現体制で臨む最後の舞台となる全日本大学選手権(インカレ)。本大会を終えた4年生は、早大ソフトボール部の第一線から退くことになる。今回はここまで最上級生として、そして重役としてチームに尽くし、チームを引っ張ってきた3人にお話を伺った。主将の加藤千陽(スポ4=愛知・星城)、副将の手塚麻菜美(スポ4=北海道・とわの森三愛)、マネージャー兼主務の鎌田彩花(文4=神奈川・平塚江南)。競技人生の集大成を目前にした彼女たちに、現在の心境を述べていただいた。
※この取材は8月14日に行われたものです。
試合を重ねていくにつれて1勝に対する思いが強くなっていった(手塚)
東日本大学選手権では2位に輝くなど、『結果が出た年』となった
――体制が代わってたくさんの大会を消化してきました。ここまでのチームの戦いぶりを振り返っていかがでしたか
加藤 去年のチームとメンバーが半分くらい代わって。内野手でも外野手でも先輩が抜けて、守備の連係であったり、打順もかなり変わったので。秋リーグ(秋季リーグ戦)と関東大会(関東大学選手権)はピッチャーもバッターも個々の力だけで戦っていたっていうのは今になって思います。そこから冬、個々の力がアップしたのはもちろんなんですけど、チームで勝ちにいこうって気持ちが芽生え始めていって、一人一人が輝いているようなチームに変化したので。この一年を通してチームの実力もついているんですけど、雰囲気やチーム力も去年のチームに負けないくらいになってきていると思うので、インカレに向けてラストスパートって感じです。
手塚 守備については、先生(吉村正、昭44教卒=京都・平安)からバッテリーを中心に教わっています。そのバッテリーを中心に守備でリズムをつくることは、今年のチームもできてるかなと思っていて。私はキャッチャーなので、先生がピッチャーにご指導している声を聞くことが多いので、そこのバッテリーを中心にリズムをつくって守備陣が打ち取った打球を処理していくってことが、ゲームを重ねるにつれてだいぶ良くなっているという風には思っています。打撃に関しては犠打で送るというよりは、ロング(ヒット)を狙って強いスイングで打ちにいくというところは新チームになってからずっと変わってない部分だと思うんですけど。あとは、試合を重ねていくにつれて1勝に対する思いが強くなっていったように思います。先生が選手に任せると言って任せていただいてる部分が増えたので、より一人一人の責任感が持てるようになったことも大きいと思います。
鎌田 去年のチームと比べて幹部学年が少ないので、最初はちょっと心配な面もあったんですけど、今年は後輩にすごく恵まれたなって思っていて。後輩からのボトムアップがすごく大きいので、そこもあってチームとしては調子が上がってきているなと思いますし、あとは具体的には結構得点でも、2アウトから得点できるっていうパターンが新チームになってから見られるようになっていて。今まで2アウト取られるとワセダってどうしても沈みがちというか、「ちょっと点取れないかな」となってしまう部分はあったんですけど。2アウトから、一番印象に残っているのは春リーグ(春季リーグ戦)初戦の東女体大戦なんですけど、2アウトから落合(未稀、人4=栃木・大田原女子)がヒットを打ってそこから得点につながって。そういうチームの底力は去年と比較して伸びたなという風に思っています。
――東日本大学選手権を2位という素晴らしい結果で終えられました。大会に対する手応えはいかがでしたか
加藤 去年東日本とインカレで2敗している富士大と当たることが分かっていたので。ピッチャーもどういう球を投げるか分かっていたので、そこをどう打ちにいくかをチームで前もって準備して戦って、去年の屈辱を晴らすことができたので。まずその皆で向かっていった試合を勝つことができて、そのワセダのムードというか勢いをその1勝でつくれたので、その試合以降も戦っていけたのは良かったです。最終日に先生がいらっしゃらなくて、選手だけで準決、決勝に臨んだんですけど、決勝で日体大にコールド負けをして。その試合の中ではワセダらしいソフトボールができなかったので、残りの練習試合で自分たちでしっかり考えてインカレにつなげていきたいなと思います。
