【連載】インカレ直前特集『捲土重来』 第4回 金子祐也主将×松木俊皓×林友暉

男子ソフトボール

 特集の最後を飾るのは昨秋の新チーム始動から先頭に立ってチームを引っ張ってきた3人だ。金子祐也主将(スポ4=長崎・佐世保西)、エース・松木俊晧(スポ4=宮崎・日向)、そして主務としてチームを支える林友暉(スポ4=大阪・清風南海)。初めてインカレでの敗戦を味わったあの日から一年。覇権奪回に燃える彼らは、何を語るのだろうか。

※この取材は8月10日に行われたものです。

「去年にはなかった厳しさ」(林)

ソフトボール部と外部をつなぐのが林の役目だ

――ソフト部として過ごすのも残り1ヶ月となりました。この4年間はいかがでしたか

松木  早かったです。特にこの1年間は。

――というと

松木  いま思うと、だよね。

金子  その時その時は結構充実していて長く感じてはいたのですがいまになって思うのはやはり「早かったな」と。もうちょっと長くやりたいなっていう気持ちです。

――去年のインカレは下級生の皆さんから見てどのような大会でしたか

松木  正直勝てると思っていた試合で、でも負けてしまった。その甘さというか、相手をちょっとなめていたという部分もあって…。負けるとは思っていなくて、その次にある国士館戦を先に考えちゃっていた。一戦一戦を大事にしていなかったわけではなかったのですが、そこが敗因になってしまったのかなと思いました。

――松木選手は2回戦の立命館大戦で先発されました

松木  そうですね。結局自分が打たれて負けてしまったので。要所というか、ピンチになったときに抑えられなかったというのが自分としては一番4年生に申し訳なかったと思います。

――4連覇もかかっていた中で、皆さんの代ではインカレで初の敗戦。どのように受け止めましたか

金子  一番重圧を感じていたのは4年生だったので、下級生としてはプレーに専念して何か貢献しなきゃいけないとは思っていたのですが、4年生に一番プレッシャーがかかる打席が回ったりと、結局全ての責任と重圧を押し付けてしまいました。初めて負けたということに関しては、自分たちにとってプラスになったとは思っていないです。本当に勝ちたかったなと思います。負けることが大事だとか負けから学べるだとかいろいろ言われるんですけど、やはりインカレに勝つことを目標として1年間やってきていたので、負けるというのは悔しかったです。

――秋から新チームとなりましたが、金子選手が主将になられた経緯は

金子  他薦です。普通の選挙で、部員の過半数の票が入ったということで選ばれました。

――主将に選ばれた時、どう感じられましたか

金子  もちろん選挙なのでどうなるのかはわかっていなかったのですが、選ばれてもいいようにという準備はしていました。

――林選手は主務になられて、大変だなと感じたことはございますか

 グラウンド外で自分の時間を割いて仕事をすることも多いのですが、主務という仕事は結果が見えてこないというか、こなすのが当たり前みたいな感じなので評価が見えてこない。フィードバックがない分「これでいいのかな」と思うこともあるし、評価がないのでやり甲斐のようなものがすぐには実感できない部分がしんどかったりします。

――投手陣の柱である松木選手ですが、投手陣で話し合われたりはされるのですか

松木  結構特徴的な人間が多くて、一人一人考えが違うんですよ。吉田(尚央、人2=長崎・佐世保西)だったり豊田(誉彦、スポ2=兵庫・滝川)だったり、ブルペンで投げている時とかに、チームについて話したりはするんですけど。

――あらためて話し合いの場を設けたりはされないと

松木  そんなにはないですね。ブルペンで話したりはしますけど。チームの練習をブルペンから見て「ああしたらいいのにな」とかはあります。でもそれを別にチーム全体に呼びかけるわけでもないので、話し合いというよりはひとり言みたいな感じですね。

――野手陣から見て投手陣は

金子 いま4人ピッチャーがいて(杖子量哉、スポ2=岡山・新見、豊田、松木、吉田)、みんなそれぞれが一本立ちできる良いピッチャーだと思います。けれど、日本一を絶対に獲れるというようなピッチャーがいるというわけではなく、みんな「そこそこ良い」っていう4人。ずっとこの4人を中心としてやってきていて、チームの支えとなってくれている大きな存在だと思っています。ピッチャーに感謝する気持ちや勝たせてあげたいなという気持ちはすごく大きいのですが、良いピッチングをしてくれていても野手のミスで負けてしまうという試合がここ最近続いていて、彼らに対して申し訳ないなと感じることが最近多かったです。

