【連載】インカレ直前特集『REVENGE』 第5回 吉田尚央×豊田誉彦×山本修平

男子ソフトボール

 『守備から流れをつくる』ことを信条とするチームにとって、投手と捕手の奮闘はいかなる試合でも不可欠だ。ことしのワセダのバッテリー陣は、3人の4年生が支えている。現体制において最後の大会となる全日本大学選手権(インカレ)を前に、彼らは何を思うのか。そこで今回は、吉田尚央(人4=長崎・佐世保西)、豊田誉彦(スポ4=兵庫・滝川)、山本修平(スポ4=大阪・清風南海)の3人に話をうかがった。

※この取材は8月22日に行われたものです。

「チーム力が上がってきた」(山本)

タイプの異なる3投手を引っ張る山本

――まず最初に、昨年の秋に現体制が発足してから現在までを、振り返っていただけますか

豊田 今となっては、秋はすごい未熟なチームだったなと思うんですけど、こうやって今最後の大会の前になって、ようやく完成してきたんじゃないかなと思います。自分自身は、ちょっと冬場にケガとかもあったんですけど、この大会(インカレ)に照準を合わせてやってきているので、自分なりにはだいぶ調整できているんじゃないかなと。その調整というのも、この1年間で段階を踏んでしっかりやってこれたんじゃないかなと思っています。

――未熟なチームだったということですが、どういう部分に成長した実感がありますか

豊田 やっぱり内野手の連携であったりとか、声のかけ方であったりとか…
山本 (豊田選手にささやくように)投手…
豊田 投手力です!
一同 (笑)
豊田 投手力はそんなに大きくは変わってない…。
吉田 人も変わってないしね。
豊田 まあその投手と内野手の連携であったり、投手がこういう球を投げたら内野にはこういう打球が来るから、こういう準備をして、ということが、秋とかは全然なくて、エラーが目立ってたように思うんですけど、最近は守備もがっちり守れていて、そういうところはだいぶ変わったなと思っています。

――おふたりはいかがですか

山本 豊田も言ったんですけど、昨年はレギュラーで出ている人が結構固定されていて、ミスあっても変えるような選手がいなかったんですけど、この夏に近付いてきて、2枚目の選手でも守備が良かったりとか、あとは投手戦になっても守備が足を引っ張らずに、バックでしっかりとバッテリーを盛り立ててくれるというのが、全体としてできるようになってきたので、そこに関してはチーム力というものが上がってきたことが現れているのかなと思います。
吉田 秋リーグは大変でしたね(笑)。振り返ってみるとエラー多かったなと。(エラーが)一番多かったのは、練習試合か何かで8だったかなと思うんですけど、ミーティングで「ノックしよう!」ってなったのをよく覚えています。
山本 それが今、0が基本になってきているので。特にセカンド、ショートは、(以前は)少し粗さがあったんですけど、堅実さというものが備わって、今では打球が飛んだら安心できる存在にはなっているかなと思います。

――守備について触れていただきましたが、打撃面についてはいかがですか

豊田 今までは、個人個人で何かしてやろうと考えているんだろうなと、打たない側の人間としては見ていて感じていたんですけど、最近は「打って出て、次のバッターがつないで、その次のバッターが還す」っていう、打線というものにやっとなってきたんじゃないかなという風に、見ていて思うことはあります。
吉田 去年と比べると、長打を打つ人が少なくなったり、一人一人の打つ力は下がったのかなと、ところどころ思うことはあるんですけど、だからこそいろいろ工夫してやろうって考えて練習する人が一番多いかなと思います。

――東日本大学選手権で良い内容の試合ができたと思うんですが、最近成長を感じる部分はありますか

山本 キャッチャーの立場からいえば、豊田や吉田がケガから復帰して、万全のコンディションで投げることができているということで、この二人が実力をしっかり見せつけてくれたので、バッテリーでは相手と互角に勝負することができているというのが、東日本もそうですし、最近の練習試合でも勝てている要因なのかなと思います。

