男子エペ、女子サーブル振るわず王座出場を逃す

フェンシング

 2週間に渡り行われてきた関東学生リーグ戦(リーグ戦)もとうとう最終種目となった。昨年、準優勝を果たした男子エペは新チームとなり力を発揮できず4位。女子サーブルは1日目、接戦で勝ち切ることができない。2日目も主軸の舟山佳穂(教4=山形・米沢興譲館)の欠場により、あえなく5位に沈んだ。学生王座決定戦(王座)の出場権をかけ戦った早大は女子エペだけがその権利を獲得。新体制での門出は厳しいものとなった。

 前回大会、日大に敗れ準優勝だった男子エペ。王座進出をかけ、今回は打倒日大を銘打って挑んだ。しかし、その初戦となる専大相手に34-45で敗戦を喫し、出ばなをくじかれる。2戦目の明大には45-37で勝利するも、王座に向けて一戦も落とせない状況に。迎えた2日目、42-32で日体大から白星をあげると、法大との戦いではじっくり試合を進める。差を詰められながらも37-36で1点リードし、最後周りの津江碧(スポ3=山口・岩国工)につないだが、ここで9失点を喫し、38-45の逆転負け。宿敵・日大との最終戦では26-45とし、新しい布陣での戸惑いが表れた4位という順位に終わった。

試合直後の津江とねぎらう西森(左)

 女子サーブルは神田真希子(スポ4=千葉・東葛飾)、舟山、安冨結(スポ4=香川・三本松)と4年生で構成される新チームだ。その第2戦の専大戦。スタートで大きくリードを許すが、後半神田と安冨が2人で19ポイントを稼ぎ、37-40まで迫る。最後の舟山の4連続得点で同点に追いつくも、あと一歩足らず43-45で試合終了。「エンジンがかかるのが遅かった」(安富)と悔しさをにじませた。また2日目は教育実習のため不在の舟山の代わりに、フルーレ専門の尾上千尋(創理3=東京・田園調布雙葉)と永瀬夏帆(スポ2=宮城学院)がメンバー入りして挑んだ。やはり主軸がいない穴は大きく、法大に37-45、日大に35-45で敗北し、最終的に5位。4年生にとってラストとなるリーグ戦が幕を閉じた。

プレーと声掛けでチームを盛り上げた安冨

 王座出場1チーム――。この結果には早大を技術的にも精神的にも引っ張ってきていた卒業生が抜けたことが大きな影響を及ぼしているだろう。しかし、今回が新体制となって初めての公式戦。何事も最初は手探りで始まる。「ことしのリーグ戦で見えてきたものがある」(西森)と語るように、今大会を成長のステップとして、本当の勝負となる秋の関東学生選手権、そして全日本学生選手権へ。騎士たちはまだ出陣したばかりだ。頂点に向けて突き進む。

(記事 松本理沙、写真 副島美沙子、川嶋悠里)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽男子エペ

早大〔西森健太(教4=香川・三本松)、小野弘貴(社3=東京・早稲田)、津江碧(スポ3=山口・岩国工)、仙葉恭輔(スポ3=秋田南)〕 4位
 1試合目 ●34-45 専大
 2試合目 ○45-37 明大
 3試合目 ○42-32 日体大
 4試合目 ●38-45 法大
 5試合目 ●26-45 日大

▽女子サーブル

早大〔神田真希子(スポ4=千葉・東葛飾)、安冨結(スポ4=香川・三本松)、1・2試合目 舟山佳穂(教4=山形・米沢興譲館)、1・3・4・5試合目 尾上千尋(創理3=東京・田園調布雙葉)、2・4・5試合目 永瀬夏帆(スポ2=宮城学院)〕 5位
 1試合目 ●37-45 東女体大
 2試合目 ●43-45 専大
 3試合目 ○45-28 日女体大
 4試合目 ●37-45 法大
 5試合目 ●35-45 日大

コメント

西森健太(教3=香川・三本松)

