【連載】インカレ直前特集『捲土重来』 第1回 大内佳那女子主将×常盤紫文×宮川眞子

男子ソフトボール

 ソフトボールにおいて最も重要な要素の一つ、『バッテリー』。早大のバッテリーは全国でも屈指の完成度を誇っている。今回登場するのは、主将、そして扇の要としてチームをけん引し続ける大内佳那女子主将(スポ4=千葉・木更津総合)、常に早大のエースとして君臨してきた常盤紫文(スポ4=千葉・木更津総合)、下級生時から投手陣には欠かせない存在である宮川眞子(スポ3=福島・帝京安積)。一年間の集大成といえる全日本大学選手権(インカレ)を前に、3人は何を思うのか。その胸中をひも解いていく。

※この取材は8月3日に行われたものです。

「今ある力をいかに100%出せるか」(大内)

チームの精神的支柱でもある大内女子主将

――昨年の秋に新チームが始まってから春シーズンを戦い終えて、ここまでの戦いぶりを振り返っていただけますか

大内 秋リーグ(秋季リーグ戦)の方は昨年から二人(常盤、宮川)とも投げているのでバッテリーのかたちはつくれてきたかなと思うんですけど、途中でチーム事情により主将と主務が交代することもあったので、秋はチーム全体としては難しいシーズンでした。それでそこから一冬越えて迎えた春だったんですけど、先生(吉村正総監督、昭44教卒=京都・平安)がご退職の時期だったのでチームを見てもらえる日数も少ないこともあり、春先はバッテリーもすごく苦しみました。ピッチャーもなかなか調子が上がってこなかったり、初めて先生抜きで春リーグ(春季リーグ戦)前の練習をしなければいけない状態で、3月の頭に山梨学院大に10点以上点差をつけられたりだとかした中で春リーグを迎えて、春リーグやページシステム制の前あたりはそういうのも響いて苦しいシーズンではありました。でもそのあと先生に見ていただいて少しずつチームを立て直して、ページシステムと全総(全日本総合選手権東京都予選)では2位という結果で終われたのはすごく自信にはなりました。

――ここまでの個人の投球や打撃の内容についてはいかがですか

常盤 秋は速い球しか投げられなかったんですけど、冬から春にかけて遅いボールを練習して、それが最近投げられるようになってきたのは大きいかなと思います。

宮川 新チームが始まって自分と常盤さんの二人しかピッチャーがいないという状況になって。少しでも常盤さんが楽になるように、自分がどうやったら役に立てるかを考えた時に、常盤さんは速いボールでバッターを倒しにいけるピッチャーなので、その後に自分が任された時に自分はドロップとか変化球でバッターを倒して守備に守ってもらうピッチングなのでそれを生かせるように一つ一つのボールに磨きをかけたりだとか、そういう面でまとまりができたのかなという風に思います。

――大内選手も最近は打順が4番から1番に変わられましたね

大内 そうですね。実際自分は4番に向いていないというか(笑)。バッターのタイプで言えば4番より1番の方が合っていますし、ずっとやり慣れてきた打順なのでのびのびとさせてもらっているという感じではあるんですけど、もう少し結果は出さないといけないなという風には思っています。

――皆さんが今シーズン戦ってきた中で一番印象に残っているのはどの試合でしょうか

大内 やっぱり春先にやった山梨学院大との試合が一番強烈に印象に残ってはいます。自分も力不足のところを感じましたし、このままではいけないなと感じる転機になった試合だったのでとても印象に残っています。

常盤 私も山梨学院大との試合が印象に残っていて、10点以上取られることが今まであまりなかったんですけど、初めてあんなに打たれて、不安というかこの先怖いなと感じたのをすごく覚えています。

宮川 自分は春季リーグのページシステム前の総当たり戦の時にチームとしてうまく回らなくて選手も不安になってしまった時に、先生が新しい練習方法を取り入れて下さって、そうしたらページシステム初戦で10点取ることができて、3回15点以上という目標を掲げている中でそれが達成できるチームになりそうだなという雰囲気の中でバッターがたくさん点を取ってくれて自分たちも自信を持って投げられた試合だったのでそれが一番印象に残っています。

――先ほどもお話に上がった通り、ことしの春で吉村先生がご退職なさって長谷川誠監督(平5文卒=長野・松商学園)が就任されましたが、吉村先生がご退職なさるという話は選手の皆さんは最初からご存じだったのですか

