【連載】2018年度インカレ直前特集『克』第5回 川上卓也×丹野太郎

男子ソフトボール

 男子部初回に登場するのは、頼れる二遊間コンビ、川上卓也(スポ3=岡山・新見)と丹野太郎(スポ3=兵庫・滝川学園)の二人だ。彼らは大学入学前からソフトボール経験者だったということもあり、下級生の頃から公式戦に出場し、活躍し続けている。今後、中心となってチームを引っ張っていく3年生の二人は、全日本大学選手権(インカレ)を目前に、どのような心境なのだろうか。二人の間柄なども交えながらお話を伺った。

※この取材は8月21日に行われたものです。

得点力

得点力不足を課題に挙げる川上

――まずは、どのような東京都大学連盟春季リーグ戦(春季リーグ戦)でしたか

丹野 春リーグ(春季リーグ戦)4位というのは、やっぱりワセダとしてはなかなか取らない成績というか、ここ最近でもなかったことなので、4位になったときは何やっているのだろうなというか、ふがいないし申し訳ないし、今までずっと春(春季リーグ戦)に勝ち上がってきた先輩やOBの方、応援してくださっている方々にも申し訳ないなという気持ちでいっぱいで、その中でインカレ二次予選(全日本大学選手権東京都二次予選)に回って。二次予選に回るということもほとんどなかったことですし、二次予選は絶対勝ってインカレまではとりあえずつなげて、インカレでいい結果出して、春4位があったからこそインカレではいい結果で終われたと思えるようなインカレにしたいなという思いで春は過ごしました。

川上 新チームが秋から始まって、秋リーグ(秋季リーグ戦)は結構いいかたちでというかチームとしてもいいかたちでいけて、日体大に秋は勝ちましたし、冬にまたトレーニングを積んで春もっとレベルアップして、という思いで臨んだのですが、結果的に4位というかたちでまさか中央に負けるとも思っていなかったですし、自分の中でも予想外過ぎて、このままではやばいなという。そんなに焦りというか率直に残念だなというか、今のチーム状況的にこのレベルなのだなと痛感したので、インカレまでに仕上げないといけないなという気持ちは強くなりました。

――個人の成績としては満足のいくものでしたか

丹野 僕自身は春リーグを通しても、やっぱりもう少し打ちたかったし、守備の面でもずっと1年の秋からショートとして使ってもらって、他の人と同じような動きができるだけではやっぱり物足りなくて。試合の流れの中で悪い流れのときにいかにチームを鼓舞できるだとか、自分の守備でその流れを断ち切るだとか、そういったところを一番しないといけないと僕は思っているんですけど、春は悪い流れのときに自分の力でチームの空気を変えられたかと言われると、やっぱり物足りなさがあるので。春リーグ通して一戦一戦必死にやったし、一生懸命やったつもりではあったんですけど、振り返りというところでは、やっぱりバッティングにしろ守備にしろ、もう少しできないといけないのかなと感じました。

――特に東日本大学選手権(東日本)では、杖子投手(量哉、スポ4=岡山・新見)に声を掛けていらっしゃる場面が多かったですが、意識的に取り組まれていたのでしょうか

丹野 そうですね。さっき言った流れの話になるのですが、自分の中でどこか流れが悪いなと思ったときには、ピッチャーの杖子さんに限らず、周りの守備シフトなど、自分に(ポジションが)近い卓也(川上)はもちろんだし、東日本だったらサードの高橋(尚希=スポ2=宮城・泉館山)とか、周りに意識的に声を掛けるようにはしていました。

――川上選手はいかがでしょうか

川上 結果としては自分自身全然ダメだという印象が強くて。僕はアジア選手権(全日本大学選抜インドネシア遠征)の方へ行っていたので、ちょうど春リーグの国士館と日体大の試合に参加できなくて、ネットでチームの結果を見るだけだったんですけど、そういうのもあってチームにはすごく迷惑を掛けたというか、春リーグは力になれなかったというのがあります。