――2日間を終えて、感想を聞かせてください

思った以上に3人ともつらかったのではないかと思います。

――それはどういう意味でつらかったのでしょうか

昨年の4年生が抜けて、新チームになって、皆それなりに役割が変わったからかなと思います。

――まだいまの役割に対応しきれていない

そうですね。でも、それ以上に甘いところが目立ちましたね。それはたぶん3人とも何かこのリーグ戦で見つけていると思うので、これからの練習で改善していきたいですね。

――今回の大会の目標はどのようなものだったのでしょうか

やはり王座出場というところだったので、最初の専大戦ときょうの法大戦は勝ちたかったですね。

――昨年から残っているメンバーでの戦いの中で、(昨年の)4年生が抜けた穴というのはどのようにチームに影響を与えたのでしょうか

鬼澤先輩(大真=社26卒)がいたときにあって、いまのチームにないものというのは、得点の安定性だと思うんですよ。今回、前半にリードを大きく許してしまっていて。そこから取りに行ける攻撃力がまだないのが弱点なのに、前半粘り切れないところが少しありました。鬼澤先輩だと、最初に出ても、絶対トータルでプラス1点だったり、得点を相手と同じところまで持っていったりしてそこからはもう勝負をしない、あとは任せたよという風にやってくれるので、僕だったらつないで碧(津江、スポ3=山口・岩国工)に回せば、碧も最後勝負ができる。無理にいったりしなくていいという風になると思うのですが、それを皆が、点が負けているからここでやらなきゃというのを出し過ぎてしまうとダメだなと感じました。勇気を持って、例えば、ここはマイナス2点までは挑戦するけど、それ以上はダメとかルールを決めて最後はやったので、法大戦とかは悪くはなかったとは思うんですよね。1点差でもリードして回せば勝ち目はあるからとやって、その通りに1点差ですができたので。

――では、これから1年間このチームでやっていくわけですが、具体的な修正点やどのようなチームにしたいといったチーム像などはありますか

結構他の大学に研究されているなと思いました。僕らが取っている技も取られている技も一緒なんですよね(笑)。そこを逆に出し抜いてやれるくらい、秋の大会まで時間があるので、3人それぞれがもう一工夫できる技だったり、戦い方だったりを身に付けなければいけないなと。団体のやり方としては、ことしのリーグ戦で見えてきたものがあるので、それを定着させて、いま決まりきっていないかたちをもっと具体的にまとめて試合ができるようにすることですね。個々の力は低くないので、やれると思います。

――秋の関カレに向けて

団体戦は今回リーグ戦で負けた相手に勝って優勝したいです。やはりそこが大事なのではないかなと。当たりもたぶんきついと思うので、今回負けたチームに当たっていくと思うのですが、そこを克服して試合ができればインカレも見えてくると思うので。関カレは一つの山だと思って。インカレに出ることを目標にするのではなくて、関カレでどれだけ自分たちが成長したのかを見るものにしたいなと思います。

津江碧(スポ3=山口・岩国工)

――今大会を振り返っていかがでしたか

正直な話、良くもなく悪くもなくというか。自分たちが求めていた結果ではなかったのですが、きちんと押さえるところは押さえることができたのではないかなという感じですね。

――求めていた結果とは

きょねんがリーグ戦2位だったので、打倒日大を目指していたのですが、出ばなの専大戦からくじかれて、正直きついかなというところもありました。それで結局2日目も法大に負けて、その時点でもう多分王座に行けないなというのが決まって、結構心が折れたのですが、最後の日大戦は思い切ってやろうと思いました。

――最後回りとしてのプレッシャーはありましたか

そうですね。最後回りも1年生のころからやらせてもらっていて、3年目になって学年が上がるごとにプレッシャーもどんどん上がってきました。下級生のときの1年生、2年生のときはまだ楽にやれていたのではないかなと思うのですが。でも自分が任されたところなので、プレッシャーの中でも、そこをしっかりできなかったというのは悔しいです。