――バッテリーを組まれている山本(修平、スポ3=大阪・清風南海)選手とは投球について話したりされるのですか

松木 そうですね。練習の合間だったり、たまに二人でご飯とか行ったりしたときに話したりはします。きのうも二人で話す時間を設けてもらって、そこで東日本の日体戦で打たれた内容だったりを話し合って。あいつもやっぱり長く付き合ってきた分正直に話してくれて、駄目なところは駄目って言ってくれるし、良いバッテリーになれたのかなと思います。

――去年のチームと比べて、ことしのチームはここが違うという部分はございますか

金子 違うところはたくさんあります。雰囲気の部分で言えば、去年と比べて下級生がしっかり存在感を出してくれているなと思います。良い意味で下級生の勢いがあって、チーム全体の底上げもされながら、刺激し合いながら、全員でソフトボールができているようには感じます。

 去年のチームは仲が良かったと思います。上の学年の方たちが優しい感じの人が多くて。それがそのまま受け継がれて、でもことしは締めるところは金子主将がしっかりと締めてくれるので、去年よりもオン・オフのメリハリがついたチームになっているんじゃないかと。楽しむときは楽しんでしっかりするときはしっかりするという、去年にはなかった厳しさがチームの中に生まれていたように思います。

松木 まあ確かに優しい雰囲気はあったような気がします。去年は溝口(聖、平27人卒)さんというすごい方がいて、その人が抜けてしまうということにちょっとだけ不安はあったのですが、いま思うとチーム全体、特にレギュラー陣が成長できたかなと。去年のレギュラーメンバーよりも良い状態なんじゃないかなとも思ったりしています。

金子 去年は1番から4番までを4年生が打っていて、その主力が抜けるという不安はありましたが、チームがかなり弱くなるということをみんなが分かってその穴を埋めようとしていたのが成長に繋がったのだと思います。

――ことしの1年生の印象は

金子 選手が4人、トレーナーが1人、マネージャーが1人という いままでにない組み合わせで入ってきて、グラウンドにいる選手も少ないということで下積みも大変だとは思うのですが、不慣れながらもサポートもしてくれていますし、プレーヤーとしてもかなり力を持った選手が揃っていて良い刺激にもなっています。ワセダが大事にしている人間性っていう部分でも、入ってきた時からしっかりした人が多いなという風に感じています。

 (人数が)少ないので、見ていて大変だなと思うことはあります。仲もそんなに良くないのかなあ、なんて心配していたりしていたのですが、遠征とかでもイジり合いながら楽しくやっているみたいなので、そんなこともないようです。この1年生たちが時間を重ねていって自分たちの代になったときに、「良かったな」と思えるようになってくれればと思います。

松木 ある意味現代的というか。自分たちが1年生の頃は4年生との間にはっきりとした縦社会があったなという思い出があります。自分も正直4年生に対してビビっていた部分もあったので。でもいまの1年生を見ると、なんか、ねえ?(笑)

 あんまビビってはいない(笑)。

松木 「ウィッス!」って感じだよね(笑)。

金子 というか、下の代はみんなそうかもしれない。

松木 そこは可愛いところでもあり、自分たちの甘さでもあるかなとも感じるんですけど。まあでも思いきり縦社会の関係にするよりかは、そういう雰囲気のチームの方が自分は良いかなと思っていたので…。1年生も少ないですけど頑張っていて、レギュラーで1番打ってくれていたりするし、良かったなとは思います。

――夏を迎えて、チームの雰囲気は

金子 まだ全体の雰囲気を感じきれていないところもあるんですけど…。どうなんだろう、みんなに聞きたいぐらい。でもやはりチームの雰囲気を作り出せるのは自分でもあるので、その自分が感じているのは、東日本(東日本大学選手権)負けて、悔しいなって落ち込んでいて、残されているのはあとインカレだけなので、そこでなんとか優勝をするしかないっていう状況で。これまでの1年間を振り返っても、秋季リーグ戦では4位というところからスタートして、関東(関東大学選手権)では2位、春季リーグ戦では2位、ページシステム制では3位、それから東京予選(全日本総合選手権東京都予選)2位、東日本では3位という微妙に力がついていそうなのに勝ちきれない。そういう状態が変わっていないので、必死にならないと勝てないという危機感も感じつつ、でもどうやったら勝てるかという部分が見えてきている分そこには自信を持ちつつ、って感じです。いままで自分たちが経験してきた厳しい感じは変わっていないのですが、いままで以上にピリッとしていて、良い意味で緊張感がある雰囲気です。

