日体大に敗れ、女子エペ団体は準優勝

フェンシング

 関東学生選手権(関カレ)2、3日目は女子エペと男子サーブルの個人・団体戦が行われた。山根司(スポ2=香川・三本松)を中心とする女子エペ団体は決勝戦で日体大に敗れ、昨季に続く準優勝。また男子サーブル団体は専大との準々決勝を落としベスト8という結果に終わった。

1年生ながらプレーでチームを支えた山村

 今季からは2年生の山根を筆頭に、ルーキーの山村彩和子(教1=岡山・玉野光南)、伊藤由佳(スポ1=栃木・宇都宮中央女)という非常に若いメンバーで臨む女子エペ団体。しかし、その戦いぶりは全日本大学対抗選手権(インカレ)準優勝を果たした昨季に引けを取らないものであった。初戦の専大戦を37-32、続く準決勝の慶大戦を43-32としっかり点差を付け快勝。1年生コンビは臆することなくポイントを重ね、「100点満点のプレー」(山根)でチームに勢いをもたらした。

 決勝の相手は昨季のインカレ王者であり、何度も苦杯をなめさせられてきた宿敵・日体大。ここでは力の差を見せ付けられる結果となった。第1セットこそ山村が日体大のエース、堀川こず恵からポイントを連取するものの、すぐさま形勢を逆転される。じわじわと点差を広げられる中、付け入るスキを見出すことができずに28-45で敗戦を喫した。「戦い方というよりは個人の実力差が出ちゃったかなと思います」と振り返った山根。新チームでの戦いに手応えを感じる一方、優勝を逃した悔しさがにじみ出ていた。

春から大きな成長を見せた山本

 前日までフルーレに臨んでいた北川隆之介(スポ4=埼玉栄)が引っ張る男子サーブル団体は、3番手に山本隼大(スポ1=香川・三本松)を起用。思い切りの良いプレーで新たな可能性を示した。2回戦で専大に敗れ上位進出はならなかったが、インカレではベスト4入りを目標に巻き返しを図る。また同日に行われた個人戦では女子エペ、男子サーブルを通じて山村のベスト16が最高位。昨季、優勝まであと一歩に迫った山根はまさかの2回戦敗退という悔しい結果となった。

 女子エペ、男子サーブルともにルーキーの活躍が光った今大会は、今後のチーム作りにとって多くの収穫が見られた。今季の集大成となる11月のインカレ。それぞれのカベを打破するべく、思い切ったプレーで勝利をつかみ取る。

(記事 佐藤拓郎、写真 川嶋悠里)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

結果

▽男子サーブル(個人)
北川隆之介(スポ4=埼玉栄) 2回戦敗退
1回戦:○15-11片倉祥太(専大)
2回戦:●7-15片岩和紀(中大)
阿部凌(スポ2=島根・安来) 2回戦敗退
1回戦:○15-9久保翔一郎(慶大)
2回戦:●6-15今井康友(日大)
山本隼大(スポ1=香川・三本松) 2回戦敗退
1回戦:○15-9神窪祐人(専大)
2回戦:●11-15古川信清(日大)
奥村祥大(教2=京都京大付) 1回戦敗退
1回戦:●15-8若園怜(東大)
仙葉恭輔(スポ2=秋田南) 1回戦敗退
1回戦:●15-9江里鉄平(日大)

▽女子エペ(個人)
山村彩和子(教1=岡山・玉野光南) ベスト16
2回戦:○15-12浦祥子(青学大)
3回戦:●10-15堀川こず恵(日体大)
山根司(スポ2=香川・三本松) 2回戦敗退
2回戦:●9-12森光加(専大)
伊藤由佳(スポ1=栃木・宇都宮中央女) 2回戦敗退
1回戦:○15-5川並園実(東大)
2回戦:●4-8堀川こず恵(日体大)

▽男子サーブル(団体)
早大〔北川、阿部、奥村、仙葉、山本〕 ベスト8
1回戦:○45-19立大
2回戦:●37-45専大

▽女子エペ(団体)
早大〔渡辺咲(文3=大分・岩田)、山根、伊藤、山村〕 準優勝
2回戦:○37-32専大
準決勝:○43-32慶大
決勝:●28-45日体大

コメント

北川隆之介主将(スポ4=埼玉栄)

――まず、フルーレ個人を振り返っていかがですか

きょねん全日本学生選手権(インカレ)で優勝していて追われる立場になったときに勝てる選手が本当に強い選手だと思っていました。勝ちたかったので悔しかったですが、本番はインカレなので、インカレ2連覇に向けて頑張りたいと思います。

――敗因は何だったと考えていますか

相手の村上選手(仁紀、日大)は中学生くらいのときから何回も戦っている相手だったのですが、勝敗は五分でいつもどっちに転ぶかわからなくて、お互いの手の内もよく知っていました。敗因としては序盤の組み立てが少し良くなかったのでそこは修正していこうと思います。

――7月に(夏季)ユニバーシアードがありましたが、そこでの収穫はありましたか

ユニバーシアードは世界各国の強い選手が集まっている大会だったので、本当に収穫だらけでした。この4年生で最後の関東学生選手権(関カレ)、インカレに向けて集大成になるので、そこでもう一度自分のフェンシングを見直せるすごく良いきっかけとなりました。