――投げている選手としては、きょうは行けるぞという感覚ってあったりするんですか

豊田 初回の入りだとか、かなり序盤の方はかなりこっちに雰囲気が来ているというか、勝てるような流れがあったとは思うんで。
山本 あの決勝戦に関しては、前日に国士舘に勝利していたということもあって、勢いがチーム全体にもあったので、国士舘に勝ったなら優勝しようと、全員が優勝の可能性を感じていたので、それが一番大きかったのかなと思います。

――一方で、下級生の投手についてはいかがですか

山本 杖子は昨年と比べて、春リーグから全総予選にかけて、この二人がケガをしていたということもあって、ほとんど投げていたんですけど、その中でたとえば春リーグの国士舘戦であったりとか、あとは主力じゃないかもしれないですけど、岡山遠征で平林金属さんとやったりとか、そういう強い相手に投げ勝って、本人も自信がついたというか、以前よりマウンドに上がった時に堂々と投げていますし、ゲームメイクできる能力は身についてきたのかなと思います。

――投手陣はその杖子投手も含め、ことしは3本柱のようなかたちで戦っていると思いますが、それぞれのタイプの違いは

山本 豊田は他の二人に比べて体格は小さいながらも、バッターによって自分の投球フォームをちょっと変えたりとか、タイミングを外したりとか。あとはライズにしてもドロップにしても、人とは違った変化があるのかなと感じるところがあって、相手バッターがすぐに対応するのは難しいのかなと言うように感じるので、打てそうで打てないというところが一番の持ち味というか、この体格であのスピードで、でも打てないというのを相手バッターは感じると思います。自分のペースで試合をつくるということができるピッチャーだと思います。

――と言われていますが

豊田 違うところはないですね。それはまあ、4年も一緒にやってたらさすがにわかるでしょうと(笑)。
一同 (笑)

――吉田選手についてはどうですか

山本 3人の中でも一番考えてピッチングをするタイプだなと思っていて、その分自分が助かっている部分も結構あって、東日本でもあったんですけど、自分と吉田が考えていることが一致した時っていうのは結構いい結果が出ていることが多くて、自分の配球の意図を理解して投げてくれるところがあります。あとは少し豊田と違うんですけど、吉田も相手バッターの狙い球を絞らせないというか、タイミングを外す能力と、しっかりとしたドロップを持っているというところで、相手を支配できるじゃないですけど、組み立てとしては(僕としては)一番楽なのかなと今は思っています。
吉田 自分としても、考えて投げたいタイプではあると思うので、山修も言ってくれたように、これだけ一緒にやってきたので、試合では考えていることもだいぶ合っていると思います。それで最近いい結果が現れているのかなと思います。自分は思い切り投げることはあまり好きではないですし、楽して楽しく勝てれば一番いいので、そういう投球ができるように最近やっとなってきたかなと思います。

――これまでの取材でも、事前にデータを入れないというお話が印象的なのですが、具体的にどういったことを考えるのですか

吉田 バッターとかのことは山本が考えてくれているので、もともとのデータとかは入れないです。打席に入る時のバッターのスイングを見て考えたり、タイミングとかも考えたり、自分で感じたこととかをその時その時で生かして、その場で考えて対応するほうが楽なので。先入観を持ちたくないので、そこが人とは違うかもなと思います。

――逆に山本選手については、投手のお二人から見ていかがですか

豊田 4年目というのもあるんで、さっきもあったんですけど、自分がこれがいいかなと思った時に、基本的にそのサインが同じタイミングで出てくるっていうのが多いので、完全にキャッチャーにサインは任せていいかなと思えるようになったなと思います。
吉田 イメージなんですけど、引っ張るタイプのキャッチャーというよりは、引き出すタイプのキャッチャーかなと思います。今はピッチャーが3人いて、それぞれの特長を引き出すのがうまいのかなと。信頼してここに投げろというよりは、ピッチャーが投げやすいように組み立てをして、構えとかも変えて、それぞれの良さを引き出してくれるようなキャッチャーですね。有名になるタイプのキャッチャーというよりは、脇役として良さを引き出すのが上手いタイプのキャッチャーだと思います。

