょっと嫌だなあと思っていました。最初点差が離れてしまって、巻き返そうと思ったのですが、相手の方が負けたくないという気持ちが上だったのかもしれません。悔しいです。

――苦手意識があったということでしょうか

うーん…苦手かもしれませんね。左(利き)は結構得意なはずなのですが、ピンポイントであまり得意ではないので。僕は剣を捉える系で、相手は外から剣を抜く系なので、プレースタイルが合わないというか。やりづらいです。

――昔からそう感じているのが続いていますか

そこまで実力的に負けているというわけではないと思うので、自分が意識しすぎただけかもしれません。嫌だなあという気持ちが、プレーの中で出てしまったのかな。

――2回戦は後半に点差が縮まるという試合展開でしたが

最初はすごくリラックスしてやれていたので、いい感じに進んでいました。その後ちょっとプレー中にイライラしてしまう場面があって、そこから狂って疲れてしまいました。あと点差はあったので、無難にやれたら良いかなあと思っていたら、最終的に点差が縮まるかたちになりました。

――プール戦は全勝していましたし、調子が悪いというわけではなかったのですかね

調子は良かったです。調子は良かったんですけど…いやあ、調子は良かったんですよね。(相手が)他の人なら負けない自信はありました。

――相手は合わなかった、と

剣の感じもしっくりしていて。結構いけそうだなあと思っていたんですけど、相手のことを個人的に嫌だなあと思いすぎていたのが良くなかったです。

――最後に団体戦への意気込みをお願いします

個人戦が振るわなかったですし、真英先輩(小野真英、スポ3=埼玉栄)も自分と同じで悔しい思いをしていると思うので、その分団体戦で活躍できたら良いなあと思っています。