関東学生リーグ戦(リーグ戦)で女子エペ陣が躍動した。安定した試合運びと勢いで戦い続けたワセダは5戦全勝で昨年の優勝に続き見事2連覇を達成。この結果により全日本学生王座決定戦(王座)出場が決定し、6月の日本一を懸けた戦いに挑むこととなった。
貫禄の全勝優勝を飾ったワセダだが万全のメンバーで試合に臨めたわけではなかった。昨年の同種目の優勝メンバーである山村彩和子(教3=岡山・玉野光南)がケガで欠場。「不安があった」とエース山根司(スポ4=香川・三本松)は試合前の心境を振り返った。このピンチで、ワセダはルーキーの才藤歩夢(スポ1=埼玉栄)を投入し、まずはターニングポイントに置いていたという明大との初戦を迎えた。緊張感に加えて相手のうまさに序盤は苦戦を強いられたが徐々にペースを握り45―35で勝利を収める。明大戦で流れに乗ったワセダは続く日体大戦、専大戦を危なげなく大差で退け全勝で初日を折り返した。優勝を懸けて迎えた2日目。日女体大戦では1度もリードを許すことなく45―20の圧勝し、勢いをつけて迎えた最終戦へ。相手はここまで全勝の日大。勝ったチームが優勝という大一番、事実上の決勝戦となった。
優勝を決め喜ぶ山根
立ち上がりから一進一退の攻防となったこの一戦。18-17の1点差という接戦で迎えた最後回り、チームで円陣を組み精神統一をする。まず、ルーキーの才藤がピストに立った。「自分のできることを」(才藤)。その言葉通り相手を突き放す活躍で、見事山村の穴を埋める働きを見せた。次に出た伊藤由佳(スポ3=栃木・宇都宮中央女)は「歩夢の活躍で楽になった」と安定した戦いでリードを広げる。そして、締めは3年連続で最後回りを務めるエースの山根司(スポ4=香川・三本松)。集中力を欠き始めた日大から怒涛の連続ポイントをもぎ取る。最後は46-26と大きく相手を引き離し優勝。2年連続で歓喜の輪がつくられた。
日大戦で円陣を組む女子エペ陣
圧倒的な強さで優勝した今大会を山根司は「信頼感が深まった」と振り返った。他のメンバーが点を取ってくれるという信頼感。それは各選手の良い動きを生み出した。また、試合を楽しむというワセダの色も出せた。緊張感のある日大戦でも女子エペ陣の顔には常に笑顔が絶えなかった。次戦は関東王者として王座に挑むワセダ。昨年は惜しくも2位だった王座のリベンジを果たすには優勝しかない。互いの信頼感をもとにフェンシングを楽しむワセダカラーで悲願の日本一を勝ち取るつもりだ。
(記事 山田周史、写真 松本理沙)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽女子エペ
早大〔山根司(スポ4=香川・三本松)、伊藤由佳(スポ3=栃木・宇都宮中央女)、才藤歩夢(スポ1=埼玉栄)〕1部優勝
1試合目:○45‐35明大
2試合目:○45‐36日体大
3試合目:○45‐27専大
4試合目:○45‐20日女大
5試合目:○45‐26日大
コメント
山根司(スポ4=香川・三本松)
――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは
素直にうれしいです。
――ご自身にとって最後の大会であり、前回覇者として挑んだ今大会でしたが、どのような意気込みで臨みましたか
最後の大会とか、昨年優勝しているとか一切考えずに、彩和子(山村、教3=岡山・玉野光南)がケガで出られない分、自分たちは優勝メンバーじゃないと勝手に思い込ませて、できることを精いっぱいやるだけだなと思っていました。
――新しく1年生を起用したことで不安はありましたか
やり慣れているメンバーではないのでそこは慣れがないから確かに不安な点はあったのですが、歩夢(才藤、スポ1=埼玉栄)とは練習試合などもして結構信頼はあったので、メンバーに入っても大丈夫だと感じていました。
――最後回りも3年目ですが、やはりプレッシャーはありますか