手塚 ピッチャーが変わってなかった富士大は、他のチームに比べると思い入れがありました。そういう思いもあったのか、打撃がつながっていったのは大きかったんじゃないかなって思います。守備に関してはバッテリーがどういう風に打ち取りたいかっていう意図を考えて、野手が守るという連係が取れたのは良かったと思っていて。その打撃と守備で勝ちにつなげて、大会で勝つっていう経験ができたっていうのはインカレにつながる部分になったかなと思います。ただ、まだミスはあるので、守備はもちろん、打撃でもどんな初対戦のピッチャーでも得点するってことにこだわっていかないと、必ずゼロで抑えられるわけではないので。いかに得点できるかっていうのがインカレでは必要かなと思います。
――東日本のとき、ベンチの雰囲気がとてもよかったという話を伺いました。鎌田さんはどのように思われますか
鎌田 私自身もベンチにいて、今までに比べて雰囲気が一番いいなと思ったし、実際にダグアウトから全体を見てくださっていた吉村先生からもチーム全員がボールに向かってる姿勢があるっていう風に仰っていただけたので。ベンチの中にいる人も、外から見た人からもお墨付きで、一番いい雰囲気でできたと思います。
――全総予選から東日本までの大会期間中にチームが伸びたのは、具体的にどういう部分ですか
手塚 打撃に関しては、相手のピッチャーの球筋をイメージしてスイングするっていうところが一番大きかったと思っていて。真後ろから見ることが一番球筋が見えると先生はいつも仰っているんですけど、自チームのピッチャーを後ろで見て素振りをして、イメージしてから打席に入るっていうことをしていました。(全総予選では)打てずに負けたことで、自分たちのチームのピッチャーは10割に近い打率で打とうという意識が練習で出てくるようになったかなと思っていて。あと、実践的な練習が増えたことでゲーム感覚を持って大会につなげられたとは思います。
――シーズンをともに戦ってきた、ことしの早大投手陣の印象はどうでしょうか
加藤 一人一人の個性も違っていて、投げてていい球を投げた時の反応も三人は全然違っているので、捕っていて面白いです。また一人一人それぞれに合った配球であったり、打ち取り方があるので、すごいキャッチャーをやっていて考えさせられることが多く、ピッチャー三人に学ばせてもらっている部分もあります。色々な球をキャッチャーとして見ることができているので、自分が打席に入った時も相手ピッチャーの特徴が分かりやすくなっているので、三人には本当に助けられているというか。練習でも疲れていると思うんですけれども、(自分が打撃練習をしたい時に)「投げますよ」って言ってくれて、すごい頼もしい三人です。
手塚 それぞれ違ったタイプの三人のピッチャーで、同じ球種であっても違う軌道のボールなので、簡単に打ち込まれるようなピッチャーではないのかなと。それぞれのピッチャーが持っている良さをどう引き出すかっていうのはキャッチャーのゲーム内での仕事であるので、試合でどのピッチャーとバッテリーを組むかによってどういう(配球の)組み立て方をするのかということはすごい重要なことかなと思います。
――手塚選手は高校時代から廣瀬投手と長らくバッテリーを組まれてきたようですが、当時の廣瀬投手の印象はどのようなものでしたか
手塚 廣瀬は自分自身の考えをしっかり私に伝えることができるっていうことと、自分自身で言った言葉に対して自分で一度受け入れて、その中で自分がどう考えるかっていう意思表示をちゃんとしてくれるので、考えをすり合せることがやりやすい相手です。ピッチングでは強気で押していけるタイプなんですけど、私はリスクを考える場面が多くて、「この場面では、この状態はだめだとか、最低限こういうことはつくっておきたい」って考えることを廣瀬も理解していて。廣瀬は「こうなるといい」みたいなプラスの考えをすごいできていて、お互いがそういう考え方をしているのもすごい理解しています。自分が持っていない考えを持っていて、そこを廣瀬は主張できるので、その部分はいいところだと思います。
