【連載】2018年度インカレ直前特集『克』第1回 廣瀬夏季×伊藤貴世美×増田侑希

男子ソフトボール

 現体制で挑む最後の大会となる、全日本大学選手権(インカレ)。わずかな失点が命取りとなる今大会において、投手陣の活躍が明暗を分けるのは言うまでもない。今回はチームの顔であり投手陣最年長の廣瀬夏季(スポ3=北海道・とわの森三愛)、左のエースとして早大をけん引する伊藤貴世美(スポ2=千葉経大付)、U19日本代表において最優秀投手賞を獲得した、絶対的守護神の増田侑希(香川・高松南)に話を伺った。ワセダを背負う3本柱の心中を、紐解いてゆく。。

※この取材は7月31日に行われたものです。

仲の良さが、結果が良かった一つの要因(廣瀬)

投手陣の活躍が光り、東日本大学選手権では2位に輝いた

――年度が替わってから春季リーグ戦、全日本総合選手権二次予選、東日本大学選手権(東日本)と3つの大会を終えました。ここまでのチームの戦いを振り返っていかがですか

廣瀬 まずピッチャーが3人という少ない中で、学年は自分が一番上なんですけど、チーム全体では最年長ではないので。幹部とどう関わり合いながらチームを引っ張っていくかということが個人の目標だったので、「どうやったらいいのかな」という中でのスタートだったんですけど。春季(リーグ戦)は秋とはまた違ったスタートを切れて、そのいい流れの中で、今まずは東日本までつながっているんじゃないかなという風に、チームとしても全体としても思います。

伊藤 個人としてはあまりいいスタートを切れなかった年かなと思ったんですけど。逆に言うと、自分が悪い中での周りがカバーしてくれたという意味で、チームの団結力とかピッチャーだけではなくて、野手もいいプレーが出たりとか、打線がつながったりとか。そこは去年よりも手応えを感じているので、今も頑張っているんですけど、ピッチャー陣としてもさらに相乗効果で(投手陣と野手陣が)向上していければ、インカレでも優勝を狙えるんじゃないかなっていう風に思います。

増田  春から環境が変わって、香川からこっち(早大)に来て(春季リーグ戦が)初めての大会だったんですけど。最初すごい緊張していたんですけど、先輩からの掛け声とかでノビノビやることができて。東日本まではずっとそういう感じだったので、インカレまでに自分の課題を何とか克服して、チームに貢献出来たらいいなというふうに思っています。

――東日本大学選手権(東日本)を2位で終えられて、大会での手応えはいかがでしたか

伊藤 東日本までは良くて3位というか、決勝戦まで残るという経験が、大学に入ってから無かったので。そういう点では、勝ちに慣れる経験ができたことがすごくよかったというのと。勝ち切れなかった部分に関しては、自分(の投球)が良くなかったというのと、まだチームとしても詰める部分があるのかなというのを感じていて。日体大に(決勝戦で)やられてしまったんですけど、リーグでもよく戦う相手で、お互いがお互いを知っている中で勝てなかったという点ではまだできることがあると思うので。今度またインカレで当たるかもしれなくて、そこが一番大事だと思うので、しっかり分析をして、しっかり勝ちきれるようにしたいなと思っています。

廣瀬 二人が言ってくれたように、いい流れは確実にあって。チーム内でも、どういう風に盛り上げたらいいかとか、どういう風に試合に臨んだらいいかっていうのは、東日本の前の課題で。リーグ戦を通してできなかったことであったり、やってみたかったことを積極的にやっていこうっていう目標があったのが東日本だったので。それを出来たという部分も、出来なかったところを発見できたという部分もあったのがこの大会で、またインカレに向けてどうつなげていくかがやっぱり今の一番の課題だと思うので。ピッチャーだけじゃなくて、チーム全体で、先生を含めて一丸となって取り組んでいけたらなと思います。

増田 春リーグの時は、クローザーとしてちゃんと点を取られずに締めることができたんですけど。東日本の時には、先輩から(マウンドを)代わって自分のリズムで投げられてない時があって。そこで点数を取られたりしてしまったので、そこが自分の一番の反省で、インカレでは0点に抑えられるように自分の力を発揮できたらなと思います。

