【連載】インカレ直前特集『prove ~証明せよ~』 第2回 泉花穂×大内佳那×常盤紫文×宮川眞子

女子ソフトボール

 見据えているのは、日本中の大学の頂点のみだ。来る全日本大学選手権(インカレ)の開幕に備え、女子部はコンディションの最終調整に入っている。そこで4年生エースの泉花穂(スポ4=香川・高松南)、抑え投手の常盤紫文(スポ3=千葉・木更津総合)、2年生ピッチャーの宮川眞子(スポ2=福島・帝京安積)、そして今季からマスクをかぶることになった大内佳那(スポ3=千葉・木更津総合)の4選手にお話をうかがった。ワセダ女子バッテリー陣の、東日本大学選手権(東日本)を経た今季の振り返りと、インカレに向けての意気込みを直撃する。

※この取材は8月19日に行われたものです。

「最少失点で」

4年生エースとして投手陣をまとめる泉

――東日本をいま改めて振り返って、いかかでしたか

 チームとしては良い感じで、仕上がってきてるんじゃないかなって思います。

――ご自分の個人的な一面のことなどを振り返るといかがですか

 良い感じですね(笑)。

大内 東日本で感じたことは、失点を防げるところは防げたんじゃないのかなということです。打たれたところもあったんですけど、それ以前にフォアボールで(ランナーを)出してしまったり、エラーで出てしまったりといったところで防げる失点を少なくして、どうにか最少失点でインカレはいきたいなと思っています。東日本を振り返ってバッテリー陣で確認したころは、3点未満でどうにか必ず1試合を終えようっていうのは確認しました。いまはそれに向けて減らせるミスを少なくしていこうと。

宮川 自分は投げさせてもらえる機会を貰えたので、それまで練習してきたことをその試合で出すことができたのかなと思います。

――東日本の収穫はありますか

 ピッチャー三人で継投して投げてるんですけど、誰が行ってもさっき大内が言ったように、3点以内には今のところ抑えられているので。みんなそれぞれ自分の能力をちょっとずつ上げてる途中なので。インカレでは3点以内にはこの三人で抑えられるんじゃないかなって。

――では東日本を終えて、いまはインカレに向けてどのような練習をされていますか

大内 バッティング(笑)。

 バッテリー陣としてはそれぞれピッチャー陣でちょっとタイプが違うので。私ならチェンジアップピッチャーで、宮川はドロップ系ピッチャー。常盤はライズ系ピッチャーで、それぞれ磨かなければいけない球っていうのが違ってくるので。それをちょっと個人個人で練習途中というか。

――春季リーグ戦では優勝を果たしました。改めてリーグ戦を振り返っていかがでしょうか

大内 リーグ戦は、まわりがたくさん点を取ってくれたので、バッテリーとしては切羽詰まった感じはなくて、たくさん点を取ってくれた分、楽に試合を運べたかなというのが一番あります。

――いまもお話しがありましたが、今年は特に打撃がすごく好調で、点を取っているイメージがあるのですが、周りが点を取ってくれるというのはやはりバッテリー陣から見ても安心するという部分はありますか

 ありがたいです。…(みんな)付き合ってしゃべってよ!

一同 (笑)。

――リーグ戦で優勝できた要因は、振り返るとどこにあると思われますか

 何だろうな…。

大内 勢いはありましたよね。チーム全体に。なんとなくこう、いける感じが。

――東日本やリーグ戦を含め、今季ここまでの戦いを振り返って、みなさんが一番成長したと思う部分はどのあたりですか

 課題は…まあたしかにいっぱいあるんですけど、私はやっぱこう、いままでストレートとチェンジアップしかなくて。で、こう上がる球っていうか…うーん。

一同 (笑)。

 ライズ系のボールがなくて。ちょっと試合とか厳しかったんですけど、今あけてそれができて、自分で投げれるようなって、それを使えるようになったので、まあそこは成長したんじゃないかなって。思います。

宮川 自分も速いボールしかなくて、そのボール一本でなんとかしようっていうふうに思ったんですけど、やっぱそれじゃあ全然通用しなくて。でも練習してきたドロップがやっと落ち着いてきたっていうか。だんだん自分の力となってきたので、それを軸にしたピッチングをできるようになったのかなって。