――ことしのここまでのMVPを挙げるとしたら誰でしょうか。ちなみに現時点での最多得票は神樹里乃選手(スポ3=北海道・とわの森三愛)と落合未稀選手(人4=栃木・大田原女子)です
加藤 (MVPを)選ぶ基準って印象深いプレーであったり、ワセダが勝つために目に見えるプレーをしたい人というか、その二人は1、2番を打っていて一番いいスイングをしていますし、流れをつくってくれているので印象が深くなるのかなと思います。けれども、私は逆にマネージャーの鎌田だったり、山羽(沙季、スポ3=愛知淑徳)だったり、いつもノック打ってくれる坂(ひらり、スポ2=愛知・星城)とか裏でサポートしてくれる選手がいて、その人たちのおかげで試合に出ている人は集中してプレーできているので。その人たちがいなければ東日本(東日本大学選手権)で準優勝できなかったと思いますし、誰か一人を選ぶっていうのは難しいと思いますね。全員が今輝けているので。インカレに向けて、一人でも欠けてはいけないチームだと思うので、全員がMVPだと思います(笑)。
手塚 思い浮かんだのは落合と増田(侑希、スポ1=香川・高松南)ですね。落合は、本当に周りも同じように思うほど1年生の時からの伸びがすごくて、MVPで挙がったことが多いのかなと思いました。私たちも1年生の頃から一緒にやってきて、ことしは中でも結果が出た年だったという意味では落合なのかなと思います。増田は、試合後半で投げることが多くてクローザーとしての役割なんですけれども、増田も高校時代は1試合を一人で投げていたことが多かったと思います。(高校時代と比べて、)起用方法が変わったと思うんですけれども、そこにしっかり対応していて。また、増田は1年生で、座っているキャッチャーは4年生ということにも動じずに、自分らしさを試合で発揮していたというのはすごいなと。(他チームが得ている)増田の情報ってまだ少なく、だからこそ打たれてないということもあるとは思うんですけれども、本人らしさを出しながらプレーできているということと、あとはインカレでも増田が出てくると嫌だなと(他チームに)思われると思います。これまでいいピッチングをしてきたからこそ、東日本で好投した日本体育大学さんとかにも嫌な印象を与えられているのかなと思います。そういう意味ではここまですごくいい活躍をしてくれていると思います。
鎌田 私も落合に一票ですかね。さっきも言ったんですけれども春のリーグ戦での東京女子体育大学への挑戦での場面が印象に残っていて、やっぱり今までのワセダを打破してくれたので。4年生からの伸びしろもすごい大きかったので、同期としては感慨深いなという思いです。ぐっときたなと思いました。
今までのチームになかった部分で成長を感じた瞬間が、一番のモチベーション(鎌田)
自身がプレーする立場にないからこそ、誰よりもチームのために行動する
――さて、ここからは個人的な質問をさせていただきたいと思います。まずはそれぞれの他己紹介を、加藤選手の紹介からお願いします
手塚 今までの先輩方がいた時よりも先生と接する機会や指導していただくも増えて、色々と言われていく中で本人自身が色々と考えてどう行動に移していくかというのをより考えるようになったのがこの新チームになってからだと思うので。そこがプレーに出ていく集大成がインカレだと思うので周りの選手もそうですし、先生も(加藤選手に)期待している部分は大きいのかなと思います。
鎌田 端的に言うと、まずはノリがいいです。あとは精神的にタフだなと思っていて。ノリの良さっていうのは、後輩とかとオフにどこか行こうとしているのを聞いたことがあって。私はオフになったら家に閉じこもるので、フットワークの軽さがすごいと思います(笑)。あと精神的なタフさという面では、どうしても主将、主務は監督に色々と言われがちで、私は『1』を言われると『5』へこんでしまうんですけれども、加藤はその辺引きずらないというか、切り替えがすぐできるのですごいなと思います。
――次は手塚選手の紹介をお願いします