 7月の終わりぐらいから暑くなってきて、それと同時に選手たちも気持ちが入ってきて熱くなっているという感じはしています。1つのプレーに対してもこだわるというか、気温が暑くなるごとにみんな熱くなっているような気がしていて、このままいったらどこまで熱くなるんかなという(笑)。インカレの時はもう暑苦しいぐらいみんなが熱くなっていればチームも盛り上がるし、雰囲気としては40度になるぐらいに持っていければ…、いや45度、50度ぐらい?(笑)そのぐらいいけば勝てるんじゃないかなって。

金子 チームの結束は強くなっているかなと。

松木 紺碧隊(応援団)ができて、試合の雰囲気が良くなりました。

金子 乗れるところに乗れる、楽しい雰囲気になった。

松木 チャンスで声を出さなきゃ、という去年の反省もあったんですけど、紺碧隊ができたことでそれもできた。みんなが声を出せるっていうのも良いですし。でも、練習に関していえば1つミスが出たらもっと厳しく怒っちゃってもいいかなと。いま、怒れる人が少ないんです。厳しいところも必要だし、それは4年生がする仕事だと思っています。

――紺碧隊はいつ結成したのですか

松木 東日本が始まる前ぐらいから。

金子 結構前ですね、7月の序盤ぐらいから結成はしていました。本格的に紺碧隊が活動したのが東日本で、それまで1ヵ月かけて準備してきました。

「いまはソフトボール」(松木)

松木は投打で早大の中心選手だ

――オフの日は遊んだりされるのですか

 意外と集まらんよな。

松木 意外と自分と林は遊んだりします。オフ関係なしに、たとえばきょう午前練で、そうするとあしたは午後練になるんですよ。そのときに「よし、カラオケ行くか」みたいな。

――カラオケに行かれるのですか

 松木としか行きません(笑)。

松木 林とはよく行きます。なんならもはや部の友達じゃなくてカラオケ友達です、カラ友です(笑)。

 そうそう(笑)。

――何を歌われるのですか

松木 ええ~。

 別にないよな。

松木 ジャンルは問わないです、英語でも歌いますし。結構二人とも評判は良いので。

金子 この二人は歌唱力ありなんで。

松木 いつかみんなの前で歌いたいですね。インカレ優勝したら歌います(笑)。

 なんやこれ(笑)。

松木 結局どうなんだろう、(オフの日に遊ぶことは)部としては…。

金子 いままでは(試合に)勝っていたから遊びやすかったけど。この時期は遊びたいけど、負けてしまっているので本当にソフトボールを第一にしたいという思いがあります。練習第一でという感じで、疲れてしまってなかなか…。

松木 家で寝ちゃいますね。

金子 でも練習後に食事に行ったりとかは結構あります。本当はもっとプライベートで遊びたいという思いは、僕は強いんですけど。そういうことはチラチラ言ってはいるんですけど実現していないっていう。寂しいです。

松木 いまはソフトボール。8月30日あたりには(インカレが)終わってるんで、そこから大学生したいかなって思っています。とりあえず会場が鹿児島なのでそこから福岡でも行こうかという話はしています。

 仲良いんだけど集まりは悪いっていうよく分かんない同期です。全員でご飯行ったのも1回?

松木 基本誰かしらいないんですよ。みんな家が遠いっていうのもあるんですけど。特にいないのが山根(航、政経4=東京・国立)。

 所キャン組はよく集まるんですけどね。結局全員で集まれたのは1回。

金子 いや、2回。だから自分、言いたいことがあるんですけど。同期会をしたいっていう話をしてるんですよ。ソフトボールの話をする同期会。でも仲が良いっていうことが逆効果で真面目な話ができないっていう。いや、みんな飲んだら熱いこと言うんですけど、飲んだら僕が潰れるので…。

一同 (笑)。

金子 結局真面目な話ができない。

松木 一番真面目な話をする金子が真っ先にビール一杯飲んで潰れて、あとは僕たちが勝手に、金子が寝ている間に騒いでいます(笑)。で、起きてまた始まる(笑)。

 二次会ね。サイゼリヤとか行ってドリンクバー飲みながらしゃべる。

金子 それはどうにかしてほしいなって思いますね(笑)。やっぱりきちんと話そうよって思います。

――チームのムードメーカーは誰ですか

金子 ことしは2、3年生がムード作りをしてくれています。いろいろなタイプのムードメーカーがいるのですが、ジャンル問わずに言うと萩野谷(知大、人3=茨城・水戸第一)、鳥岡(健、スポ2=岡山・高梁)、前多(悠登、人2=東京・小山台)、増形(俊輔、社3=千葉敬愛)、坂本(大樹、法3=愛知・名古屋)、飯泉(召、教3=埼玉・与野)とかほぼ2,3年生の名前が挙がりますね。色んなことをやってくれます。

――試合中も率先して応援で盛り上げてくれる選手がいますね

金子 紺碧隊の西川(航太、社2=東京・早実)とかですね。役割としてのムードメーカーを、彼はしっかり務めてくれています。普段はそういう人じゃないんですけど。

松木 キャラ作ってるよね。無理しているかもしれないけど、紺碧隊長としてきちんとやりきってくれてる。

金子 嬉しいですね。助かる。

――チームで流行っていることなどはございますか

 ポケモンGO?

