日体大相手に完敗。覇権奪回へ向け課題浮き彫りに

女子ソフトボール
特別ページシステム
早 大
日体大 X
(5回コールド)
〇増田、伊藤―川崎
◇(二塁打)古川

 前日の2試合を2連勝で飾り、乗りに乗っている早大。この日は、レギュラーシーズンで2-3と惜しくも敗戦した因縁の相手・日体大と相まみえることとなった。この試合は、勝てば優勝決定戦への進出が決まる重要な意味を持つ1戦である。前日の東女体大戦で3-11とまさかのコールド負けを喫した『王者』の息の根を止めるべく、昨日からの流れをそのままに勝ち進んでいきたいところであった。だが、このまま終わってしまうのは日体大としてもプライドが許さなかった。投打ともに圧倒され、厳しい現実を突き付けられることとなる。

 この日の先発・増田侑希(スポ2=香川・高松南)は初回から日体大打線の猛攻を受ける。1回裏、先頭打者を四球で出塁させると、1死から3番打者に一塁線を破る適時三塁打を浴びてしまう。さらに続く4番打者にも三遊間を突破され立ち上がりで2失点。打線もレギュラーシーズンで無得点に封じ込まれた相手先発・長谷川鈴夏(3年)の前に沈黙。3回まで二塁すら踏ませてもらえない苦しい展開が続いた。

増田は日体大打線の猛打に呑み込まれた

 そんな間も日体大打線は手を緩めない。続く2回裏には先頭の7番打者の左中間フェンスを軽々と超えるソロ本塁打であっさりと追加点を許すと、8番、9番打者にも連打を食らい、さらに傷口を広げられてしまう。その後何とか2死まではこぎつけたものの、迎えたのは初回に適時三塁打を浴びた3番打者。フルカウントから投じた1球を振り抜かれると、打った瞬間それとわかる特大アーチ。東女体大戦で受けた屈辱を一気に晴らすかのように、強力打線の芯を食った打球が次々とグラウンドを駆け抜けていく…。自慢の速球をこれでもかと言わんばかりに打ち返された増田は2回途中6失点で無念の降板となった。

古川の意地の一振りを見せた

 早大ベンチは相手の勢いを止めるべく、レギュラーシーズンでも日体大打線を無得点に封じている伊藤貴世美(スポ3=千葉経大附)を投入するが、3回に7番打者に2打席連続となる2ラン本塁打を許しさらに差を広げられてしまう。4回終了時点で0-8と、どうにか一矢報いたい早大は、この回で2点以上奪えなければ、規定によりコールドが成立してしまうという勝負の5回表を迎える。だが、簡単に7,8番で2死を取られてしまう。このまま終わってしまうのか…と思われた中、9番・古川晴野(スポ4=神奈川・厚木商)がチーム初の長打となるライトへの二塁打で何とか出塁。続く神樹里乃(スポ4=北海道・とわの森三愛)も二塁への内野安打でチャンスを広げて一、三塁とし、一塁走者が生還すればコールドを回避できるという場面で迎えたのは小野寺詩織(スポ3=千葉経大附)。初球のインコース寄りの真っすぐを強振した鋭い打球の行く先は、不運にも三塁手の正面で万事休す。0-8でコールド負けを喫し、3回戦で特別ページシステムを敗退することとなった。

 日体大戦に敗れたことにより春季リーグ戦を3位で終えることが確定した。「実力差を受け止めなければならない」と主将の増子奈保(スポ4=東京・日出)が語るように、レギュラーシーズンでは拮抗した試合運びを見せた日体大相手にまじまじと力を見せつけられた。また、増子に上位校との差は何かを尋ねると、「常に激しいチーム内競争がある」ことであると答えた。日体大をはじめとする強豪校は、結果を出さなければスタメンを外されるという危機感の中、「1球を絶対に仕留める気持ち」(増子)で一人一人が試合に臨んでいる。比べて早大はどうか。結果のいかんに関わらずレギュラー陣は固定されがちで、チーム内競争があまり活発ではないのが現状だ。すでに全日本大学選手権(インカレ)の出場は決めているが、「このままでは日本一は厳しい」(増子)と、さらなるステップを駆け上がるための道のりは決して平たんなものではない。しかし、まだまだ強豪校に挽回するための機会は数多く残されている。まずは18日からの全日本総合選手権の東京予選で勝ち上がるために、課題をしっかりと振り返ってほしい。そして持ち味である「勢い」(古川)を存分に発揮し、心機一転、挑んでいってほしいところだ。

(記事、写真 篠田雄大)

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コメント

増子奈保主将(スポ4=東京・日出)

――今日の試合を振り返ってください

このままではインカレ(全日本大学選手権)での優勝は厳しいかなと感じています。総当たり戦のときに接戦に持ち込めた日体大に今日はコテンパンにやられてしまいました。同じ対戦相手とやる怖さというものを理解していなかったわけではないけれど、再度痛感させられました。また、全力でぶつかりにいってのこの結果なので、実力差というものを改めて受け止めなければならないと感じました。