――自分のリズムで投げられなかった部分とは、具体的にどういう場面でのことですか

増田 (自分は)ゆっくりしたテンポで間をとるタイプなんですけど。「早く投げなきゃ」みたいにちょっと焦ったところがあって。「テンポを速くして野手が守りやすいようにしなきゃ」と考えたら、自分の(いつもの)リズムとずれってしまったので。そこを保ちつつ、野手も守りやすいようなテンポを、これからはつくっていきたいと思います。

――東日本では決勝まで、強豪相手にすべての試合を2失点以内に抑えていました。ワセダ投手陣の強みはなんでしょうか

伊藤 タイプが違うことかな。

廣瀬 うん。それぞれ利き手だったりボールの質が違うのからこそ、出来た試合展開っていうのもありますし。自分個人の意見としては、やっぱり仲がいいっていうのはあると思います。

増田、伊藤 (じっと見つめ合う)

廣瀬 ……ちょっとこの二人は気にしないでください(笑)。体育会は上下が厳しいっていうイメージはやっぱりありますし、高校まではその通りだと思うんですけど。ワセダの強みっていうのは、上下がしっかりしている部分っていうのはもちろんあるんですけど、その中でも下から意見も言ってくれるし、上からアドバイスもするっていう。柔らかい雰囲気を部活の中で必ず持つようにはしたいと新体制になった時に思っていたんですけど。そこが今少しずつ、結果に表れているんじゃないかと思います。東日本も、その仲の良さが、結果が良かった一つの要因だったと思います。

伊藤、増田 (見つめ合いながら微笑む)

廣瀬 ……やだなぁ、ここの間で喋るの(笑)。

――今年度に入って最も印象に残っている試合は何ですか

伊藤 自分はやっぱり東日本の日体大戦ですね。前回やられている中で、自分としてもチームとしても「絶対にリベンジ」という気持ちで対戦したんですけど、それとは裏腹に上手くいかなくて。逆に気負いすぎたというか、「攻めていこう」という気持ちを出しすぎて逆に上手くいかずに、周りにフォローされるかたちになってしまって、結果勝ちきれなかったので。勝つには、任されたところでしっかり抑えなきゃいけないと思うし、そのためにはそれなりの結果を残すという信頼が大事になると思うので。それを少し失ってしまったかなと感じた試合だったので、それがすごく印象的でした。

増田 一つに絞れなかったです。東日本が自分の課題が見つかった大会だったので。春季リーグよりも時間がたって、ちょっとチームに慣れてきてからの東日本の方が、自分の課題がすごくよく分かったので。大会として、東日本の方が印象に残っています。

廣瀬 自分も一つに絞ることはできなくて、新体制になってから東日本までの大会は印象に残っているものがほとんどなんですけど。新体制になってから自分はピッチングだけではなくて打撃もさせていただいていて、打てるとき打てないときの波っていうのは必ずあるので、打てた試合も打てなかった試合も印象に残っているので。東日本でも自分は打てなかったんですけど、去年はピッチャーとしてあまり上手くいかなくて。「どうしたらいいんだろう」っていう風に考える中で、新体制になってから少しずつですけど通用するようになってきて、その状態で迎えた東日本だったので。投打で貢献できたのが結構印象が強かったので、全体の中でも印象に残っているのは東日本だと思います。

――増田投手はルーキーながら、入学直後から始まった春季リーグ戦で最優秀防御率(防御率0.00)を獲得されました。増田投手が入学した時の印象はいかがでしたか

廣瀬 実は入試の前に見学というかたちで増田とは会ったことがあって、伊藤は代表の合宿でいなかったんですけど。最初は本当に人見知りの激しい子で、自分の思っていることをあまり出さない静かな子なのかなと思っていたんですけど。まあ見ての通り、今はこんな感じなので(笑)。