正直最後回りの場面のときは何回やっても緊張するのですが、今回の試合ではそれまでに後輩たちが点差をつくってくれていたので、自分の中では思いっきりできましたね。また、みんながつくってくれた点数をいかに勝ちに持っていけるかというところを意識してやっていました。
――初日の3試合を振り返ると、着実に点を積み重ねて勝利をつかむという展開が多いように感じましたが
チーム的に誰かが試合を壊してしまうというのが少なくなったというか、ダメなら次に回せるという精神的な信頼がありました。去年もそういう信頼があったのですが、それがより強くなりましたね。
――今大会で特に意識していたチームはありますか
初戦の明大と最終戦の日大は意識していました。
――明大戦は立ち上がりが悪かったようですが
相手がうまかったというのもあると思うのですが、個人的に良い試合ができなくて。初めてのチームで試合をする緊張というのもあったと思います。
――しかし立て直し、最後は勝利を収めましたね
後輩たちが点をつくってくれて勝つことができたかなと思います。
――2日目の日大との最終戦は全勝同士での対決ということで実質優勝決定戦となりましたが、どのような気持ちで挑みましたか
相手もすごく強くて普通にやって勝てる相手ではないなと思っていました。ですが、王座(学生王座決定戦)に行くことはその時点で決定していたので、もう最後は楽しんでやろうということはみんなに言っていました。
――優勝というよりもまずは楽しもうということですか
そうですね。そうしたらおのずと結果もついてくるかなと思っていました。
――試合序盤に中断する場面もありましたが
1点が大事な場面だったので少しもめてしまったのですが、そこで自分たちが焦ったり流れを持っていかれたりすることがないように気をつけていました。
――山根司選手の2回り目は点数が動かず流れてしましましたが、それに関してはいかがですか
点を取るに越したことはないと思うのですが、そこで相手が勝負を仕掛けてこないところに無理に攻撃していっても逆にいけないと思っていました。まだその時点ではリードしていたのでそのリードを大切にしようと思ってやっていました。
――最終回りでは良い流れで試合を進めることができていましたが
最終回りに入る前に4人で円陣を組んでここまで来たら楽しむしかないから頑張ろうという声掛けをしました。流れが良くなったのは結果論かもしれませんが、みんながそれぞれやることをして自然に同じ方向に向けていたのかなと思います。
――山根司選手は最後回りで45点まで獲得することができましたが、その場面を振り返って
後輩たちが点差をつくってくれたので。5点差で自分の番になってそれをまくられる怖さはあったのですが、それ以上にやることをやるしかないというのと、相手が点を取りに来ているのでそこはしっかり自分の中で落ち着いて処理しようと意識していました。
――今大会を通して得たものは
試合をしていく中で信頼が深まったという点です。また、この先も厳しい戦いになるような試合はたくさんあると思うのですが、そういうときに楽しんでやることや焦ったりしないことが大切という理解がさらに深まった点が良かったと感じています。
――昨年2位と悔しい結果に終わった王座でしたが、ことしはどのような意気込みで挑みたいですか
去年は私が試合を壊してしまったので、ことしは今回リーグ戦でダメだったことを修正してより強くなったチームで挑みたいです。それでやるべきことをやれば結果はついてくると思うので、優勝を目指して頑張ります。
伊藤由佳(スポ4=栃木・宇都宮中央女)
――2連覇という結果でしたがお気持ちは
2連覇とかあまり考えていなかったのですが、初戦の明大戦で勝てて、それで良い流れに乗れたのが良かったなと思います。最後の日大戦は勝ててほっとしました。
――日大戦は序盤接戦で緊迫した戦いでしたね
試合前から点差がそんなに離れず一本一本を大事にしないと負ける展開になってしまうだろうとみんなで話していたので、一本でも食らいつこうというような気持ちでプレーしました。
――日大と戦う上で対策していたことはありますか
