2種目とも無念の2部降格

フェンシング

 関東学生リーグ戦(リーグ戦)の翌日、入替戦が行われた。早大からは、女子フルーレと女子サーブルが1部残留をかけて臨んだ。どの大学も残留と昇格を懸け、決死の覚悟で戦っている。会場にはリーグ戦以上に歓喜と悲鳴の声が響き渡った。女子フルーレは序盤のリードを守り切れず、試合終了間際に同点へ。一本勝負の末に敗れた。女子サーブルは連続失点が響いてしまい敗北。長年守り続けていた1部の座を手放し、両種目とも2部降格となった。

 その勝負を決めたのは、一本だった。歓喜に湧く慶大を背にうなだれる早大。試合は最後まで何が起こるか分からないということを体現しているかのようだった。序盤、狩野愛巳(スポ2=宮城・仙台三)が相手の隙を冷静に突き、リードを広げる。第5セット終了時点で差は11点まで広がった。しかし第6セット、永瀬夏帆(スポ4=宮城学院)が慶大のエース宮脇花綸に10連取されてしまう。ここで終わるわけにはいかない永瀬。粘って2点をとり、27-25で次にバトンを渡した。その後は相手の攻めを耐え続け、第8セット終了時点で、32-27。このまま逃げ切りたい早大。試合は均衡状態が続くも、じりじりと点を重ねられてしまう。そして残り約22秒で4点差。さらに素早く何度も攻撃を仕掛けてくる慶大。ブザーが鳴るとほぼ同時に同点となった。一本勝負ではお互いに先に突こうとするが、先に点灯したのは慶大側のランプ。優勢だった流れを守りきれず、涙の敗北となってしまった。

試合終了後、うつむく女子フルーレ陣

 次はもう負けられないと挑んだ女子サーブル。しかし、相手の積極的な攻撃で点差が離れていく。ここで意地を見せたのは1年生だ。佐野友香(スポ1=静岡・沼津西)と木村結(社1=山口・柳井学園)が、狙いを定めて一本を取りに行く。「個人的にはきょうが一番いい動きができた」(佐野)とチームに勢いをつけ、一時は4点差まで追い上げるが、相手も黙ってはいない。再び点差を突き放され30―45。ただ、1年生の健闘は早大にとって大きな収穫となったはずだ。

追い上げの原動力となった佐野

 2部降格。この雪辱は秋の関東学生選手権、全日本学生選手権で果たしていくしかない。狩野は「夏帆先輩(永瀬)が本当に最後の試合になるので絶対に勝って終わらせたい」と先輩への思いも語った。女子サーブルは、今回も活躍を見せた頼もしい1年生がさらに力をつけてくることを誓う。また何より、団体戦はチーム全員の力が必要だ。「早大として全体で支え合うことが大きな課題」(狩野)。再び1部に戻るため、また今から歩み出す。

(記事、写真 加藤佑紀乃)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽女子フルーレ
早大〔永瀬夏帆(スポ4=宮城学院)、山村彩和子(教4=岡山・玉野光南)、狩野愛巳(スポ2=宮城・仙台三)、木村結(社1=山口・柳井学園)〕 2部降格
●40-41慶大(一本勝負)

▽女子サーブル
早大〔狩野愛巳(スポ2=宮城・仙台三)、木村結(社1=山口・柳井学園)、齋藤里羅子(スポ1=山形東)、佐野友香(スポ1=静岡・沼津西)〕 2部降格
●30-45日体大

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コメント

狩野愛巳(スポ2=宮城・仙台三)

――きょうの入替戦にはどのような気持ちで臨まれましたか

今シーズン初の団体戦だったので、絶対1部から2部へ入れ替えになりたくはないと思ってチーム一丸となってみんな1点ずつ取れればいいかなと思っていました。

――女子フルーレを振り返って

女子フルーレは最後5点差で回ったのに、残り30秒近くで取られてしまったのが大きな敗因かなと思っています。そこは私の責任なので、チームのみんなには申し訳ないなという思いと、4年生の夏帆先輩(永瀬、スポ4=宮城学院)が最後だったので、2部で終わらせてしまって本当に申し訳ないなという気持ちがありました。

――女子サーブルのほうはいかがですか

女子サーブルは、フルーレが負けてしまって、最後は勝って終わりたいと思っていました。やはり実力が及ばなくて、チームの足を結果的に引っ張ることになってしまいました。1年生が主体となって出ていたので、もう少しいい姿を見せられたら良かったなと思いました。

――女子サーブルは特に1年生が多かったですが、1年生の印象は

すごいのびのびやっていて、点数も相手と競っていて良かったので、このまま気負うことなくのびのびとやってもらえればいいなと思います。

――今回で得た課題や収穫はありますか

やはり個人戦と団体戦では、戦い方が大きく違ってくるので、団体戦の自分のところのプレーだけではなくて、自分のチームメイトがやっているときの声掛けやベンチワークなど、早大として全体で支え合うことが大きな課題かなと思いました。

――今後に向けて

今回リーグ戦(関東学生リーグ戦)はこのような結果になってしまったので、関カレ(関東学生選手権)、インカレ(全日本学生選手権)では上を目指して、後輩も入ってきているので、後輩にもちゃんと勝つ姿を見せたいです。また夏帆先輩が本当に最後の試合になるので絶対に勝って終わらせたいなと思います。

佐野友香(スポ1=静岡・沼津西)

――きょうの試合を振り返って

きょうは先輩たちが代々1部でがんばってきたのに、2部に落としてしまったのですごく悔しい気持ちです。今回は先輩がケガで出ていなかったので、1年生2人がしっかり力をつけて、復帰した先輩とインカレ(全日本学生選手権)、関カレ(関東学生選手権)と上を目指していって、来年はこのリーグ戦(関東学生リーグ戦)では1部に戻したいなと思います。

――昨日と一昨日のリーグ戦から連戦となりましたが疲れなどはありましたか

やはり日にちを追うごとに、足とか動かなくなってきているのですが、個人的にはきょうが一番いい動きができたかなと思います。大会中にも動きを学んで、つなげられたかなと思います。

――このリーグ戦や入替戦が始まる前に、先輩から声をかけられましたか

はい。いろんな先輩から動画を見て一緒に研究してもらったり、それぞれに合わせてアドバイスをもらったりしていたので、やりやすかったです。

――チーム3人1年生が出ていたと思うのですが他の1年生の印象は

木村(結、社1=山口・柳井学園)はガンガン点を取ってきてくれるので、安心して次に回せます。齋藤(里羅子、スポ1=山形東)はこのリーグ戦で1試合しか出ていないのですけど、どんどん力もつけてきているので、先輩がいなくなった後でも3人で上を目指せるぐらいにはなっているかなと思います。

――今後も目標はありますか

1番近い目標は、インカレや関カレで結果を残すことなのですが、来年はリーグ戦で絶対1部に戻すというのが、きょうできた1番の目標です。