――大内選手はいかがですか

大内 今年新チームになってからマスクを被り始めたんですけど、うちのピッチャー陣は相当レベルが高いので、それを自分…あっ。

 おかしい…。

大内 ちょ、あんまり練習は褒めないんですよ!そうなんですよね。あんまり練習褒めないタイプなんで、これ言うのやめ…。

 涙が出てきた。

一同 (笑)。

大内 自分ちょっとあんまり褒めないタイプなんで、あの、言わないんですけど。まあでも正直、この三人はたぶん日本でもトップレベルのピッチャーであるので、それを自分自身がどうリードしていくかっていう、それがたぶん失点数を少なくするかぎだと思ってて。まあ最初のころは結構打たれたりとかもして、ピッチャーと初めて組むのもあって合わなかったりっていうのも、あったんですけど。少しずつ試合を重ねたり練習をするごとに、それが少しずつ合ってきて。ここ最近はあまりこう点を取られることもなく、2点3点ぐらいで収められてるっていうのは、少し成長した点かなっていうふうに思います。

宮川 一番喜んでる。

 (笑)。

――常盤選手はいかがですか

常盤 頑張りました。

一同 (笑)。

常盤 分かんない。

 分かんない?常盤はなんだろうな…常盤は…。

大内 後ろでできるようになったのが大きいんじゃないですか。

 そう。先発ピッチャーだったんですよ。ずっと。で、私と宮川が後で抑えるピッチャーだったんですけど。最近は私たちが先に行って、常盤が抑えてくれるんですよ。っていう後発のピッチャーにも対応ちゃんとできている、みたいな。絶対抑えてくれるんですよ。大事な試合で。だから私たちは常盤が来るまで、全力で投げ切って、常盤に出て抑えてもらえてるっていう感じですね。

――ご自分の感覚としては抑えに変わっての変化はありますか

常盤 ない…。

一同 (笑)。

 こんな感じです(笑)。

「ピッチャーのことを大切にしてくれる」

今季捕手として大きく成長した大内

――今チーム内で何か流行していることやマイブームはありますか

 なんだろうなあ…なんかあるかな。なんかある?

宮川 ええ、なんかありますか。

 ないね。

大内 ないですね(笑)。

 なんかもう延々と練習してる。

一同 (笑)。

 なんもない…。

大内 変化もない(笑)。

――では、試合前のルーティーンや、やろうと決めていることはありますか

宮川 自分はアップをだいたい同じ流れでやって、考えることというか、自分に言い聞かせるっていうか。言葉を…言わないんですけど、心の中は言うようにしているというか、毎回やるっていうのは。

 試合前は、とにかくあんまり宮川とは、そんなにちょっと、1試合目2試合目の先発でちょっと試合的に違うんで、常盤と試合とまったく関係ない話をして。まあ集中してるんですよ。一回試合を忘れてます。リラックスしてるかな(笑)。

常盤 ライブする。

 あ、ライブ。ライブが始まる。

大内 ああライブが…(笑)。

 ライブ始めます。自分たちと、勝手に振付つけて。踊りを一生してるんですよね。

大内 相手チームにちょっと聞こえてるんじゃないかっていう。

一同 (笑)。

――最近何か特に歌っている曲はあるのですか

 いや。日によって、ね?重なることはないんで。いろいろ。そう。対応。結構ディズニー系が多い。

大内 ディズニー系(笑)。

 ハクナ・マタタ。

一同 (笑)。

大内 ライオンキング(笑)。

――大内選手はいかがですか

大内 あんま試合前は配球のことを考えないで、自分のバッティングのことだけ考えてます。これあんま言ってないんですけど(笑)。だから、いま1年生が入ってきてくれたんで、ピッチャーの球はギリギリまで後輩たちに捕ってもらって、なるべく打つ方で考えて、最後の最後だけボールを捕って、「きょうどんな感じかな」程度で、あんまり考えないようにしてます。

――ふだん配球について決めるのは、試合の直前にピッチャーの方々とお話しているのですか

大内 そうですね。ピッチャーのその日の球、そしてどの球が調子いいかを添いながら考える。で、「今日はこれ多めに使おうかな」なんて考えながら、あとは先生と相談をして決めたり。

――常盤選手は何か今ルーティーンはありますか

常盤 ないです。

 ないんかい、いま言うたやん(笑)。

常盤 ライブです。

 ライブ、ライブ。

常盤 ライブしてます。

 ライブしてます(笑)。

――お互いの印象をお聞きしたいのですが、まずは三人から見て泉選手は

常盤 シジミとホタテ。

 あっ?

