一時逆転も守備で自滅…連敗で上位争いから一歩後退

男子ソフトボール
東京都大学連盟春季リーグ戦
国士舘大
早 大
●杖子-実重 ◇(本塁打)石井

 1週間前、中大に敗戦を喫し(●2-4)、『2強』との戦いを前に土を付けられた早大。15日に予定されていた試合が雨で順延となり、東京都大学連盟春季リーグ戦(リーグ戦)の4戦目として、国士舘大と対戦した。この日の早大は3点を先行されながらも、試合中盤にワンチャンスを生かして逆転に成功。しかし、直後に再び試合をひっくり返され、そのまま敗れた。総当たり戦は1試合を残して2勝2敗で4位となり、上位3チームで行われる順位決定トーナメントへの進出に黄信号が灯った。

 全日本大学選抜のインドネシア遠征の影響で、この日の早大は川上卓也(スポ3=岡山・新見)を、国士舘大は主力3人をそれぞれ欠いた。早大は、川上に代わって二塁手でスタメン出場した高橋尚希(スポ2=宮城・泉館山)が鋭いゴロを確実にさばくなど、初回の守備をリズム良く三者凡退で終えると、その裏の攻撃で、相手の失策絡みで得点圏に走者を進めるが、これを生かすことができない。直後の守備で先頭打者に迎えたのは、先発投手で4番の中島悠貴(4年)。追い込んでから、一塁手横へのライナー性のファウルボール、三塁方向へのファウルフライを押さえられずアウトを取れないでいると、9球目を左翼に運ばれ、これがフェンスを越えた。さらに3回にも四球と失策で出した走者をかえされ、3点を追う展開となる。打線も、昨年10月の関東大学選手権(関カレ)でなかなか好機をつくらせてもらえなかった左投げの中島悠を前に、3回まで1安打に抑え込まれた。早大にとっては不運ともいえる盗塁刺の判定もあり、ペースをつかめない。しかし4回裏、四球と幸運な内野安打に加え、相手の野手選択も重なって、1死満塁の好機をつくると、6番・石井智尋(スポ2=千葉敬愛)が右翼に柵越え本塁打をたたき込む。「バッターにとって打ちやすい雰囲気をつくってのあの一発だった。目指しているような攻撃だった」(鳥岡健主将、スポ4=岡山・高梁)。相手の隙を見逃さず、ワンチャンスで逆転に成功した。

4回に逆転の本塁打を放った石井

 しかし、興奮冷めやらぬ直後の守備で、自ら主導権を手放してしまった。相手は8番打者からの攻撃。この回を確実に抑え、勝利にまた一歩近付きたい早大だったが、失策で先頭打者に出塁を許した。杖子量哉(スポ4=岡山・新見)がなんとか無失点のまま2死一、三塁の状況までこぎつけたが、バッターボックスに迎えたのは、昨秋の関カレで先制弾を許した亀田弦希(3年)。打者有利のカウントになるとついにこらえきれず、右翼に鋭いゴロを弾き返されてしまう。さらにこの打球を処理しようとした右翼手が後逸。あまりにも痛いミスで、打者走者も含めた3人が生還した。安すぎる失点へのショックは大きく、さらに1失点して再び3点差をつけられると、打線も元気を失ってしまい、反撃の機運は戻ってこない。最終回、中島悠にこの日2本目の柵越え弾を許してダメを押された早大は、最後の攻撃も迫力なく終え、4-8で敗戦した。

早大打線は5回以降、中島悠の前に沈黙した

 守備のミスは両チームともに『3』で同数。しかし、ミスの後の振る舞いが試合の行方を左右した印象だ。前多悠登副将(人4=東京・小山台)の表現を借りれば、国士舘大は「よし、それでも抑えてやろう」という雰囲気をつくり、早大は「やばい、やばい」という雰囲気に陥っていた。両チームの対象的なムードが、そのまま結果に表れた気がしてならない。連敗で現実味を帯びてきたのは、5季ぶりのBクラス転落。このリーグ戦で今夏の全日本大学選手権(インカレ)出場を決められるのは、上位3チームだけだ。春に限って言えば、2001年以降ずっと守り続けてきたAクラスの座をついに手放し、インカレ出場決定を二次予選に持ち越すことになってしまうのだろうか。「まだ春」と強調したのは鳥岡主将。ただ、いくら照準を広域大会が控える夏に合わせているとはいえ、ここで負け癖をつけてしまうわけにもいかない。29日は是が非でも日体大を倒し、『勝利の味』を思い出したいところだ。