大内 先生もそのまま指揮を執るのか、総監督という立場になられて監督を誰かにやっていただくかをギリギリまで迷われていて、実際に知ったのは去年の冬だったと思います。

――それまでは全くご存じなかったのですか

大内 (指揮を執り続けるか)迷っているという話はあったんですけど最終決定ではなかったので、自分たちもどうなるのかなという状態ではありました。

――長谷川監督に代わってから何か変わったことはありましたか

大内 平日とかもずっと見てくださるのは吉村先生なので、状態を分かっていて下さるのは先生なんですけど、先生も総監督と監督の線引きはしっかりとされている方なので、アドバイスをいただきたい時とかがあったりもするんですけど今までのように先生から(アドバイスを)いただけたりすることがなかなかできないというのはありますね。

――吉村先生はピッチャーに対しての指導が印象的ですが、ピッチャーのお二人から見て吉村先生はどのような存在ですか

宮川 一目見ていただいただけでどこが悪くてどこが良いのかを的確に指摘して下さって、ピッチャーとしてもここを直せばもっと良くなるんだというのがすぐ理解できるので、先生の存在はすごく大きいなと思っています。

常盤 そんな感じです。

一同 (笑)。

――打者の大内選手から見て、吉村先生の打撃指導や打順の組み方についてはどのようにお考えですか

大内 本当は自分たちでやっていかなくてはいけないんですけど、そこはかなわないというか。やっぱり先生は何十年もやっていらっしゃいますし、試合経験数も全然違うので、普段ずっと一緒に練習している自分たちよりも先生の方が的確にアドバイスをしてくださったりするのはすごいところだなという風に感じています。

――普段の練習メニューは吉村先生の方から提示されるのですか

大内 普段は自分と副将の高橋(あゆみ、教4=神奈川・厚木商)が相談して決めて、そこに先生がアドバイスしてくださったりこういう風にしてみたらどうだと言ってくださって、それに変更していくというかたちです。

――一方で長谷川監督はどのような方でいらっしゃいますか

宮川 元ピッチャーなので、私たちに指導して下さる時は専門的な技術指導の面が強くて、ピッチャーとしてはとてもありがたく感じています。

――最近は社会人を相手にした遠征も行われていましたが、遠征は全部選手の方で組まれるのですか

大内 自分たちで組むこともありますし、先生にお願いをして組んでいただくこともあります。

――遠征をたくさん経験して、チームの状態はいかがですか

大内 去年は(学年が)一つ下だったのでそれなりに根拠なしに(チームが勝てる)自信があったんですけど、ことしは4年生を中心にチームをつくってきたところがあるので、自信を持てないというか。手探りのままやってきたので、それが正解だったのかどうかは夏が終わった時に、(インカレで)勝つか負けるかで決まると思うので気が抜けないですし、状態も自分が見えているものが正しいのかどうかが分からないなという感じではあります。

――春に模索していた打順も最近になって大体固まってきた印象を受けるのですが、打順についてはどのようにお考えですか

大内 春先はその日に調子が良い人を組み合わせていたので固定はしていなくて、特に3番と5番を誰にしようかいつも悩んでいたんですけど、藤井(美潮、スポ3=神奈川・平塚江南)が上がってきてくれて固定できるようになったのは大きいなと思います。

――常盤選手と宮川選手も遠征でたくさん投げられていますが、遠征についてどのような感想をお持ちですか

常盤 実業団のトヨタと対戦できたのが大きかったかなと思います。実業団で1位のチーム相手に投げられたことで、他の大学生相手に投げていてあまり怖さとかを感じなくなりました。

宮川 私もトヨタとの試合に出たのが自信につながりました。日本の中の1位のチームだし、最初はどれだけ打ち込まれるのかなって不安があったんですけど、「トヨタを抑えるためのピッチング指導をしているんだ」と言い続けてくださっている吉村先生の指導をそのままトヨタ相手に持って行けて、自分の準備もできた状態でトヨタに投げて、その中でそれなりに自分の中で自信をつけられた試合内容だったので、良い感覚をトヨタとの試合でつけることができました。(遠征から)戻ってきてからは他の大学生相手にもあまり怖くなくなったというか、自信を持って投げられるようになったのは収穫だと思います。