常盤 シジミとホタテ(笑)。

 それは流さないようにしよう。

一同 (笑)。

 全国ネットだからさ、あまり…。シジミは、まあ私目がちっちゃいじゃないですか。

一同 (笑)。

 これがなんかシジミらしいんですよ。みんなが言うには。そんなちっちゃくもないのに。で、なんか…いつだっけパーマかけたの。2年。2年生のときに一回パーマかけたんですよ。それがなんかホタテのあのヒラヒラのに似てるみたいな。で、なんかね。シジミとホタテ。らしいです。実際自分はそんなこともないんですけど。

大内 こんな感じでポジティブですよね(笑)。

一同 (笑)。

宮内 花穂さんのいいところ。あの、ご飯お願いします。

 ご飯?

宮川 ご飯連れてってください。

 いいよ。いいこと言ったらね。

宮川 はい。花穂さんは、誰よりも他人を、すごく自分と同じように見てくれる、すごく優しくて、ピッチングで練習してて、自分が悩んでるときとかに「大丈夫?」っていうか。誰にも言ってないけど花穂さんは気付いて隣に来てくれて、一緒に考えてくれたりとか。すごく…。

 そんな人なんだあ。花穂さんって。すごーい。いい子だね。真面目でね。

宮川 全国ネットだからちょっと考えなきゃと思って。

一同 (笑)。

 もうちょっと言おう。なんか、もう1個なんかない?

宮川 頼りにしてます。

 あっ違う。大内、いいこと言おう。

大内 いいこと…えー。

常盤 美脚。

 え?

常盤 美脚。

大内 容姿しか言ってない(笑)。

一同 (笑)。

 いい。美脚。それも言っとこ。

気迫のこもった投球を武器とする宮川

――では三人から見て宮川選手はどういった印象ですか

宮川 よろしくお願いします。

 そんなないかな、でも。

宮川 そんなないかな(笑)。

大内 日本語が通じない?

 日本語が通じないんだよ。

――それはどういったときに

 話が続かないというか…。

大内 いやなんかこう、同じ話をしてるつもりなんですけど、いつの間にかこう道がそれてるっていう。道が変わってたりする。

――かみ合わなくなってくるときがあるということですか

宮川 たぶん…話聞いてはいるんですけど。理解、が。

 乏しい。

大内 理解力が乏しい(笑)。

 いいとこだねえ。

宮川 いややっぱそれが、いい感じにまわってるからやっぱり。みたいですかね。試合のときとか。

大内 まあこっちは疲れますね。

 なんか試合で、胸ないのに胸張って、めっちゃ堂々としてるんですよ。それはまあかっこいいかなって。

大内 (笑)。

宮川 全然なんかこう、こないんですけど…。

 堂々としてる。緊張はたぶんしてるんですけど、まあ試合で堂々としてるとこがいいなって。

――実際に試合のときは緊張はされますか

宮川 めちゃめちゃ緊張します。だからこう、ばれないように…。

大内 いやばれてるけど(笑)。

一同 (笑)。

 めっちゃ目泳ぎよる。

大内 そう、目が泳いじゃうから。胸だけは張ろうかなっていう。

宮川 声かけてくださるんで、先輩のピッチャーも、大内さんも、自分が無言になったらガーッて言ってくれるので。その言葉を頼りに自分は1試合とか投げれたりするので。本当に、いい先輩方に恵まれました。

