関東学生選手権(関カレ)最終日に行われた女子サーブルの団体戦。春の関東学生リーグ戦(リーグ戦)で全勝優勝を果たしたワセダ。順調に決勝まで駒を進めるも、エース弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)がケガを抱えていたこともあり、決勝で力つき、関東王者の称号を日大に明け渡した。
決勝進出を決め弘瀬にかけよるサーブル陣
ワセダは初戦、来年のチームを見据え、前半を安冨結(スポ3=香川・三本松)、舟山佳穂(教3=山形・米沢興譲館)、神田真希子(スポ3=千葉・東葛飾)の3年生3人で戦う。30-15で2回りを終え、7セット目に弘瀬を投入しさらにリードを拡大。45-20で初戦を突破した。ことしのワセダは前半リードされても、後半巻き返して逆転するという勝ちパターンが多い。準決勝に日女体大戦もそのパターンの試合展開となった。ここからはいつも通りの弘瀬、真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)、舟山の3人で挑む。1順目はそれぞれリードを許すが、4セット目で真所が逆転。その後は点差を広げていき、45-34で勝利した。
足の痛みに耐えながら最後まで戦い抜いた弘瀬
決勝戦は日大との対決となった。最初の3セットを終えた時点でのスコアは7-15。ワセダが優勢とは言い難い。しかし、リーグ戦や全日本王座決定戦で日大と当たったときも前半負けていたところからの逆転勝利という準決勝のような勝ちパターンだった。弘瀬を始めメンバー全員、「絶対巻き返せると思っていた」。そこに焦りはない。だが、ハプニングがワセダを襲った。もともと右足にケガを抱えた弘瀬が、相手の攻撃を交わすため身を引いたところで右足を痛めてしまう。足を引きずりながらも懸命に戦うも18-30で第6セットを終えた。全員が最後に巻き返すつもりで戦うが、舟山も真所もその点差を縮めることはできない。最終セットで弘瀬も反撃するが、28-45で優勝を逃した。
試合後、前日の個人戦のときから足に痛みがあったと話した弘瀬。まずはしっかりとケガを治し、チーム全体が万全の状態で全日本学生選手権(インカレ)には挑んでほしい。女子は昨季、どの種目も準優勝ばかりで悔しい思いをしてきた。今大会でもエペ、サーブルが準優勝。次のインカレこそは優勝を――。メンバーの思いは一つだ。
(記事、写真 川嶋悠里)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
結果
▽女子サーブル
早大〔弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)、真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)、安冨結(スポ3=香川・三本松)、神田真希子(スポ3=千葉・東葛飾)、舟山香穂(教3=山形・米沢興譲館)〕 準優勝
2回戦:○45-20慶大
準決勝:○45-34日女体大
決勝:●28-45日大
コメント
弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)
――今大会振り返っていかがでしたか
最後なので勝ちたいという気持ちはあったのですが、個人でも(ベスト)8がけで負けてしまって、全然良い結果が残せなかったので、そこはふがいないなと思います。団体も結局自分のせいで負けてしまったようなものなので…。良い機会になったかなと思います、インカレ(全日本学生選手権)に向けての。
――良い機会というのは、どんなことを感じる良い機会だったのでしょうか
次があるからもう少し頑張れるかな、と。インカレで勝つ方がやはり価値があるので、インカレでは絶対勝てるようにという感じですかね。
――右足の状態は
9月の合宿中に靭帯を切ってしまっていて、まだ1か月くらいなのですが、練習ではまあまあできていたので、大丈夫かなと思っていたのですが、やはり試合だと集中し具合とか無理をしないと抜けないので、その分負担がかかってしまいました。正直、きのうの個人のときから痛くて、きのうの夜も結構腫れていて、ずっとアイシングして、きょうも薬飲んでやっていて…。大丈夫かなと思ったのですが、やはり最後は無理がきてしまっていました。でも、そこは自分の自己管理のなさなので、インカレでは同じことがないようにしたいですね。
――団体の初戦で3年生を積極的に起用していた理由は
来年を見据えてでしたが、一応わたしもアップというか動きたいというのもあったので最後だけ出たという感じですね。
――決勝は最初から苦しい展開でしたが
そうですね。でも、(関東学生)リーグ戦でも負けていたんですよね。最初は勝っていて、でも巻き返されて、みんな最後のセット全部巻き返してという感じだったので、ほかの2人、真所(美莉、スポ4=宮城・仙台南)と舟山(佳穂、教3=山形・米沢興譲館)も絶対巻き返せると思っていたのですが、正直力不足ですね、わたしたちの。
――焦りはなかったということですか
焦りはなかったですね、全然。3回り目、最後で点差があっても巻き返せるという感じでわたしたちはいたので、お互いにたぶん信じ合ってはいたのですが、やはり一歩及ばなかったですね。
――では、この後インカレがあります
インカレでは絶対に個人でも団体でも良い成績…、やはり優勝を目指して頑張りたいと思います。足治します。
真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)
――関カレを終えてのお気持ちをお願いします
昨季のインカレも今回も準優勝なんですよね。昨季の準優勝はすっきりとした気持ちだったのですが今回は繰り返したというイメージなので、もう一息かなという感じです。詰めの甘い部分が多かったかなと思います。いまの実力だと良い意味でも悪い意味でも妥当ですね。日大はリーグ戦もチーム力で圧倒したチームなので決勝で当たることは想定内でした。そこから優勝へは届きませんでしたが得るものは多かったと思うので、インカレも決勝で当たれるように一つずつ勝っていきたいと思います。
――サーブルは結果以上に良い試合をしたいとおっしゃっていましたが、その手応えはいかがですか
勝てた試合は良い試合、負けていた点数をみんなでちょっとずつつないで勝つ試合ができたのですが、日大戦は逆にそれをやられてしまいました。そこまで自分たちができていたチーム力の試合を日大にやられたというイメージですね。
――ベスト8となった個人戦はいかがでしたか
一応ベスト4以上を狙っていたのでふがいない結果ですけど、インカレで同じ相手に当たったとしてもしっかり克服できる練習をやっていきたいです。
――他の種目も含めて準優勝が続く中、優勝をつかむために必要なものは何でしょうか
普通じゃない気持ちですかね。良く平常心でと言いますけど、自分はいつも通りの気持ちでは良くないと思っています。高揚していたり気持ちが盛り上がっていたりしないとそこの差で一本が取れず負けることもあります。団体は淡々とやりたくないですね。一本一本に気持ちを込めて、過剰な言い方ですけど「狂い目の試合」をしていきたいです。自分のプレーは結構トリッキー派なので。泥くさく、気持ちを込めて最後の一本までやっていきたいです。