全日本学生選手権(インカレ)個人戦もいよいよ最終日。2連覇を懸け挑んだ古賀輝(スポ2=埼玉栄)・齊藤太一(スポ2=福島・富岡)はファイナルセットを制し準決勝を勝ち上がると、決勝は苦しみつつも前衛から果敢に攻め第1セット、第2セットと連取、見事優勝に輝いた。男子シングルスの丸尾亮太郎主将(スポ4=群馬・伊勢崎清明)は団体戦からの疲れが尾を引き、本来のプレーができず準決勝で敗退した。
スポーツにおいて勝敗を分ける瞬間は一瞬、勝負は紙一重である。この日古賀・齊藤ペアが挑んだ試合はまさにその言葉を体現するようであった。準決勝の相手は日体大の権藤・塚本ペア。立ち上がりから勢い良く発進した古賀・齊藤はイレブン以降点差を広げ20-12と先にセットポイントに達するも、そこから「自分たちの気持ちが引いてしまった」(古賀)と相手に5連続失点を許すなど、ひやりとさせられる場面も。さらに増した相手の勢いを止められず第2セットを落とすと、ファイナルセットでは「縮こまって負けるより思い切りやって負けた方がいい」(古賀)と気持ちを切り替え、接戦を制し21-19で勝利した。
迎えた決勝、相手はまたも日体大の松居・三浦ペア。古賀・齊藤のスマッシュを中心とした攻めが相手の前衛につかまり7-11で第1セットを折り返す。しかし「途中から上手くかわしていく感じで球を打てた」(齊藤)と狙いを変えたインターバル後からは徐々に点差を詰めていき19-19で追いつくと、そこから1点を争うデュースにもつれ込む。20-21と相手が先にセットポイントに達するも齊藤の厳しいサーブレシーブ、続く齊藤のロングサーブが決まり22-21と逆転に成功。続くポイントは落とし再び同点にされると、古賀の強烈なスマッシュで23-22。最後は二人のコンビネーションから相手のレシーブのアウトをジャッジし、このセットを奪う。第2セットでは立ち上がりから厳しいシーソーゲームとなり、苦しみつつも相手のミスなどから3点の差をつける。相手ペアが勢いを盛り返し一時は点差を縮められるも、齊藤のスマッシュ、古賀のスマッシュがそれぞれ決まり、スコアは19-16。続くラリーは互いの意地がぶつかり数分に及ぶロングラリーに。「本当にしんどかった」(古賀)、「この一本が取れたのが大きかった」(齊藤)と話す通り、この一本が勝負を決め、古賀・齊藤はきょねんに続き2度目となる大学日本一に輝いた。
ハイタッチする古賀・齋藤(左)ペア
主将としてチームを引っ張り準優勝に導いた丸尾は、その代償に疲れが個人戦に響く結果となってしまった。準決勝の相手は、今季1勝するも「体が万全な状態で対戦して五分五分なところ」(丸尾)と語る法大の堀内研人。積極的にラリーをつくろうとする丸尾に対し、相手はネット前の素早い動きでリードを奪う。丸尾もネット前で応戦し16―19と追い上げるも「いつもあと一歩入るところが入らず、そのズレがミスにつながっていってしまった」(丸尾)と、最後はネットにかけ第1セットを落とす。第2セットでも主導権を奪えずなかなか2点差を縮めることができない。7-12からの6連続得点で一時は逆転するも、その後が続かず連続失点から15-21と敗北、準決勝での敗退となった。3位という結果に対し「きょねんとは違って優勝を狙った結果の3位なので悔しい」と語るも、「(力を)出し切った」と今大会を振り返るなど晴れ晴れとした顔を見せた。
2年連続3位入賞を果たした丸尾主将
インカレはこれで幕を閉じ、丸尾や女子ダブルスの亀田楓女子主将(社4=宮城・聖ウルスラ学院英智)・関川容子(社4=新潟青陵)ら4年生は部から身を引くこととなるが、大学での引退試合を全日本総合予選に控えている。実業団や日本代表の選手らも出場するだけに厳しい戦いが予想されるが、大学4年間の全てを懸け必ずや勇姿を見せてくれることだろう。
(記事、写真 芦川葉子)
インカレ2連覇の古賀・齋藤(左)ペア
結果
▽準決勝
男子シングルス 丸尾亮太郎●0-2堀内研人(法大)
男子ダブルス 古賀輝・齊藤太一○2-1権藤公平・塚本好喜(日体大)
▽決勝
男子ダブルス 古賀・齊藤○2-0松居圭一郎・三浦光將(日体大)
◆最終成績(※上位入賞者のみ掲載)
▼優勝
男子ダブルス 古賀輝・齊藤太一
▼3位
男子シングルス 丸尾亮太郎