――社会人チームは大学生のチームとは違うものなのですか

大内 大体毎年トヨタ遠征をさせていただいているんですけど、トヨタ遠征はバッテリーからしたら恐怖でしかないというか(笑)。その時期が来ると、ことしは10点以上取られるのかなとか本当に嫌になるくらいで。いつもそういう恐怖を抱えたまま入るんですけど、それでも終わった時には一流の選手はここは見逃さずに打ってくるなとか、バッテリーとしても大学生相手では学べないことも学べますし、バッティングにしても(社会人は)甘い球を見逃さないのでバッターも学ぶところがありますし、いつもトヨタ遠征はインカレ前の非常に良い遠征だと感じています。

――社会人と対戦すると参考になる部分が多いということですね

大内 そうですね。打球1つでも全然違いますし、同じことをしてもこんなに違うのかというのは感じますね。技術面だけではなくて1球1球に対する丁寧さとか真剣に取り組む姿勢というのは大学生とは全然違うので、そういった面でも学ばせていただくことが多いです。

――逆にここまで戦ってきて感じている課題というのはありますか

大内 投球の課題は?

宮川 投球の課題は…守ったら1点取ることですかね。

大内 それは永遠の課題だね。

宮川 チームと全く違う方向に考えすぎたり、自分だけが突っ走っちゃって、流れがつくれないというのが負けた時の自分のピッチングなので、いいリズムのままバッティングにつなげてバッターが気持ちよくバッティングに臨めるように守備で流れをつくっていくのが自分の課題だと思います。

常盤 私は変化球のキレがもっと欲しいなって思っていて。強い相手だと今のままでは打たれてしまうので、もっとキレの良い変化球を投げられるように頑張らなきゃいけないなと思っています。

――主将の大内選手から見て、チーム全体の課題は何かありますか

大内 この時期(インカレ直前)まで来ると成長をたくさんするわけではないので、今ある力をいかに試合で100%出せるかというところに尽きると思うんですけど、ここ最近はピッチャーが打ち取った球をエラーしてしまったりというエラーが絡む失点がすごく多いので、アウトに取れるところは取って得点を取るところは取るというのをしっかりしていかないと。今のチームはピッチャーが良い分守備で取られる点数がゼロという前提で得点を積み重ねていくスタイルなので、そこはもう一度確認しなければいけない課題だなと思っています。

――防げるところでエラーが出てしまったりするのですね

大内 そうですね。エラーが出てしまうとピッチャーには精神的にくるものがあると思いますし、そのようなところでピッチャーを助けるプレーをしなくてはいけないなと思います。

「チームが勝つのにいなくてはいけない存在」(常盤)

常盤はチームの大黒柱

――ここからはお互いの印象についてお聞きしていきたいと思います。まずピッチャーのお二人から見て大内主将はどのような人物ですか

大内 全国区だからな!(笑)

宮川 えー…(笑)。大内さんは、ザ・キャプテンというかキャプテン気質の人だと思います。後輩からしても本当に頼りがいがある先輩で、人を見る力がすごいなって思います。練習中でもいつもみんなに声を掛けている姿があって、「きょうはこれが変だよ」とか、「きょうはこの動きがうまく回ってないから良いボールが投げられないんだよ」とかいつもささいな変化にすぐ気づいてくれるので頼りにさせていただいています。(今の答えが)何点くらいですか? 120点くらい?

一同 (笑)。

――常盤選手はいかがですか

常盤 頼れる存在かな。試合でもその日の調子を分かってくれて、「きょうは調子が良いからこの球でいこう」とか、「調子が悪いからここを気を付けていこう」とかを毎回言ってくれるし、試合でも大事な時に打ってくれるのでチームが勝つのにいなくてはいけない存在かなと思います。

大内 これが100点満点の回答だよ(笑)。年数の違いかな。

常盤 やっぱ分かってるよね。

宮川 二人はもう何年目ですか?