伊藤、増田 (笑)。

廣瀬 まあこの通り、明るくていい子だなと思います。

伊藤 自分もやっぱり人見知りだなと思って。廣瀬さんとか自分はあまり人見知りしないタイプなので、初めて(増田投手と)会った時も結構喋ったんですけど、あまり(増田投手が)自分から話すことはなかったので。同期が少ないっていうのもあると思うんですけど、その部分で「ピッチングと全然違うな」と感じました。マウンド立っているときは自分を出して強気でいくので、その姿と違うのが面白いなあと思って。でも今はもう、こんな感じなので(笑)。ピッチングは「速いなあ」と思ってました。

――増田投手から見て、早大女子ソフトボール部にはどういう風な印象を持ちましたか

増田 みんなが意見を言えたりとか。上からの圧が全然なくて、全員がノビノビ自分を出してプレーしていたので、「過ごしやすそうだな」と思って。初めて(早大ソフトボール部に)来た時、「ここでやりたい!」と強く感じました。

――試合前のルーティンはありますか

伊藤 打順とかを確認して、知っている相手なら頭のなかで打者一巡くらいイメージしてから寝ます。あとはとにかく、(調子が)悪いときとかはそうなんですけど、打ち取るイメージをしてます。……自分何か変こと言いました?(笑)

廣瀬 いや、真面目やなあと思って。

増田 私は……柔軟。

廣瀬 やってたねそういえば。東日本の時、くじ引きで決まって(増田投手と廣瀬投手が)同じ部屋だったんですよ。そうしたらずっとベッドで柔軟していて。最後にはベッドと壁の間に挟まってて(笑)

増田 やってたら落ちちゃって(笑)。でも基本自分は投げる前とかは柔軟してますね。柔軟したり、ボールをコロコロしたりしてます。ボールを触ってると落ち着きますね。

廣瀬 自分は音楽を聞きますね。音楽を聴いて、試合前にアップして、その後はピッチャーとじゃれてますね。ピッチャーとは基本じゃれてます。試合とか関係なくこの3人で行動することが多くて、後輩二人がぼけてくるので、ツッコミが絶えない日々ですね。

伊藤 廣瀬さんもボケですよね?こっちサイドですよね?

廣瀬 ぼけてないわ(笑)。3人ともぼけてたら収集つかないじゃん(笑)。

伊藤 だから、よく鎌田さん(彩花、文4=神奈川・平塚江南)が頭抱えてます。

廣瀬 そうなんですよね。鎌田さんが来たら3人ともボケちゃうので。

――投手陣から見て、今年の早大打撃陣についてどう思いますか

増田 波に乗ったらめちゃくちゃ打つっていうイメージはありますね。例えば、一番の神さん(樹里乃、スポ3=北海道・とわの森三愛)が打ったらその後も絶対打つなっていう。打つ時のベンチの雰囲気で決まる印象はありますね。打つ時はブワーッて打ちますし。最近はすごく盛り上がっているので、素晴らしいなって思っています。

伊藤 自分も見ていてチームが乗ってるときとか、ファインプレーが出た後とかはすごく打つイメージがあって。打力も練習で上がっていて、去年はホームランとか出なかったんですけど、今年に関して言えばホームランが打てる力もついてきているので。そのあたりで信頼できるし、お互いがお互いを信じているところがあって。「この人が打ってくれればやってやろう」みたいな流れができているんじゃないかなと思います。

廣瀬 自分は守備と打撃の中間くらいの立ち位置で、どちらもやらせていただいているので。攻撃面は、その日の『日替わりヒーロー』みたいな人が出てくると、みんなバッと乗っていくのがワセダらしさというか。そういう人が一人でも目立ってきたら、その日の試合の流れがグッとつかめるんじゃないかと思います。

――試合中、内野手がマウンドに駆け寄っていく場面がよくあります。どんなことを話しかけられているのですか

増田 言われる前に言ってる……むしろ食い気味に(笑)。「打たせていいよ~」みたいに言いに来てくれたら「そっち行きますよ~」みたいに言ったりとか。普段通りの会話ですね。

