小野が苦しい戦いを制し、3位に

フェンシング

 関東学生選手権(関カレ)も残すところ男子エペと女子サーブルのみとなった大会4日目。この日は個人戦が行われ、小野弘貴(社3=東京・早稲田)が昨年の4位から1つ順位を上げ3位に、女子では安冨結(スポ4=香川・三本松)が昨年の1回戦敗退から大きく躍進し、4位に輝いた。

 男子エペは、津江碧(スポ3=山口・岩国工)が初戦から4回戦までしっかりと自分のペースで試合を作り、全試合15―12というスコアでベスト8に進む。前回大会ベスト4の小野は、3回戦、最終セットで3連続ポイントを起点に逆転、最後は3連続相打ちになり、15―14で勝利。4回戦は1点リードしながらも追いつかれ一本勝負に持ち込まれるが、しっかりと試合を制した。そして迎えた準々決勝、2人の明暗が分かれる。津江はまったく歯が立たず、あっという間にリードを広げられ、6―15で完敗。一方の小野は、シーソーゲームになった。4回戦同様、1点差で先に14点目を獲得するも、すぐに追いつかれる。この日二度目の一本勝負。緊迫した空気の中で、ランプは赤と緑、同時に光り仕切り直しに。だが、手に汗握る展開でも小野は冷静だった。相手の隙を的確に突き、光ったのは、緑のランプ。2年連続、準決勝の切符を手にした。準決勝の相手は、法大の吉沢有紀。しっかりと対策を練って挑んだが、じわじわと点差が広く。最後まで流れをつかめず、9―15でまたも決勝への道を阻まれた。しかし、ここからがことしの小野は違った。3位決定戦では強豪日大の北村直之を圧倒、相打ちを含む8点を連取し、1セット目を折り返すと、その貯金を生かして、2セット目も13―9とリードを保つ。最終セットでは14―13まで詰められるが、最後は相手の攻撃にうまく反応し、相打ちに。実に6試合中4試合で15―14という苦しい戦いを経て、見事3位の座を射止めた。

3位決定戦で勝利し笑顔を見せる小野

 女子サーブルでは、4年生の3人が3回戦までコマを進めるが、ベスト8に残ったのは安冨だけだった。この日の安冨は絶好調。危なげない展開で準々決勝も突破する。だが準決勝では、それまでの安冨の姿は見られない。なかなか連続ポイントが取れず、相手ペースで試合は進み、8―15で3位決定戦に回った。「自分自身に負けてしまった」(安冨)。疲れが出て、集中力を欠いた安冨は3位決定戦でも調子を取り戻せない。準決勝と同じく相手に押され気味でリードを許す。5―8でセットを折り返し、その後も徐々に点差は開き、12―15で敗北を喫した。だが、4年目にして初の入賞。全日本学生選手権(インカレ)に向け、大きな弾みとなった。

4位入賞と健闘した安冨

 今回、うれしい結果を上げた者もいるが、大半の選手は涙をのんだ。特に4年生の顔には悔しさがにじんでいた。だが、関カレはあくまで通過点。本当の勝負は2週間後、京都で行われるインカレである。全員が今回の結果を上回れるよう、4年生は有終の美を飾れるよう、短い練習期間をどう過ごすかが勝負のカギだ。

(記事 川嶋悠里、写真 松本理沙)

結果

▽男子エペ(個人)

小野弘貴(社3=東京・早稲田) 3位

2回戦:○15-11 江口大輔(日体大)

3回戦:○15-14 坂野守洸(明大)

4回戦:○15-14 藤倉陸(法大)

準々決勝:○15-14 武田仁(慶大)

準決勝:●9-15 吉沢有紀(法大)

3位決定戦:○15-14 北村直之(日大)

津江碧(スポ3=山口・岩国工) ベスト8

2回戦:○15-12 諸田拓也(中大)

3回戦:○15-12 島田航也(防衛大)

4回戦:○15-12 東哲平(法大)

準々決勝:●6-15 山田優(日大)

西森健太(教4=香川・三本松) 2回戦敗退

2回戦:●4-7 佐藤好寛(日大)

工藤功輝(社1=東京・早大学院) 2回戦敗退

1回戦:○15-6 結城良太(東北学院大)

2回戦:●11-15 石井洋也(慶大)

▽女子サーブル(個人)

安冨結(スポ4=香川・三本松)4位

2回戦:○15-4 谷麻也夏(慶大)

3回戦:○15-13 木村毬乃(法大)

準々決勝:○15-10 小栗千紗絵(日大)

準決勝:●8-15 滝澤麻未(専大)

 

3位決定戦:●12-15 栗本ひかる(法大)

神田真希子(スポ4=千葉・東葛飾) ベスト16

2回戦:○15-5 高木杏菜(日体大)

3回戦:●14-15 今野優真(東女体大)

舟山佳穂(教4=山形・米沢興譲館) ベスト16

2回戦:○15-8 尾上千尋(早大)

3回戦:●9-15 栗本ひかる(法大)

尾上千尋(創理3=東京・田園調布雙葉) 2回戦敗退

1回戦:○15-4 篠原亜美(日女体大)

2回戦:●8-15 舟山佳穂(早大)

永瀬夏帆(スポ2=宮城学院) 1回戦敗退

1回戦:●7-15 三宅杏奈(日体大)

コメント

小野弘貴(社3=東京・早稲田)

