松山恭、日本一そして二冠達成!!

フェンシング

 日本一を目指し、各大学がしのぎを削る全日本学生選手権(インカレ)がついに開幕した。1日目は男女フルーレ個人戦が行われ、男子フルーレでは松山恭助(スポ2=東京・東亜学園)が優勝し関東学生選手権(関カレ)との二冠を達成。女子フルーレでは永瀬夏帆(スポ4=宮城学院)が関カレに続き悔しいベスト8となった。

★松山恭が二冠 「優勝だけを目指す気持ちは人一倍強かった」(男子フルーレ個人)

15点目を挙げ優勝を決めた瞬間の松山恭

 松山恭にとって苦しい試合だった。ベスト8までは順調に勝ち進んだが、そこからはもし一度流れを渡していたら勝つことは厳しい展開となる。準々決勝では5点差を付けリードしていたものの、4失点と相手の巻き上げを受ける。しかし、セットが変わると切り替えを見せ15-10で勝利した。準決勝は同点の場面が続く。観客席からの「ここ頑張れ」の声に小さくうなずき、最後は3連取に成功し決勝進出を決めた。決勝の相手は世界ジュニア選手権チャンピオンの敷根崇裕(法大)。点差の開かないシーソーゲーム、だが試合は相手ペースだった。「相手のペースでもいいからと考えを変えて、同じペースで攻めよう」(松山恭)。この考えが功を奏した。5-7で初めて2点差以上開くがすぐ同点に持ち込む。そこからまた3連続失点もすぐ3つ取り返し、危ない場面を何とかしのいだ。緊迫戦は続き相手が先に王手を掛けるが、追い付き14-14。一本勝負となった。「とりあえず前に行こうということだけは決めていた」(松山恭)。緊迫した空間で白ランプが4回光る、得点はまだ入らない。松山恭はそんな状況下でも気持ちだけは切らさなかった。前に進み点いた赤ランプ、15点目を手にした松山恭はその場に膝をつき叫んだ。試合が終了後には集まった仲間と最高の喜びを分かち合い、ほっとした表情を見せる。二冠、これは激戦の男子フルーレ個人戦での大快挙だ。

★ベスト4のカベ厚く…永瀬、涙のベスト8(女子フルーレ個人)

準々決勝で敗れ、永瀬は手で顔を覆った

 永瀬はあと一つ届かなかった。2回戦を15-6で勝ち進み迎えた3回戦では、序盤に3連続失点を喫し1-4と少し点差が離れてしまう。しかし、第2セットは意地を見せ逆転に成功。接戦が続くが、スピードを生かして3連取し13-9でタイムアップ。最後の3連取が勝負を決めた。準々決勝では0-4と厳しいスタートに。なかなかうまく技が決まらず追い付くことができない。リードを覆すことができないまま10-15で敗れた。試合終了後、永瀬の目には涙が溢れる。関カレと同じベスト8という結果に終わったが、その表情は全く違った。「ベスト4のカベを今まで越えられたことがないので、ことしは越えたい」と話していた永瀬。その涙は最後のインカレにかける思いの大きさを表していた。残るは団体戦。その悔し涙をうれし涙に変えたい。

(記事、写真 加藤佑紀乃)

入賞した松山恭(左)と永瀬(右)

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

結果

▽男子フルーレ個人

松山恭助(スポ2=東京・東亜学園) 優勝

2回戦:〇15-4 立岡篤人(同大)

3回戦:〇15―6 竹田陸人(早大)

準々決勝:○15-10 安部慶輝(拓大)

準決勝:〇15-11 野口遼平(法大)

決勝:〇15-14 敷根崇裕(法大)一本勝負


竹田陸人(社2=神奈川・法政二)ベスト16

2回戦:〇15-13 佐々木拓海(愛工大)

3回戦:●6-15 松山恭助(早大)


三好修平主将(社4=愛媛・三島)2回戦敗退

2回戦:●6-15 敷根崇裕(法大)


▽女子フルーレ個人

永瀬夏帆(スポ4=宮城学院) 6位

2回戦:〇15-6  桑井友里恵(関大)

3回戦:〇13-9 大嶋沙季(同大)

準々決勝:●10-15 真田玲菜(法大)

コメント

松山恭助(スポ2=東京・東亜学園)

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか

試合も続いていて、すごい疲れもたまっていまいした。内容は最初のほうは良かったのですが、後半は体力の低下とともに精度も落ちてきましたし、自分の思考力もだんだん低下してきました。そんな中で本当に優勝だけを目指す気持ちは人一倍強かったと思いますし、それが最後の一本にもつながったと思います。

――特に準々決勝からきつい試合が続きました

自分が結構負けるパターンの試合だったんです。そこで(そのパターンだと)分かっていました。今回は学生の試合だから拾えたという部分ももちろんあるのですが、普段の自分だったら落としている場面で、ここで点数を取らないときついとか、ここで点数を取られたら逆にきついとか試合の中ですごくそこだけは分かっていました。本当にかたちはどうであれ点数取ろうという気持ちでした。

――決勝は14-14と一本勝負になりましたが、そのときの気持ちは

(決勝も)結構もう負けパターンだったんですよ。自分の考えもまとまってなかったのですが、とりあえず前に行こうということだけは決めていたんです。具体的にどうするとか、ここを狙うというのはなかったのでちょっと危なかったのですが、そこは気持ちで押し切った部分がすごく大きいなと思います。自分自身気持ちだけはすごく強く持っていたので、それが最後の一本勝負を取れたことにつながったと思います。

――決勝は特に剣を構え直していましたが、気持ちを集中させてたのですか

そうですね。ちょっとテンポも速かったですし、決して自分のペースではありませんでした。もう少し動いてやりたかったですし、時間も使ったり、駆け引きももっと多くしたりできたら、もう少し楽に勝てたと思います。序盤でどんどん点数を取られたことによって、もうここでペースを変えるのを少し難しいと思い、しょうがないから相手のペースでもいいからと考えを変えて同じペースで攻めようと思いました。2点差離れた場面でも食らい付いていけたのは、そこの考えを変えたのが大きかったですね。

――関東学生選手権(関カレ)との二冠となりました

自分が思っている以上に関カレやインカレ(全日本学生選手権)の重みはあるなと思いますし、今こうやって優勝してみていろいろ大きなものがあると感じました。やはりワセダのためにも勝てたことはすごくうれしいです。貢献できたかなと思います。

――団体戦がありますが意気込みをお願いします

関カレの団体決勝で負けています。もちろん今回も法大とは決勝で当たる予定なのですが、すごく強い相手ですし自分たち3人がベストを出さないと勝つことは難しいと思います。残り1日ちょっとあるのでしっかり休息を取ってリカバリーしてまた万全の状態で臨みたいなと思っています。