女子エペ全勝優勝!明暗分かれ男子は6位

フェンシング

 明暗が分かれた――。今回は男子サーブルと女子エペの試合が行われた関東学生リーグ戦(リーグ戦)。ワセダは共に1部に所属するが、女子エペは見事全勝で優勝を果たし、全日本学生王座決定戦(王座)への切符を手に入れた。一方で、男子サーブルは全敗で最下位。後日行われる入替戦へと回ることになった。まさに『明』と『暗』。両者の運命が大きく分かれた2日間だった。

 全ての試合で勝利をつかんだ女子エペ陣。その戦いぶりを象徴するのが第2戦の日体大戦だ。この試合、序盤は先制されるワセダだったが、簡単には点差を広げられることはない。1点ビハインドで5番手の山根司(スポ3=香川・三本松)に回ると、一挙に8得点で25-21とし逆転。続く山村彩和子(教2=岡山・玉野光南)と伊藤由佳(スポ2=栃木・宇都宮中央女)も相手の流れにのまれることなく、着実に点を稼ぎ、45-39で白星を挙げた。「勝てそうなところでも一本一本我慢して我慢して試合をしていく」(山村)というように、常に安定した試合運びをすることができた。これは昨年から積み上げてきた信頼という名のチーム力の賜物だ。主軸として優勝の座を射止めた山根は「まだ信じられません」と笑みをこぼした。

優勝が決まり歓喜に沸くワセダ

 男子サーブルは佐々木勇歩(スポ3=静岡・沼津東)、甘粕貴大(社3=神奈川・サレジオ学院)が留学から戻り、チームの顔ぶれが一新。近年続いていた下位争いからの脱却を望まれたが、待ち受けていた現実は厳しかった。初戦、日大に26-45で負けると、次の専大戦も28-45で敗戦。1日目を勝ち星ナシで折り返す。2日目、流れを変えたいワセダだったが、中大戦を39-45で競り負けると、法大にはまったく歯が立たずに19-45。最後は昨年1部残留をかけ戦ったときと同じ明大に挑む。佐々木が第1セット、5点連取で流れを作るも、後が続かず32-45で敗北を喫した。全敗に終わったワセダは2部との入替戦に回ることに。「らいねんこそ優勝を狙う」(佐々木)ためにも、2部降格は何としても避けたい。

失点を許し、悔しさをにじませる甘粕

 次戦は王座と入替戦。手にした結果は大きく異なったが、次に目指すことは同じ、ただ一つ一つ勝利を積み重ねることだけ。そのために今大会での課題を踏まえ、短期間でできる限り能力を上げていきたいところだ。優勝の喜びと敗戦の悔しさを糧にしてさらなる成長を遂げる。

(記事 松本理沙、川嶋悠里、写真 松本理沙)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽女子エペ

早大〔山根司(スポ3=香川・三本松)、伊藤由佳(スポ2=栃木・宇都宮中央女)、山村彩和子(教2=岡山・玉野光南)、千葉絢音(スポ1=大阪・北野)〕 優勝

 

1試合目:○45-33 日女体大

 

2試合目:○45-39 日体大

 

3試合目:○45-33 専大

 

4試合目:○45-40 日大

 

5試合目:○45-30 東女体大

▽男子サーブル

早大〔甘粕貴大(社3=神奈川・サレジオ学院)、佐々木勇歩(スポ3=静岡・沼津東)、山本隼大(スポ2=香川・三本松)、竹下昇輝(スポ1=静岡・袋井)〕 6位

 

1試合目:●26-45 日大

 

2試合目:●28-45 専大

 

3試合目:●39-45 中大

 

4試合目:●19-45 法大

 

5試合目:●32-45 明大

コメント

山根司(スポ3=香川・三本松)

――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちをお聞かせください

とてもうれしいです!まだ優勝したことが信じられないです。

――今大会の目標はありましたか

王座出場でした。その王座では決勝に行くという目標です。

――負けなしの全勝ということでしたが、振り返ってみていかがでしたか

全体を通してどんな試合も焦らず、楽しんでできたかなと思います。

――焦らなかったというのはなぜですか

はっきりとは分からないのですが、自分が思うのはやはりチームのみんなを本当に信じていたなということです。いままではこの相手の選手苦手だなというときに、どうしようと思っていたのですが、今回はそのような選手が相手でも、次があるから大丈夫と思える感じでした。仲間を本当に信じて良い意味で任せられる感じだったのかなと思います。

