【連載】ソフトボール部新歓対談 第9回 学生トレーナー組 根井望×杉浦櫻子

女子ソフトボール

今回は学生トレーナーとしてチームを支える根井望(スポ新4=東京・吉祥女)と杉浦櫻子(スポ新2=愛知・岡崎北)のお二人にお話を伺いました!選手としてプレーしながら裏方としての役割も果たす2人から見た女子ソフトボール部とはーー

――まずお二人は一般入試ということで、早大を目指したきっかけを教えてください

根井 自分がまず早稲田を目指したきっかけは、高校1年の時に進路指導みたいな感じで、学校のそういったプログラムがあった時に、何もやりたいことがなかったのですが、その時にソフトボールやりたいなっていうのがまず1つありました。ソフトボールを大学で続けていくにはどういった大学があるのかなっていうのを調べた時に、そもそも東京都の大学で、ソフトボールが強く、ある程度インカレに行けるような大学で、行きたいなって思えるような大学が正直早稲田しかなかったっていうのもあって、高校1年の時から早稲田大学でソフトボールやりたいっていうのを最初から決めて勉強しました。

――最初からソフトボール部に入ることを前提に早大を選んだということなのですね

根井 そうです。ソフトボールがやりたいっていうのと、あとはトレーナーっていうのにすごく興味があったので、スポーツ科学部があるところを探した時に、スポーツ科学部があって、トレーナーとソフトボールができるっていうのは、もう早稲田しかなかったです。

――杉浦選手はどうですか

杉浦 望さん(根井)と一緒で、スポーツ関係の仕事に将来就きたいと思っていて、それについて学べるところでまず大学を探していて、その中で高3で共通テスト受けて、自己採点の結果を見てみて、親から「早稲田も受けてみたらいいんじゃない」って言われてから、受けようかなと思いました。

――根井選手と違って早い段階から意識していたわけではないのですね

杉浦 自分が行けると思っていなくて、視野にも入れていなかったので、共通テストが終わって初めて受けるだけでもいいから受けてみようかなと思いました。

――合格した時の気持ちはどうでしたか

根井 自分は早稲田大学のスポーツ科学部と人間科学部健康福祉学科も受けたのですが、人間科学部の方の合否が先に出て、そっちの試験については、受かった気がしていなかったので、とてもうれしかったです。特殊な試験方式だったので、お世話になった先生と泣きながら抱き合ったっていうのはすごく覚えています。スポーツ科学部については、すごく対策していたので、もう解いた時点で「これは行けたな」というのがあったので、合格が決まってうれしかったですけど、よしっていう感じでした。

杉浦 もともと入れると思っていなくて、「入れたらいいかな」くらいの気持ちで受けていたので、受かった時はすごいうれしかったのと、あと、早稲田落ちていたら後期の勉強もしようと思っていたので、それがなくなったことへの喜びが大きかったです。

――そして、入学後ソフトボール部に入部しましたが、そのきっかけは何でしたか

根井 私は国立の方の受験で実技の試験があったので、その時に高校の先輩で実技を教えてくださった方がいます。その先輩の職場の人に早稲田の元キャプテンの方がいらっしゃったという繋がりで、その方からLINEをもらって、体験に行ってみようみたいな感じです。どうやってコンタクトしようかというのを最初は迷っていたので、そこで連絡をいただけたというのはありがたかったです。

杉浦 自分ももともとソフトボールを続けよう思って大学に入ったのですが、練習や体験にいつ行けば良いのか分からなくて、そんな時に合同の新歓説明会みたいなものに参加して、その後早稲田のソフト部のSNSにDMで声をかけてもらって、見学に行ってという感じです。初めて練習に来た時から先輩方がすごく優しく接してくださったので、もうその場で入ろうと思っていました。

――かつてのお二人と同じように、一歩を踏み出せずにいる新入生に伝えたいことはありますか

根井 今はSNSに力を入れているので、インスタ(インスタグラム)やツイッターなどのDMで声をかけていただけたらこっちは大歓迎です。

杉浦 自分から声をかけるというのはとても勇気がいることだと思うのですが、1回でも見に来てもらえば絶対に良さは伝わる部活だと思うので、そこの一歩だけ踏み出してもらえたらいいかなと思います。