加藤 一緒にいて4年目になるんですけれども、すごく真面目で。ソフトボール に関しても勉強に関してもやることに対して手を抜かない姿勢がすごいなと思います。自分は課題とかがあっても、「疲れたからいいや。寝よう」みたいになってしまって期限ギリギリに徹夜で焦ってやるんですけれど(笑)、焦っている様子もなく終わらせているので、色々なことを先読みして自分のペースを作るのがうまいところが自分にはないので、うらやましいと思います。
鎌田 細かいところに気を遣えるということと、あとプライベートではめっちゃプーさんが大好きです!気を遣えるというのは、私は家が遠いのでどうしても試合の前とか宿探しに奔走するんですけれど、「きょう大丈夫だった?」みたいに色々と気を遣ってくれているので面倒見もいいし、そこが良いなと思います。プーさん好きっていうのは、1回自宅へお邪魔した時に、部屋開けた瞬間にプーさんばっかりだったんですよ(笑)。プーさんまみれで、そういうお茶目な一面もあって素敵な子です。
――最後に、鎌田マネージャーはどんな方ですか
加藤 最初は綱島がいなかったので本部が一人だったんですけど、所沢にはない風を運んできてくれるというか。大人らしさというか、それが都会に通っている違いなのかなと(笑)。
鎌田、手塚 (笑)。
加藤 でも今でも一番大人というか、雰囲気だけじゃなくて考え方もしっかりしていて、チームを全体からいつも見てくれたり。大人らしさはあるんですけど、それが自然とできるところが、今の早大ソフト部のお母さん的なところなんだと思います。
手塚 一言で言うと、人に尽くせる。だからこそマネージャーとか主務ができていると思うんですけど、自分がやりたいことがありながらチームのために動けるっていう。いつもミスがないように、手帳に付箋を貼りまくって忘れないように管理したりとか(笑)。チーム全員がインカレ優勝したいっていう目標を達成するために、立場に責任を持って取り組んでいるのが印象的です。
――お母さん、という声が上がりましたが……
鎌田 お母さんと言われることは嬉しいし、自分もそういう存在ではありたいなと思っていて。実際に就活の面接でも「あなたのことを周りはどう思っていますか」って聞かれたときに、「自分はお母さんみたい」って言ってるくらいなので(笑)。
――投手の方に伺ったのですが、鎌田マネージャーと投手陣が一緒にいるとたくさんのボケが殺到するというのは本当でしょうか
鎌田 私が処理する係なんですよ。ピッチャーの3人はとりわけ人懐っこいので、いつも近くに来てくれて。3人揃いも揃ってぼけるので、ちょっと一人じゃ捌ききれないことはたしかにあります(笑)。
――お互いの好きなところ、あるいは逆に直してほしいところはありますか
鎌田 紹介と被る気もするけど、好きなところをあげるとするならば、(加藤選手は)面倒見が良くてちゃんと気づいてくれるところ。あと、私にないポジティブさというか明るさが好きなポイントです。
――直してほしいところはないのですね
鎌田 まあ人間何かしらあるかもしれないですけど(笑)、もうここまできたら長所だけでいいかなっていう。
――加藤さんは、お二方の好きなところや、逆に直してほしいところはあったりしますか
加藤 十人十色っていう言葉があるように、一人一人個性が豊かというか。でもそれがワセダらしさなのかなと。自分にはないところを他の誰かが持ってるから、助け合って自分が無い部分を他の人が補ってくれて。それが何も言わずしてもお互いが気づき合って、もう4年間一緒にいるので。良い部分も悪い部分もお互いで一つにまとまっているので、そのままで良いんじゃないかなと思います。
――4年生がことしは5人と少ないと思いますが、普段から皆さんで一緒に行動することはあるのでしょうか
加藤 少ない方だと思います。
鎌田 少ないよね。
加藤 ことしは特に通いの人が多かったり、全員就活をしてたり、集まろうという(呼びかける)タイプの人がいないので。みんな今ある自分の学生でいることができる時間を一人一人が大切にしているという感じかなと思うので、全員で集まるということは少ないです。
――方向性がガラッと変わるのですが、部内でキャラとして一押しの人がいれば教えてください