――その信頼は昨年からの練習などで培われたものですか

そうですね。あと、思ったことをその場で言ったりします。自分がただ我慢できないというのもあるのですが、こういう時にこう思っているんだよねということを割と言っています。後輩とかもそれをきちんと聞いてくれて、そこから自分はこう思いますというのを言ってくれていたので、そこが話しやすかったかなと思います。

――優勝という結果でしたが、強くなった要因はありますか

強くなったというのはあまり思わないのですが、試合を通して自分の同期の津江(碧、スポ3=山口・岩国工)が後ろに入ってくれていることが自分にとっては結構大きかったなと思います。ゲームメイクをしてくれて、津江の言うとおりにしていれば大丈夫かなというところが安心できました。

――津江選手がベンチに入ったのは山根司選手が頼んだのですか

はい、頼みました(笑)。

――次の大会は全日本学生王座決定戦ということになりますが、意気込みはありますか

全体を通して、気持ちの面で仲間を信じるなどは良かったと思うのですが、やっぱりまだ試合の中での課題や細かいことが詰められるかなと思います。なので、そこは技術的にも向上させて、声掛けとかもやっていければいいかなと思います。

山村彩和子(教2=岡山・玉野光南)

――優勝という結果でしたが、お気持ちはいかがですか

率直にうれしいです。本当にチームで勝ったという感じでした。いままでは誰かがとりあえず流れをつくるというのがどの試合でも1回はあって、それでも残りのところで取りにいったり何かをして崩れたりしていました。ですが、今回はそれが無く、どこも我慢して我慢して我慢して、プラスのところをしっかり守って守ってという感じで最後につなげることができました。それは本当にチーム力だなと思います。

――今回はどのような意気込みで大会に挑みましたか

絶対に優勝したいなという思いもあったのですが、それを試合で空回りさせて出すのではなく、まず目の前の一本を取って楽しんでプレーしようと思いました。例えば、勝てそうなところでも一本一本我慢して我慢して試合をしていくという感じですね。

――どのようにしてチーム力を築いたのですか

いままでの試合を踏まえて、こういうところでどういう掛け声をするかとかを考えることができました。例えば、誰かが悪かったときにいままでは雰囲気が悪くなったり、なぜ悪くなったのかというのを変えられる言葉掛けがなかったりしました。ですが、今回はどこででも無理をしないというのを決めて入っていたので、もし誰かが取られても声掛けも明るかったし、そういうところでチームも常に盛り上がっていました。だからそういうところの声掛けとかでもチーム力は上がったのかなと思います。

――今回優勝したことで全日本学生王座決定戦の出場を決めましたが、そこに向けての意気込みはありますか

今回は、どこかではまっても点を取れたからそこを守れました。しかし、王座になるとまた違う相手とやることになります。だから、あと少ししか期間がないですが、我慢だけだと取れないこともあるので、負けている場面でどうやって取りにいくのかというのを考えていければ、もう少し王座では上を目指せるのではないかと思います。

佐々木勇歩(スポ3=静岡・沼津東)

――2日間を振り返っていかがですか

もう少し良い戦いができるかなと思ったのですが、思ったよりも良い戦いになりませんでした。取っている点は皆良かったのですが、取られ方が簡単だし、すごく悪いということがありました。ワセダのチームは練習でやっていることが練習でやっているようにできなくて、それが他大との差かなと感じました。

――佐々木選手自身は久々の大学の大会でしたが、何か感じたことはありますか

特に久しぶりだなと感じることはなかったのですが、やはり1年間留学で鍛えてきたことが全然生きてこなくてふがいないです。

――チームのメンバーが昨年とはまったく違うメンツになりましたが、ことしのチームの雰囲気はどうですか

チームの雰囲気はすごく良いと思います。それこそサーブル陣がしっかりそろっていますし、チーム間の仲は良いと思うので、応援もしっかりしているし。

――では、今回全敗という結果に終わってしまいましたが、その敗因はどのようなところにあったとお考えですか

試合になると変わってきて、力が出せないというところがありますね。そこで良いプレーが出て、いけるところが勝負強さだし、そういうところが他のチームに比べて足りないなと思いました。

――このチームは来年も戦っていくチームですが、この1年間どのようなことを意識してチーム作りをしていきたいですか

サーブルは結構フットワークが大事で、そういうのを使っていろいろ技をしかけていくのですが、ワセダはそのフットワークが他大より劣っているかなということを感じたので、フットワーク強化というのをしていきたいです。

――このあと入れ替え戦があります。入替戦に向けて意気込みをお願いします

らいねん、いま留学に行っている阿部(凌、スポ3=島根・安来)が帰ってきて、自分たちも最後で、らいねんこそ優勝を狙っていきたいので、ことしはなんとしても1部に残って、らいねんも1部で試合がしたいです。