大内 7年目だね。

――大内選手と常盤選手のお二人は7年も一緒にいるともう以心伝心のような関係なのですか

大内 自分は中学校ではキャッチャーをやっていて高校の時は外野に回って、大学に入ってまたキャッチャーをやらせていただくことになったんですけど、キャッチャーになってからは(常盤が)意外にピッチャー気質なところがあるという性格を分かっているので、きっとこの球を投げたいだろうなとかが分かるのはプラスに働いているなと思います。

――この球を投げたいだろうなというのが分かるんですか

大内 そうですね。逆にこれを投げて打たれたらきっと悔しがるんだろうなとかも分かるので、それは要求しないです(笑)。これを投げたら効果的かなというのはあっても、もしそれで打たれた時には本人が相当悔しがるのでやめておこうという感じになります。

――常盤選手はいかがですか

常盤 試合中にこれ投げたくないなと思っている球は(サインが)出なくて、ベンチに帰ると「あの球投げたくないでしょ」みたいに言われるので、「うん、やだ」みたいなやりとりをしています(笑)。なので大内に対してあんまり首を振ることはないです。

――次に宮川選手の印象はいかがですか

大内 うーん…。真面目ではあるんですよ。

宮川 良かった(笑)。

大内 真面目なんですけどちょっと頭が悪いというか(笑)。

宮川 それ去年とコメント同じじゃないですか?(笑)

大内 でも宮川は自分で努力をして人から信頼を得るタイプだと思っていて、宮川が足りないところは自分なり宮川の同期なりが補ってくれれば良いと思うので、その真面目さを取りえにこれからもやってほしいと思います。ただその反面、ピッチング術という面ではまだまだ課題が残っているので、そこは(インカレ・引退まで)もう1カ月もないですけど自分や常盤が教えられるところは教えてつなげていって欲しいなというのはあります。もうちょっと頭が良くなってくれればなという感じですね(笑)。

――皆さんは普段から名字で呼び合っているのですか

大内 言われてみたらそうですね。先生に名前を出す時は名字なので、そっちの方が言いやすいというのもあります。

――常盤選手は宮川選手の印象についてはどうお考えですか

常盤 大内も言っていたんですけど、私とは真逆の性格で超真面目ですね(笑)。私が「もう投げなくていっか」って思っている時もずっと投げていて、私もそこはちょっと見習わなくちゃいけないのかなって感じています。

宮川 あの、大内さんのところにいなくちゃいけない存在って加えておいてもらえますか。お二人にこれだけ言われちゃうと足りないなって思ったので…。

一同 (笑)。

――宮川選手の方から4年生の先輩に相談をされることはありますか

宮川 そうですね、自分は分からないことが結構多いのですぐに常盤さんとか大内さんに相談しています。「このプレーが気になるのでここを見ておいて下さい」って言うと「こうしたら良いよ」っていうアドバイスをくれるし、いつでもウェルカムみたいな感じでいてくれているので相談しやすいです。

――あと1カ月もしたら4年生が引退となりますが

宮川 いやー、泣けますね。

大内 絶対泣けよ!

一同 (笑)。

宮川 やっとチームができてきたなって時に先輩方がいなくなっちゃうっていうのが悲しいし、もっと教えてほしいことがあるのにってこの時期になって焦ってくるし。でもこの1カ月をどう過ごすかで自分たちがつくっていく新チームも変わってくると思うので、今先輩方がいる間に聞けることは自分たちの方からいっぱい聞いていきたいなという風に思っています。

――では最後に大内選手と宮川選手から見た常盤選手の印象は

大内 宮川のを聞いてからにするわ。

宮川 絶対大内さんの方がレベルが高いじゃないですか(笑)。常盤さんは同じピッチャーなので練習をやりたい時とかこのバッターに投げたいとか、「今はちょっと動きたくないですよね、ストレッチしましょう」とかの感覚が同じなんだと思います。一緒にいて楽しい空間というか、もう一人1年生に廣瀬(夏季、スポ1=北海道・ときわの森三愛)っていうピッチャーがいるんですけど、これをやれみたいな感じではなくて「きょうはこれやるよ」みたいに一緒にやっていこうってまとめてくれますね。本当に優しくて、遊ぶこととかきょうは何を歌うとか今度あそこにご飯に行こうとか、プライベートの面でも一緒にいて下さるのでお姉ちゃんみたいな存在です。

常盤 ちょっと足りないなあ。

宮川 えー(笑)。

――宮川選手のような妹さんがいたらどうですか

常盤 ちょっと嫌ですね(笑)。

宮川 絶対言うと思いました(笑)。でも地元が近いんですよ、30分くらいで着くので。インカレが終わったら福島にジャンボパフェを食べに行く計画をしているので楽しみです。