鎌田 んー、廣瀬(夏季、スポ3=北海道・とわの森三愛)かな(笑)。もう見てわかると思うんですけど、ぶち抜けて明るいのと、結構無茶ぶりしてもやってくれるので。一回所沢キャンパスで中国の子どもたちと交流するイベントがあって、言語がわからなくて間が持たないので、吉村先生が「歌上手いやつ誰や」って言ったんですけど、どことなく廣瀬という声が出て、実際その場で準備してアナ雪を熱唱するっていう(笑)。そういう度胸があって、なかなか面白いキャラはしているんじゃないかなと思います。
手塚 廣瀬ですね。廣瀬は付き合いが長いこともあって、ほとんどの人はそういう面白いっていう面を見ることが多いんですけど。そうじゃない部分を知りつつ、人前に出ていろいろやるとか、そういうところは面白いなと思います。
――加藤選手はいかがですか
加藤 リリですかね。まず入学して春リーグでファールボールを全力で取りに行くっていうシーンが何度もあって、ワセダが補助員のときは他の二チームが試合をしているので、ベンチにいる人は試合に集中してないといけないと思うんですけど。ファールが飛ぶとリリが走り、みんなの顔がリリに向かって動くっていう場面があって、もう春リーグでは他のチームでもそれが名物だみたいなことを言ってくれてたり。さっき鎌田からあったように、中国の子どもたちを呼んで一緒に食事をする機会があったんですけど、全然言葉が通じないのでコミュニケーションが取れなくて翻訳に頼ったりしていたんですけど、リリは4カ国語話すことができるので。そこでみんなの通訳となって、(それが)今までにはない光景だったので、こういうところで輝けるんだなと(思って)、ワセダにない風を持ってきてくれたので。もう、超一押しです!
――落合選手と綱島香依選手(国教4=東京・日出)を含めた5人の同期ということで、そのお二方はどんな方なのかも伺いたいです
加藤 落合はすごい負けず嫌いというか、今までソフトボールをやってきて、本当にことしで終わるんだ、最後なんだという思いがすごく強くて。上から目線になってしまうんですけど、この一年で一番変わったのは落合かなと思います。あとは下級生との架け橋になってくれていて、下からの意見をストレートに伝えてくれているので。技術面でも、人間性でも、入学のときからしたら考えられなかったくらい、ワセ女という言葉が似合う女性になったのかなと思います。
――手塚選手から見て、綱島選手はどのような人物ですか
綱島 綱島は途中から入ってきてこの代のメンバーとして今まで一緒にやってきて、静かそうというか、日の出高校から来ていることも知っていたので、そのチームの印象を考えるとちょっと違うなという印象もあったんですけど。一緒にやるにつれて、面白いことをする面も持っていて、要領良くいろいろなことをこなす中でも、副務としてのサポートをやってくれてたり、盛り上げる役になって周りを楽しませたり、いろいろな役をできる面を持っているなという印象です。
――鎌田マネージャーから見た綱島さんはどんな人物ですか
鎌田 天然でフレンドリーというのが私からの印象で(笑)。フレンドリーというのは、綱島の方が入部が遅くて、そこから本部で一緒なんですけど、気づいたら私より所キャンに馴染んでいるなと思うくらい、すごく溶け込んでいて。あまり人との壁がないというか、誰とでも仲良くなってしまうような明るいタイプの印象は持ってます。
――鎌田マネージャーに関してフォーカスさせていただきます。マネージャーという立場で部を支えて来られたと思いますが、マネージャーをやろうとしたきっかけは何でしょうか
鎌田 私は中学高校は選手としてソフトボールやってきたのですが、高校の一個上の先輩で藤井先輩(美潮、平30卒=神奈川・平塚江南)という方がワセダのソフト部に入られて、そこからワセダのソフト部への憧れが強くなって。私の最優先事項がワセダのソフト部に入って、部に自分が貢献できる存在になるということだったので、自分がプレーできるかどうかは正直その次で。しかもスポーツ推薦などですごく上手い選手が入ってくるという話を聞いていたので、その中で自分がプレーすることにもちろん意味はあるけど、チームに貢献するという第一目標を達成するには、思い切ってマネージャーという形の方が現実的に考えてこのチームに貢献できるんじゃないかなと思ってチャレンジした感じです。