「4年間積み上げてきたピッチングを出し切りたい」(豊田)

独特な変化球に加え、駆け引きで相手打者を翻ろうする豊田

――では、ここからは少しソフトボールを離れた話に移りたいと思います。普段の生活などでのお互いの印象についてはどのように感じていますか

吉田 (豊田選手に向かって)まず言われるのはお前からやろ。
豊田 あ、言われるの!?
吉田 そのほうが言いやすくない?
山本 豊田についてね。豊田の印象…?印象…。ソフトを離れると、ゲーム、アニメに集中してるというか、それが中心で回っているのかなと思いますね。あまりご飯とかも行きたがらないというか。
吉田 なんか、食べるのあんまり好きじゃないとか(笑)。
山本 たぶん食べるのあんまり好きじゃないんで、パッとご飯を食べてテレビ、ゲーム、アニメをしたいタイプなんですよね。 

――自分の時間を大切にしているんですね

山本 そうですね。趣味に時間を費やしていて、「あいつ、絶対あれやってるんやろうな」って思ったら絶対やってますからね(笑)。
吉田 凄いですよ。熱意が凄いです。趣味とかに対する。自分だったらそこまで動けないなっていうことを普通にやっちゃうので。練習来る前に映画館行って映画見て、練習来たりとか。せっかくのオフなのに遠出して、なんか行ったりとかあるので。趣味で行動するのには疲れを感じないんだろうなと思いますね。 

――と言われていますが、豊田選手はどのように感じていますか

豊田 言われた通りですね。普段は部活以外は4年生なので授業もないので、家に居てパソコン開いてずっと過ごしてますね。
山本 (笑)
豊田 オフの日も、どっか行こうかなと思ったら片道1時間とかかけてでも、秋葉原とか渋谷とか行きますね。好きなものに対してはかなりアクティブです。

――続いて山本選手に対する印象はいかがでしょうか

吉田 マイペースですね。私生活自体は。
豊田 それは間違いない。マイペースだけど、どこか正確性があるというか。部活動が始まる5分前に必ず来るんですよ。マイペースで、いつも「あいつ大丈夫かな?」と思うんですけど、確実に5分前に来るんです。
吉田 ちゃんと間に合うんですよ。
豊田 遅刻もしないんで、マイペースな中にも正確性がありますね。

――という風に言われていますが、山本選手自身はいかがでしょうか

山本 いつも自転車で練習に行っているんですけど、あるポジションをいつまでに通過すれば絶対間に合うっていうポジションを見つけたので。
一同 (笑)
山本 その時間さえ、っていう感じでいるので。だから、あんまり焦らないというか、ここを何分だからきょうは絶対間に合うっていう感じで来ています。あとは、家でくつろぎたいので、朝とか。ぎりぎりまでゆっくりしているんですよね。早く起きてもくつろいで、家を出るところがあるので。マイペース、よく言われます(笑)。
吉田 時間の使い方が上手いイメージは確かにあるね。私生活とか、遊びに行った時の話とか聞いても。その時間でよくそんなに動き回れるな、って思うくらいの密度の濃い時間を過ごしているイメージはあります。