――実際に入部して、これまで大変だったことはありますか

根井 自分が高校の時はすごい弱いところで、都大会すら出られないぐらいのレベルだったので、大学のレベルは高かったです。まず、ピッチャー(の投げるボール)がめちゃくちゃ速くて、最初に絶望すら感じるくらい速くて、変化球は自分の高校ではストレートとチェンジアップしかなかったので、ライズとか、ドロップとか、スライダーとか、何だこれという衝撃があって、そこに慣れていくのが自分的には大変でした。

杉浦 自分も高校まではそんなに強いところにいたわけではないので、入った時は大学のレベルも高いし、一人一人の選手のレベルも高くて、ついていくのに必死でした。あと、もともと地方に住んでいて、大学に入るために上京してきたので、考える間もなく、とりあえず毎日必死にやってきたという感じです。

――東京での生活にはもう慣れましたか

杉浦 そうですね、だいぶ慣れたかなっていう感じです。

――上京して生活面で大変だったことはありますか

杉浦 今までは料理や洗濯を全部親に任せてきたので、そこを自分一人でやるというのは大変な部分かなと思います。

――次に、入部して良かったと感じたことを教えてください

根井 たくさんありすぎて話し切れないと思うのですが、まず、人との繋がりというか、本当にすばらしい人たちに囲まれて、大好きなソフトボールに悔いなく打ち込めるというのが、早稲田のソフト部ならではだと思います。ここでしか経験できないことがたくさんあって、ソフトボールだけではなく、いろいろな学びがこの部にはあるので、大変なことはもちろんあるのですが、それ以上にやっぱりここしかないよなっていうのを日々感じながらやっています。

杉浦 全部しゃべろうと思ったことは言われて(笑)。でも一番はこれだけ素敵な人たちと出会えたというのは、自分の中で良かったと思うことです。他のソフトが強い大学と比べて、同期の仲も上下関係も、緩いという言い方が正しいかは分からないですが、みんな本当に仲が良くて、優しくしてくださる方ばかりで、こんなに素敵な人しかいない部活があるのかというぐらい素敵な方たちばかりです。あとは、ずっとソフトボールは続けているのですが、こんなにレベルの高いところでやったことはなかったので、別の競技じゃないかというぐらい教えてもらうことが新しいことばかりで、今までソフトボールをやってきた中で一番ソフトボールが楽しいと思える瞬間が多いなって感じます。

――「部活は忙しい」というイメージを持っている人も多いと思いますが、部活と私生活の両立についてはいかがですか

根井 私はちょっと失敗しているタイプなので(笑)。バイトは家庭教師なのですが、1、2年生の時は結構コンスタントに行っていて、3年生に上がってからは外部でトレーナー活動を始めて、そことの両立が結構大変ではありました。でも日程的に行けないっていうことは全くなくて、自分の体力が続く限りいくらでも行けてしまうというのがこの部の良さというか、練習は長くても半日なので、その前後の半日をいかにうまく使うかっていうのは、頑張り次第でいくらでもできるのがいいと思います。やっぱり軸としては部活というものがあるので、予定もある意味立てやすいという部分があって、自分の場合は入ってすぐコロナでずっと登校できない日々が続いたのですが、逆に何もないとうまくリズムがつかめないということがあったので、しっかり週6部活があることによってさらに活動の幅を広げられるというのが、すごいいい点だと思います。

杉浦 私はバイトは東京ドームでイベントスタッフはしているのですが、あまりお金を稼ぐほどは入っていないというか、あまりバイトは熱を持ってやっていないです。でも、私生活の面では、ソフト部に入ったからできた人間関係というか、週6くらいで同じ人と会っているのに、オフまで使ってその人と遊ぶぐらい仲いい人には多分出会えなかったので、そういった面では、入ったからこそオフは充実していると思います。あと、多分一人で家にいて部活も入っていなくてだと、だらだらした生活を毎日送っていたと思うのですが、大変だし、忙しい部分もあるのですが、それ以上に充実しているっていう言い方の方が合っているかなと思います。