――マネージャーとして、主務として、普段どういうことをされているのですか
鎌田 グラウンド内ではジャグ作ったりボールを拾ったり拭いたりなど細々した作業で、やっぱりグラウンド外での仕事の方が多いですね。主務になって色々な仕事を知ったのですが、遠征に行くも部長先生や競スポの認可が必要だし、補助金もこう使いましたというのを全部出さなきゃいけないし、そういった事務仕事が一番多いかなと思います。あとマネージャーでいうと、ティーボールにもワセダのソフト部が関わらせてもらっているので、 そこで学生をまとめて、毎週月曜の会議に出席するなど、そういう面もマネージャーならではの仕事なのかなとは思います。
――自分がプレーしない中での部との関わり方だと思いますが、日々のモチベーションの源はどこにあるのでしょうか
鎌田 最近は練習や試合のちょっとしたことでも選手やチームが成長してくれたなと思ったときに一番モチベーションを感じていて。バント練習をするにしても私がボールを入れていて、今までは漫然とやっていたところを、自分で目標物を置いたり丸を書いたり、そういう成長が見られたり、何度も言うことになってしまうのですが、ツーアウトからちゃんと勝機を見出せたり、今までのチームになかった部分で成長を感じた瞬間が、一番のモチベーションかなと思います。
――通学時間がとても長いとうかがいまして、通学中にどんなことをされているのか教えていただきたいです
鎌田 元気なときは本を読んでいるんですけど、本を読んでいても疲れているとすぐに寝てしまうので、結構寝てることが多いです(笑)。
――おすすめの時間潰しがあれば伺おうと思っていたのですが……
鎌田 昼寝です!
今までの感謝が伝わるように、出来ることを全力で(加藤)
13年間にわたる競技人生の集大成を迎えようとしている加藤
――ここからはインカレに関する質問をさせていただきます。昨年のインカレを今振り返られて、どのような大会でしたか
加藤 東日本(東日本大学選手権)で富士大に負けて。インカレの組み合わせを見たときにまた早い段階で富士大と当たることが分かったので、そのピッチャーをどう打つかを考えて、万全の準備で臨んだんですけど、いい結果には結びつかなくて。自分たちが万全な準備をしたからといって(勝てるわけではないという意味で)、勝負の世界は甘くないんだということを実感しました。その中でどうやって勝ち残って最後まで戦い抜くかが勝負になると思うので、大会期間中は、『ワセダらしさ』というか、一年間このチームでやってきたことを出し切って、チーム一丸となって1試合1試合戦っていきたいと思います。
――みなさんにとってインカレとはどのような大会ですか
加藤 このチームでやってきた一年間の集大成ですし、私はこの先ソフトボールは続けないので、競技を始めて13年間の集大成でもあります。高校の時は、引退してもまだ大学があるからという気持ちの余裕みたいなものがあったんですけど、今回のインカレの3日間が自分のソフトボール人生の、本当に最後の3日間になるので。今までやってきたことを悔いなく全部出し切って、悔いなくチームみんなで盛り上げて、優勝したいなと思います。
手塚 それぞれの代で色んな思いをもって大会を重ねてきて。この先真剣にソフトボールをすることはもう無いという状況での最後の大きな全国大会ということで、今からもうすでに特別な思いはあるし、そういう大会はいつか来ると思っていたので。そんな大会に向けて準備している段階でも楽しみな気持ちはあって、楽しくやる中で勝てるっていうのは一番いいと思うんですけど、自分の中でやりながら楽しめるっていうことがあまり無くて。負けても楽しかった試合もあるんですけど、やっぱり勝ちにこだわってやってきた以上、勝った試合が終わってから楽しかったと思えるので。今まで目標にしてきたということもあって、大学でも日本一を獲るということにこだわってやっていきたいなと思います。
