4年ぶりの準決勝進出!いざ、宿敵の待つ最終章へ

男子ソフトボール
2回戦
香川大      
早 大       10
○杖子、山内―実重
◇(二塁打)石井、鳥岡、実重 ◇(本塁打)前多、織部
準々決勝
早 大
神戸学院大
○杖子-実重
◇(二塁打)川上、織部

 杖子量哉(スポ4=岡山・新見)は最後の打者を打ち取ると、マウンド上で両腕を高々と突き上げた。4年ぶりの準決勝進出――。7回を投げ抜いたエースの姿は、その喜びをかみしめるようなたたずまいであった。ダブルヘッダーとなったこの日。香川大をコールド勝ちで蹴散らし勢いをつけると、午後に行われた神戸学院大戦では、織部雅之(スポ3=宮崎南)の適時打などで要所を押さえ、勝利。あすの準決勝へと駒を進めた。

 2回戦の相手は香川大。この試合もエース・杖子量哉(スポ4=岡山・新見)が先発のマウンドに立った。立ち上がりいきなり2安打を浴びたが、落ち着いて後続を断ち、初回を無失点で終える。その裏の攻撃、先頭打者が左中間のフェンス直撃の二塁打を放つと、内野ゴロと安打で2死一、三塁の好機をつくる。ここで打席には前多悠登副将(人4=東京・小山台)が入った。前多が振り抜いた打球は中堅方向への大飛球となり、相手中堅手が捕球を試みジャンプするも、打球はグローブを弾いてフェンスを越える。これが先制の3点本塁打となり、ダイアモンドを回る前多は力強く雄たけびを上げた。続く織部雅之(スポ3=宮崎南)もセンター左にアーチをかけ、2者連続本塁打でこの回4点を奪取。2回裏にも長短打を絡めて6点を追加すると、ここまで無失点の杖子はお役御免。後輩の山内壮起(スポ2=千葉・成田国際)にマウンドを託した。山内は制球に苦しむ場面もあったが、3回、4回を無失点に抑える。4回を投げ切った時点でコールドの条件を満たし、10-0で完勝を収めた。

香川大戦の初回に本塁打を放つ前多副将

 準々決勝では神戸学院大とぶつかった。早大は初回、四球と安打で走者を溜め1死一、三塁とすると、4番・鳥岡健主将(スポ4=岡山・高梁)に打席が回る。その初球が大きく逸れた。捕手はこれを止めることができず、ボールは後ろへ転々。この間に三塁走者は帰還し、ラッキーなかたちで先取点を奪った。3回には、この回先頭・川上卓也(スポ3=岡山・新見)の右翼線上への二塁打を皮切りに好機を広げ、1死二、三塁。打席には、香川大戦で本塁打を放った6番・織部。「カウント的にチェンジ(アップ)も頭にあった」(織部)。4球目、そのチェンジアップにうまくタイミングを合わせ、外野へと運んだ。これが適時二塁打となり、さらに2点を追加。値千金の一打でリードを広げた早大ベンチは歓喜に沸いた。

貴重な2点適時打を放つ織部

 ところが3回、追い上げを食らう。先頭打者に死球を与えると、次打者にも左前安打でつながれる。続く打者の2球目、打球が遊撃手・丹野太郎(スポ3=兵庫・滝川学園)の前に転がり、打ち取ったかのように思えた。しかし、丹野がこれを二塁へ悪送球。これを確認した走者は一気に本塁へと駆け込み、1点を失った。1つアウトを取り、1死二、三塁。ここで相手打者が放った打球は左飛となった。タッチアップを狙った三塁走者が本塁めがけて突っ込んでくる。だが、『流れ』は絶対に渡さない。左翼手・梶谷陽介(法2=神奈川・柏陽)が捕球するなり、本塁へストライク送球。見事な刺殺で、この回を最少失点で切り抜けた。5回には、杖子の失投を捉えられ本塁打を許したが、7回に早大は敵失で1点を追加。そして裏の神戸学院大の攻撃をかわし、ゲームセット。勝利の瞬間、杖子は両腕を力強く突き上げた。

梶谷の好返球を受け、走者をブロックする実重僚右(人4=高卒認定)

 4年前、早大は3年連続で全日本大学選手権優勝を収めていた。準決勝進出はそれ以来である。ここまで勝ち進むことができたのは、ようやく打線に活気が戻りつつあることに要因があるだろう。今回のインカレで早大は、3試合中2試合が2点差以内の接戦。その中で、ワンチャンスをものにし、『流れ』をつかめていることは確かだ。あすの準決勝の相手は国士舘大、そして決勝に進出すれば、おそらく日体大が待っているだろう。両校共、この一年幾度となく辛酸をなめさせられた相手だ。苦しめられた宿敵をこの大舞台で撃破し、4年ぶりの悲願なるか――。いよいよワセダの真価が問われる。

(記事 石﨑開、望月優樹、写真 守屋郁宏、柴田侑佳、望月優樹)

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コメント

鳥岡健主将(スポ4=岡山・高梁)

――きょうの2試合の戦いぶりを振り返っていかがでしたか

ここ3年くらいは全然結果を出していないので、目の前の一戦に向けて。勝てば2つ試合があるけど、まずは目の前の香川大と戦って、そこに勝ったら次の神戸学院大ということで。一つ一つ目の前の試合に集中して入れました。

――チームとして、いい場面で一本が出て、スムーズに得点が奪えているように思えます。そのあたりの手ごたえとしてはいかがですか

まだ100%噛み合っているわけではないんですけど、日替わりで打つ人が出てくるというのもあるし、今まで調子が悪かった人も(状態が)上がってきているというのもここ3試合すごくあるので。そういう意味では、そこが粘り強く戦えている要因だと思います。