――では大内選手から見た常盤選手は

大内 7年目にもなると言うのが恥ずかしいですね(笑)。

常盤 私も恥ずかしかった(笑)。

大内 なんて言えば良いかなあ。常盤って多分抑えて当たり前って常に期待されてきたと思うんですよ。だから打たれるとそれなりに目立ってしまいますし、常盤は抑えてくれるだろうってチームからも期待されているんですけど、その中で期待に応え続けるのは一選手としてすごいなと感じていて。自分は4番で打たせてもらっていたことがあるんですけど、初回で回ってくる時は大体得点に絡むときですし、チームの期待に応えなければいけないと思って打ち続けてはいたんですけど、期待に応えられないことが長く続いて。そういう(チームの期待に応える)立場になったときに改めて常盤のすごさを感じたというか、選手としてすごいな、尊敬するところだなと思いました。あとは練習中とかも本人は手の抜きどころが分かっているので(笑)。先生が来るタイミングも分かっているので、先生が来ないときはちょっと休んで、来るとまた始めたり。そういうところもユニークで面白いと自分は思います。そういうのも試合のときにギアを入れ替えるノウハウにつながっているのかなと思いますし、のほほんとしてますけど結構ピッチャー気質なところがあるので受けていて面白いなという風に思っています。

常盤 満点の回答ですね。

大内 これが年数の違いだよ。

宮川 来年楽しみにしていて下さい。

大内 来年はウチらもういないから!(笑)

宮川 そういう企画立ててもらっても良いですか、大内さんとか常盤さんとか、先輩に一言みたいな感じで(笑)。

――多くの1年生がチームに加わりましたね

大内 やっぱり増えるのはありがたいですよね。ワセダのソフトボール部に入りたくても入れない人はたくさんいるので、そういう中で何かの縁があって選んで来てくれるというのは非常にうれしいことですし、二人(常盤・宮川)で夏を投げ切るのはどうしてもしんどいと思うので、そういう意味ではこんなにも1年生が入ってきてくれたというのは強みかなと思います。

――投手では廣瀬選手が入部しましたが、印象はいかがですか

常盤 芸人。渡辺直美みたい。

宮川 踊れるし、歌えるし(笑)。ネタ振ればやってくれますしね。

大内 キャラがかなり強烈ですね(笑)。何か持っていますね。

宮川 見てもらえば分かるんですけどね。呼べば良かったな(笑)。

――オフの時はバッテリー陣で遊びに行ったりするのですか

大内 遊ばないですね(笑)。私はサーフィンや買い物とかが好きなので行くんですけど、それについてきそうな人だったら呼びます。それ以外は地元の友達とかですね。ソフト部ではないですね、みんな「焼きたくない」って言うので。海に行きたくない人が多いですね。ご飯とかは行くんですけど。

常盤 私はインドアです。オフがあったら一日家にいます(笑)。だいたいお昼くらいまで寝て、その後は録画したテレビ番組とか、漫画とか、携帯とか、そんな感じでずっとやっています。家の中でも動かないです。友達も呼ばないです。

宮川 私は観劇に行きます。3年生が今観劇ブームで、山内(実咲、スポ3=神奈川・向上)とかと劇団四季とか宝塚とか、帝国劇場まで行って小池徹平とか城田優がやっている舞台を観に行きます。オフの日が決まり次第観劇の予約をしますね。後は買い物とかです。ただ高いので、そのためにバイト頑張ってお金を貯めて、という感じです。

――バイトは週どれくらいされていますか

宮川 週2くらい入れたらっていう感じですね。練習終わってからですね。もう終わっちゃったんですけど、3人同じところでバイトしていたんですよ(笑)。私が入る前に常盤さんがやっていて、そこから常盤さんが辞めるので自分が代わりに入って。今度は人手が足りないから大内さんを誘って、先月大内さんが辞めてまた一人になって、という。

大内 まかないは本当においしいよね。これ全国区だよ。

宮川 小手指にある『なんじゃこりゃ』っていう居酒屋さんなんですけど、串揚げがおいしくて、ママさんがすごくいい方で。お酒も本当においしいので、もしよかったらお越しください。小手指アーケード内なので。