――2日目の法大戦でも最後に逆転と悔しい場面がありました

そうなんですよね。そこなんですよ。法政戦で先輩たちみんながつないでくれて、最後プラス1でまだ勝っているところで自分の番になって。そこで締められないことには、最後自分が勝たないことにはチームも勝たないので、そこのところが甘かったなという感じです。また、相手もお互い手の内を知っている先輩で攻略されていたかなって。ちょっと終わったと思いました。

――法大戦ではメンバーの順番も変更されていましたが、どのような意図で変更したのですか

法政戦は先回りのところでリードをつなげて最後に回せたらなという感じでそういう流れにしました。それこそ本当に6回り目まではいい流れで持っていけたと思うのですが、みんなの最後回りの7セット目くらいからはマイナス1とかが続いて、そこで少し嫌な雰囲気ができてしまったなというのが正直な感想です。

――今回、チーム全体としての課題などは見つかりましたか

もっとみんな一人一人が攻められるようなプレーができればもっと結果も変わってきたのではないかなと思います。でもそこがやはり難しいことで。これからの練習ではそこをメインに改善できたらなというところです。

――そのために具体的にはどのような取り組みをするつもりですか

そういうところでの勝負強さとかは練習しないことには本番ではできないと思うので、そこをしっかり練習を積んでいきたいと思います。

――今後の目標は

ことしは王座に行けないので、次ある大会は関カレですね。きょねん、関カレも2位で、トーナメントになるので、一つ一つ団体で勝って優勝を目指したいと思います。

安冨結(スポ4=香川・三本松)

――今大会を振り返っていかがですか

自分たちの団体のメンバーは3人とも4年生というチームでした。きのう出た舟山(佳穂、教4=山形・米沢興譲館)は前から一応試合に出ていたのですが、いままでずっと先輩たちが出ていて、4年生なのに新チームということでした。初めて挑む団体の公式戦で、きのうはあまり雰囲気がつかめなくて、自分たちの力が出し切れずに、ちょっといまいちだったなと思っていました。ですが、きょうは相手も強くなったり、永瀬(夏帆、スポ2=宮城学院)や尾上(千尋、創理3=東京・田園調布雙葉)に出てもらわなければいけない部分もあったりして、そういう部分を割り切ってがっつりできたので、きょうの方が内容は良かったかなと思います。課題は残りましたが、色々収穫があったので全体的には良かったかなと思います。

――今大会の目標は何でしたか

一応出る大会は全部優勝したいなと思っていたのですが、全然だめでした。

――安富選手にとって最後の関東学生リーグ戦となりました

あっという間に終わってしまったというのが正直な感想です。まだ秋もあるのでそっちの方も頑張っていきたいと思います。

――1日目は勝てそうなところで勝ちきれない試合が多かったと思うのですが、いかがでしたか

そうですね。試合の入り方で、前半の時点で点差が開いてしまってエンジンがかかるのが遅かったなという感じです。最後の3人で点は取れたけど、時すでに遅し的な感じだったので、きょうはそこを修正してできたと思います。

――2日目はなぜ舟山選手が不在だったのですか

彼女は一応教員を目指していて、地元の山形での教育実習がなぜか金曜日からという日程だったんです。前から実習先に大会ということを伝えていたみたいなのですが、試合とかそういう理由では変更できないらしくて。そのことは以前から聞いていたので、結構割り切ってできました。

――舟山選手がいない中で試合をしてみていかがでしたか

点を取られることは分かっていたので、その分こっちが点を取ったらとても盛り上げようと思っていました。思ったより点が取れたし、彼女がいない中では全体的にいい試合ができたのではないかなと思いますが、勝ちたかったです。

――これから関東学生選手権まで大きく期間が開きますが、その間どのような取り組みをするつもりですか

自分たちの欠点が新しいチームということで、実戦で経験を積むことが必要だと感じます。やっぱり優勝したチームや2位のチームなどは下級生のころから試合に出たり、そういう慣れているところだったり経験の差があると思います。個人戦と団体戦って結構試合の運び方とか違うので、いまの自分たちに必要なのはその経験を積むことだと思っています。これから長い間、試合は無いのですが、他の大学に練習に行ってチーム力を高めていけたら、秋につながるのではないかと思います。