松木 もう流行ってない!もう本当にブーム過ぎたよ(笑)!一時流行ったんですけど終わりましたね。すぐブーム変わるんですよ。

金子 田原(大幹、スポ4=早稲田渋谷シンガポール)をいじるっていうのは。

松木 田原がいじられるのは別に1年生のときから変わってないんじゃないの。なんだろう…。紺碧隊が、応援を勝手に作っていることとか?(笑)

金子 応援歌作りがブームかもしれないです。

松木 きょうも応援の練習ちょっとだけやってたのですが、飯泉とか増形を筆頭にいろいろやってました。プロ野球の応援歌とか。(応援歌が)なんかできるよね、勝手に。

 ブームか?それ。癖やろ、もう。

金子 今週末にみんなでワイワイやろうかなと思っているので、そこでまた何かブームが始まるかなと思います(笑)。

 結局ブーム、なんやろ~。

金子 あ、ダーツブーム。

 ダーツブーム?(笑)小さいブームはちょいちょいあるけど、大きいのはそんなに…。小さいブームで集まってワイワイやってます。

松木 たとえば乃木坂が好きな人が集まってグループLINEができたりとか、(部内で)小さいグループがあるんですよね。だからこれといったブームはないです。

――3人のマイブームは

松木 最近ワイヤレスイヤホンのBeatsを買って、それをつけて音楽を聴きながら洗濯とか、いろいろなことをやってます。

金子 最近ソフトボールのこと以外何もしていない気がします。スコアブックを愛読書にしているぐらい…(笑)。夢にソフトボールが出てきますもん、最近。それぐらい他のことやっていないなあ。なんだろう、何かやったかなあ。いま人としゃべることぐらいしか楽しみがないので…。ないです!(笑)

松木 林は一人でいることでしょ。友達少ないんですよこいつ。 コミュ障。

 やめろ。ここで言うな!(笑)

松木 林は話すと能力を発揮するんですけど、初対面の人とはもうほとんど話さないんです。しゃべる場を設ければしゃべるけど、それがなかったら一切シャットダウン、みたいな。改善してほしい。

 いまその話やない(笑)。ブームの話やろ。

松木 就活?

金子 就活ブームがいま来ています。

 ブームでもないよもうそれ!なんかある?ない?…ないです、すみません(笑)。

金子 あ、最近俺、喫茶店よく行く。コーヒーが好きなので。

松木 喫茶店行ってまたあれやろ、スコアブック開く(笑)。かっこよく足組んで。

金子 そう(笑)。コーヒーがここ1年ぐらいブーム来ているかもしれないです。

――特に仲の良い後輩は誰ですか

金子 やっぱり主将なので、偏らないようにとか派閥みたいなのは作らないようにって気は遣っているんですよ。できるだけ平等に接しようとはしています。けど、よくご飯に行くのは萩野谷、鳥岡、塩沼(泰成、スポ3=福島・安積)あたりですかね。

松木 見た感じ、金子は塩沼(と仲が良い)って思ってる。

金子 でもあんまり偏らないように、というのは思っています。

 僕もあんまり偏らないようにしようと思っているのと、先ほど言ったあの、コミュ障というので…(笑)。

松木 いない。

 いなくはないよ(笑)。でも話す場にならないと話さないしあんまり一緒にいることはないかと…。同じ高校の後輩の山本とはまだ一緒にいるかなとは思います。この間も誕生日を山本と水本(将文、人4=長崎・佐世保西)に祝ってもらって。これからも仲良くしていこうと思っています。あ、(回答が)被った? (笑)

松木 わかってるやろ(笑)。僕ももうキャッチャーの山修(山本)ですね。いや、あいつがどう思っているかは分からないですけど。プライベートでも結構、原宿とかも行ったことありますし。

金子 松木から誘って、(山本が)喜んでついていくイメージある。

松木 あいつが喜んでいるかは分からないですけど(笑)。

一同 (笑)。

松木 あと豊田に私服を買ってあげました。最初、私服が全部ジャージだったんですよ。「やべえ」と思って、とりあえずユニクロ連れて行って一式買って「これ着ろ」って。山修はとりあえずご飯に行きます。やっぱりキャッチャーで相棒なので、一番近くというか、仲良くはしていると自分は思っています。いやあいつがどう思っているかは分かんないですよ(笑)。