伊藤 自分はそれもあるし、「今はこっちのほうが良かったんじゃない?」みたいな配球の話とか。あとは自分が(今シーズンは)悪い試合が多かったので、そういう時は「もっと攻めていいよ」とか、「真ん中でいいよ」みたいな掛け声をしてもらってました。

廣瀬 自分は、特に神は高校時代から一緒だったので、配球とか呼吸はお互いに分かっていて。自分はバッテリーを組ませてもらっているのは高校時代からの直属の先輩(手塚麻菜美副将、スポ4=北海道・とわの森三愛)なので、自分たちのテンポはみんなに伝えるようにしているというのと。掛け声は自分も増田と同じように自分から言うタイプなんですけど、言ってもらうとしたら「ナイスボール」とかもありますし、少しふざけるときもありますね。「次、打ってくっからヨロシク!」とか(笑)。

伊藤 こうしてみると、自分たちってマウンドでもいつもと変わらないんですね。

廣瀬 そうですね(笑)。ふざけているって言ったら言葉が悪いんですけど、リラックスして向かっていく姿勢は持ちながら、オンオフしっかりっていうのが『ワセダ』という感じです。

――捕手の方々とはコミュニケーションは普段からとっていらっしゃるんですか

廣瀬 はい、大分。

一同 (笑)。

伊藤 きょうも水掛けられました。

廣瀬 楽しい時も、ちゃんとしている時も、コミュニケーションをとっていただいている良い先輩だなと思います。

先輩が近くにいてくれるので(増田)

春季リーグ戦では防御率0.00を記録した増田

――ここからはお互いの印象についてもお聞きしたいと思います。お二人から見て、廣瀬さんはどんな先輩ですか

伊藤、増田 お姉ちゃんでもあり、お母さんでもあり。

増田 精神的に病んでいる時でも、一緒にいたらめっちゃ楽しくなるので。吹っ切れるというか。優しいんですよ。

伊藤 うん。優しい。

廣瀬 恥ずかしいな、こんなところで言われるのは(笑)。

――伊藤さんはどんな方ですか

廣瀬 とりあえず、パーソナルスペースが狭い。

伊藤 距離が近いってことか。良く言われますね。引っ付いちゃうんですよ。普通にしてるつもりなんですけど、歩いてる時とか段々こう近くなっていって、「貴世美、近い」、「あ、ごめん」みたいな。

廣瀬 こういう明るい部分が多いっていうのと、あとはやっぱりふざけ始めたら止まらないっていうことかな。でも、本当にいい後輩だなっていうのは感じます。

――廣瀬さんは来年から最上級生となります

廣瀬 プレーに関しては、それぞれ持っているものがあるので、あまり言わないですし、自分も見習わなきゃいけない部分はあるんですけど。普段の生活では、「大丈夫あなたたち!?」っていう、若干心配になるときはありますね(笑)。でも学年が上がるにつれて考えることも増えるし、精神的にもこれから伸びていってほしいなと思います。

――技術的なアドバイスのやりとりはされるのですか

廣瀬 自分は言われるとしたらキャッチャーから。捕ってもらって、感じたことを言ってもらうようにはしてます。ピッチャー同士でももちろん、気づいたことがあれば声かけを出来るようには心掛けてますね。

――オフのときに一緒に遊んだりはされるのですか

廣瀬 そもそもオフがそんなにない部活だっていうのはあります(笑)。

伊藤 オフは家から出ない(笑)。

廣瀬 彼女(伊藤)は家が遠いので。でも今度一緒に行こうねっていう約束はしていて。この前はたまたま帰りに増田と会ったんですけど、その時は一緒に買い物に行かされて、その後料理を作らされました。

伊藤 結構強引ですよねこいつ。

増田 えっ……!だって寂しいじゃないですか!

伊藤 廣瀬さんなに作ったんですか?

廣瀬 オムハヤシ。

増田 すっっごいおいしかったです!