 いいこと言うな。

――三人から見て大内選手はどういった印象ですか

 怖い。

大内 他なんかないんですか(笑)。

 なんすかね…もっとこう、なんかこう、いい球いかないとき、自分でもいい球いってないってわかるんですけど、さらに言ってくる。なんかこう、「ダメだないまのは!」とかいう感じで。

大内 追い打ちをかける。

 つらい。つらいっす…。

一同 (笑)。

 つらい。それで、まあたしかに次いい球投げようとはめっちゃ思いますけど、そこまで言う?っていうとこまで言ってくると、つらい。心が痛い。いっつも。

――宮川選手も同じ思いがありますか

宮川 私は後輩なんで、あんま言えないです。

大内 一番手がかかるんで。

宮川 いやでもやっぱり、大内さんは誰よりも考えてくれてます。

 まあほんとに、一番自分たちのことは、大内が一番考えてるんじゃないかなって。ね。

宮川 それぞれピッチャー違うから、苦労して…。

大内 一番苦労かけてるのお前だからな。

宮川 自分すか(笑)。

大内 (笑)。いやなんか、やっぱ花穂さんとか常盤は、だいたいこうフィーリングで自分が投げてほしいところとか分かるんですけど、こいつに限っては、一から十まで説明しないと、なんか…とんでもない勘違いを(笑)。

宮川 いやまあ…ちょっとフィーリング乏しいんで。

一同 (笑)。

――配球している、要求している理由をちゃんと説明しないと、ということですか

大内 はい。

宮川 まさにそうなんです。

大内 例えば、配球してて花穂さんとか常盤は、たぶん自分は次の球で勝負したいからここは見せ球だろうなっていう風に感じてくれるんですけど。宮川に限っては、感じずそこのまま入れてきて打たれるってね。

宮川 なんならこのへんにこう書いてほしいです。カンペ。

 カンペ(笑)。

宮川 いやでも、大内さんから学んだことは、ほんとに多いので。

 まあソフトボールに関しては頭がいいので。

大内 待って、だから「関しては」ってなんすか!

 だから、まあ自分たちよりかは配球のこととか分かってるんで、自分たちは自分たちで配球できないから、もう全部大内に任せてて。それもチームのことも全部見てくれるし、ピッチャーのことも考えてくれるし、配球のことも考えるし、バッティングも考えなきゃいけないし、でもたぶんいっぱいなんですけど、やっぱり自分たちのことは、ピッチャーのことを大切にしてくれるんで。まあそこはね?いいかな。

大内 やっぱ怖いって返してください。

一同 (笑)。

――常盤選手は大内選手と高校も同じということですが

大内 常盤のほうが怖いって思ってますよね。

常盤 怒られる。

大内 全然そういうのしかないじゃないですか!

――ピッチャー三人の総意として怖いと

 みんな怒られる。

大内 ちょ、待って待って。反論ですけど、自分、大会では優しいですよね!?

 うーん。

――怖いのは練習中ということですか

大内 はい。

 いやー…。

大内 待って、大会では絶対に怒ったことないじゃないですか。

 いやー、まあ…。

大内 もうグルじゃないですか!

――常盤選手も深くうなずいていらっしゃいますが

一同 (笑)。

 常盤は一番分かってると思う。高校も一緒だったし。ねえ。しんどいねえ常盤。まあ信頼はしてます(笑)。

――最後に、みなさんから見て常盤選手はいかがです

 なんかねえ。まあなんだろうな…どすこいって感じ。

大内 どすこい(笑)。

 マウンド度胸があるというか。たぶん緊張は、まあ、するんですけど、なんだろう。安定して投げれる、かな。一番安心するよね、たぶん。この三人の中でたぶん一番安心できるピッチャー。まあとにかく食べますね。永遠になんか食べてます。

大内 永遠に(笑)。口が寂しくなっちゃうからね。

 ずっと、練習中も、結構東日本でも大事な大会でも、ずっとお腹空いたって言ってて。

一同 (笑)。

宮川 すごいの一言です。マウンドさばきもなんですけど…。

大内 マウンドさばき(笑)。

 さばき(笑)。度胸ね(笑)。

宮川 あ、マウンド度胸も!ピッチングの技術とか、敵を圧倒させるというか、本当すごい…。自チームからしてすごいなって。

 相手にいてほしくないね。

宮川 自チームで良かったっていうぐらい、本当に大きな存在で。結構プライベートでも、後輩の自分たちをどんどんご飯とか誘ってくれたりとか、一緒にここ行こうよとか気軽に誘ってくれて、すごい頼りになる先輩です。