 ネガティブだな(笑)。

――皆さんそれぞれの第一印象は覚えていらっしゃいますか

金子 まず自分から見た林は、「先輩かな」って。

 おい(笑)。

一同 (笑)。

金子 部員の方かなって(笑)。僕結構最初から入部していたんですけど、入部してからだいぶ経った頃に、グラウンドの来たこいつがあらゆる先輩と掛け合いを始めて。「あれ、この人先輩かな」って思ったんです。しかも見た目もこんな感じ、いやこれよりひどくて…(笑)。太っててヒゲで眼鏡で、っていう感じで、本当に先輩かコーチか何かかなと。一言で言えば、おっさん(笑)。浪人だったから(先輩と)仲良かっただけで、実は同期だったという。で、松木は、なんだっけなあ。僕ら最初に会った日、二人で寝たんですよ。

一同 (笑)。

金子 お互いこっちに引っ越してきて、松木の家がまだ電気通ってなくて…。

松木 電気も家具もない、どうしようってなって、「泊めて」って。

金子 ということで一緒の布団で二人で寝ました。だから本当に…、そういう方だって印象です。

 そういう方って(笑)。もう意味分からんな。

金子 なんていうんだろう、特別な関係です(笑)。

 誤解を招くよ(笑)。

松木 金子が「寝よう」って言ってきたんで僕も仕方なく布団に入りましたけど。

金子 もうその話はそれ以上掘り下げないでいこう。

 僕は、金子くんを見た時は、「鼻高っ」って思いました。あ、嘘です(笑)。本当は、全国制覇をしてきたというからどんな奴なんやろ、って思っていたんです。見たら普通の人で、特にそんなになかったですね。「あれが金子か」って。松木は、あの頃はなまりがひどかったし、聞き取れないことが多かったです。

松木 え、そんなに?

 スポーツ推薦ということも聞いていたのでどんな奴なんかなと思っていたんですけど、「これが松木か」って…(笑)。

松木 またか(笑)。

 それ以外ないやん。

松木 林は、最初会った時は「デブやな」って。

 (笑)。

松木 いまはわりと顔ほっそりしてるんですけど、前から何キロ痩せたんやろ。

 14キロ。

松木 「こいつ絶対動けないだろ」っていう。で、聞いたら浪人で2個上で。あんまり大学に慣れていなかったこともあって、「2個上とどう接すればええんやろ」って、最初戸惑いはありました。まあでもいまとなってはカラ友で、ソフトボール以上につながっているんでね(笑)。金子は最初、はんにゃの金田に似ているなって(笑)。

金子 めちゃくちゃ言われますね、これ。

松木 こっち(東京)来る前から、金子と水本は佐世保西高なので連絡先は知っていたんですよ。で、LINEのアイコンかなんかの顔写真を見て「こんな顔してるんや、金田やん」って思いました(笑)。で、初めて会って、初めて家行って、初めて一緒に寝るっていう…。

 もうやめろ!その話は!(笑)

松木 初めてだらけでしたね。

――それから4年間でお互いの印象は変わりましたか

金子 林はもっと自分から面白いことを言うタイプなのかなって思っていたんですけど、真逆でした。しゃべらない、寝る、食べるって感じです。もうちょっとアクティブなイメージだったんですけど真逆だったなっていう…、悪口なんですけど(笑)。松木は、いまはソフトボール部以外の付き合いでも一緒にいることが多いです。一番最初は二人とも別々の輪にいる感じだったんですけど、学部の友達といる時も一緒にいるようになって、いまとなってはソフトボールの仲間でもありプライベートで付き合う仲でもあり、というところでは印象は変わりましたね。

 いやあ、印象もともとないからなあ。「これが金子か」って…(笑)。別にいまも変わってないと言えば変わっていないです。ただ、仲良くなったので、「ああ仲良くなれるんだ」みたいな。

一同 (笑)。

 だってないねんもん!特に!

