投打で慶大を圧倒 好投の佐藤がMVPに輝く

女子ソフトボール
221

早慶定期戦
慶大
早大 10 x 21
投手…新宮、○佐藤-原田 ◇(二塁打)小林 ◇(三塁打)松本 ◇(本塁打)高、吉澤、関

 晴天に恵まれたこの日、伝統の早慶定期戦が行われた。早大は2回までに13点を奪う猛攻を見せ、試合を決める。3回からは普段出場機会が少ない選手が多く出場。それでも早大は攻撃の手を緩めず21得点を挙げると、新宮怜美副将(スポ3=京都西山)、佐藤晴(人2=大阪女学院)の継投で圧勝した。

 早大打線は初回から爆発。3つの四球で無死満塁とすると、高美優主将(スポ3=福岡中央)が右越えランニング本塁打を放ち、4点を先制する。さらに吉澤一花(人3=東京・桐朋女)の2ラン本塁打、1番・小林千晃(スポ2=千葉経大付)からの4連打などで、この回10点を奪う。

 2回には先頭の関綾乃(スポ2=千葉経大付)がライト線を抜くランニング本塁打を放つと、その後も小林の犠飛、松本日和(スポ3=東京・日大二)の適時打で、3点を追加した。

 4回にも佐藤の中前打をきっかけに、慶大守備陣の乱れにつけ込み5点を追加。さらに5回にも3点を加え、計21得点の猛攻で慶大を圧倒した。

 先発の新宮は3回を打者9人で抑え、2番手・佐藤に後を託す。佐藤は力強いストレートを軸に慶大打線を翻弄。味方の失策が絡み2点を失うが、4回を投げて被安打2、無四球の投球を披露した。さらに打撃でも安打を放つなど投打で躍動し、優秀選手賞に輝いた。

好投を見せた佐藤

 慶大に圧倒的な強さを見せつけた早大。ただし、長谷川誠監督(平5文卒=長野・松商学園)が「基本的なところをもっと高める」と語るように、まだチームは道半ばだ。オフシーズンを通してどのような変貌を遂げるのか。早大女子ソフトボール部の進化に注目したい。

MVPに選出された佐藤

(記事 矢彦沢壮真、写真 齋藤汰朗、渡辺詩乃)

長谷川誠監督(平5文卒=長野・松商学園)

――早慶戦を含めてここまで6勝1敗です。ここまでのチームの出来についてはどのように見ていますか

 (新チームは)エースの新宮が残って、野手が入れ替わったので、秋のリーグ戦(東京都大学連盟秋季リーグ戦)は野手がもたつくんだろうなと思っていました。それがリーグ戦ではエースが完璧にやってくれたので、野手のミスもなく、完全優勝に結びついたと思っています。ただし、負けた1敗(関東大学選手権の順大戦)というのが自分がイメージしていた姿です。エラーで点を取られて、打てずに負けるという。基本的にはあれが今の姿だと受け止めています。あの(秋季リーグ戦)5連勝は出来過ぎなので、(関カレで)順天堂に負けたところからのスタートというふうに捉えています。

――守備陣について、河井なごみ選手(スポ2=埼玉・伊奈学園総合)を二塁、高美優主将を三塁に置いていますが、どういった狙いがありますか

 やはり投手がいいので、相手チームからすると普通にヒットだ、ホームランだとはなりません。ソフトボール特有で、セーフティバントやスラップなど、小技を絡めて塁に出てというふうにしてきます。なぜ小技をするかというと、その処理によってエラーを引き出すという戦法です。そうすると、三塁は必ず固めておかなければならないと自分は思っているので、一番頼りになる高をサードに置くというふうにしました。二塁の河井は、元々セカンドということなので。セカンドも大事で、例えばランナー一塁で、バントだったら一塁に入りますし、打たれたときには二塁に入らなければいけません。その判断が河井はできます。サードとセカンドが要だと自分は思っているので、そこに一番信頼できる選手を置くということです。

――新チームになってからの新宮投手の投球は、どう見えていますか

 まだ完成ではないので。外から見てすごい投手だなと思っていますが、新宮自身はもっと高いところに目標を置いています。目標が大きければ大きいほど、今の姿とのギャップが大きいです。ギャップ=課題なので、新宮自身はまだまだ課題があると思っていると思います。それを埋める作業をすることで、とんでもない投手になると思うので、それを期待しますね。

――ここまでの打線については、どのように評価されますか

 打線は前の代から残っている人が比較的いるので、そんなに落ちていないというか、落ちているという印象はないですね。しっかり下級生から出ていた時の打撃が積み上げられているという感じです。そこはすごく良いなと思います。

――チームとしてオフシーズンに強化したいことは、どういったことでしょうか

 まずは基本的なところをもっと高めるということです。また特にというところで言うと、走塁、送球です。それもある意味ソフトボールの基本ではあるのですが、反復練習の少なさが我々の少し劣っているところだと思います。走塁や送球は反復練習することでうまくなると思うので、その2つを他の大学に負けないように、課題として埋めていって欲しいと思います。

佐藤晴(人2=大阪女学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 ピッチングをメインに考えていたのですが、まずは打席に立たせてもらって感謝の気持ちがあります。ピッチングはまだ納得いかない部分があるので、もっとこれから頑張っていきたいなと思います。

――4回を投げ抜きましたが、ご自身の投球はどう評価されますか

 私は球速がある投手ではないので、ボールを動かして打ち取るというのを一番イメージしていました。ですが、今日はカウントをうまく作れなくて、自分の持ち味を生かしきれなかった試合かなと思います。

――今日の試合では、相手を詰まらせる投球が多かったと思います。今日の球の調子はいかがでしたか

 最近総監督(吉村正総監督、昭和44教卒=京都・平安)からご指導していただける機会があって、その時にストレートをメインに見ていただきました。今日もストレートをメインで使っていたので、相手を詰まらせるような球を投げられたという点では、良かったかなと思います。

――4回を投げて無四球という内容でしたが、制球面はいかがでしたか

 それは今日の投球の中で良かった点かなと思うので、もっと厳しいコースを突いていけるように、コントロールをさらに磨いていきたいと思います。

――新宮さんからアドバイスはありましたか

 新宮さんはいつもピッチングを一緒に練習していて、アドバイスもたくさんいただいています。今日もベンチから励ましの言葉をいただきました。試合が終わった後に「ナイスピッチ」と褒めてくださったので、これからもその背中を追いかけて頑張りたいなと思います。

――具体的にどういったアドバイスをもらっているのでしょうか

 本当にピッチングの基礎の基礎から、変化球の細かいやり方とか。今日も試合前に一緒に投げていたのですが、ボールの握り方やピッチングの出だしの(体の)使い方などをすごく細かく教えてくださっています。

――オフシーズンに取り組みたいことを教えてください

 まずは体作り、体力作りをしっかりやりたいです。自分は元々下に落ちるドロップ系なので、それとは逆に、新宮さんのようにライズをしっかり投げられるように、基礎的なところを一からやっていきたいと思います。