男子は2種目とも優勝を逃す

フェンシング

 ことしの学生王座決定戦(王座)には男子からフルーレとエペが出場した。関東学生リーグ戦(リーグ戦)と2冠、そして2連覇が懸かったフルーレだったが、日大との一本勝負を落とし3位に。エペはワセダの中で唯一決勝に進んだが、リーグ戦の王者・日大にまったく歯が立たず2位に甘んじた。

 リーグ戦で躍進した男子エペ。初戦は全日本学生選手権(インカレ)で一本勝負の末敗れた立命館大が相手だった。第7セットまで互いに一歩も譲らない状態が続いたが、第8セットで鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)が主導権を握る。最後は津江碧(スポ2=山口・岩国工)がしっかりと締めた。続く2回戦では関西王者の愛工大と剣を交えることに。第4セット、西森健太(教3=香川・三本松)が7点連取し、ワセダのペースに持ち込む。そこからは順調に点を重ね決勝へと駒を進めた。優勝を争ったのは関東王者の日大。ワセダは序盤から日大の雰囲気に押され気味だった。西森が8連続ポイントを許すと、そのままずるずると点差は広がる。結局25-45と完敗。関東王者との実力の差を実感する結果となった。

1、2回戦と決勝では明暗が分かれた西森

 男子フルーレは2回戦にリーグ戦で唯一敗戦を喫した日大と当たった。北川隆之介主将(スポ4=埼玉栄)がリードを奪い、続く鬼澤が5連続ポイントで突き放す。ワセダに流れが傾きかけた第3セット。谷口裕明(スポ3=香川・三本松)が1点も取ることができず逆転を許すと、その差は徐々に開いていった。だが、第8セットで北川主将が1点差まで詰めることに成功。最後に鬼澤が追いつき一本勝負へもつれ込んだ。果敢に攻め込んだ鬼澤だったが、あと一歩相手には及ばず。3位決定戦に回ることになった。すぐに行われた3位決定戦では落ち着いた試合運びで朝日大に快勝する。関東勢が独占した表彰台。ワセダは関東王者という称号を背負いながらも決勝の舞台に立つことはできなかった。

リーグ戦から調子を取り戻した北川主将

 フルーレとエペ、両種目に出場した鬼澤は「悔しいです」と何度も口にした。多種目優勝の可能性もあったワセダだったが、関東を制した男子フルーレと女子サーブルは初戦で敗れ、唯一決勝に残った男子エペも優勝を逃し、ふがいない結果に終わった。男子陣にとっては鬼門である日大をどう崩すかがこれからのカギを握る。ここで踏みとどまっている暇はない。秋に行われる関東学生選手権や全日本学生選手権では今度こそ頂点へ。『チームワセダ』の挑戦は続く。

(記事 川嶋悠里、写真 川嶋悠里、松下優)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

結果

▽男子エペ

早大〔鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)、西森健太(教3=香川・三本松)、小野弘貴(社2=東京・早稲田)、津江碧(スポ2=山口・岩国工)〕

2位

1回戦 ○45-38立命館大

2回戦 ○45-32愛工大

決勝 ●25-45日大

▽男子フルーレ

早大〔鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)、北川隆之介(スポ4=埼玉栄)、谷口裕明(スポ3=香川・三本松)、仙葉恭輔(スポ2=秋田南)〕

3位

2回戦 ●41-42日大(一本勝負)

3位決定戦 ○45-31朝日大

コメント

鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)

――足はケガされていたのですか

爪が剥がれていたんですよ。めちゃくちゃ痛くて。アドレナリン出ろ!と思ってやっていました。

――今大会を振り返っていかがですか

悔しいですね。やはりどんな相手でもその時その時で1番にならないと勝負は楽しくないなと思いました。

――それでは、フルーレの感想をお願いします

自分たちがちょっと取りきれなかったというのがありますね。最後も一本勝負を落としてしまいましたし…。勝負なのでどうなるのかわからないですけど、そこでやはり一本取れるかということがいかに勝ちにつながるというか、それを取れるチームが勝てるチームだと思うので、ちょっとビビってしまった自分が悔しいなと思います。

――初戦で敗れた日大はリーグ戦でも負けた相手でした

どっちが勝つかわからない勝負になるとは思っていましたが、負けてしまいましたね。悔しいですね、とりあえず。チームとしてはどこにも負けていないと思うんですけど、向こうの方が無理がなかったというか、向こうの強いところでこっちが勝負を懸けてしまったかなというのはあります。もっと自分たちの回りとか自分たちのペースに持っていければ、勝てたと思います。ちょっと相手のペースになってしまったかなと思います。

――試合中に長い中断がありましたが、その影響はありましたか

何があっても試合は試合なので、いつも全部受け止めるつもりでやっています。それのせいでどうこうというつもりは全然ありませんが、悔しいですね…。

――フルーレの秋への課題は

リーグ戦は優勝したので団体は優勝して、ことしはインカレも優勝して最後の学生生活を彩りたいですよね(笑)。でも、そのためにはこれからやることもいっぱいあると思うので、全部一つずつやってチームとして底上げができるように、強くなれればなと思います。

――では、エペを振り返っていかがですか

決勝までは自分たちのペースで戦えたかなと思います。でも、決勝は離されてしまいましたね。日大は強かったんですけど、強い強い言っていても始まらないし、勝てない相手ではないので、どう切り崩していくかですよね。それが課題だと思います。

――リーグ戦で戦ったときは接戦でしたが、今回は離されてしまいました。その違いは

向こうもチームとして経験を積んでいるということもありますし、逆に自分たちはこの前もうちょっとだったから変に勝ちを意識してしまったのかもしれないですね。

――エペについて秋に向けて

正直2位になれたのはすごくうれしいんですけど、2位って負けて終わりじゃないですか。そこが許せないんですよね…。つまり優勝しなければ駄目だということですね。

津江碧(スポ2=山口・岩国工)

――準優勝という結果についてどのようにお考えですか

やはり優勝したかったですね。

――リーグ戦同様、日大に負けてしまいました

日大に先週リーグで負けていてそのときは接戦だったので、今回は何がなんでも勝ちたいなという気持ちがあったんですけど、最初から突き離されてしまいました。正直どこかで心が折れていたかもしれませんが、最後まで諦めないで試合をすることができました。

――その前の2試合についてはいかがでしたか

1回戦の立命館はきょねんのインカレで1本勝負で負けていて、3月の早立戦という定期戦でも負けて2連敗していたので、正直どうかなというところだったんですけど、しっかり勝つことができたので良かったです。2回戦は関西1位の愛工大で侮れない相手だと思っていたので、勝つことができて良かったです。

――1回戦は途中まで差がない状態でしたが、どのような心境で戦っていましたか

8セット目まで競っていた試合で、最後自分に回ってくるところで絶対勝たなければと思っていたんですけど、その前に大真先輩(鬼澤大真、社4=茨城・常磐大高)がしっかり点差を付けて自分に回してくれたので、ホッとした気持ちで最後締めることができました。

――それでは、今回見つかった課題はありますか

準優勝という結果でしたが、課題としてはやはりどうしたら優勝できるか、どうやったら日大に勝てるかということを改めて感じたので、そこを調整してインカレ(全日本学生選手権)に臨みたいと思います。

――最後に秋に向けて意気込みをお願いします

日大に勝てるように、優勝目指して頑張りたいと思います。