一同 (笑)。

――4年生では何かはやりごとなどはあるのですか

大内 4年生はキャラが濃いというか、5人それぞれという感じなので(笑)。3年生は一緒にご飯行ったりとかどこかに行ったりとか、全員一緒じゃなくても何人かで出掛けていたりするんですけど、4年生は本当にないですね(笑)。今まで一緒にご飯行ったのも2回です、4年間で。1回目は1年生の入りたてくらいの時にやって。2回目は、2年生になるとTシャツを作ったり仕事をする機会が増えて、連絡し合うならご飯行って全部決めちゃおうみたいな感じで。それ以来行っていないですね、基本的に。

――今後もないですか

大内 どうですかね。今後も…多分ないですね(笑)。インカレが終わったらあるかもしれないですけど。

――他の3人もそれぞれで過ごす、という感じなのですか

大内 そうですね。なんか一人が好きな人が多いんですよね、うちの学年は。暇な時に誘ったりはするんですけど、みんな予定があるだろうという体ですね。別に仲が悪いわけではないので大丈夫です(笑)。

宮川 皆さんそれぞれに好きなものがあるので、後輩はそれぞれに「一緒に連れていってください」みたいな。3年は同期で集まりますけど、4年生は後輩を連れていってくれます。

大内 確かに、後輩と行くことは多いですね。宮川とご飯に行った数は数知れずだね。

宮川 そうですね、たくさん行きましたね。紫文さんとも結構…。

常盤 行ってない。

一同 (笑)。

常盤 恥ずかしい思いを毎回させられています。ご飯行くと毎回泣くんですよ。「私はばかなんだ」みたいに言い始めて、恥ずかしかった(笑)。

宮川 あれはもう(笑)。入学当初不安に駆られた時に連れていってもらって。本当に懐かしいですね。常盤さんには要所要所でお世話になっているということで。かわいがってもらっています。

――先輩と行くとおごってもらえるのですか

宮川 ありがたいことに。「いいよ」って言って払ってくださいます。

大内 自分の2つ上に福井小夏さん(平27スポ卒=富山中部)がいて、ご飯連れていってくださった際にいつも払ってくださったので、一度出そうとしたんですよ。「きょうくらい出させてください」と言ったら、「そのお金で次来る後輩たちにおごってあげなさい」と言われて。かっこいいな、私もこういう先輩になりたいなと思って、そうしたら貢ぎ過ぎました(笑)。今の後輩にしていることは自分たちも先輩方にしていただいたことなので。いろいろなことを教わりましたね。なので、次は宮川が。

――宮川選手もいよいよ最上級生ですね

宮川 そうですね。自分はキャッチャーで一個下の加藤(千陽、スポ2=愛知・星城)に貢ぎ癖が出始めている時なので(笑)。まんべんなくみんなと一緒に行けたらいいなという感じです。先輩方がしてくれたことをつなげていきたいなと思います。

――毎年、ソフトボール部は学年を越えて仲が良い印象です

大内 そうですね、雰囲気はいいですね。やっていて楽しいですし、そこはうちの部の魅力だなと思います。

「勝って、笑って終わりたい」(宮川)

宮川にはリリーフとしての活躍が期待される

――インカレに向けて特別に練習していることなどはございますか

大内 春季リーグ戦が終わってからページシステムに入る前に取り入れた練習方法があって、それのみならずテーマが実戦だったので、実戦の中でどう自分の実力を上げていくか、試合に近い状況でいかにやるかというのを意識しています。試合に近い状況をつくり出すということを部員たちの共通認識としてやっています。

常盤 私はこの暑い時期に1、2試合を投げ抜く体力がないので、打つ人全員を相手に一人で投げる練習のような、体力面の練習をしています。

宮川 私も紫文さんと同じで、鹿児島の暑い状況でいかに自分のピッチングができるかという体力が課題になってくると思います。なので体力面の向上と、自分の一番の武器を7回まで投げられるようにという、技術面の磨きをかけています。

――昨年のインカレから1年たちましたが、今あらためて振り返るといかがですか

大内 あの経験は大きかったですね。大事な一戦を任された宮川にとっても大きな経験だったと思いますし、3ランを打たれた常盤自身も私自身もパーフェクトなボールを本塁打にされたので、いろいろな意味で転機となったというか、全国区のバッターの怖さを思い知らされた一戦だったと思いました。終わった時に、先輩たちは終わりになってしまうんですけど自分たちはもう一年あるので、勝たせてあげられなかった先輩のためにもこの経験を生かさないと申し訳ないなという気持ちでした。その負けをバネに1年間やってきたので、それは生かさなきゃいけないと今強く思います。