――4位という結果になった原因をどのように捉えていますか

丹野 秋リーグに関してはさっき卓也も言っていたのですが、チームとして調子が良くて、一番点を取っていたのがワセダで、(順位は)2位だったんですけど総得点としてはワセダがトップでした。でも春はその半分もいかないくらいしか得点できなかったと思うので、そういう意味では冬場のトレーニングとかで、バッティング技術がうまく上がらなかったというのが要因としては考えられるのですが、僕の中でバッティングというのはメンタル面がすごく大きいものだと思っていて。そこもチームとしての流れとか雰囲気とかの問題だと思うのですが、秋は割とブンブン振っていけという指示の中で、思い切って積極的にいけていたのが、春になると少し球を見たり、甘いところを振りにいけなかったり、そういう雰囲気になっていたというのが自分の中ではすごく(要因だと)思っています。技術も足りなかったし、トレーニングも足りなかったかもしれないけど、どんどん打ちにいけるというか、振ったらヒットにできるというような雰囲気が足りなかったのかなと思います。声とかプレーで引っ張るということもそうなんですけど、前向きな声というか、打てなくなってネガティブになっていくのは多少仕方ないとは思うのですが、打てない中でも誰かが先陣を切って、「振ったらいける」という前向きな声掛けが少なかったのかなと僕は思います。

川上 バッティング面で問題があったかなとは思うのですが、ワセダの流れ的に、多分打てないときでも誰か一人(安打を)バチンと一本出すと、結果的にそこから(勢いに)乗って、打線がつながって大量得点になるという流れが結構あると思うんですけど、春リーグそれが見られなかったかなと。東大戦でも結局2得点しか取れなくて、そこから何か点が取れないなという変な流れで、結局中央戦も全然取れなくてという感じで。そこで誰か一本出ればよかったのですが、その一本がなかったかなという感じがするので、そこかなと思います。

――川上選手は全日本大学選抜に選ばれ、インドネシア遠征に行かれましたが、他大の選手とプレーしてみて何か刺激になったことはありましたか

川上 そうですね。やはり基本的に日体大と国士館大の選手が大半を占めていて、特に国士館大の選手は自分よりもレベル的には上かなと思って、大会通じて一緒にプレーする中でも、一段階二段階違うなというのを感じました。特に国士館大の選手たちは大会中バッティングで(チームを)引っ張っていて、今国士館大のキャプテンの八角さん(光太郎、4年)は大会で10本くらいホームラン打っているし、やはりレベル的に違うなというのを感じた半面、逆にこういう選手がいる日体大、国士館大に勝とうと思ったら、僕らもさらレベルアップが必要だなとすごく感じました。

――東日本はどのような思いで臨まれましたか

丹野 東日本はふがいない結果というか、武大(国際武道大)に負けているので。東日本に向けての思いはもちろん優勝したいという思いで臨んだし、自分の中でも調子のピーキングとしてはすごく良かったというか、これなら大会中はある程度いけるかなという中で臨んだ大会だったので。ただ、大会前日あたりから武大に足元をすくわれそうだなという話は(川上と)二人でしていたので、どこか嫌な予感は少しありましたね。

――実際国際武道大に敗退したことをどのように受け止めていますか

丹野 シーソーゲームになったらダメな相手だったので、どちらかというとその嫌な予感が当たってしまったかなという感じが僕の中ではすごくあって。試合始まる前から僕は、大差で負けるような相手ではないので、負けるとしたら僕らが勝手にずるずるいって取れるべきところで点が取れなくて、流れが徐々に相手に傾いてシーソーゲームになって負ける、負けるならそのかたちしかないと思っていた中で、そうされてしまったというか、変えることができなかったということで、やっぱりソフトボール難しいなと思いました。

川上 そうですね。僕もプレーしていて、途中何か嫌な雰囲気になったあたりで、これ春リーグで中央に負けたときと同じ流れになっているなと感じて。今丹野も言ったようにここで取らなければいけないなというチャンスがきているのに、こちらが取れない中で武大にはホームラン打たれるとか、何か怪しいぞというのは試合の中から感じていて、結果的に負けてしまって、やはりそういう流れだったのだなと思いました。

――勝てる相手だと思っていた中での試合中、国際武道大側の雰囲気はどうでしたか

川上 武大がどうこうというより、自分たちで崩れたかなという感じですね。最初から負けるとはそんなに思わなくて、負けるとしたらそういうかたちで負けるかなという印象があっただけで、別に負ける気はしなかったですし、普通にこちらの力が出せれば勝てるなという感覚だったので、ハマってしまった感じですね。

好敵手

仲の良さが垣間見える二人

――ここからは少しプライベートな質問をさせていただきます。まずはお互いの他己紹介をお願いします。

丹野 スポーツ推薦で同じ代で入っているのが卓也で、1年の東日本くらいから卓也がレギュラーを張っていて、ガンガン活躍していて、やはり頼れる同期というか、卓也がいるからワセダの打撃が成り立っているのかなと僕は考えていて。ソフトボールに対する姿勢としても、はたから見たら結構遊んでいるようにどうしても見えがちですけど、話しをしたりソフトボールをプレーしたりするとすごく一途だなという印象があって。見た目とかプレースタイルはチャラチャラしているけど、真面目だと思います(笑)。プライベートも訳が分からないときが多いですけど(笑)。話していて気は合うので、だから二遊間組んでいていいなと思いますね。