――廣瀬さんは漫画がお好きだと伺いましたが、最近のおすすめはありますか

廣瀬 アプリとかで読み直して面白いなと思ったのは、BLEACHとヒロアカ(僕のヒーローアカデミア)ですね。少女漫画みたいなものを見るとムズムズしちゃうので(笑)。スポーツだったり、頑張っていてテンションが上がる漫画が好きです。

――昨年伊藤さんは、オフの時は家から出ないとおっしゃられていました。最近はいかがですか

伊藤 家から出ないですね。

廣瀬 変わってない(笑)。

伊藤 でも気分によってすごく変わるんですよね。本屋さん行ったりとか、身体を動かしたくなったら走ったりとか。でもそれ以外の時は、基本的に家の中ですね。

廣瀬 根が真面目過ぎるんですよ。真面目過ぎる故の。

伊藤 ご飯食べて寝るのが好きなんです。

廣瀬 寝オフを推奨すな(笑)。

――増田さんは香川県出身とのことですが、新生活には慣れましたか

増田 ぼちぼち慣れはしましたけど、寂しかったら(廣瀬さんと伊藤さんを)引っ張ってきます(笑)。「行きますよ!」って。

廣瀬 自分は引っ張られ率高めなので。

伊藤 グイグイ系ですよね。最初の印象どこ行ったんだっていう(笑)。

増田 でも最近は(人見知り)しなくなりましたよね?先輩が近くにいてくれるので。本当に一人だったら無理かもしれないです(笑)。

――こちらに来てから出かけたスポットなどはありますか

増田 練習終わった後は、帰って寝てます。

伊藤 ほら寝オフじゃん。寝オフじゃないか。

増田 いやでも、1日オフだったら最初はゆっくりしてるんですけど、その後目的は特に決めずにぶらっとしたり。この駅まで行ってみたいなと思って、その駅に行ってみて、降りてから何をするわけでもなくぶらぶらして帰ります。

――部内で一押しの人を教えてください

伊藤 増子さん(奈保、スポ3=東京・日出)。ポロッと面白いこと言うんですよね。

廣瀬 誰もが思いつかないような一言を言ってみんなを笑わせるみたいな。凄い角度から、「ここ突く?」っていうところに来ますね。

増田 マウンドにいるときとかは本当に笑っちゃう。

廣瀬 ロージンを渡すときとかに、あのスラっとしてかっこいい姿から想像できないような声を出すんですよ。「ウニャッ」みたいな(笑)。自分の世界を持っている、すごく面白い子だなと思いますね。

――4年生との思い出として、印象に残っていることはありますか

廣瀬 なんだろう。それぞれいっぱい(思い出が)あるので絞り切れないですけど。やっぱり夏前になると、さっきも言ったように水を掛け合ったりとか、上下関係なく楽しんで。水を止めるスプリンクラーのところにずっといて、水を掛け続けるキャプテンとか(笑)。お茶目な部分がある4年生です。綱島さん(香依、国教4=東京・日出)も天然ですし。

伊藤 (綱島さんが)面白いですね~。何をとは言えないですけど、面白いです。

増田 東日本の時偶然隣でご飯を食べさせてもらったんですけど、本当に面白かったです。

努力してきた一年を全力でぶつけて、悔いのない試合に(伊藤)

常に本調子とはいかないシーズンだったが、笑顔で締めくくりたい

――昨年のインカレを今となって振り返ってみるといかがでしょうか

廣瀬 去年は自分自身二回目のインカレでしたが、登板したのは初めてでした。自分が1年生の時は先輩方が登板し、自分は応援というか、全力でサポートに回る役割だったので。(昨年登板した時は)緊張はしなかったのですが自分の思うようなプレーが全然できませんでした。高校や中学の時も全国大会は経験させてもらってたんですけど、インカレはそれとは違った雰囲気というか、独特なものがあるなと思いました。去年は自分のせいで負けてしまった試合が富士大戦なんですけど、今年の東日本で対戦した時、私は登板しませんでしたが勝利したことによって(昨年で負けたことで生まれた)重荷というか、負荷が取れたかな、と思います。それまではずっとインカレでの後悔というのがあって、「あの時ああしていれば」と思うことがよくありました。後悔が強いというのが昨年のインカレだったと思います。