松木 林は、最初の印象から見ると「こいつこんなに歌えるんだ」っていう。声だけ聴くと清水翔太みたいな声出すんですよ。だからこいつが歌うときは顔見ないで聴けばみんな惚れると思うんですよね。

 おい(笑)。ちゃんと見ろ(笑)。

松木 この顔からこんな声出るか?って。あ、いや、よく主務もやってくれたと思います。最初はかなり嫌そうだったんですけど。金子はもともと結構真面目なキャラなのでそれが変わったわけでもないです。そのスタイルをずっと貫き通しているので、この同期の中でもキャプテンらしくいてくれたなと思います。常に真面目っていうわけではないんですけど、誠実にやってきたなと。自分もふざけててたまに指導されるときもありますけど、「金子に怒られるなら」って感じですね。

「ことし勝つことが報われる唯一の方法」(金子)

金子主将はチームを優勝へ導くことができるか

――残る大会はインカレのみ。その前に、全総予選と東日本を振り返っていかがですか

 全総は、決勝で初回先制して「これはこのままいける」と思ったらひっくり返されてそのまま負けて、まだひっくり返されたときに盛り返すような力がないのかなと。春季リーグは良い感じで、食らいつくようになっていて、この冬でだいぶ成長したなと感じていたんですけど、まだ力不足の部分があるのかなと思いました。東日本は僕、行っていないので…。紺碧隊が良かったというのは聞いて、紺碧隊を交えたオールワセダで最後の闘いに向けた準備はできているのかなと思います。

松木 全総も東日本も結局自分が投げて負けてしまって、自分がちゃんと投げて抑えれば勝てる試合を2つ落としてしまったという形でした。このチームは自分が2,3失点に抑えることができたら勝てるチームなので、そこが本当にチームに対して申し訳ないというか…。東日本が終わって正直自分も少し心を病んでいて、表にはあんまり出していないんですけど、どうしようとは思っています。試行錯誤していろいろやったりしているのですが、何か1つ良くなるきっかけをつかめばどうにかなる気もするので、それをつかめるようにもうちょっと考えます。

金子 全総予選と東日本は、新チームでスタートしてから絶対に勝ちたいところだと感じていました。特に全総予選では優勝に手が届くところまでいって負けたっていう。そこを1つの山場としてチーム作りをしていたので、「どうしたら勝てるんだろう」と自分が気持ちに下がったところでした。その次のピークを東日本とインカレのある8月に持ってきていたんですけど、その東日本に負けたっていう時にもう一回自分が落ちたっていう…。チームスポーツで、トーナメントでやっている以上勝てるのは1チームで、負けることもあるんですけど、勝つことを目標にしていた中でいざ負けてしまうとやっぱり悔しい。そういうことが2大会で続いています。ただ、それぞれの大会で得たものもあって、この間の東日本で言うなら、準決勝以外の3試合で60点獲ったことです。レギュラーメンバーだけじゃなくて控えのメンバーも試合に出てそれだけ点が獲れたっていうのは、いままでと違うワセダの強さというものを感じました。ここ一番の集中力や精神力では圧倒的なものがあるっていうのと、層の厚さというのも感じることができました。けが人の多い中でもしっかりと打線が組めて、守備もできているということは大きい部分ではあります。この2大会での負けがあったからインカレで優勝できたと思えるようにしたいなと、振り返って思います。インカレ終わったあとそう言えるようにしたいです。

――インカレに向けてどのようなところを重視して練習しようと思っていますか

金子 守備の1、2個のミスで5点とか、それぐらいの失点につながってしまうということを感じているので、まずは守備で勝つということをテーマにやっています。ピッチャーがどんなにしんどいときでも野手が助けてあげるような守備力の向上、あと打線は確実に成長しているので、それを日体(日体大)、国士(国士舘大)、関西大といった強い相手に照準を合わせていけるかという調整と、最後の伸び、集中力といったところにバッティングは重きを置いています。それから、打線の役割の徹底。何をしたらいいのかっていうのをバッターが分かっていればそれをやれるだけの力はあるので、あとは自分が明確にしてあげられるかというところだと思います。ピッチャーの部分は、素質は間違いなくある4人なので調子が悪いときにいかに抑えられるかというのを考えなきゃいけないんじゃないかと思っています。もちろん調子の一番良い状態をインカレに持っていかなきゃいけないのですが、調子の悪い状況でも抑えなきゃいけない。その日にインカレがあるのは変わらないので。そういうところも難しいですがやらなきゃなと思っています。

――インカレは皆さんにとって特別な大会だと思いますが、緊張などはされますか

金子 緊張はしますね。大会全体の雰囲気が独特なのでそういった緊張感はあると思います。ただ、やっぱり4年生なのでそんなプレッシャーに負けてガチガチになるとかそういうことはなくて、そこはもう開き直れると思います。何があっても最後の大会で、スタメンの10人のうち4人は自分たち4年生。4年生にかかっている部分もあると思いますし、4年生が部員全員に優勝を経験させてあげられるかという変な緊張感はありますけど、それがプレッシャーになることはないんじゃないかなと思います。

 僕はまあ、まずはみんなが無事に帰れるようにですね(笑)。何事もなく最終日に優勝して祝賀会して、次の日の朝にみんなが無事に帰れるようにと思っているので。緊張というより心配はしています。試合に対しての緊張とかはもう4年生なのでないのですが、そっちの心配はあります。部員の安全を第一に考えてます、はい(笑)。