――今大会を振り返って

個人は結構良い状態で試合ができたのですが、団体は準決勝の日大戦で勝ち切れなかったのが悔しいです。

――個人の3位という結果について

素直にうれしいです。

――3回戦の戦いは逆転勝利となりましたね

坂野(守洸、明大)は一番試合の展開的に苦しい展開で本当にやりづらい相手だったのですが勝てて良かったです。

――敗戦した準決勝を振り返って

吉沢先輩(有紀、法大)は強い選手と分かっていて、対策なども考えていたのですがその上を行くフェンシングをされてしまいました。

――その対策とは

具体的に言うと、背もあまり高くなく、まっすぐくるというか捕らえてくる感じなので相手の剣を触らせないとか、距離をなるべくとって相手が大きく出てきたところを合わせるということを考えていました。ですが、遠目からアタックに入ってきたりされて、まだ技術的に足りない部分があるなと痛感しました。

――3位決定戦では一本勝負で勝利しましたが

序盤は大差でリードしていて試合の後半に相手のエンジンがかかってきました。正直地力は北村先輩(直之、日大)の方があるかなという感じだったのですが、何とか最初のリードを守りきることができたので、結果的には良い試合でしたし、今後につながる自信のついた試合でした。

――今回は6試合中4試合で15-14というスコアでした

15-14という試合だと最後の最後が苦しいのですが、ベンチの応援というのが本当に力になるので応援してくださったみなさんに感謝したいです。

――団体戦を振り返って

団体戦は個人戦と違って、こちらが勝っていてもシングルランプで点を取りに行かなければいけないというのが、まだ自分には足りない部分かなと思っています。結果的には負けてしまったのですが、日大戦はそれを意識せずに、内容的には結構競れた試合だったなと思います。ですが、その前の明大戦では相手も堅くて攻めあぐねる部分があったのでインカレ(全日本学生選手権)では自分でシングルポイントを取りに行けるフェンシングをするために、この何週間かでやり直していきたいなと思います。

――インカレに向けての意気込みは

個人はベスト4に入りたいです。団体は西森先輩(健太、教4=香川・三本松)も最後ですし、優勝できないメンバーではないと思うので、優勝します。

安冨結(スポ4=香川・三本松)

――この2日間を振り返っていかがですか

個人戦では、自分はあまり学生の大会で入賞したことが無かったので久しぶりにいいところまでいったかなという感じです。でも決勝まで行けた試合だったと思うので途中で集中力が切れてしまったり、疲れてしまったりした部分は少しもったいなかったかなと思います。ですが、いつもよりはいいかなという感じでした。団体戦の初戦は割とみんなでイメージした通りの試合ができて、相手と競ることができました。しかし、その後も惜しい点差で負けてしまったところがあったので、そこはインカレ(全日本学生選手権)に向けての課題かなと思いました。

――個人戦の目標は何でしたか

もちろん出るからには優勝を目指していたのですが、自分自身に負けてしまったなという感じです。相手というより自分の悪いところが出てしまいました。そこは次のインカレで優勝が目指せるように頑張っていきたいと思います。

――ご自身の悪いところとは

表現するのが難しいのですが、粘り負けしてしまうことが多くて。試合中にふっと気持ちが途切れてしまうことがあって、そこできちんと気持ちを強く持って最後の一本を取るまで集中できるようにしていきたいなと思いました。

――個人の4位の結果には満足していませんか

そうですね。全然満足していません。きょねんの関カレ(関東学生選手権)の結果はインカレに行けないほど悪くて。棄権した選手がいたので繰り上げでインカレに出場することができたのですが、きょねんは全然ダメでした。それと比べたらことしの方が良い結果なのですが、色々失敗しました。

――団体戦も4位という結果でしたが

初戦の東女体大はリーグ戦(関東学生リーグ戦)で負けた相手だったのですが、年下の選手たちで団体を組んでいて勢いがありました。リーグ戦のときはその勢いに押されて負けてしまったので、そこは何が何でも初戦で絶対勝とうというような感じで行きました。初戦勝ったことによって、試合数を多くこなすことができたので、そこは良かったです。結果としては満足していなくて、もう少し上に行けたかなという感じです。

――団体に挑む上でチームで意識していたことはありますか

きょねん先輩たちがいたときにリーグ戦優勝していて、自分たちはこのメンバーで挑むのが今季初めてなのでまだ分からないことがたくさんあります。それを試合の中で学んでいる途中なのですが、気を付けていることとしては相手が誰でも、例えば、実力的に見て相手より自分が勝っているなというときでも、楽せず手堅く一本一本取っていこうというところです。

――3位決定戦を振り返っていかがですか

みんな良いところもあったし、悪いところもありました。1試合で1人3戦するのですが、それぞれ3戦の中でプラスで取ったところもあったし、マイナスで取られることもあって波が出てしまいました。総合的にはそれで相手に押されてしまったかなというのが大きいです。前に出て何か仕掛けないと何も起こらないので、少し相手に対し受け身になり過ぎたかなという感じです。個人的にも色々波があったのですが、点を取られているときはそういうのが出てしまったかなと思います。

――課題は受け身にならないということですか

そうですね。やはりもっと前に行って点を取れる力を身に付けたいです。詰めて詰めて最後の斬るところで大きくなってしまい、相手に先に突かれてしまう。そこはちょっとしたところなのですがインカレまでに修正したいと思っています。

――インカレの意気込みは

インカレが自分にとって最後の学生の大会なります。せっかく同期にサーブル陣が3人もいていい状態で組めているので、しっかり最後優勝を目指して頑張りたいです。

※西森選手と舟山選手のコメントは団体の記事に掲載しています。