慶大を寄せ付けず、大勝で一年を締めくくる

男子ソフトボール
 
慶 大
早 大 12
○杖子、山内、石井-実重、中畑
◇(本塁打)吉原2、梶谷

 2017年最後の公式戦となる早慶定期戦が行われた。東京都大学連盟リーグ戦(リーグ戦)で2部に所属する慶大だが、ことしは当時1部の2チームを破って全日本大学選手権(インカレ)に出場するなど、躍進のシーズンを送っていた。しかし、試合は地力の差を見せた早大が大勝する。初回に5安打を固め4点を先制すると、2回にも打者9人の猛攻で5点を追加し、勝負を決めた。また、大会MVPには、先制適時打と2本の本塁打を放ち、5打点を挙げた吉原陸(スポ1=福島・安積)が選出された。

 「(慶大は)油断できる相手ではない」(吉原)。そうチーム内で話し、秋シーズンの主力を担ったメンバーでスタメンを組んでこの試合に臨んだ早大は、立ち上がりから慶大を圧倒した。まずは初回、先頭の石井智尋(スポ1=千葉敬愛)が四球を選ぶと、丹野太郎(スポ2=兵庫・滝川)も三遊間を抜いて早々に好機を演出。暴投を挟んで無死二、三塁となり、3番打者・吉原が鋭いセンター返しのゴロを放つ。慶大の二塁手が飛びついて好捕したが送球には至らず、これが先制の内野安打となった。さらに、鳥岡健主将(スポ3=岡山・高梁)と前多悠登副将(人3=東京・小山台)も適時打を放って続き、4点を奪う。2回も勢いそのままに、無死から石井、丹野が連続安打を放ち出塁。吉原が右翼手の頭上を大きく越える3点本塁打を見舞うと、その後も安打に慶大の2つの失策が絡み2点を追加した。一方、序盤の守備では、2回までを投げた先発の杖子量哉(スポ3=岡山・新見)が、打者6人全員から三振を奪い、慶大打線を完璧に抑えた。

2回に勝敗を決定づける3点本塁打を放った吉原

 序盤に勝敗を決定づけた早大は、選手を入れ替えながら試合を進める。「(秋シーズンが終わって)みんな横一線で競争だというチーム方針があった」(鳥岡)と、これまで公式戦での出場機会が多くなかった選手を積極的にグラウンドに送った。印象的な活躍を見せたのは、一塁手の守備に入った梶谷陽介(法1=神奈川・柏陽)だ。先頭打者として迎えた4回に中前打を放って攻撃の起点となると、5回にはこの日2本目の本塁打を放った吉原に続き、中堅に二者連続となる本塁打を放った。また、2番手でマウンドに上がり、3回を投げた山内壮起(スポ1=千葉・成田国際)は、1年生捕手の中畑友博(スポ1=愛知・清林館)とバッテリーを組み、毎回走者を出しながらも無失点に抑えた。最終スコアは12-2。ことしも危なげなく伝統の一戦を制した。

5回に自身初となる本塁打を放ち、祝福される梶谷(写真中央)

 シーズンを勝利で締めくくったチームは、冬のさらなるレベルアップを誓う。日本一を目標に掲げる上で、春シーズン、そして勝負の夏に向け、ここからの4カ月余りの取り組みが今後を決めるというのは、決して誇張された表現ではないだろう。主戦で活躍していた多くの4年生が抜け、戦力ダウンを強いられた今年度のチームにおいてはなおさらだ。「打撃練習を集中的に行い、得点力向上に努めたい」と鳥岡。その言葉からは、3ヶ月前にインカレの舞台で一球を仕留める力を目の当たりにし、涙をのんだ経験を踏まえ、同じ轍を踏むわけにはいかないという強い意志が感じられる。『強打の早大』を目指して過ごす冬。それを乗り越えた先にある春季リーグ戦では、進化した姿を見せてくれるはずだ。

慶大男子部は1部昇格にあと一歩まで迫っている。2018年、リーグ戦の舞台で早慶戦は実現するだろうか

(記事 守屋郁宏、写真 石﨑開、守屋郁宏)

コメント

鳥岡健主将(スポ3=岡山・高梁)

――きょうの試合を振り返ってみていかがでしたか

今季最後の試合であるとともに早慶戦ということだったので、チーム全員でしっかりと勝ち切ろうという思いで臨みました。

――きょうは経験の浅い選手もたくさん出場しましたが

関カレが終わってからは、主力もそうでない部員もみんな横一線で競争だというチームの方針がありました。だから、今は誰がレギュラーで誰がそうでないということは全くないので、これまで出場機会に恵まれなかった選手が試合に出て、活躍するということは良い刺激になったと思います。

――最後に、来年の抱負とそのためにこの冬チーム全体で取り組んでいきたいことがあればお願いします

最終目標は夏ですが、春のリーグ戦からしっかりと結果を出さなければいけないと思っています。そのためにもこの冬は打撃練習をチーム全体で集中的に行ない、得点力向上に努めたいと思います。

吉原陸(スポ1=福島・安積)

――どのような意気込みで臨まれましたか

チーム内では油断できる相手ではないと話し合っていたので、相手に全力で向かっていきました。

――きょうの試合を振り返って

普段(試合に)出ていないような色々な選手も出れて、結果的に点差もついたので、楽しくできたかなと思います。

――先制打に加え2本塁打というご自身の成績については

練習の中でも調子が良くて、しっかり自分のかたちで振りにいけたので、結果につながったかなと思います。

――MVPに選ばれました

秋シーズンはリーグ戦を通して1本しかヒットを打てなくて、悔しい思いもいっぱいしていましたし、今シーズン最後のゲームということで、悔いは残したくなかったです。(きょうは)来シーズンにつながるような試合だと思っていたので、結果を出せてよかったかなと思います。

――来シーズンに向けて

秋の結果はページを終えて3位だったので、やっぱり僕らの相手は日体や国士だと思うので、そこに勝てるようにチーム一丸となってこの冬をしっかり乗り越えたいと思います。