――今日の試合ではかなりマウンドに行って投手陣に声掛けする場面も目立ちましたが、今日のご自身の全体的なプレーに関してはいかがですか

投手に声を掛けに行く際は投手が打者に集中できるようなプラスな声掛けはするようにしています。増田の時には球種を狙い撃ちされているように感じたので、配球が大丈夫かということは確認しに行っていました。また、今日はレフトを守っていた堀奈々美(スポ3=千葉経大附)があまりなれないポジションだったので意識して声を掛けるようにしていました。とにかく声を掛けるときは自分がしっかりするのはもちろんですが、みんなが集中してプレーできるようにすることを心がけてやっています。

――リーグ戦を3位という形で締めくくりましたが、この結果に関してはどうお考えですか

不満の一言です。優勝を目指してやってきていたのでそれが達成できず悔しいです。また、3位という結果からこれから日本一を目指していくのは険しい道のりだなというのはこの結果を受けて思うところです。

――日体大、東女体大をはじめとする上位チームとの大きな差というのは具体的に何だと思われますか

1つはやはり打力かなと思います。スタメンに振れる選手がずらっとそろっているというのは対戦してみて痛感するところです。あとは日体大をはじめとする強豪校は選手の数が多く、激しいチーム内競争を常にしているイメージがあります。自分たちのチームは部員数が少ないこともあってかあまり競争が活発ではなく、スタメンも固定化されている節があります。なので、少しでもそのような競争が生まれるように一人ひとり意識を変えてやっていかないといけないと思っています。

――18日から始まる全日本総合選手権東京予選会では社会人チームとの対戦も控えていると思いますが、そこに向けての意気込みをお願いします。

社会人のプレーヤーは、実力はもちろんですが、ソフトボールに対する考え方もお金をもらってやっているという点などもあって違うと思います。なので大学生とは違った雰囲気での試合になると思いますが、それも学びの一環として考えながら勝ちにいければいいかなと思っています。

古川晴野副将(スポ4=神奈川・厚木商)

――今日の試合を振り返っていかがですか

今日は最初の雰囲気づくりから少し良くなかったかなと思います。早稲田の良いときは、勢いに乗ってそのまま乗りに乗っていくところがある思っています。しかし今日は最初打たれて沈んでしまったかなという感じがあったので、今後は雰囲気づくりをもっと意識してやっていきたいです。

――今リーグ戦のご自身を振り返っていかがですか

私は全然ほかの選手とは違って自分が輝く立場ではないと思っています。しっかりとつなぎ役に徹して後ろを打つ選手を輝かせるということを強く意識しています。だから、1番を打つ神が良いバッティングができるような雰囲気づくりをすることが9番打者を任されることが多い自分の今の役割かなと思っています。

――最終回にチーム初の長打となる二塁打を放たれましたが、それに関してはいかがですか

意外と私は2アウトランナーなしみたいな場面でよく打つんです(笑)。結構走者がいないときのほうがいいバッティングができていることが多いので、あのような打撃を常にできるようにしていきたいです。

――ライトでの出場がリーグ戦でかなり主立っていたと思いますが、外野守備で心がけていたことなどはありますか

自分は守備範囲が特段広いわけではないし、肩が強いわけでもないです。ただ、もともと投手をやっていたという経験を活かして、配球を考えながら守備位置を変えたりしてその分をカバーできるようにしています。しかしこの試合では投手が逆球になったときに少し守備範囲が狭くて取れなかったりした場面もあったので、今後は配球を読むことに加えて、守備範囲を広げて、よりいいプレーができるようにしていきたいです。

――18日から全日本総合選手権東京予選会が始まり、社会人チームとの対戦も控えていますが、そこに向けての意気込みをお願いします

去年も対戦してみて思ったのが、社会人は打球速度などもレベルが違うということです。それに関しては特段強くないとされているチームでも同様のことが言えるので、気を抜かずに気を引き締めてひとつひとつ勝っていくしかないと思います。またその大会で
もう一度日体大や東女体大などと当たる可能性もあるのでその時は必ずリベンジしたいです!

小野寺詩織(スポ3=千葉経大附)

――今日の試合を振り返っていかがですか

投手が打たれてしまったのが大きいけれど、それと同時に打線も相手に抑えられてしまったので、全員反省しなければならない点がたくさんあった試合でした。

――今リーグ戦ではご自身2番・セカンドでの出場が主立っていたと思いますが、個人としてリーグ戦全体を振り返っていかがですか

全然期待に応えることができなかったかなと思います。もっと神さんから次につないでいくようなバッティングをしたかったです。

――今日もセカンドの守備でファインプレーがありましたが、セカンド守備で心がけていることはありますか

まず確実にアウトにできるような打球はしっかりとさばくということは大事にしていこうと思っていて、それに加えて投手や守備陣を助けられるようなプレーができたらいいなと思います。

――リーグ戦を3位で終えられましたが、この結果に関してはどう思われますか

正直に言うと二次予選に行かずしてインカレ(全日本大学選手権)に出ることができるというのは大きいので、それはそれでよかったと思いますが、もっと今日はいい試合が出来たらよかったという心残りはあります。

――18日からの全日本総合選手権東京予選会への意気込みをお願いします

しっかりと勝ち進んで日体大や東女体大にリベンジできるように頑張ります。