普段の練習から対策をしていたというよりか、きょうこの会場に来ていまできることを精いっぱいやろうと考えていました。基本的には足を使っていこうという意識でやっていました。
――日大戦は実質の決勝戦となりましたが振り返って
序盤は審判に関する中断もありましたが、その後でいらいらした気持ちを残すことなく、リセットして入ろうというように声を掛けてできたのは良かったなと感じます。
――最終回りの早大はとても勢いがありましたね
その回りを迎える前にみんなで円陣を組もうってなって。円陣をしたことで気を引き締めることができたというのはあると思います。勝っても負けてもこれで終わりだから全力を出し切ろうという感じでした。
――今大会個人としてはどのようなことを意識して挑みましたか
今までずっと早回りで出場していて、自分が点を取られなければ何とかなるというような立場でした。今回も場所としては2番目になったのですが、1年生の歩夢(才藤、スポ1=埼玉栄)がとても活躍してくれて自分がダメでも大丈夫という感じがあったので、その分点を取られても空気を悪くしないようにしようというところは意識していました。また、点を取ったらどんな点でもとりあえず声を出して盛り上げるということは常に気をつけていました。技に関しては、やろうやろうとしすぎると逆に相手にその隙を突かれて攻撃されてしまうことが多いという今までの反省を踏まえ、相手を見て動きの中でいけると思ったら思いっ切り突くというような単純なプレーを今回は徹底できたのが良いようにつなげられた要因でもあるのかなと感じます。
――今回、今までともに団体戦に出場していた山村彩和子(教3=岡山・玉野光南)選手がケガで欠場していましたが
初めて彩和子がケガしたと聞いたときは本当にびっくりしました。女子も人数が少ないし、リーグ戦(関東学生リーグ戦)に彩和子が出場できないのは不安になったのですが、それでも彩和子がベンチに入って色々アドバイスをしてくれたのはすごくありがたかったし、彩和子なしでは今回の優勝もなかったなと心から思います。彩和子は冷静に分析してくれるのでとても助かりました。
――全勝優勝した要因は
試合に出ている三人、ベンチにいる彩和子やかほまる(永瀬夏帆、スポ2=宮城学院)や津江先輩(碧主将、スポ3=山口・岩国工)も含めて、焦ってしまいそうな場面でもきちんと気持ちを切り替えられたことが一歩成長できた部分なのかなとすごく思います。また、いつもは点を取れる場面で取れなくても、他の二人が良いから大丈夫とあまり気にせず開き直ることができる部分もすごくありました。自分のプレーがダメでも後ろでアドバイスして少しでも貢献できるなら良かったのかなと思います。どんなときでも勝ちを見過ぎず、一本一本をみんなで見ることができたのが良かったですね。
――次は全日本学生王座決定戦(王座)となります。昨年は惜しくも2位に終わり、今回はそのリベンジとなりますが意気込みは
王座はやっぱり取りたいです。以前は僅差のとき取りたいという気持ちが強過ぎたのも敗因だったと思うので、どんな状況でも今回のようにしつこく一本一本を取るように粘れたらなと思います。
才藤歩夢(スポ1=埼玉栄)
——一年生として出場した今大会の意気込み
大学入って初めての試合で団体戦ということもあって先輩に迷惑をかけないように自分のいまできるプレーをしようと心掛けました。
——試合をやってみて思うようにプレーできましたか
自分の役割はできたと思います。
——印象に残っている試合は
やはり最後の日大戦です。厳しい戦いのなかで勝てたときはうれしかったです。
——日大戦の最終回りの場面、1点差で回ってきたときを振り返って
1点のリードを大切にして取れるところでは点を取って後の先輩に回したいと思っていました。点を取られないように戦うということを意識しました。
——今大会で見えた課題とこれから取り組むべきこと
ちょっとしたミスでの失点があったのでそれをなくしたいです。
——今後の目標
全日本学生王座決定戦(王座)でしっかり結果を残すことです。