▼ベスト8
女子ダブルス 亀田楓・関川容子
▼ベスト16
男子シングルス 和田治久
女子ダブルス 清水恵・島田きらら
コメント
古賀輝(スポ2=埼玉栄)
――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは
何も言えないです(笑)。素直に嬉しいです。
――ダブルスで2連覇となりました
そこはそんなに意識してなかったんですけど…2連覇というのはまだ実感無いです。
――準決勝から振り返っていきます。第1セットはかなりの差をつけて取るかに見えましたが、終盤の5連続失点は
やっぱり自分たちの気持ちが引いてしまっていたのでそこが原因かなと思います。
――第2セットは第1セット終盤のミスを引きずってしまったのでしょうか
引きずったというよりも、相手がまた勢いを付けてきていたので、ちょっと相手のペースになってしまったかなという感じですね。
――第3セットに向けてどのように切り替えましたか
縮こまって負けるよりも思い切りやって負けた方がいいかなと思って、思い切りやりました。
――終盤は早大が先行する展開の中でも相手の勢いが衰えないように見えました
相手は4年生ということで意地があったので、そこがちょっと怖かったですね。でも勝てて良かったです。
――終盤は1点1点の取り合いになりました
もう気持ちだけで戦っていました。
――次に決勝について伺います。第1セットの立ち上がりは相手が前でつぶしてくる場面が多く見られました
前が結構うまくてポンポン点数を取られてしまったので、ちょっと出だしやられてしまったかなという感じですね。
――その後のシーソーゲームから逆転するに至った流れは
前衛が思い切って球を触りにいくという感じで切り替えていきました。
――逆転後もデュースで混戦となりました
気持ちだけは負けないようにと思ってやりました。前回優勝したこともあって守りがちになっちゃいますが、挑戦者の気持ちを忘れずにやっていこうと思っていました。
――第2セットは第1セットの良い流れがそのままといったところでしょうか
第2セット序盤は本当に競っていたので、途中で抜け出せたのが本当に良かったですね。
――いまお話にあったように、第2セットの途中までは2点差を死守しつつもシーソーゲームとなりました
5-5までは一緒でした。その後も2点差以上離すことができなかったので逆に追い付かれないようにという気持ちでした。
――17点から一気に攻めていきました
もう攻めていこうという気持ちだったので太一(齊藤、スポ2=福島・富岡)ともそういう風に話しました。攻めながらも我慢するというか、ラリーを続けながらも攻めていこうと思っていました。
――20点の時のロングラリーがカギを握っていましたか
本当にしんどかったですね(笑)。あれが決められていたら17-19となってまた2点差となってしまっていたので、一本取って20-16にできたのは大きかったですね。
――個人戦全体を振り返ってみていかがでしょうか
ファイナルセットまでもつれることも多くなってしまったんですが、そこでしっかり勝てたのが良かったかなと思いました。
――全日本総合予選への切符を手にしました。目標は
毎回1回戦で負けてしまっているので、まずは1回でも多く勝てるようにランクアップしたいです。
齊藤太一(スポ2=福島・富岡)
――優勝おめでとうございます。いまの気持ちを教えてください
嬉しいです。
――2連覇ということですがいかがでしょうか
特にそういう意識は無かったんですけど、ことしも決勝まで行くことができて最後優勝して終わりたいっていう気持ちが強かったので、優勝できてよかったです。
――まずは準決勝について伺います。第1セット、立ち上がりはワセダペースでしたが、終盤での5連続失点について
相手が終盤追い上げてきて、自分たちもびびってしまったんですけど、最後は気持ちで取れました。
――続く第2セットは、前のセットでの連続失点を引きずっていましたか
特にそんな意識は無く、自分たちのプレーをいつも通りやっていこうと思っていました。でも相手も勢いに乗っていたので、途中で集中力が切れたりして、第2セットは駄目でした。
――中盤点差が開いたままシーソーゲームとなってしまいましたが