鎌田 やっぱり、集大成という思いがあります。今年でソフトボールに区切りをつけるという意味でソフトボール人生に対する集大成でもあるし、3年生以下はまだ(大学でソフトボールに取り組む期間が)あるといっても、今のチームでやれるのはインカレが最後なので、現チームの集大成という意味でもそうだと思います。それに、インカレは特別な大会だと思っていて。歴代でも、ヒットが1本しか出なかった試合でもそれを打ったのが4年生の主務の方だったりとか。そういう、4年生の最後の、不思議な実力が出る大会だと思っています。
――最後の大会に臨むにあたり、下級生の方へ送りたい言葉はありますか
鎌田 一言で言うと……なんだろう……。「思い切り爆発してください!」っていう言葉になると思います。もちろん、ちゃんとやろうとしてミスしてしまうっていうことはあると思うんですけど、思い切って挑んで失敗する分には全然悔いが残らないというか。消極的になったプレーで終わってしまうのが一番嫌だと思うので、とにかく「好きなだけ暴れてください!」っていうメッセージを送りたいです。
手塚 多分、今の3年生以下は「4年生のために」ということを強く思ってくれていて。一緒に練習をする中でそう感じる部分が多くて、それはすごく嬉しいことなんですけど。一人一人にそれぞれ思いがあると思うので、「4年生のために」ということだけに集中してほしくはないというか。その気持ちもすごく嬉しいんですけど、先生が言って下さっているように『自分がこうしたい』という思いを主張して、自分というものをそれぞれが出して、その中でチームとしてまとまっていけたらいいと思います。
加藤 1年間一緒にやってきて、ついてきてくれてありがとうというよりは、「助けてくれてありがとう」という思いが強いです。自分自身主将としての仕事というものはあまり出来なくて、いつも下級生が支えてくれたりいい雰囲気をつくってくれたりしたし、逆に引っ張ってくれる時もあったので。一番伝えたいのはありがとうという感謝の気持ちで、最後はもう一年間やってきたことを出し尽くして、「ワセダらしく楽しんで、みんなで勝ちまくって優勝しよう」と伝えたいです。
――長い時間をともに過ごした同期に送りたい言葉はありますか
鎌田 やっぱり「お世話になりました。ありがとう」ですかね。主務の仕事を実際にサポートしてくれたのもあるし、(自分は)もともと外交的な性格ではないので。最初はキャンパスが違うこともあって一週間のうち土日しか会わなかったので、時間の流れが違って大丈夫かな、と思ったりもしたんですけど、(同期が)ここまですごく支えてくれたので、あとはもう「一緒に心中しましょう」という感じです。
手塚 「学生日本一になろう」ということです。ソフトボールでインカレ優勝するということはもちろんそうなんですけど、一人の学生としても、一人の人間としても成長した上で、インカレで優勝出来たらと思います。
加藤 役職関係なく、全員が自分を助けてくれて。持っている意見もストレートに伝えてくれて、感謝してもしきれない仲間なので、あとはもう4年間やってきたことを出し尽くそうということです。鎌田はマネージャーとして今まで支えてくれて、それは自分たちが試合で結果を出すことが恩返しになるのかなと思うので、みんなの思いを背負って「一緒に戦っていこう」と伝えたいです。
――加藤選手は、ソフトボールにしかない良さとは何だと思いますか
加藤 私は父と兄が野球をやっていたので、選択肢がある中でソフトボールを始めたというよりは、気づいたらそういう環境にいたという感じなんですけど。ここまで続けたいと思ったのは、一人では勝てないという部分、誰か一人がずば抜けていても勝つことが出来ない競技だからというのがあると思っていて。みんなでヒットを積み重ねて、全員で1点を獲りにいくからこそ喜び合えたり、足りない部分を補えるスポーツなので。チームで戦うということと、どの競技でも一緒になってしまうんですけど、勝った時に一緒に笑い合えるということが良さだと思います。
――お二方は、ソフトボールの良さとは何だと思いますか