大内 自分は高校も一緒だったので、やりやすいと言えばやりやすいかもしれないですね。ことしで(付き合いが)6年くらいになるので、高校3年間も寮でしたし、なんとなくこう考えているんだろうなということを一番感じ取りやすいというか。こんな感じなのであまり見えないんですけど、ランナーを背負ったときに発揮するパワーは、説明できない現象というか。

 おかしいんですよね。怖いんですよ(笑)。

大内 ランナーがいないときだとパーンって打たれたりするんですよ(笑)。気を抜いてるのかわからないですけど、でも打たれてから「やばい」ってなってかかるエンジンは他の人にはない、数段ギアを上げてくる感じですね。そのパワーはやれと言われてできるものではないので。

 自分たちもギアは確かにかかるんですけど、自分たちも「やばい」ってなるんですけど、それが自分たちよりも格段に上な感じですね。

大内 たぶん無意識なんですよね。ピッチャーとしての資質というか。

「このチームで良かったと思えるように」

今春のリーグ最優秀選手賞にも輝いた常盤

――いまのワセダのバッテリー陣の強みは

宮川 うちはあまり一人で完投するということがなくて、継投策を採ることが多くて、それは相手から見てもピッチャーが変わるのは嫌なことだと思うので、そこが強いところかなと思います。

 そうですね。継投も継投で、キャッチャーがしっかりしていないとキャッチャーがピッチャーのそれぞれの能力や特徴を知っていないと、配球も全く違ってくるので。キャッチャーがうちはしっかりしているので、いけてるんじゃないかなって。あとはピッチャーとしては仲の良さですかね。ご飯とか行くので。今度遠征行くんですよ。ピッチャーで。お台場に遠征しに行くんです。あとは信頼感ですね。私だったら、私の後に常盤がいてくれるって思って全力で常盤が来るまで頑張ろうと思える信頼感が自分たちにはあるんじゃないかなと思います。

大内 私は先程も言ったんですけど、三人ともトップレベルの選手であるので、苦しいときに継投しても次に出てくるピッチャーで抑えられるだろうなと思えます。継投しても安心感があるのはうちの強みかなと思います。さっき花穂さんが「リードしてくれるから」って仰ってたんですけど、リードというより、自分としてはピッチャーのボールに助けられている部分が多いので、それは結構ピッチャーを信頼してますね。抑えたらピッチャー陣のボールがすごかったということ、打ち込まれたらそれは自分のせいなので。

 いつもと違うな、言ってることが(笑)。

大内 そりゃそうですよ!言わないですよこんなこと(笑)。普段結構怖がられてるというか、(強く)言うんですよ。「何でそんなところ投げたんですか!」とか「いまのところ投げたら打たれますよ」とか(笑)。結構言うんですけど、それには裏がありまして、これちゃんと反論しないと(笑)。試合を見ていると、だいたい1球で決まることが多くて、東日本だったら最後に宮川が打たれてしまったのも若干甘くてバッターからしたら打ちやすいボールだったんです。だいたいそういう1球で(試合は)決まってしまうので、自分としてはそういう1球で後悔して試合を終えてほしくないという気持ちがあって。ピッチャーが完ぺきに投げたボールで打たれてしまったら後悔はしないと思うんですけど、投げた球が甘くて打たれてしまったらずっと後悔すると思うので、そう1球を自分は投げてほしくないという意味で厳しくしている、という反論です。花穂さんとかは「あそこでフォアボール出さなければ良かった」とか試合後に言うんですけど、その前に何とか止めたいという(笑)。