――それではフルーレ団体の感想をお願いします

団体は鬼澤と一緒に組んできて、4年生になって、最後の関カレ、インカレになるので、優勝しようと言っていたので本当に悔しいですね。

――日大戦で谷口選手ではなく、仙葉選手を起用した理由は

6月にあった(全日本学生)王座決定戦で谷口が日大の選手にやられて、苦手意識があると本人に聞いたら言っていたので、仙葉も本当に信頼していて、どっちを使っても大丈夫なように練習してきたし、自分たちも準備してきたので、思い切って仙葉を選択しました。

――団体戦で4人全員を使って戦えるというのは大きいですか

きょねんまでは仙葉も成長していなかったので、きょねんまでの仙葉だったら使うのは心配だったのですが、この1年で強くなってくれたし、戦い方もうまくなってきたので、相手に合わせた戦術によって4人使えるのはチームとしても成長したと思います。

――今回決勝で鬼澤選手が不調でした。そういうときに北川選手が心がけていることはありますか

自分も調子が悪いときは鬼澤が引っ張ってくれて、鬼澤の調子が悪いときは自分が引っ張っていけるようなチームなので、鬼澤の調子が悪いなと思ったら、自分が点を取れるタイミングで積極的にしかけていこうということは心がけていました。

――では、サーブル個人と団体の感想を聞かせてください

サーブルは普段あまり練習をしていないのですが、個人ではとりあえず関カレはインカレの出場権を取るということを目標としていたので、最低限の目標は達成できたかなと思います。団体戦は毎回ベスト4のカベというのがすごく厚くて、実力的にも4強には劣っているので、そこは戦い方とか団体力で勝ちにいきました。結果はついてきませんでしたが、インカレに向けて後輩たちも成長していたので、良い収穫になりました。

――リーグ戦のときも当たった相手でしたが、大きく点差を縮めることができました。その要因はどのように考えていますか

自分と阿部はいつも出ていて3番手に誰を使うかというところで、いつもはフルーレ陣の仙葉を使っていたのですが、フルーレの疲れもあって、サーブル専門の山本を1年生ですが思い切って使ってみたら、山本も良い具合に実力をつけてきていたし、阿部も順調に伸びてきて2人とも思い切ってやっていたのが一番の要因だと思います。

――それではインカレに向けてフルーレ、サーブル共に目標を聞かせてください

フルーレは2位とかは本当にいらないし、良い試合というのもいらなくて、本当に最後の集大成になってしまいますし、勝ちだけを、優勝だけしか見ていないし、優勝以外は意味がないと思うので、何が何でも「北川と鬼澤ここにあり」というところを全国に見せたいですね。サーブルはベスト4というカベが厚いので、ベスト4を目指して皆で頑張っていきたいと思います。

山根司(スポ2=香川・三本松)

――団体戦2位という結果はどのように受け止めていますか

昨季と同じ準優勝ということで、うれしいような悲しいようなという成績ですね。昨季とメンバーが替わったのに準優勝できたという見方もできますけど、やっぱり優勝したいです。だから悔しいです。

――決勝戦は日体大との力の差を感じるような試合だったでしょうか

感じましたね。堀川先輩を中心にまとまっていて、それぞれがやるべき事をやってくるチームです。だから崩せないんです。自分たちにそれを崩す力がまだ無くて、戦い方というよりは個人の実力差が出ちゃったかなと思います。日体大は昨季とほとんどメンバーは替わっていないですしね。

――初戦、2戦目の専大、慶大との試合はいかがでしたか

後輩に助けられました。その一言ですね(笑)。後輩たちが点を取ってきてくれて自分はそれをつなぐだけだったので、本当に感謝しています。

――4年生が抜けた今季は2年生の山根選手と1年生の2選手というメンバーですが、戦い方に変化はありますか

昨季だと自分は守っていればオッケーでしたが、今季は立場的に点を取らないといけないというか、守ってオッケーという立場ではないですよね。そうやって思いすぎるのも良くはないのですが…。昨季は元気よく声を出していれば(先輩が)なんとかしてくれましたが今は組んでいるのが後輩なので、まだまだ支えられてばかりですけど、ちょっとそこが昨季とは違うかなと思います。

――山根選手から見て1年生のプレーはいかがですか

もう100点満点だと思います。専大戦、慶大戦はほとんど問題なかったです。自分が引っ張る立場になるのは最初とても不安だったのですが、(山村)彩和子も伊藤も本当に良い子ですし、自分が崩れた時にはちゃんと声をかけてくれるので信頼しています。山村は本当に実力があるので、メンタル的に崩れなければ(ポイントを)プラスにしてくれると思います。団体戦の中で焦っている時には、落ち着かせる言葉を掛けてくれますね。伊藤は、自分や山村が「やばい、やばい」となっている時でも気持ちがぶれないんですよ。チームが崩れているときでも伊藤がバランスを取ってくれるという感じですかね。

――個人戦は2回戦敗退ですが、やはり納得のいかない結果でしょうか

もう悔しいの一言です、本当に。団体戦へ向けては周りのみんなが本当に気をつかってくれました。

――試合後エペのメンバーで話し合った点は

主にはどうやったら次に勝てるかということです。技術的な事でのアドバイスなどですね。きょうの試合を振り返ってというよりは、きょうの結果を踏まえて次どうするかですね。

――11月のインカレへ向けて

残り試合も少なくなってきたので、一戦一戦を大事にして楽しくできたら良いかなと思います。