(記事 守屋郁宏、写真 石﨑開)

関連記事

まさか。最終回に逆転許し、手痛い敗北/東京都大学連盟春季リーグ戦(4/15) 杖子が13Kで東大打線を完封!開幕二連勝を飾る/東京都大学連盟春季リーグ戦(4/10)

コメント

鳥岡健主将(スポ4=岡山・高梁)

――まずは今日の試合、振り返ってみていかがでしたか

先制されて主導権を握られてからの試合だったので、やはりきつかったです。

――先週の敗戦(中大戦)を受け、どのようなことを意識して試合に臨まれましたか

戦術的なことというよりは練習の雰囲気であったり、知らないうちに(気が)緩んでしまっていた部分があったと思うので、そういうところはしっかりと気を引き締めてやろうとしました。そこに関しては徐々にですけれども、できているのかなと思います。

――先週の取材で、打線が課題だとおっしゃっていましたが、きょうその点はどうでしたか

4回の攻撃に関して言えば、うちらしいというか、出たランナーを大事につなぐことができました。1死満塁で、バッターも勢いに乗ることができる打ちやすい雰囲気をつくってのあの一発だったので、あれはうちが目指しているような攻撃でした。

――投打のバランスにおけるチーム状況はいかがでしょう

これまでは杖子がずっと一人で頑張って抑えてきてくれた中できょうはこういう展開になったので、野手がもっともっと点を取ってあげなければいけないと思いました。ただ杖子自身もバッテリー間できょうの反省はあると思うので、そこはお互いに修正していければと思います。

――負けられない戦いが続きますが、その中でチームとして徹底していきたいことなどはありますか

やはり打線をつなぐということは必要だと思いますが、まだ春なので、個人の能力をもっと上げていくということも大事かなと思います。

前多悠登副将(人4=東京・小山台)

――中大に敗れ、今日の試合に向けてどんな準備をしてきましたか

まずは負けたことで、技術的にも気持ち的にも見つめ直すところは見つめ直さないといけなかったです。ミーティングをして気を引き締めて、今まで甘かった部分はもう一度締め直そうとチームに言い直しました。技術的な部分では、国士舘のピッチャーは左(投げの投手)が先発してくるだろうということで、左を打てるように対策はしてきました。結果的にはあまりつながらなかったなというのが正直な感想です。

――やはり相手投手にはやられてきたイメージみたいなものもありますか

自分たちの代に限らず、2個上の頃くらいからやってきていたので、傾向とかは全部わかっていました。その上で打てなかったのは、やっぱり単純な実力不足かなと、真摯に受け止めないといけないと思います。

――試合を振り返っていかがですか

やっぱりミスが多かったと思います。打てなかったのもそうなんですけど、失点にはほとんど守備のミスが絡んでいたので、現状打てていないということを考えると、やっぱり守れないと厳しいかなと感じますね。

――流れの部分に関して、守備時にベンチから見ていた印象としては

やっぱりミスが出ると嫌な感じになるなと思います。「よし、それでも抑えてやろう」というよりは、「やばい、やばい」となっている感じがあって、悪い意味でずるずると行ってしまっているなというのは感じました。自分たちベンチもそこで(声で)助けてやろうという感じもないし、(グラウンドの)中にいる人間も、一人一人が「やっちまったな」という感じで、そこはチームとして甘いかなというところではあります。

――国士舘大との差もそういう部分ですか

そうですね。ただ、自分たちが4点を取った回も、相手のエラーが絡んでいたので、引きずるということよりはミスの多さが出たかなと思います。あとは最終回に相手のピッチャーにエラーがあって、そこで(点を)取れないというあたりも甘さだと思います。でもミスの多さが一番の違いかなとは思いますね。

――ご自身の打撃の調子はいかがですか

秋とかに比べると振れてるかなとは思うので、悪くはないかなと思うんですけど、今日もランナーがいる場面で打てなかったですし、本当に求められる場面で打てていないのでまだまだかなと思います。技術的なものも気持ち的なものもあると思うので、もっと上げていかないといけないなと思っています。

――日体大戦は本当に勝利が欲しい試合になると思います

もう勝つしかないです。まずは勝つしかないので、1週間あるので、向こうの傾向をもう一回考えて、対策するところは対策して、反省するところも反省して、良い準備ができるように1週間を過ごしていきたいと思います。