――試合を決める1球やバッターというものは必ずあるのですね

大内 そうですね。必ずタイミングというものがあるので。そのタイミングで勝てば必ず試合の流れはこちらに来ると思うんですけど、そのタイミングで負ければ試合にも負けてしまうので。そういう大きな役割を担っているので、そこで負けてほしくない、後悔をしてほしくないので厳しくはしています。でも試合中は優しいですよ。優しいじゃないですか(笑)。

宮川 自分で言っちゃいましたよ。

 自分で言っちゃったね。

大内 いやそんなに怖いって言われたら反論しないと(笑)。

――投手それぞれのアピールポイントは何でしょうか

 じゃあ2年生からいこう。

宮川 自分しかいないじゃないですか(笑)。自分は速いボールと遅いドロップを使った緩急を生かしたピッチングが持ち味です。その緩急を生かして、あまり三振を取りにいくピッチャーではないんですけど、要所要所で取れたら良いなと思っています。あとは打たせて取るピッチングで、守備でリズムをつくってバッティングにもつなげてほしいなという感じです。

常盤 自分の持ち味はテンポが良いところです。

大内 (常盤選手は)投げるテンポがすごく良いので野手陣としては、自分も昨年までは外野だったので、常盤のテンポはぽんぽん投げてくれるのですごく守りやすい部分があります。テンポが良いとエラーも出にくくなるのでそれが常盤の持ち味ですかね。

 私はどちらかというと、常盤は空振りが取れるピッチャーなんですけど、宮川と私は打たせて取るピッチングで、ドロップ系のストレートを主体に緩急の差を付けることと、ライズ系の上がるボールを使います。ライズもそこまですごく上がるものではないんですけど、フライを上げてくれれば良いなという感じで。私も野手に打ち取ってもらいながら一人一人抑えていくというピッチャーです。

――大内選手はことしから正捕手として活躍されていますが、リードの面で気を付けていることや苦労はありますか

大内 大切にしていることは自分自身が自分の配球に対して不安にならないようにということですね。ピッチャーは打たれてしまうとどうしても不安になってしまったり嫌な感じになってしまうと思うんですけど、自分まで自分の配球に不安になってしまうと共倒れになるので。ピッチャーには自分の配球通りに投げたら大丈夫だと信頼してもらうこととか、そういう声掛けを大事にして、ピッチャーを不安にさせないことをこの1年間で大事にしてきました。苦労したことは、そんなに経験があるわけではないので、配球だけではなくて、いろいろな連携のときにどこに投げたら良いだとかそういう野手に対する声掛けだったり、経験値のない部分では苦労しましたね。でもやるしかないので、いろいろ反省しながら1年間やってきて、ピッチャーに助けられながら野手に助けられながらやってこれています。

――インカレでは初戦で強豪・園田学園女大と対戦しますが、組み合わせを聞いてどのように思いましたか

 またか。やばいなって(笑)。勝ち進んだらいつかは当たるなと思っていたんですけど、初戦かって。1年生の時に園田に負けてそのまま園田が優勝してという感じだったので、今回は園田に勝って次は自分たちが優勝してやろうという風には話していました。苦手意識は持ちたくないというか持ってはいけないので、気合入れてやらないといけないチームなので、これからビデオ見たりいて対策考えないとなと思っています。

――園田学園女大を攻略するためにバッテリーに求められることは

大内 花穂さんは初戦で当たると聞いてやばいなと感じたと言ってましたけど、自分としてはこのピッチャー陣でなら勝てると思っています。最初に園田と当たるし(トーナメントの)山が激戦区で。

 そうなの?

大内 こんな感じでうちのピッチャーは試合の開始時間も知らないくらいで、東日本でも9時半試合開始と思って準備していたくらいなんで。自分としては順調に東日本のように勝ち進むよりは強いところと当たって優勝する方が面白いなと思っているので、園田と当たると聞いたときは面白そうだなと思いました。ピッチャー陣は強打者ぞろいなので嫌なイメージがあったと思うんですけど、逆にそれを意識しすぎないことが対策かなと。意識しすぎて自分たちが縮こまると思い通りのプレーができないので、あまり意識しすぎず1人の打者として対戦することが対策だと思ってます。だからどちらかというと打者陣が打つことが一番のカギかなと。自分はバッターもやっているのでどうにか援護してあげたいなと。東日本やその後の練習試合でも得点力不足が課題になってきているので、東日本の東京富士大戦も1点だけだったので最後にひっくり返されてしまって。それは打たれた側よりも打たなかった側の方に責任があるので、どうにかインカレでは打力で春リーグのように援護したいなと思います。バッテリーはこのままいつも通りに3失点以内に抑えていければそんなに気負う必要はないのかなと思います。