宮川 本当に悔しかったです。自分の力を何一つ出せないまま自分は終わってしまって、去年のエースの泉さん(花穂、平28スポ卒=現日立)のお姉さんがいた大学ということで、泉さん自身も先発として準備してきた中で自分をチームが先発として選んでくださって。それだけ自分に懸けられた思いというのは強かったんですけど、それを自分でも分かっていながらあんなピッチングをしてしまったので、自分はあのことだけは繰り返したくないと思ってずっと臨んできました。ことしのインカレは自分の力を全部出し切って終わりたいという気持ちで臨みます。

常盤 ホームランを打たれた球は自分の中でもかなりいいボールだと思っていたんですけど、それを打たれるということはまだまだもっと自分が成長できると思いました。去年のように大事なところで抑えられなかったという後悔はもうしたくないので、ことしは悔いが残らないように頑張りたいです。

――そのことしへの切り替えはすぐできたのですか

宮川 自分は少し引きずりましたね。どうしたらいいのか分からなくて、またああいうふうなピッチングをしてしまったらどうしようということばかり考えてしまって。でもそんな時に今の先輩方がご飯に連れていってくださってアドバイスをくださったので、だんだんどうしたらいいのかという解決策が分かって、そこから切り替えることができたと思います。

大内 どれくらいかかったかな。インカレの前に園田女大と練習試合をして、そこそこいい感触はつかめていたので、試合前は少しいけるかなと思っていました。でも実際終わってみたら圧倒的に負けて、切り替える前に自分たちの甘さが原因だったなと強く感じました。今の4年生からしたら、次のチームのことをすぐに考え始めなければいけなかったので、忙しさのおかげで忘れられたというのは最初の方はありました。ただあの敗戦に関しては要所要所のことをまだ鮮明に覚えています。

常盤 私も園田女大戦で宮川の後に投げたんですけど、私が投げてから一気に点差が開いてしまったので、まだ今もリリーフで走者がいる時に代わるというのは怖い気持ちがあります。

――皆さんにとってインカレとはどういった大会ですか

大内 ワセダは基本的に4年生が中心になって練習メニューを考えたりオーダーを決めて、その中で先生にアドバイスをいただいてチームを作っていくんですけど、インカレはその1年間の努力が正解だったかどうかが問われる大会なのかなと思います。だからこそ1年ごとに難しさがありますよね。手探りの中先輩方も一日一日やってきて、自分たちも一日ごとに手探りでやってきたので。勝つということの難しさを非常に感じている中でインカレでは結果を出さなきゃいけないので、みんながそこを目指している分、一番難しい大会だなと感じでいます。

宮川 毎年違った感覚でインカレに臨めているなと思っていて。1年目は正直ベンチに入れるだけで満足していた自分がいたし、先輩に頑張ってほしいという気持ちと自分も出たいという気持ちがあって、とりあえず応援しようという感じで。2年目は先発を任せてもらって、でも緊張して。3年目はとにかく結果を出したいというのと、チームに貢献したいということでステップが上がっていると思います。大内さんが言うように、1年間積み重ねてきた自分の過程が本当に正しかったのかというのが分かるというか、大きい区切りなのかなと思います。

常盤 ことしのインカレは最後ということもあって特別だと思っていて。正直4年間勉強よりもずっとソフトをやってきて(笑)、だからこそ今までやってきたことを出せるか。一緒ですね、はい。

一同 (笑)。

――インカレでのご自身の役割は何だと思いますか

大内 自分は立場が立場なのでいかにこのチームを勝たせられるかということを考えて、確率の高いオーダーや練習メニューを組んで、勝てるようにさせるということが何よりも自分の役割だと思います。それと同時に思うのは、自分たちが引退した後に後輩たちがどうすれば勝ち続けられるか、そのためにいいものを残してあげるというのも大きな仕事だと思うので。もちろん自分たちがいい結果を残すために練習もするんですけど、それ以外に後輩に伝えられることはどんどん伝えていくということが今の自分の役割だと思います。

宮川 自分はピッチャーとして試合をつくることが大前提です。また、3年生という立場で考えると来年のインカレも見据えていくことです。3年生もメンバーとして定着し始めているので、自分たちでチームを作るという面でも見る立場というか。どういう感覚なのかということを一番上に立った時に伝えられるように視野を広げておくということが役割だと思います。