――では、吉田選手の印象についてはいかがでしょうか

豊田 何か自分の感じたことを共感したがっているのかなと思いますね。
吉田 あ、そっちね(笑)
豊田 性格的にそういう性格で。共感したいんだなと感じることがありますね。僕全然知らなかったんですけど、さっきも広陵高校の4番バッターの話をしていて。
吉田 中村奨成君ね。
豊田 彼が2本ホームラン打って最高記録を出したとか言われたんですけど、僕全然知らないんで…。
山本 それはダメなんよ(笑)。普通、テレビ観てる人なら知ってるんですよ。てか、ソフトをしていたら高校野球とか見たくなるじゃないですか。それなのに、観ないでゲームとかしているのも凄いんですよね。
吉田 自分も一般常識くらいの感覚で豊田に話したんですけど、「そうなんや~」みたいなこと言われて、「あれ」って思ったんですよね。
豊田 自分、最高記録がどうとか知らないんで…。
吉田 まぁ、こっちも悪いんですよ(笑)。
山本 ここでズレが生じちゃってるからなぁ。
豊田 あと、練習終わった後とかにプロ野球の速報を見て、誰が何で勝ち越したとか情報提供も凄いあるんで、僕野球あんまり見ないんですけど、他のメンバーとかが「え!?誰が打ったの!?」とかいうので、周りに情報発信の中心になっているんじゃないかなと思いますね。
山本 結構尚央から「そうなんや」ってなることを聞くのが多くて。例えば、ソフトバンクのキャッチャーの肩が凄いみたいなことを聞いて、調べたら本当にすごくて。で、2週間くらい経った後にニュースとかで取り上げられてて、「速いなぁ~」と思いましたね。そういう情報を結構早い段階で仕入れているので、尚央から情報を得たりするのが多いのかなという印象ですね。あとは、食へのこだわりがあるのかなという印象ですね。
豊田 え、朝からご飯作るんだよね?
吉田 ちょくちょくね。
山本 ここはこだわりは…(豊田選手、山本選手、吉田選手の順番で)食べない、こだわりはない、あるっていう感じなので。
吉田 自炊はしますね。
山本 自分は朝ごはんつくる時間もなくて、結構ギリギリなので。しっかりご飯を作ってるのが凄いなというのと、一度はまったらそれをずっと食べているなというイメージがありますね。イメージというか、そうなんで。

――先ほどの話ですが、結構情報を持っているということでしたが

吉田 あ、それは暇なだけです(笑)。めっちゃ暇人なんで。豊田と似てるのかもしれないんですけど、基本的に外に出ないんですよ。ソフトボール以外で出かけるなんて正直嫌なくらいなんで。今はWi-fiがあるので、ネットサーフィンしたり、youtube観たりゴロゴロして、気づいたら夕方で、晩飯つくってみたいなオフが多いので。密度がない時間を過ごしてます。
山本 あんまり家から出ないよな。
吉田 豊田は出かけるときは本当出かけるんですけど、俺は出かけるときもないから。私生活に目的がないから。
山本 ふらっと出かけるというのはない?
豊田 ないね。今どこで何をやっているか行こうっていう。
吉田 へぇ~。俺はもう本当家から出ないから…。

――では、なかなかオフの日に会うということもないんですね

豊田 滅多にないよね。
山本 滅多にないね。
吉田 俺は山修から飯誘われたら、いつも晩飯自炊なんで作ってなかったら行くんで。
山本 そうですね。自分家であんまりご飯をつくらないんで、この時間でご飯食べに行くんだったら尚央かなと。
吉田 今、家近いんで。
山本 家近いんで。そういうときの選択肢として、もう豊田はない。別に嫌いとかそういうのじゃなくて、あいつはまぁ、そうだなという感じで。

――では、お三方とも今、背番号をつけていますが、この背番号の由来などを教えていただけますか

豊田 うわぁ~…。
吉田 これ言わないほうがいいよね。言うの?お前の?
山本 まぁ、でも最後だからね。言っといたほうがね。これから21を引き継ぐ人がいいかな。
吉田 引退してから出してくださいのノリであれば・・・。まぁ、俺は知らんで。
豊田 元々は19番が欲しかったんですよ。高校時代も19番だったので。で、「19番が欲しいです」と入学前に伝えたんですけど、今は空いてないと言われたんですよ。じゃぁ他は何番でもいいと思ったんで、「21なんてどう」って言われたので、21にしたのが最初なんですよ。あと、21っていう数字が、あるゲームのワンシーンで使われていまして。それもまた決定のきっかけになりました。
山本 こういうやつなんですよ(笑)