川上 僕は高校のときから(丹野を)知っていて。(丹野は)1つ(歳が)上ですが、一浪して同期で入るというかたちになって、最初はやはりどうしても高校のときの印象やイメージがあったんですけど、最初の方に丹野が「そんなの全然気にせんでええよ。同期やしタメ語でええよ」と言ってくれて、僕もそこから急激に一気距離を縮めて。丹野には少し申し訳ない部分もあったんですけど、逆にそこまで距離感を感じる必要もないし、そこでしっかり受け入れてくれたので、僕も入ったときから親しくなれたし、結果的に二遊間組んでいてすごくやりやすいなと。僕の同期で高校からソフトボールをやっていたのは丹野だけなので、他の人たちは高校野球とかそっちの方向の話になるんですけど、そういう面でも丹野がいることでソフトボールの話ができるし、同期としてはなくてはならない存在だと思います。

――オフに二人で出掛けたりとかはしますか

丹野 昔は多かったけど。

川上 うん。今は少なくなったね。

丹野 昔はオフの日じゃなくても練習後ご飯とか。1年のときは決まりがあって、練習の最後先輩が帰るまで僕らは帰れなかったので、そのときは帰る時間が必然とかぶっていて、ご飯に行った後、ノリでカラオケに行くとかよくしていましたね。最近は少なくなってきたけど、それでも大会前になったら二人でではないですけど1つ下の石井(智尋、スポ2=千葉敬愛)とかと三人でよく銭湯に行ってご飯食べて決起集会、みたいなことをよくする仲であります。

――連絡もよくするのでしょうか

丹野 LINEとかはよくするな。

川上 よくする。些細なことでも。

丹野 事あるたびに。事がなくてもしますね(笑)。

――LINEではソフトボールのことについても話すのでしょうか

丹野 ソフトボールのことじゃなくてもしますね。

川上 うん、別にね。

――たわいのないことも?

丹野 どうでもいいこともしますね。

――マイブームとか趣味はありますか

丹野 何だろう。

川上 筋トレ(笑)。

丹野 筋トレは最近よくしますね。まあでもそれはソフトボールに関わることなので(笑)。

川上 まあ確かに(笑)。

丹野 趣味よりも今はソフトボールのことしか僕は考えていないので。でも強いて言うなら、コーヒー飲むのが好きなのでよくカフェとかは行きますけどね。でもやっぱり四六時中ソフトのこと考えている自分がいます。

――カフェでもソフトボールのこと考えているのか

丹野 (カフェでは)ソフトの動画見ていますね、ずっと。実業団だったりこれから(試合で)当たりそうなピッチャーだったり。なんだかんだ頭から離れないですね。

――コーヒーはブラックが好きですか

丹野 そうですね。ブラックが好きです。ブラックしか飲まないです。気取っているのではなくて、普通に(笑)。一浪していたときからですけど、飲み始めてからハマった感じですね。甘いと口の中が気持ち悪くなるというか、残ってしまうので、ブラックにしてからはいいなと。

――川上選手はいかがですか

川上 何だろう。最近自分の中できているのは、全然ソフトと関係なくて陰キャっぽくなるんですけど、携帯でYouTube見るとか。あとは無料動画配信アプリで韓国ドラマをずっと見ていて、韓国ドラマに謎にハマってしまっていて。家にいればYouTube見ているか、韓国ドラマを見ているかですね。韓国ドラマって日本のドラマと違って人間関係めちゃくちゃドロドロしていて、そこが面白くて(笑)。マイブームというならそこですかね。

楽しんで

夏場の練習試合で好調を維持しているという丹野

――東日本が終わってからご自身の調子や状態はいかがですか

丹野 僕は東日本が明けてからはいろいろ工夫しているというか、バッティングも東日本前からなんですけど、根本的に変えているところがあって。最近はすごく結果にも出ているのかなと感じるので調子はずっといいです。先週も1週間で5発ホームラン打つとか、今までにはなかったことが出ているので、いいかなと。ね。