――リーグ戦中は、先制してから中押し、ダメ押しができずに終盤逆転されるケースも目立ちました。インカレでしっかり追加点が取れている要因はなんだと思いますか

本当はもっと大量得点でズドンといきたいんですけど。トータルで見たらあまり点数は取れていないかもしれないですけど、先制した後なるべく早い回で次の点を、相手より先に取るということはできているので。そこに打線としての成長があると思います。

――小技を使える選手が非常にチームにとっていい動きをしているように思われます。その点に関する手ごたえはいかがですか

守備は梶谷(陽介、法2=神奈川・柏陽)も髙橋(尚希、スポ2=宮城・泉館山)も頑張ってくれていると思うんですけど、バッティングがちょっとまだ、直前の練習試合やここ一か月の調子の良さと比べて本調子じゃないのかなというところがあるので。でもその中でも、しっかり堂々とプレーしてくれているし、梶谷もきょう1本内野安打をもぎ取っているし、非常に良いのかなと思います。

――明日はいよいよ、東京都大学連盟における二大強者のうちの一校・国士館大との対戦となりますが、意気込みをお願いします

ますここ3年間、最終日に残れていなかったというところで、(今年は)一つ殻を破れたと思うし、このチームは一年間結果が出ていなかったんですけど、今大会を通して成長できているので。その勢いと、いままでやってきたことを活かして。やっぱり、自分たちがチャレンジャーなので、ドンとぶつかっていきたいと思います。

杖子量哉(スポ4=岡山・新見)

――初戦で勝利し、ダブルヘッダーとなりました。2試合目に関して、疲労などはありましたか

1試合目(香川大戦)はコールドで決まったし、(途中から)山内(壮起、スポ2=千葉・成田国際)も放ってくれていたので、あまりなかったです。もう(2回戦で)投げないって決まったときから次の試合のイメージを始めていたので、疲れとかもなく、良いかたちで試合に入ることができたと思います。

――今日の調子としてはいかがでしたか

なんか球が速くて(笑)、ガンガン押せていました。その分チェンジアップでかわそうとしなくてバットに当てられるということが多かったので、カウントの取り方とかはあまり良くなかったかなと思います。

――投球内容を振り返っていただけますか

1、2回は90点くらいですけど、そこからはあまり良くなかったかなと思います。いっぱい三振を取りたかったんですけど、あんまり取れなかったので。ただ、結果的に打たせて取るというかたちになったのは良かったかなと思います。

――本塁打を許したシーンは失投を捉えられたのでしょうか

そうですね。ドロップが甘く入ってしまって、持っていかれてしまったという感じです。

――周りの打者と比べ、対戦時に一段とボールに力がこもっている打者もいたように思いましたが

知り合いですね(笑)。最後のバッターも高校の同期で、ホームランを打たれたバッターも高校の後輩でした。すごく楽しくできましたね。

――念願の最終日への進出を決め、4強には日体大や国士舘大が順当に勝ち上がってきました

やっぱり僕らは国士と日体に勝つということをずっと目標にしてやってきて、僕の中でも国士と日体以外に負けるのはすごく嫌だなと思っていました。国士舘とも、今年はまだ(大学)日本代表で(主力選手が)いなかったチームとしかやっていなくて、フルメンバー同士でやっていないので、すごく楽しみなところはあります。

――悲願へ向け、どういった準備をしますか

疲れを取らないといけないし、でも結局最後は気持ちの強いほうが勝つのかなというふうには思うので、そこだけですかね。

織部雅之(スポ3=宮崎南)

――まずは香川大戦での本塁打について。狙い球などはありましたか

基本は(相手バッテリーの組み立てが)ドロップ中心だったので、ドロップを狙っていたんですけれども、最初ボール球に手を出してしまって。打ったのはライズ(ボール)系のボールだったと思うんですけれども、(相手が)カウントを取りにくる中でそこをしっかり捉えられたかなと思います。

――神戸学院大戦では貴重な2点適時打を放ちました。どのような思いで打席に入りましたか

1点差だったので、杖子さんを楽にしたいと思って打席に入りました。

――こちらも狙い球はありましたか

基本的にはライズを狙っていたんですけれども、カウント的にチェンジ(アップ)も投げてくるかなっていうのが頭にあって。それで本当にチェンジが来たのでうまく対応できたのかなと思います。

――国士舘大戦への対策はありますか

例えば打者によって守備位置を変えるとか、対策自体は前からずっとやっているので、今までやってきたことを振り返って、全力でいきたいと思います。

――最後に準決勝、決勝への意気込みをお願いします

優勝からしばらく遠ざかっているので絶対優勝して、また新しい歴史をつくりたいなと思います。

川上卓也(スポ3=岡山・新見)

――きょうの試合を振り返ってみていかがでしたか

おととしの、自分が1年生の時の鹿児島でのインカレでも3回戦で負けてしまっていたので、きょう勝てば最終日に残ることができるという。いつもとはまた違うプレッシャーの中でなんとか勝てて良かったです。

――きょうは4打数3安打の猛打賞の活躍でした

そうですね、きょうは特にインコースを攻められいて自分の思うようなバッティングではなかったんですけど結果的に抜けてくれたので良かったです。

――打席に入った時に意識していることはありますか

僕は基本的にあんまり意識していないんですけど、とりあえずどんな状況でも自分のスイングを貫こうと思っています。

――あしたからはピッチャーのレベルが一段と上がると思いますが、対策はしていますか

おそらく国士舘大学が勝ち上がって来ると思うんですけど、普段のリーグ戦でも対戦があるのでその情報とかデータを元に生かしていきたいなと思います。

――最後にあすへの意気込みをお願いします

最終日に残ることができたので、準決勝、決勝としっかり勝って、目標である優勝を目指します。