2日間に及んだ初戦、サヨナラで勝利

女子ソフトボール
TEAM
環太平洋短大
早  大 1✕
(9回タイブレーク、サヨナラ)
常盤、○宮川―大内

 4年生の最後の大会である全日本大学選手権(インカレ)。初戦は環太平洋大短大とのカードとなった。試合前に大雨に襲われ、開始時間は1時間以上遅延。悪天候が一時静まったところでプレーボールのコールが起きた。先制して早大ペースでゲームが進むも、7回に勝ち越しを許す。その回の裏、意地で追い付きタイブレークの延長戦に持ち込んだ。それまでぶり返しの悪天候に耐えながら試合が進行していたが、強風と豪雨に見舞われ翌日に続行されるサスペンデッドゲームとなった。28日、青空の下で残りのイニングが行われ、早大は9回にサヨナラで勝利した。

 2回に相手野手の守備の隙をついて先制すると、5回にも角頼遼香(社3=千葉経大付)の二塁適時打で2ー0と突き放す。勝ち越された直後の7回、無失点ならそこで試合終了の場面。増子奈保(スポ1=東京・日出)が安打で出塁すると、代走に神樹里乃(スポ1=北海道・とわの森三愛)が出場。代打峯口和沙(人4=東京・富士見)が中飛で作った2死二塁、1番の大内佳那女子主将(スポ4=千葉・木更津総合)が打席に入った。相手選手たちが大一番での危機にマウンドへ集まる中、二塁では神が練習で塁を駆ける。ゲームが再開すると、「これは10番として見せるしかない」と大内が左翼に鋭い打球を放ち、神が好走塁で本塁を踏み同点に追いついた。延長のタイブレークでは大会規定に基づいて、先頭打者の一人前の打者を二塁に置き、無死二塁の状態で回が始まる。風は勢いを増し、雨粒は大きくなり選手の肌を突き刺す。延長突入直後の8回は1死満塁でサスペンデッドゲームとして翌日に持ち越されたが、得点はかなわなかった。9回、増子が四球、大庭由乃(スポ3=千葉・木更津総合)が足で出塁すると、1死満塁で打席に立った角頼がサヨナラの一振りで白星をもぎ取った。

サヨナラの一打を放った角頼

 先発はエースの常盤紫文(スポ4=千葉・木更津総合)。1年生の頃から試合に出場してきた常盤も 、エンジのユニホームをまとっての大会は最後となる。5回まで三振7個を含む好投球で相手スコアにゼロを並べ、守備から打線のリズムも作った。多くの観衆が早大の勝利を確信していたが、その後に予想外な緊張が走る。2ー0のリードした場面で迎えた6回、相手の4番に二塁適時打を浴び1失点。続く7回も連続安打に重盗を仕掛けられ、走者一掃の三塁打で勝ち越しを許した。打線の踏ん張りで延長に粘り8回、2番手の宮川眞子(スポ3=福島・帝京安積)にスイッチ。宮川もまた下級生の頃から試合の出場経験があり、インカレの後は常盤からエースの冠を引き継ぐことが確実視されている。2者連続の3ボールからの四球で苦しむ場面もあったが、直後マウンドにナインが集合しそれぞれ手を合わせると、残り最終回までの2イニングを無失点で投げ抜き、常盤の力投に華を添えた。

打線は常盤の力投に応えた

 自然の試練と対向しながら突破した第一関門。同日、数時間後に日本文理大との対戦を控えている。体力の消耗が完全に癒えない中での厳しい連戦となるが、歩みを止めている時間はない。サスペンデッドゲームの再開時には晴れていた鹿児島の空も、試合の終わる頃には昨日のような灰色の雲が風に流され、目視でわかるほどに速く移動していた。天候への一抹の不安を抱いて、女子部は休息もそこそこに球場をあとにする。女王のイスに座るために、このチームで少しでも長くプレーするために。頂上を据えて、次の会場へ赴いた。

(記事 廣田妃蘭 写真 中澤紅里、中丸卓己)

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