常盤 ピッチャーである以上、0点で抑えるという気持ちで試合に臨むことが自分に求められていると思います。

――初戦の相手は環太平洋大学短期大学部ですが、情報などはもうあるのですか

大内 四国リーグに所属しているチームで、まだ情報がないのでどういうチームなのか分からない状態です。そこが不安要素の一つですね。これから西日本大学選手権も開催されるので、そこで情報収集をして万全の準備をしていきます。

――西の大学の情報を集めるのは大変だと思いますが

大内 大変ですね。特に西(の高校)から来た人がうちは少なくて、みんな東の方なので。東はすぐ集まるんですけど、西に友達や先輩がいる人が少ないので、難しいです。

――ことしの組み合わせは率直にどうですか

大内 どうですかね(笑)。4年生の意見としては、四年間で一番いい組み合わせだとは思いますね。1年目は初戦が中京大で、2年目は初戦終わってすぐ東京国際大だったので。去年は園田女大で、1、2戦目から強い大学と当たることが多かったですね。それに比べれば四年間で一番いい組み合わせだと思います。

宮川 去年は本当にびっくりしましたもんね。初戦か、っていう。

大内 いつかは当たるとは分かっていたけど、まさか初戦かっていうね。

――4年生のお二人にお伺いします。ここにいらっしゃらない4年生3人に伝えたい思いはございますか

大内 うちの学年は個々の個性が強かったり、一人が好きだったりなので、そんなにみんなで何かをするということはないんですけど、でもソフトボールに対してはすごく強い思いを持っている学年ですね。1年生のころから「自分たちの代になったらこうしよう」とか「日本一になるにはこうしなきゃいけない」とか、そういうことはずっと話してきた四年間だったので、最後はみんなで勝って終わりたいなと思います。

常盤 私もそんな感じです。

一同 (笑)。

――最後にインカレに向けて意気込みをお願いします

大内 東日本とインカレで4年生にとっては最後となって、同時にソフトボール人生も最後になる者が多いので、本当に最後にやるソフトボールになると思います。自分はそういう思いとは別に、この一年間は後輩に支えられた部分がすごく大きいと感じています。特に3年生は練習メニューをはじめとして試合中にも改善点をチームのために考えてくれて、それって後輩だとなかなかできないことじゃないですか。みんなチームのために考えて1年間やってきてくれて、そういった後輩たちのためにも、自分のためにも、4年生のためにも勝ちたいというのが非常に大きくて。ことしはいろいろな思いを抱えた年になるなと思います。その思いに応えられるように、もちろん主将としてチームを勝たせられるようにやって、自分のリードやバッティングでチームに貢献できるように、のびのびとやりたいです。

常盤 これまでいろいろな人に支えてもらったから自分はソフトボールに集中できたので、その人たちのためにも思い切りプレーして、自分としても悔いが残らないように自分らしいピッチングができればいいと思います。

宮川 大好きな先輩方とずっと一緒にやってきて、こんなに充実したソフトボールってしてこなかったと感じていて。ソフトボールをここまで追求して高いレベルでできて、それを教えてくれた先輩方と本当に勝ちたいし、勝って終わりたいという気持ちが大きいです。ことしは勝って、笑って終わりたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小川由梨香、中丸卓己)

◆大内佳那(おおうち・かな)

1994年(平6)10月1日生まれのA型。身長158センチ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部4年。捕手。自分が先輩にしてもらった影響から、後輩に対してご飯をおごると語ってくださった大内選手。学年を越えて絆を築くことができるソフトボール部の環境を、今後も続けていってほしいと願っていらっしゃいました!

◆常盤紫文(ときわ・しゆき)

1994年(平6)11月16日生まれのB型。身長156センチ。千葉・木更津総合高出身。スポーツ科学部4年。投手。大内選手とは高校時代から共にソフトボールに打ち込み、ことしで7年目。相手の考えていることもほぼ分かるそうです。『以心伝心バッテリー』が織り成す圧巻の投球に注目です!

◆宮川眞子(みやかわ・まこ)

1996年(平8)1月11日生まれのB型。身長163センチ。福島・帝京安積高出身。スポーツ科学部3年。投手。大内選手、常盤選手の前では後輩としてかわいがられていましたが、秋からはいよいよ最上級生。チームの先のことをきちんと考える、『宮川先輩』らしさも対談の随所で見せてくださいました!