――では、山本選手の27番はどのような由来でしょうか

山本 いろいろあったんですけど、キャッチャーらしい番号がいいかなと思ったんですね。大学入ってからキャッチャーやろうと思っていたので、空いていたらそれをつけようかなと思っていたんですけど。で、27がちょうど自分と入れ違いで卒業されていた方が27をつけていて、その人が引退して空いていたので27にしようかなと思ったのと、高校時代に背番号が7だったので、その7も残っているので決めました。

――27番がキャッチャーらしい番号という風におっしゃっていましたが、イメージしている選手などはいますか

山本 プロでも古田(敦也)元選手だったり、谷繁(元信)元選手だったりというプロでも長く活躍されていて、打って守れる捕手がつけているイメージがあったので、いいなと思いましたね。あとは候補として22とかあったんですけど、そういう中でも自分の中でより一流キャッチャーのイメージがあったので、27にしました。

――最後に吉田選手ですが、20番。どのような由来でしょうか

吉田 高校時代に20をつけていたっていうのもあるんですけど、そもそも高校時代、監督に20番つけさせられたんですけど、かつてソフトボールで背番号20をつけた凄いドロップピッチャーがいたらしくて、そのようなピッチャーになれという思いで20に指名されました。で、大学入って最初は17番だったんですけど、20は以前平野先輩(平野、=長崎・佐世保西)っていう先輩がつけていて、そのあと「20番は誰もつけるな」って平野先輩が言っていたっていう話を自分も聞いたので、じゃあ17がいいんじゃないってことで17にしたんですよ。でも、その後に平野先輩と直接お会いした時に、「なんで20じゃないの」って言われて。「お前20のほうがいいんじゃない」って言われたので、2年生のときに機会があって20に変えたっていう感じですね。

――先輩から直接言われたときは「あれ?」とならなかったですか

吉田 正直、誰もつけるなっていう噂も人伝えで聞いたので、そんなこと言ってないのかなと思いながら、本人に聞けるわけもなく(笑)。

――3人とも長く背番号をつけていますが、愛着などは湧いていますか

山本 (豊田選手のほうを向きながら)そら湧いてるやろな。
豊田 それは、もちろん僕はもう。
山本 (笑)
豊田 そのゲームをやったころからこの番号は愛着があります。
山本 自分もありますね。いずれ誰かキャッチャーをやる人がつけてくれたらな、という思いはありますね。
吉田 早稲田の20はそこまでこだわりはないですね。高校時代は20のユニフォーム持って帰って、誰もつけないようにしようかなと考えた時期もあったんですけど、早稲田の20はそこまでこだわりはないですね。他の番号付けてみたいなという気持ちもあるんですけど、手付とかも面倒くさいので(笑)結局20のままにしてます。

――試合前や練習前のルーティーンなどはありますか

豊田 僕は普通かもしれないんですけど、ピッチャーってかなり個人アップするイメージがあると思うんですよ。でも、僕は先発を宣告されていても必ず全体アップに参加していますね。皆と同じアップをすることがルーティーンになってます。一度個人アップをしてみたこともあったんですけど、調子が悪かったこともありまして、普段と何が違うんだろと考えたときに、アップのやり方かなと思って。それからは必ず全体アップに参加するようにしています。
山本 ギリギリに来るんで(笑)、こうする、っていうのはないんですけど、試合前に必ずモンスターは飲んでますね(笑)。飲んでどうっていうのはないんですけど、力出るんじゃないかなという感じで遠征でも、練習試合前でも買って飲むようにしてますね。これ飲んでるから大丈夫だろう、みたいなところはありますね。
吉田 ありはするんですけど、試合前だけじゃないんですけど、頑張ろうと思ったときとかは、汚い話になっちゃうんですけど、トイレに行きますね。もともと胃腸が弱いこともあってトイレに行く回数が多かったんですけど、小学生の時から1回はトイレに行っていますね。

