2014年以来の景色を見るために、目標はただ一つ/インカレ展望

男子ソフトボール

 いよいよ明日、9月9日から富山県富山市にて、全日本大学選手権(インカレ)が開催される。チームを引っ張ってきた4年生にとっては、学生生活最後の大会だ。荒川健祐男子部主将(スポ4=神奈川・柏陽)を中心に昨秋からチームを作り上げてきた今年度のソフトボール部男子部。この1年間、昨年度インカレのベスト4を超すべく、そして10年ぶりに頂点の景色を見るべく鍛錬を重ねてきた。そんな荒川組も決して順風満帆ではなかった。新体制となって初めて迎えた東京都大学連盟秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)では、記録が残る2001年以降で初となる5位に沈んだ。続く関東大学選手権(関カレ)では、過去5年で最低の成績となる2回戦敗退で関カレを終えた。多くの部員が「苦しい秋となった」と振り返ったが、そんな中、チーム一丸となり冬にトレーニングを重ね、春を迎えた。春のリーグ戦(東京都大学連盟春季リーグ戦)では強敵国士館大相手に競り勝ち2位。全日本総合選手権東京都予選会(全総)ではベスト4と着実に結果を出した。そして、東日本大学選手権(東日本インカレ)では関カレでコールド負けを喫した国際武道大相手に勝利し、秋の雪辱を果たす。今年度のインカレでは、2回戦で日体大、続く3回戦で環太平洋大との対戦が予想される。日体大には今春2戦2敗、環太平洋大は昨年度のインカレで敗れた相手だ。それでも、東の王者、西の王者といっても過言ではないこの2校を倒し、日本一を目指す早大ソフトボール部にとって相手に不足はない。雪辱を果たし10年ぶりの景色を見るために。さあ、日本一へ駆けあがる物語の始まりだ――。

 今年度の男子ソフトボール部の特徴として、3年生の躍動があげられる。もちろん、インカレでもキーマンとなることだろう。多くの部員がインカレのキーマンに挙げた人物として小出拓実(人3=東京・杉並)がいる。早大のリードオフマンを務める小出が出塁をすることでチームに勢いをもたらすことができるかに注目だ。中軸には昨年度のインカレの日体大戦で劇的なサヨナラ2点本塁打を放った斎藤向陽(社3=群馬・新島学園)や国士館大の好投手、大坪優也(4年)から今春のリーグ戦で本塁打を放った畠山陸(スポ3=高知・高知西)が座る。走者をため、長打力がある彼らにつなげることができるかが打線の鍵の一つであろう。早大が誇る絶対的エース稲垣拓朗(スポ3=群馬・新島学園)の存在も語らずして通ることはできない。今春国士館大相手に14イニング1失点。昨秋コールド負けを喫した国際武道大に東日本インカレでノーヒットノーランを達成するなど、強敵相手でも絶対的な投球を見せる早大のエースがインカレでも圧巻の投球を披露できるかに注目だ。

リードオフマンとしての期待がかかる小出

エースとしてチームを支えてきた稲垣。圧巻の投球を披露したい

 もはや4年生の存在感は言うまでもない。チームを支える柱として、現体制を作り上げてきた漢達の活躍に目が離せない。荒川健祐男子部主将をはじめとして、誰よりもチームのことを考え、日本一への思いを寄せる4年生。稲井宏平副将(法4=埼玉・早大本庄)や山崎佑太郎(商4=埼玉・早大本庄)をはじめとして、4年生のワンプレーからチームを勢いづけ、早大の導火線になれるかが注目だ。佐藤慶弥副将(スポ4=静岡・飛龍)、川崎晴(スポ4=東京・早稲田)といった4年生投手陣も3日間のハードな日程を勝ち上がるには欠かせない存在だ。有終の美を飾るべく、4年生の活躍に期待がかかる。

主将としてチームを支えてきた荒川男子部主将

 戦術面では、バント・バスター(バンバス)とヒッティングの組み合わせが挙げられる。東日本インカレではバンバスを多用し、ベスト4まで勝ち残ったことが記憶に新しい。東日本インカレで見えた、バンバスとヒッティングをいかに組み合わせるかという課題に対応し、どのように走者をため、どのように走者を生還させ、得点を重ねていくのかにも注目だ。

 「日本一」。この目標に向けて、早大ソフトボール部は日々鍛錬を重ねてきた。「日本一」という森然たる目標の前にチームは1つとなって、前に進んできた。1日でも長く4年生とソフトボールをするために。後輩に日本一の景色を見せ、笑顔で終わるために。令和5年度早稲田大学ソフトボール部男子部の最後の戦いがついに始まる。

チーム一丸となって日本一に突き進む

(記事 橋本聖 写真 星野有哉、沼澤泰平)