――インカレに向けていまのチームの雰囲気は

 良いですね。私が4年間やってきて、いままでで一番仲が良いと思います。いやすいというか。

大内 仲は良いですね。

 良いチームだなって(笑)。そう思いながら練習してます。

――インカレへ向けての意気込みをお願いします

 私は最後のインカレで、大学生最後の試合なので、この子たちと一緒に日本一になって、本当に信頼しているので、この子たちに胴上げしてもらおうかなって思っています。

大内 でも一回もやったことないんで落としたらすみません。それが一番心配なんですよね(笑)。

 こんなこと言うのもあれですけど、大好きなんでね(笑)。頑張ります。

――他の皆さんのインカレへの思いはいかがでしょう

大内 いまの4年生とは一番長くやってきたんですけども、自分たちの学年はキャラが濃い個性派ぞろいなのでたくさん迷惑も掛けてきて、そんな自分たちでも先輩方は引っ張ってきてくださってすごく感謝しているのでどうにかして自分は4年生を勝たせてあげたいなという思いが強いです。なので最後のインカレの舞台で少しでもチームに貢献して少しでも恩返しができればなと思います。日本一になってこのチームで良かったと思えるように結果を残していきたいです。

宮川 ワセダは1年生から4年生までみんな仲良くて、上下関係も程よくあって、みんなで一緒に頑張ろうって思える雰囲気の良さが自分たちの取り柄だと思うので、その力をインカレでも初戦に全部ぶつけるくらいのつもりでできれば上の方まで良い先輩方と、4年生と最後まで勝ち進めるんじゃないかなと思うので頑張りたいです。あと個人的にはきょねんはただベンチに入るだけという感じで、試合への親近感はそんなに湧かなくて先輩たちが試合をしているという感じだったんですけど、2年生になってこの先輩と勝ちたいというふうに思ったので、チームの役に立つように、試合に出る機会をもらえたら、勝利に貢献できるように頑張りたいなと思います。

――チーム全体の目標は

 インカレ優勝です!

――ありがとうございました!

(取材・編集 藤川友実子、廣田妃蘭)

全身で『W』を表現してくださいました!

◆泉花穂(いずみ・かほ)(※写真左)

1993年(平5)8月25日生まれのO型。159センチ。香川・高松南高出身。スポーツ科学部4年。投手。色紙に書いてくださったインカレへの意気込みは『弱肉強食』。厳しい戦いへの決意表明でしょうか。言葉とは対照的なかわいいお肉の絵も描いてくださいました。

◆大内佳那(おおうち・かな)(※写真中央左)

1994(平6)年10月1日生まれのA型。158センチ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部3年。捕手。湘南乃風が好きだという大内選手。「自分の登場曲を設定するとしたら」という質問に、湘南乃風の『黄金魂』と挙げてくれました。実際に試合に向かうバスの中でも、一曲リピートにして気分を高めるのだそうです。

◆常盤紫文(ときわ・しゆき)(※写真中央右)

1994年(平6)11月16日生まれのB型。156センチ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部3年。投手。泉選手に倣って四字熟語を色紙に書くことにした常盤選手。選んだ言葉は『一石二鳥』。こちらの二羽の鳥は石川沙恵選手(社4=静岡・常葉学園菊川)に描いてもらっていました。

◆宮川眞子(みやかわ・まこ)(※写真右)

1996(平8)年1月11日生まれのB型。163センチ。福島・帝京安積高出身。スポーツ科学部2年。投手。自分の登場曲を設定するとしたら、という質問に対し、アニメ「ドラえもん」のオープニング曲である「夢をかなえてドラえもん」と回答した宮川選手。取材中も歌い出しのフレーズ「心の中」を口ずさんでいました。