――それは落ち着くから、ということでしょうか

吉田 いや、悪いものを出すためだと思うんですけど、絶対行きますね。グラウンド着いて1回は行きますし、試合前も行きますね。

「嫌なピッチャーと思われて試合が終わればいい」(吉田)

状況に応じた柔軟な投球スタイルが持ち味の吉田

――では、まもなく始まるインカレについてのお話に移りたいと思います。3人とも最後のインカレになりますが、インカレへ向けた思いというのはいかがでしょうか

豊田 もちろん4年間の集大成ということで、結果を出すのはもちろんなんですけど、自分のやりたいことをやって、それが結果につなげることが一番大事だと思いますね。ピッチャーという試合をつくる真ん中のポジションにいますので、それでチームを勝たせて、それをすることが集大成になると思うので、頑張っていきたいですね。
山本 去年、岡山大戦で自分の2個の失策で負けてしまったという経験があるので、ことしは一回経験してる分落ち着いて。杖子も含めて3人のピッチャーの球を受けるのはこの大会で最後なので、いい結果を出して、全員で喜べるように、そのためには結果が重要になってくると思うので、最高の結果である優勝を目指していきたいと思います。
吉田 最後のインカレに向けて…。結果として楽しかったらいいなと思いますね。あと、死ぬぐらいしんどいとかは嫌なので、楽して楽しかったらいいなと思いますね。一番楽しいのは勝つことなので、結果勝てればいいし、ピッチャーなんですけど、ピッチャーなんて100点取られても101点取ってくれれば勝てるんで。
山本 (笑)
吉田 まぁ、ちょうどいいくらいで、チームが勝てればいい役割ではあるんで、バッティングするわけではないですし。楽して勝つ、言ってることは生意気かもしれないですけど、そうできればいいですね。あとは、打撃の機会があればホームラン打ちたいです。

――ちなみに今まで打ったことはありますか

吉田 バッティングをあまりしてこなかったので、最後に打ったのは高校時代の練習試合ですかね。革になってからはあまり打席に入ってないんで。最後の思い出作りくらいでバッティングもできるんだぞと見せつけたいですね。

――最近は代打の機会もありますね

吉田 やっとチャンスをもらえたという感じですね(笑)。代打もらったからには打ちたいですね。代打で出て打てないのは一番使われてる側としても面白くないと思うので、使ってる人に楽しんでもらえるように頑張りたいです。 

――現在のチームの雰囲気はいかがでしょうか

山本 東日本も優勝はできなかったんですけど、いい形で決勝戦まで残れるということを経験して、インカレで上位を狙える可能性というのも後輩たちも感じてきているのかなと思うので、そういう可能性を感じられるというのが一番大事だと思うので、そういう意味では後輩たちも4年生についていこうとしている姿が見て取れるので、いいのかなとは思います。あと、練習試合でも勝ちにこだわってやっていく中で、勝てているので、状態としては非常にいいかなと思います。
吉田 試合で勝っているので、雰囲気はいいのかなと思いますね。まぁ、まだダメなところがあると幹部は言うんですけど、自分はそこまで雰囲気とか気にしないタイプかなと思います。それぞれが困惑したり、悩む時期ではあると思うんですよ。結果が出ないとか。最終的に楽しくできれば結果は後からついてくると思うし、自分悩んで悩んで内向的になるというか、考えすぎて空回りするのがダメだと思うので、思いっきりやるようにすればもっと雰囲気も良くなるかなと思いますね。
豊田 大会まであと2週間切って、だいぶ選手たちも気持ち入ってるなというのは見ててわかる部分もありますし、試合でも結果が出て来始めた選手っていうのも多くなってきましたし、先ほどのバッティングや守備の話にもつながるんですけど、だいぶバッティングは打線としてつながってきてるなと感じますし、守備との連携も大分完成してるなと思う部分もあるので、残り2週間、しっかり詰めるところを詰めればいい結果になるのかなと思います。