手塚 変なことしか思い浮かばないんですけど、(自分は)野球をやっていて、中学からソフトボールに変えて。ピッチャーが下投げって言われて、下投げなら打てないボールはないと思っていたくらい当時はトップレベルを知らなくて。下投げされて打てないことに悔しさもレベルが上がるにつれて感じたし、下投げと言っても色んなボールが投げられるし、スピード感もあって。中学生の時に高校生の練習に混ぜてもらった時に、自分たちのスピードのなさも感じたことは覚えているし、そういうところと、あとはロースコアの試合が多いので、1点をどう取るかということにすごく執着するところが面白いと思います。
鎌田 (ソフトボールは)色んな意味で多様性のあるスポーツだと思っていて。競技形態も、団体競技なのにバッターとピッチャーが対決するときは完全に『個 対 個』でバッターが打つしかないですし。あとはポジションがきっかり決まっているので、(すべてにおいて)卓越的な選手じゃなくても、どこかが秀でている選手も活躍できるというか。足が遅くてもホームランを打てばいいわけだし、逆に打てなくても転がせばセーフになるわけだし。そういう、いろんな人が活躍できるという意味で多様性があるスポーツだと思います。
――最後の質問になりますが、インカレに向けての抱負をお願いします
鎌田 最後までこのチームがインカレ優勝に向かって、全員がプレーに集中できるように、徹底的に支え尽くしたいと思います!
手塚 個人的なことになってしまうんですけど、キャッチャーをやりたくてここ(早大)に入って。今年(キャッチャーに)戻れて、なおかつ高校から(バッテリーを)組んでいる相手と組めて。キャッチャーとして(大会に臨むにあたり、)具体的には、まず初回は絶対に0で抑えることと、イニングの先頭は絶対に切るということは目標としてあって。そういう試合を重ねるなかで、このインカレが競技者として真剣に臨む最後の大会になるので、色んな人に対する感謝の気持ちをもって、最後に学生日本一になれたらいいなと思います。
加藤 「優勝します」という、ただ一言に尽きると思うんですけど。みんなの力を合わせて、ワセダらしく戦っていきたいということと、手塚の話にもあった通り、感謝の気持ちをもって。今まで指導してくださった方々や、お世話になった先輩や、助けてくれた後輩。どんな時でも味方でいてくれたり、一番応援してくれていたので、特に一番感謝したいのは両親だと思っているんですけど。悔いが残らないように思い切ってプレーして、自分のプレーで感謝が伝わるように、出来ることを全力でやっていきたいと思います!
――ありがとうございました!
(編集 石﨑開、望月優樹 写真 千葉洋介)
◆加藤千陽(かとう・ちはる)(※写真中央)
1997(平9)年1月11日生まれ。160センチ。愛知・星城高校出身。スポーツ科学部4年。AB型。右投右打。鎌田マネージャーから「アクティブ」と言われる加藤選手ですが、休日は買い物に行かれることも多いそうです。最近した良い買い物は、ワイヤレスのイヤホン。好きなアーティストであるベリーグッドマンの曲を聴くのが楽しみの一つなのだとか。音楽で高めた集中力を武器にして、13年間の集大成となる舞台に挑みます!
◆手塚麻菜美(てづか・まなみ)(※写真右)
1996(平8)年4月21日生まれ。163センチ。北海道・とわの森三愛高校出身。スポーツ科学部4年。AB型。右投右打。何度も『学生日本一』という言葉を口にされていた手塚選手。ソフトボールへの熱い情熱の持ち主ですが、実はもうひとつ情熱を燃やしているものがあります。その思いの先は柔軟剤。おすすめはレノア『オードリュクス』の黒だそうです。家庭的な一面も持つ扇の要が、チームを日本一に導きます!
◆鎌田彩花(かまた・あやか)(※写真左)
1996(平8)年11月8日生まれ。162センチ。神奈川・平塚江南高校出身。文学部4年。B型。チームメートからお母さんのように慕われている鎌田マネージャー。その落ち着きのあまり、大学一年生時に大学院生と間違えて声を掛けられてしまうこともあったのだとか。色紙にしたためた『献身』という言葉のとおり、母のような慈愛でチームを支え抜きます!