川上 うん。

――川上選手から見られても丹野選手は絶好調ですか

川上 今いいですね。このままインカレ入ってほしいと切実に思うくらいですね。

――川上選手の調子はいかがですか

川上 僕はもう絶不調に絶不調を重ねてここまできているので、何とかインカレまでに上げたいなと思っている中で、最近少し上がりつつあるかなと。バッティングも色々考えてはいるんですけど、うまく結果が出ずにきて、少し最近トップの位置を変えるとか、本当にちょっとしたことで変わってきたので、自分の中でもいい傾向かなというのがあるので、このままインカレまであと1週間しかないんですけど仕上げて、丹野とインカレではアベックホームラン打つぞと言っているので、それが実現できるようにまた調子上げていきたいと思います。

――丹野選手は調子のいい要因をどのように考えていますか

丹野 僕は逆に東日本の2週間前くらいが本当に絶不調で、15、16打席くらい対外試合でもヒットが出なくて、そういうときに埼玉県庁と練習試合することがあって、埼玉県庁の人に打撃のアドバイスをしてもらって。僕の中では打席の中であれこれ考えていたというか、調子悪い中で打てないときはどうしても思考がマイナス気味になって打席の中でも打てるビジョンが見えないという中で、僕はフォームばかりに目がいきがちだったのですが、そのことを埼玉県庁の方に話したら、別にフォーム自体は悪くないと思うし、それよりも打席に立っているときのメンタル面が問題なんじゃないかと言われて、自分のメンタル面に注目して。僕はなんですけど、打てるときって楽しいなとかピッチャーとの対戦をシンプルに楽しんでいるというか、自分のフォームがどうだとか、今のタイミング合っていないなとか、そういうことよりも楽しんでいるのか楽しめていないのかだと自分のバッティングは思っていて。楽しんでいるときはヒットも出ますし、逆に楽しめていないときはずっとヒットも出ないしということで、分かってからは(それを)意識して、結果にこだわるというよりかは自分の打席の入り方、メンタルの方でシンプルにピッチャーとの対戦を楽しむ、バッティングは僕の中でもやっぱり楽しいものですし、その楽しさを忘れないことが好調の要因だと今は感じます。

――インカレに対する思いをお聞かせください

丹野 ソフトボール自体どうしても勝敗分かれるものなんですけど、僕はさっき言った考え方から自分自身が楽しまないと、という思いがすごくあるので、インカレの目標としてはもちろん優勝というところなんですけど、自分が苦しいプレーをして勝つというよりも、自分が楽しんで、周りでこうやって取材してくれている早スポの方とか僕の親とかもそうですし、歴代のOBの方とか、そういった色々な方々が伝統あるワセダを応援してくれていると思うので、その応援してくれているという気持ちに感謝して、その気持ちを勝利というかたちで恩返しすることが一番しなければならないというか。今の代は歯がゆい思いをしてきた一年だと思うので、上から言うのもなんですが、個人的には4年生にもいい思いをさせてあげたいなという気持ちがすごく強いので、自分の感謝という気持ちをプレーに出して、しっかり勝てるようなインカレにしたいと感じています。

川上 4年生にとってはインカレは最後(の大会)だし、4年生も特別な思いがあると思うし、大会自体独特な雰囲気で、4年生もいつも通りのプレーができないこともあると思うので、その中で僕らはこれが最後ではないですし、僕らが一番自由に何も背負わずプレーできる立場だと思うので、そこを生かしていきたいなと。楽しんでプレーしながらも、しっかりと4年生を支えていけるように頑張っていきたいなと思います。

――最後に、インカレへの意気込みをお願いします

丹野 暴れます!

川上 日本一になります!

――ありがとうございました!

(取材・編集 石﨑開、小松純也、写真 宅森咲子)

3年生の二遊間コンビから目が離せません!

◆川上卓也(かわかみ・たくや)(※写真左)
1997(平9)年6月28日生まれのO型。170センチ60キロ。岡山・新見高出身。スポーツ科学部3年。内野手。右投左打。韓国ドラマがお好きだという川上選手。最近は『太陽の末裔』という作品にハマっているそうです。チームメイトからも高く評されるその打撃センスで、ワセダを悲願のインカレ優勝に導きます!

◆丹野太郎(たんの・たろう)
1996(平8)年8月12日生まれのA型。174センチ67キロ。兵庫・滝川学園高出身。スポーツ科学部3年。内野手。右投右打。気が付けば、常にソフトボールのことを考えているという丹野選手。本取材でも、ソフトボールへの情熱を感じました。インカレの舞台でも、川上選手との二遊間コンビでチームをアツく盛り立てます!