松木 緊張はないですね。2年生の時のインカレが一番緊張して、3、4年ではもう緊張しなくなりました。

――試合前のルーティーンのようなものはありますか

金子 自分は遠征先のホテルで翌日のシミュレーションを毎回します。時間の流れも含め、試合でこういう展開になったらこういう采配をするといったシミュレーションをやっています。選手としては、打席前にやることはなんとなく決めていますかね。ネクストでロジンをつけて、素振りをして、ちょっとストレッチして入るっていう。緊張したら体に力が入ってしまうので、リラックスするためにストレッチするだとか、心拍数を落ち着かせるために呼吸をゆっくりしてみるだとか、そういうことはしています。

 ルーティーン。特にないです(笑)。でも、試合の日は出発前にコーヒーを飲みます。

金子 自分がいつも無理やり同じ部屋にしてます。寝るのが好きなんで。

 いつもちゃんと起きとるやん!

金子 主将と主務はいつもミスのないようにっていうので同じ部屋にして、早い時間にアラームをセットして、コンビニに行って朝ご飯を買って食べて準備するというのは1つのルーティーンですね。

 打席に入るときは、なぜか僕は右手が気になるので右手をこう…(動かす)。ルーティーンじゃなくて癖ですね。無意識にこう、なんか気になるみたいな。

松木 なんだろう、俺もないかなあ。打席入る前とかだったらあるかも。

 あるかもって(笑)。

松木 腰回すみたいな。腰ひねってるかも。分からん、無意識かもしれん。それぐらいしかないです。

――4年間ソフトボール部で、大変だったことやつらかったことはございますか

 ことし1年はものすごくつらかったです。

松木 まあそうやろ(笑)。

 2015年の時はまだ楽だったんですけどことしに入ってから主務の仕事の量が極端に増えて、3月のあたりは何してたかいまでも覚えてないです。 いま振り返ってみると、「なんであんなに忙しかったんやろ」ってぐらい忙しくて、ちょうどその時にまた開幕だの就活だのが重なって一番つらかったです。あとは、1年生の頃に翌日の道具を運ぶ係を決めてたんですけど、なぜか僕だけすごく重い荷物を持たされたこととか。

松木 下積み時代のね。

 配分の不公平さがつらかった。

金子 結局下積み時代じゃないですかね。つらかったと言っても、いまの下級生と比べるとそこまでしっかり(制度が)できていなかったと思うので、つらかったのは徹夜で洗濯した思い出ぐらいですね。

 頑張った~。

金子 楽しかったですけどね。あと、キャプテンという役柄はつらいこともありますけで、それは楽しいことでもあるので。かなり楽しい4年間を過ごしたと思います。

松木 自分は2年生の時からチームのエースピッチャーの立場を任されているんですけど、2年生のインカレ優勝っていうのがいままで自分が残した成績のピークで、そこから3年、4年と優勝の経験がなくて。決勝までいけても自分が投げて負けてしまうというパターンが多くて、その度に自分の責任を感じてつらかったです。結局そのつらい思いのまま(今回の)インカレまで来てしまったので…。実際2年生からつらかったですね。結局任されているのは自分で、そこで結果を残せなかったことがチームに申し訳なかったり、思うように投げられずに自分に腹が立ったりだとか、そういうのが多かったです。

――4年間の集大成となるインカレでどのようなプレーをしたいか、イメージはできていますか

金子 はい、しています。最悪のパターンとしてはビハインドしている場面。で、絶対に何かしらのチャンスで自分に回ってくるので、そこで打つっていうイメージ。ビハインドからの、主将・4番の一本でチームを救うという。あと、ピッチャーを助ける守備。インカレでは絶対に厳しいシチュエーションがあるので、そのときに「こいつに守ってもらえて良かった」って思ってもらえるような守備をしたいです。それぐらいですかね。真面目になっちゃった(笑)。

 ビハインドとかで逆転打を打つっていうのもかっこいいと思うんですが、僕はコールドのときにとどめを刺すような…。たとえば4回、9-0でリードしていて、そこで打点を挙げて試合が終わるような感じでいけたらと。定番の気持ちよさじゃなくて「とどめ刺してやったぜ」感が出るんで(笑)。理想は、関大のビハインドのときに出て打ちます。それがだめならさっきので(笑)。