――対戦相手は2回戦が立命大、3回戦が国士舘大となっていますが、どのような印象を持っていますか

山本 立命館大学は2年前のインカレで負けて、4連覇を目指していたチームが敗れてしまった思いがあるので、リベンジを果たしたいですね。その年も立命館に勝てば国士舘という組み合わせだったので、先輩たちの想いも引き継いで連勝できればなと思っています。
豊田 立命館は関西のチームで、強いスイングをしてくるというのが有名な話ですので、投手としては抑えるのはもちろんなんですけど、初見のバッター相手にキャッチャーと連携を取りながら抑えていきたいですね。その後には国士舘大が待っていると思うんですけど、強いバッターが勢ぞろいなので、連携が重要になってくるなと思いますね。
吉田 全国大会なので、対策練るとかよりは、普段やれないチームとやれたり、知り合いも全国に飛んでるので、そういう人たちと会って話すのも楽しいと思うので、結果を出して優勝したい大会ではありますけど、ある意味お祭りみたいな部分もあるんで、紺碧隊とかいますんで。騒げる機会なので、楽しくやったほうが最後良いんじゃないかなと思いますね。

――集大成となるインカレの目標を教えてください

豊田 4年間積み上げてきたピッチングをインカレという舞台で披露することが大事だと思いますし、そうすれば結果もおのずとついてくると思うので、自分のやってきた力をインカレのマウンドで出し切るというのは目標にしたいと思います。
山本 先ほど吉田にも引き出す力って言ってもらったので、ピッチャーが一番輝けるように、能力を最大限引き出すっていうのがキャッチャーの役目だと思うんで、その役目を果たしてチームを勝利に導ければと思います。
吉田 最後、目標はチームとして優勝すること。個人としては、打てそうで打てなかったって思われるのが一番楽しいと思うので、嫌なピッチャーとして思われて試合が終わればいいなと思います。

――最後にインカレへ向けて意気込みをお願いします

豊田 あと一週間で体調もそうなんですけど、自分の状態を高めていって調整して、やれることをやって試合で戦えればなと思います。
山本 まだ個人としてバッティングや守備で詰めれるところはあると思うので、数日間準備して万全の状態でインカレに臨めるようにしたいと思います。
吉田 あと2週間、体の調整などやらなければならないことがあるんで、準備したいですね。準備さえすれば好きなようにできるんで、すべては準備がよければ何でも良くなると思うんで。試合に入る前の段階まで自分を持っていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 新開滉倫、守屋郁宏、写真 岡田静穂)

◆吉田尚央(よしだ・なおちか)(※写真左)
1995(平7)年7月16日生まれのA型。180センチ。長崎・佐世保西高出身。人間科学部4年。投手。色紙にも大きく書いていただいた「楽」は、対談の中でも何度もおっしゃっていたワードです。インカレでも自然体に構え、『楽して勝つ』を体現してくれることでしょう!

◆山本修平(やまもと・しゅうへい)(※写真中)
1995(平7)年5月24日生まれのB型。171センチ。大阪・清風南海高出身。スポーツ科学部4年。捕手。背番号27のイメージとして名前を挙げていただいた名キャッチャーたちも、過去の苦い経験を力に変えて活躍につなげたといいます。名脇役としてチームを日本一に導き、4年間の『集大成』を示します!

◆豊田誉彦(とよた・もとよし)(※写真右)
1995(平7)年5月27日生まれのB型。166センチ。兵庫・滝川高出身。スポーツ科学部4年。投手。背番号への強い愛着を語ってくださった豊田選手。全国の舞台でも『背番号21』が躍動感あふれる投球で、強豪撃破に一役買います!