伊藤 去年のインカレは、投手が3人しかいなかったこともあって登板機会もいただけたのですが、自分が入部してから日数がそんなに経っていない上に、代表合宿などもありチームに慣れていなかった、という印象があります。逆に入学したばかりで相手チームに先入観を持つことなく試合に臨めたという点ではやりやすかったのかなと思います。(相手チームのことを)わかっていれば、その分相手の情報を知ることもできたとは思いますが、背伸びをして勝とうとするよりは、今の自分の実力をしっかり先輩たちのために出し切ろう、という思いでプレーできたのでそれはよかったかなと思います。去年のインカレと東日本で富士大戦で自分が登板し、勝ち切ることができず、特に東日本では後半打線につかまって2点取られてしまいました。それを踏まえて今回の東日本では、失点しましたが富士大に勝てたことはいいきっかけになったと思います。今年は自分が2年生になって、チームに入ってからの日数が当然昨年よりも経っているので、昨年よりも責任が重いと感じています。思うところも当然ありますし、4年生のために、今までの大会結果が満足のいくものでなかったとしても、最後のインカレに全てを懸けられればいいかなと思っています。最後に向けて調整というか、自分の全力が出せればいいかなと思います。

――インカレに向けて投手として特に練習をしている点はありますか。それとも、普段通りのルーティンで力を伸ばしているのでしょうか

廣瀬 投手陣全体で目標にしているのが、吉村先生(正、昭44卒=
京都・平安)から教わっている動くボールですね。教わっている球種はそれぞれで違うんですけど、それを大事にしながら試合でどう生かすか、というのは自分次第だと思うので、そのボールを試合で上手く使いこなせるようになるのをインカレに向けて一番の目標としてます。動くボールを使いこなせるようになれば自然といい結果につながってくると思っているので、先生の指導のもと一生懸命やっていきたいなと思います。

――インカレでのキーマンは誰になると思いますか

廣瀬 プレーとチームの中で分けるっていう方向で考えようか…。誰だろうな…。

――キーマンとしての一人が挙げられるというよりは、チーム全体として、という感じでしょうか

廣瀬 そうですね。この人が(活躍すれば勝てる)、というよりは、さっきも言ったみたいに日替わりヒーローみたいにみんなが輝ければ勝てるのかなって思います。

――インカレの組み合わせを見た率直な感想はいかがでしょうか

廣瀬 初戦の武庫川大は、正直にいうと相手の情報が無くてよくわからないというのが最初に思ったことですね。

増田 自分が武庫川大を見た時に、「あ、同期が一人だけその学校に行ってる」って思いました。

廣瀬 あ、そうなんだ。

伊藤 自分はやっぱり日体大が目につきました。順調に勝ち進めば準決で当たるので。

廣瀬 一戦一戦、目の前の試合をしっかり戦っていかないと優勝につながっていかないと思います。その日その日の試合をどう乗り切るのかっていうのはみんな大事だと思ってるので。率直な感想としては、日体大は正直目につきましたね。同じリーグで何回も対戦して負けてしまっているので。西では園田学園大というのがいますし。園田学園大とは、昨年のインカレ前に練習試合で対戦しましたが、引き分けか負けてしまっていたので。どうしても強豪は目についてしまいますが、目の前の試合をしっかりやろうと思いました。

――インカレはどのような位置付けの大会ですか

伊藤 一年間の集大成の場でもあり、自分のベストパフォーマンスを尽くす場でもあり、4年生のために恩返しができる場でもあり…。いろいろあります。

廣瀬 一言じゃ言い表せないようなすごい思いが詰まっている大会だなって感じるので、その位置付けとしては一番大事なのかなって思います。

――増田さんは初めてのインカレですが、そこへ向けての思いはいかがですか

増田 高校の時に全国の舞台を経験させてもらうことはできたんですけど、大学の全国大会といったらさらにレベルも上がっていますし、雰囲気も高校とは違うものがあると思います。緊張して自分の力が出せなくなるということが無いように、これからちゃんとやっていきたいなと思います。