――早大は他の強豪校と比べると、スポーツ推薦は少ないと思いますが、そういった面でチームとしての特徴はありますか

根井 それぞれ持ち味が全然違っていて、初心者で入ってくる子ももちろんいるので、そういった子が集中力を発揮して(打席で)粘ったりとか、会心のヒットを打ったりとか、そういったことで盛り上げてくれて、勇気をもらえるという部分があります。あとは、スポーツ推薦ももちろんいますが、それだけでは試合はできないので、9人絶対必要だと考えた時に、決してスポーツが強いところから来たわけではない私たちがしっかり成長して頑張っていくことが、過去の先輩を見ていても早稲田らしさというか、早稲田のすごいいいところだと思います。勉強だったり、いろいろなことをやっている中で、ソフトボールでしっかり結果を残していくというのが早稲田の伝統としていい面だと思うので、それを自分たちも継承できるようにこれからも頑張っていきたいなと思います。

杉浦 スポーツ推薦でうまい人たちばかり入っているチームだと、自分が結果を残したい、レギュラーを取りたいという内部での争いが激しいと思います。もちろん自分がうまくなりたいという気持ちもあるのですが、それ以上に誰かがヒットを打った時はどこの大学よりも盛り上がると思いますし、自分じゃなくて、他の人が成長したことに対する喜びっていうのは、早稲田でいろいろな経験や個性を持っている人たちがいるからこそ大きくなるのかなと思います。

――次に学生トレーナーについて伺います。学生トレーナーは、普段は何をしているのでしょうか。

根井 一応選手兼トレーナーなので、他の部でいうトレーナーみたいにフルで選手のサポートをしたり、離脱した選手を個別でリハビリしたりすることはできないのですが、何かあった時の救急対応であったり、時間が許す範囲で練習時間外に選手からの相談に応じたりなどはやっています。教員の方やコーチが常にいるわけではないので、緊急時の対応をきちんとやるというのがまずあって、今年からメディカルチェックというのを始めて、あらかじめみんなのけがのリスク因子を洗い出して、それを踏まえて全体アップに反映させてみたりしています。また、けが人が出た時は、可能な限り私たちが対応するのですが、ドクターに見てもらった方がいいとか、人はいてもモノがないということがあるので、すぐにクリニックや保健センターに連絡するということをしています。教授の方々のご協力のおかげなのですが、そのついでに自分も一緒に学ばせてもらったり、相談に乗っていただいたりしています。

杉浦 自分はまだそんなに大した知識もないので、望さん(根井)がいない時の全体アップの指示出しをしているのと、春休み期間は午後練の前の時間で望さん(根井)と一緒に勉強会みたいなものをやらせてもらっていて、お互いに1つずつ傷害について調べてきて、それを発表し合って知識を付けていこうみたいな感じです。今自分はいろいろな知識を付けている段階ではあるので、夏が終わって望さん(根井)が引退されても、自分がトレーナーとして文化を残していけるようにしたいと思います。

――トレーナーの勉強というのは、大学の講義が中心なのか、それとも他に勉強する場があったりするのですか

根井 自分の場合は、トレーナー系の授業はそのまま部活に生きるというか、授業を1つ受けてそれを自分の中でどう消化してソフトボールに生かせるのかというのを考えながら取り組むようにしているので、まず授業が軸になります。あとは、実技的な部分だったり、けがの細かいリハビリテーションなどは、なかなか授業でフォローアップできない部分があるので、そういったことはスポーツ医科学のオブザーバーとして、先生の見学をさせていただいたりだとか、3年になってからは外部でトレーナー活動やセミナーに参加したりして、現場で起きるような最新の情報をなるべく仕入れるようにしています。また、先生と普段から良い関係を築けるように努力をして、何かあった時には選手と一緒に相談できるように心がけています。

杉浦 自分はとりあえず授業を真面目に受けて、授業でもらった資料や教科書を細かいところまで読み込んだり、メモをしたりして勉強しています。あとは、部活内で望さん(根井)がやられているトレーナー活動を見て勉強するかたちが多いです。

