【連載】『平成27年度卒業記念特集』 第51回 山城泰介/ゴルフ

ゴルフ

成長のありか

 この一年、ゴルフ部にとっては激動の年であった。そのゴルフ部を率いたのは山城泰介主将(先理=沖縄・開邦)だ。実力的にも、そして立場的にも部を引っ張ってきた山城。すべてを終えた今、この四年間をどう振り返るのだろうか。

 ゴルフを部活としたのは大学に入ってから。ジュニア時代からという長いゴルフキャリアを持つ山城だが、高校までは『個人』での取り組みであった。そのような中、もっとゴルフが上手くなりたいという思いから、ワセダの体育会という厳しい世界に飛び込んでいった。部活動の経験がなかったために不安はあった。実際に入ってみると上下関係は厳しい。しかし、部活は競技スキルの向上以外にも多くのことを教えてくれた。

『部活』の主将として部員を率い、チーム全員が同じ方向を目指すように努めた山城

 部活に入りたての頃は、ゴルフに対して団体のイメージが持てなかったと言う。最終的にスコアの合計はされるが、試合当日はそれぞれが個人での戦いになるからだ。しかし、そこに至るまでの過程において、チームとしてまとまっていけるかが重要になる。チームの目標実現のために同じ方向を向いて努力し続けられるか。部活だからこそ考えなければならないことだった。それまでは個人競技としてのゴルフしかわからなかったが、団体戦を通じて新たな面白さや個人戦とは違った難しさを身にしみて感じることができたと語る。また主将になり、人生ではじめて組織の中でトップに立って動くという経験をした。最終学年、自分が上に立つという立場になったことで、自分以外のことも見守らなければならなくなった。本当に難しかったが得ることは多かったと振り返る。

 最終年度のリーグ戦は忘れられないものとなった。春はBブロックで優勝し、部の目標であったAブロックへの昇格を果たしたが、秋には戦績が奮わず再びBブロックに降格。喜びも悔しさも味わった一年となった。4年生で迎えるリーグ戦というのは思い入れが今までとは違うという。そのため、春に優勝できたときは練習が結果につながり深い喜びを感じた。「チーム全体がまとまって試合を迎えたという実感があった」。その分、秋の降格は本当に苦い幕切れとなってしまった。しかし、栄光と挫折の中に残ったものは結果だけではなかった。負けた際に泣いてくれる後輩、教え導いてくれた指導者や先輩、励まし合い切磋琢磨した同期。気がつけばいろんなものを手にしていた。

 山城にとっての早大ゴルフ部。それは成長の場であった。ゴルフでの活躍はもちろん、さらにいろいろな出会いや先輩からかけてもらった言葉など、多くの財産を得た。そして周りの支えがあって今の自分があると気づかせてもらった。ゴルフを通じて貴重な出会いがたくさんでき、今後もゴルフは続けていきたいと思っている。技術だけではなく、人間としても大きく成長した四年間。この成長を土台に新たなステージでも輝き続ける。

(記事 越智万里子、写真 菖蒲貴司)