――この場にいない4年生に向けて伝えたいことはありますか

増田 早大のソフト部に入って自分はまだ間もないので、2、3年生の先輩に比べたら4年生とは付き合いが長くも深いわけでも無いですが、それでもちゃんと自分の意見を聞いてくれたり、捕手の先輩も自分の球の質とかをわかってリードしてくれたりとか、相談して一緒に考えてくださる先輩方なので、感謝の気持ちしかないです。インカレで最後先輩たちが笑って終われるように、自分は試合に出させてもらったら全力を尽くす、と考えています。

伊藤 4年生が5人で人数が少ない上に捕手が2人いることもあって関わらせてもらう機会が多い中で、過ごしてきた期間も長かったので、その分指摘してもらうことも多かったし、大学にきて自分が成長できたのは4年生のおかげかなという部分が大きいです。その分を4年生にとって最後のインカレを、自分たちも一年一年を最後だと思って、4年生のために頑張りたいなっていう気持ちで。4年生にマウンドを任せてもらえるとしたら、安心して任せてもらえるように頑張りたいです。

廣瀬 まず、4年生のみなさんに「かまちょの行動してすみません」っていうのがあって(笑)。いつもかまってくださいって思ってしまうのは4年生の優しさがあるからだと自分は思っていて、そういう環境をつくってくれた4年生はやはり寛大だし、自分たちも最上級生になるときにそういう姿を見習っていきたいと思います。特になんですけど、手塚さんは高校から直属の先輩でもう6年目になるんですけど、自分ができなかったりわからないところをたくさん教えていただきました。手塚さんを始めとして他の先輩方にも色々教えてもらって、大学での自分はそういった方々に支えられてできていると思うので、その方々のためにインカレというのは強い思い入れがあります。自分のできる最大のことを発揮して、いい思いをさせてあげたいと思います。

――最後になりますが、インカレでの抱負をお願いします。

増田 試合に出させてもらうことがあったら、もちろん全力で投げます。東日本の時には失点をしてしまったので、インカレでは失点をしないことと、どんな場面でも楽しみたいと思います。

伊藤 努力してきた一年を全力でぶつけて悔いのない試合にしたいというのが一番なのと、あとはマウンドで投手が楽しくプレーしていた方がチーム的にも乗れるし、自分自身でもどんどん乗ってけると思うので、楽しんで試合に臨みたいなと思います。

廣瀬 新体制になってからここまでやってこられたのは吉村先生を始め保護者の皆さんもそうですけど、4年生が引っ張ってくれたからだと思うので、先輩方のために優勝したいと思っています。そのためには投手として試合をつくることが必須条件だと思っているので、この三人で試合がつくれるように意識高めて、最後のインカレに向けて一生懸命やっていきたいです。

――ありがとうございました!

(編集 望月優樹、中澤紅里 写真 金澤真由)

◆廣瀬 夏季(ひろせ・なつき)(※写真中央)
1997(平9)年8月21日生まれのB型。161センチ。北海道・とわの森三愛高出身。スポーツ科学部3年。投手。料理を作るのが好きだという廣瀬投手。お菓子をよく作っていて、中でもチーズケーキがイチ押しだそうです。ピッチングに料理にと、多才な右腕がチームを勝利に導きます!

◆伊藤 貴世美(いとう・きよみ)(※写真左)
1999(平11)年2月4日生まれのO型。164センチ。千葉経大付高出身。スポーツ科学部2年。投手。登場曲を設定できるとしたら、という質問には「ターミネーター7割、UBERworld3割」と答えてくださいました。明るく元気な喋りでムードメーカーとなる一方、真摯に練習に取り組む姿勢は投手陣の模範だそうです!

◆増田 侑希(ますだ・ゆうき)(※写真右)
1999(平11)年6月29日生まれのA型。165センチ。香川・高松南高出身。スポーツ科学部1年。投手。強気のピッチングとは対照的に、柔らかい笑顔が印象的な増田投手。登場曲を設定できるとしたら、という質問には、『GReeeeN』の『歩み』と答えてくださいました。春季リーグ戦、U19アジア選手権ともに防御率0.00で最優秀防御率に輝いた絶対的クローザーに注目です!