松木 1回戦が山場というか、強いチームなので、自分が投げて抑えるというのですね。多分自分が任されるので。

金子 心中する。

松木 心中すると言ってくれているので。関大を倒せばチームが勢いに乗れるのでなんとか勝ちたいです。とりあえず勝ち投手になりたいです。前に関大と練習試合した時もあまり苦ではなかったので、バシッと打って抑えて、「あ、松木で勝っちゃった」という感じになれば面白いんじゃないかなと。ピッチャーでもバッティングでも活躍できればと思います。先は見ていないです。とりあえずいまは関大を勝ち切ることが目標です。

――初戦の関大の印象は

金子 ピッチャーが良くて、打撃も良い。強打ですね。

松木 右の強打者ばっかりというイメージです。

金子 西のチームは乗らせると嫌だなって印象があるので、ピッチャーもかなり高いレベルのピッチャーなので、一気に崩すというのは難しいとは思うのですが隙や攻略のポイントは絶対にあると思うので。…あの、あともう1個考えてるシチュエーションいいですか。関大戦で自分の1打席目が初回に回ってくるイメージなんですけど、そこでヒットを打って打点1。だから、インカレのチーム初打点が4番・金子っていう、ごめんなさい、それだけです(笑)。

――皆さんの思う「ワセダらしいソフトボール」とは

金子 一言で言うのは難しいんですよね。本当に総合力のチームなので。 一つ一つ丁寧に、一球に対する集中力と、やじ(を飛ばさない)とかもそうなんですけど、そういった誠実さ。ソフトボールのスタイルに関してはこれまでに言った通りですかね。

 小技系と強打のポイントゲッター、それぞれが役割に徹していて、こういうソフトボールらしいソフトボールをしているチームは大学には少ないと思うんです。関西のチームとかは結構打ってきてばかりだとかあるので。小技が機能して強打組が返してビッグイニングを作るという、これがソフトボールの王道というか理想とする形だというのを見せられればいいなと。

松木 全員に役割があります。1、2番から9番までみんなが期待する役割があって、自分にはピッチャーとしての役割がある。こんなに徹底しているチームっていうのはあんまりないんじゃないかなと思います。チームの理想の形としては、初回先制、途中でビッグイニングを作るというのがあって、特に(自分が)1、2年生の時のチームがそういう強いチームでした。それを経験しているので、最後の最後、それをまたインカレで出せればいいと思っています。

――最後になりますが、インカレへの意気込みをあらためてお願いします

 優勝して、無事に家に帰る。そこまでがよく言うやん、家に帰るまでが遠足よって。優勝は当たり前として、そこからみんなが安全に家に帰るという。

松木 別に帰るところまで管理してへんやんおまえ(笑)。

 はい。優勝です!(笑)

松木 最後こそもう一回優勝したいです。そのためには自分がエースとして全試合先発で出て、他にも良いピッチャーが3人いるのでそいつらの力も借りながらみんなで優勝できればと思います。

金子 松木もこうやって言っているようにやっぱり苦しい思いをしてきている代なので、いままで負けてる分甘さもないようにと厳しくしてきた面もありますし、日本一を経験したいというのを入部のきっかけとして入ってきてくれる人もいます。新チームから監督が代わって、先生(吉村正、昭44教卒=京都・平安)が総監督になられて、組織としてもいろいろ変わりました。ことしそれで勝てなかったら去年の負けが本当に無駄な負けとなってしまうので、先生は「去年は負けるべくして負けた」と言われていますが、ことし勝つことが去年の1年間やことしの1年間が報われる唯一の方法だと思っているので、心から優勝したいと思います。自分の腕がとれてでも優勝したい、そんな気持ちです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 郡司幸耀・三浦遥)

◆金子祐也(かねこ・ゆうや)

1994年11月7日生まれのB型。169センチ66キロ。長崎・佐世保西高出身。スポーツ科学部4年。内野手。桁外れの高い鼻がチャームポイントの金子主将ですが、意志の強さを感じさせる目も印象的でした。「自分の腕がとれてでも優勝したい」。並々ならぬ決意を胸に、ワセダの主将は最後のインカレに挑みます。

◆松木俊晧(まつき・としひろ)

1994年8月25日生まれのO型。171センチ64キロ。宮崎・日向高出身。スポーツ科学部4年。投手。色紙には『完全燃焼』の文字。最後のインカレは松木選手にとってこれまでの競技生活の集大成でもあります。自身の投球でインカレ王者へと返り咲き、歓喜の輪の中心で文字通り燃え尽きてみせます!

◆林友暉(はやし・ゆうき)

1992年7月9日生まれのB型。172センチ78キロ。大阪・清風南海高出身。スポーツ科学部4年。捕手。主務として部員の安全を第一に考える林選手。優勝することは当然として、みんなを無事に帰すことが自分の役割だと言います。インカレ王座を奪還し、最高の笑顔で帰路につけることを願います。