――学生トレーナーというのは、根井選手の前にも誰かやっている人がいたのですか

根井 トレーナーコースに在籍していてトレーナー的なことをする人はいたのですが、システムとして学生トレーナーという役職があったわけではないので、その点に関しては自分が先生といろいろ相談をして、今年からスタートするかたちになりました。まず最初に緊急時の対応を作らなくてはいけなかったので、まずはそれを作って、そこからいろいろとできることを広げていくみたいな感じなので、ぜひ新しい人が入っていただければと思います。

――次に、女子ソフトボール部の魅力を教えてください

根井 一人一人が輝けることです。もちろん試合に出て輝くというのはもちろんなのですが、トレーナーとして活動することで輝くこともできますし、それ以外にいろいろな仕事がありますし、いろいろなバックグラウンドを持った人がその道で輝けるというのが魅力だと思います。

杉浦 個性が伸ばせる場所であることが魅力かなと思っていて、さきほども言ったように、スポーツ推薦の人もいれば、一般入試の人もいて、いろいろな人がいる状況の中で、自分にできることというか、自分にしかできないものを見つけられるなと感じています。先輩方や同期などいろいろな人と話して、いろいろな新しい考え方をもらうことで、自分では考えつかなかったようなアイデアや価値観を持てるので、もともとある個性を伸ばすという部分でもそうですし、新しい個性を見つけられる場所かなと思います。

――今年の目標を教えてください

杉浦 今年の目標は時間を無駄にしないことで、次の全日本大学選手権(インカレ)までの期間も限られている中で、自分が4年生になった時のインカレという考え方もそうなのですが、4年生の先輩方と一緒にできる時間が限られているので、その中で自分がどれだけ吸収できるかというのは、インカレまでの約半年間の自分の中での課題だなと感じているので、毎日時間を無駄にせずに1つでも多くのことを吸収して毎日成長していきたいと思っています。

根井 自分の目標は絶対にインカレ優勝です。選手としてもちろん活躍して、結果を残して、絶対に勝ちたいというのがまず1つと、選手としてだけではなく、トレーナーとして一人一人を支えていって、一人一人のパフォーマンスをより上げていったり、けがをした選手がよりスムーズに復帰して戦力になれるようなチームを作っていきたいです。自分の競技人生も今年で最後なので、あと半年悔いのないように全てインカレのために頑張っていきたいなと思っています。

――最後に、新入生へのメッセージをお願いします

杉浦 合格おめでとうございます。入って後悔はしない部活で、環境もそうですし、監督の先生やコーチなど、いろいろな方にたくさんのことを教えていただけるので、自分が成長できるという部分では、入っていなかったら見られなかった景色がいっぱいあるので、絶対入って後悔はしないので、一度見にきてもらいたいなと思います。

根井 まずは合格おめでとうございます。やっぱり大学4年間っていうのは、長いようで短いというか、すごい短いと思っています。これから社会に出ていく上で、最後の学生生活何をやるのかって考えた時に、やっぱり体育会に入って、 何かを成し遂げて社会に出ていく方が自分はすごいいいなと思います。そういった環境は絶対早稲田の女子ソフト部に100パーセントあって、ぜひ入ってもらいたいと思うので、とりあえず体験に来てください。

◆根井望(ねい・のぞみ)(※写真右)

2001(平13)年11月17日生まれ。東京・吉祥女高出身。スポーツ科学部新4年。ノックで同じ守備位置に入ることが多い杉浦選手に、「センスがすごい」と言われるほど、華麗な守備が魅力の根井選手。ソフトボール人生最後の年を、選手兼学生トレーナーとして走り抜けます!

◆杉浦櫻子(すぎうら・さくらこ)

2004(平16)年1月10日生まれ。愛知・岡崎北高出身。スポーツ科学部新2年。根井選手から、打撃に「ポテンシャルを感じる」と評価される一方で、「普段は愛嬌のあるかわいい子」と紹介された杉浦選手。今年は出場機会を増やし、攻守にわたって活躍する姿を見せてくれることでしょう!

(編集、写真 齋藤汰朗)