守る形が多くなってしまって、自分たちがあまり攻撃できなくて、差を縮められなかったと思います。
――第3セットに向けて気持ちの切り替えは
最後はやっぱり思い切ってやろうと思いました。
――ワセダが点数を取っても相手の勢いがなかなか衰えなかった印象ですが
最後は(こちらの方が)気持ちが強かったんだと思います。
――次に決勝についてです。第1セットの立ち上がり、前衛に攻撃をつぶされてしまったのでしょうか
そうですね、前衛につかまってやられてしまっていたんですけど、途中から上手くかわしていく感じで球を打てたので追いつけたのかなって思います。
――点差がある状態からどのように縮めていきましたか
守っても相手はアタック力があって強いので、上手く落として攻撃の形に持っていくことを意識しました。
――第1セットの終盤、どんどん攻撃が決まっていました。意識していたことは
攻めの形をちゃんとつくりました。しっかり我慢しながら攻撃できたのがよかったと思います。
――第2セットは、第1セットをデュースの末に取った勢いが表れていたように感じました
第1セットが勝負だったと思います。あのラリーの中で第1セットを勝てて、相手も気持ち的にきつい部分があったと思うので。
――中盤にかけてのシーソーゲームから終盤抜け出しましたが、その時の場面を振り返って
とにかくスマッシュで攻めていったんですけど相手のレシーブも堅くて、でもそこを我慢し続けて攻撃できたのが良かったと思います。
――最後の20点目のロングラリーが勝敗を分けたのでしょうか
あの一本が取れたのが大きかったと思います。
――今大会、個人戦を振り返ってみて
サーブを打った後、前衛で止めるのを意識して、それがうまくいったので全体を通して良かったなと思います。あとは、古賀に任せてそれについていくのに必死だったので。自分的にはまだまだミスも多いし、レベルを上げていかないといけないかなと思いました。
――具体的に見えた課題はありますか
打った次の準備を速くしたり、アタックももう少し我慢してコースを考えて色んな球を打てるようにしていきたいと思います。
――全日本総合選手権予選の出場を決められましたが、それに向けては
自分は全日本総合で一回も勝ったことがないので、ことしは一勝できるように頑張ります。
丸尾亮太郎主将(スポ4=群馬・伊勢崎清明)
――3位となりました。いまのお気持ちは
きょねんとは違って優勝を狙った結果の3位だったので悔しい気持ちはあるんですが、それと同時に出し切ったという気持ちもあります。
――準決勝の相手(堀内研人、法大)について
東日本で戦った時はファイナルセットで21-18で勝ったんですけど、体が万全な状態で対戦して五分五分なところなので、きょうみたいなコンディションだと厳しかったです。この大会が始まってから15試合くらいやっているので、きょうはもう足が止まってしまいました。
――戦ってみて相手のプレーについて
ネット前が速くてショットもしっかりしていました。長いラリーの中で自分のラリーをつくっていかないといけない相手だったと思います。
――サイドアウトなどのミスが多くありましたが、コースを狙っていたが故でしょうか
体が重くて動かなくて、いつもあと一歩入るところが入らない、そのズレがミスにつながっていってしまったと思います。
――第2セット、6連続得点で一気に逆転した後、なかなか得点を続けられなかった原因は
あそこでもう一点を取れなかったというのがこの結果に直接つながったというか、あの場面が勝負の分かれ目だったと思います。
――その後相手が4連続得点、さらにもう4連続得点と終盤に一気に試合を決めてきました
試合の流れですね。あそこで自分がいくか相手がいくかといったところで、相手が流れを持っていってしまったという感じでした。
――インカレの個人戦を振り返って
3位は悔しいですけど、全日本総合予選には出られるのでまた次に向けて頑張ります。
――これで大学での試合は終わりとなりますが、大学生活最後となる全日本総合予選に向けて意気込みをお願いします
いままでの全日本総合予選は出るだけの大会だったんですが、ことしは意識を変えて全日本総合でいかに勝つかということを考えてやっていきたいと思います。