投打で慶大を圧倒

男子ソフトボール
TEAM
早大 11
慶大
(6回コールド)
○杖子、豊田―林友、山本
◇(本塁打)濱中2、萩野谷、山本 ◇(三塁打)林新、林友 ◇(二塁打)塩沼

 大学を覆うすべての木々がオレンジ色に紅葉し、より一層秋の雰囲気を感じさせる早大所沢キャンパス。ことしもここで伝統の一戦が行われた。慶大は2部に所属する格下のチームではあったが、気を緩めることなく向かってゆく。早大は持ち前の打力で2回以降は毎回得点を挙げ、投げても杖子量哉(スポ1=岡山・新見)と豊田誉彦(スポ2=兵庫・滝川)が被安打3、無失点で相手打線を封じ込め快勝。また今回の試合は両校の親睦を深めることも目的の1つとされており、試合後には懇親会が行われ互いに交流を深めた。

 雲一つない青空に、大きな飛球が何度も飛んで行った。その表現通りこの試合、4本の本塁打を含む7本の長打が飛び出し慶大を圧倒。中でも、濱中勇輝(人3=神奈川・桐光学園)は途中出場ながらも「相手投手を見て緩い感じの球が来るなと予想はできていた」と緩い球を引き付け、鋭く振り抜き2本の本塁打を放った。また6番の萩野谷知大(人2=茨城・水戸一)は自分の役割と話す『出塁』に徹し、3つの四死球を選び好機を演出。さらに6回には本塁打を放ち、この試合のMVPに選出された。

本塁打を放ちチームメートに迎えられる濱中

 盤石の投手陣が完璧な投球を披露。先発の杖子は初回からエンジン全開だった。勢いのある速球で相手を次々にねじ伏せていき、時には緩急をつけた投球術で打者を翻弄(ほんろう)。終わってみれば5回を投げ許した安打は2本、一度も三塁を踏ませることはなかった。また最終回を任せられた豊田も二塁に走者を背負うピンチを迎えるものの、危なげない投球できっちりと抑える。最後の打者を渾身のストレートで見逃し三振に切って取り、ことし最後の試合を勝利で飾ってみせた。

5回無失点と完璧な投球を見せた杖子

 試合後、グラウンドの中心では懇親会が行われた。両チームの選手で大きな輪を作り弁当片手に積もる話に花を咲かせ、食後は両校の選手同士でダウンも兼ねたキャッチボール。1部と2部という実力の差はあれど、互いを尊重し合う心に相違はない。この友好関係はこれからも続いてゆくだろう。またこの試合がことしの最終戦となった。ことしは全日本大学選手権4連覇を逃し、とてつもない悔しさを味わった年。厳しい冬を乗り越え、捲土(けんど)重来を期す。

(記事 本田京太郎、写真 藤川友実子、三佐川唯)

最優秀選手賞に輝いた萩野谷

コメント

濱中勇輝(人3=神奈川・桐光学園)

――試合を振り返っていかがですか

伝統の早慶戦でスタメンではなかったですけど、出られたら良いところを見せようと思ってました。結果良い感じで勝てたので良かったです。

――途中出場ながら2本の本塁打を放ちましたが

最初はランナーコーチをしていて準備できていなかったんですけど、相手投手を見て緩い感じの球が来るなと予想はできていました。あと、みんなが前につんのめって打っていたのでしっかりと重心を後ろに残してボールを弾き返そうと思って打席に入りました。打席に入っても予想通り緩い球が来てきれいに打ち返すことができましたね。

――2本の本塁打を放ったのですがMVPを逃してしまいました

悔しいですけど、後輩もそれ以上に活躍していたので仕方ないのかなと思います。

――4年生として来年はどうチームを引っ張っていきますか

昨年、今まで続いてきた連覇が途絶えてしまって、来年は僕たちの代からまた1つずつ勝ちを積み重ねていかないといけないという状況だと思います。でも、全国大会ってなるとみんなプレッシャーでガチガチになってくるんです。そういった時にベンチにいる人とか途中から出場する人が思い切って声を出したり、スタメンの選手を良い雰囲気でベンチに迎え、次の攻撃に良い流れを引き寄せられればと思っています。

――最後に来年への意気込みをお願いします

冬場に厳しいトレーニングがあるんですけど、それをみんなで乗り越えて来年の夏に笑顔で終われるようにまた1つずつ頑張っていきたいです。

萩野谷知大(人2=茨城・水戸一)

――MVPを獲得されましたがいまのお気持ちを教えてください

関東大学選手権(関カレ)に出させていただいた時は役割に徹しろということで出塁率にこだわってやっていたので、ホームランも満足ですが前の3打席で出塁できたことに満足しています。

――その本塁打についてですが、感触はいかがでしたか

小技系だけだと以前の国士舘大戦の時のように前に詰められて、それに対応できないというのがあったので、きょうは強打を意識して打ってとても気持ち良かったです。

――最近はスタメンとしての出場が多いですが、出塁というご自身の役割についてはどうお考えですか

僕自身、塩沼(泰成、スポ2=福島・安積)とかに比べて得点圏で打てたりという能力は現段階ではあまりないので、出塁という役割を与えていただいてそれに徹するというのを僕もやっていきたいですし、その役割に尽くしたいと思います。

――打線は1・2番、5・6番で出塁するかたちを取っていますが、6番という打順はどう捉えていらっしゃいますか

いまは6番で、打順的にも一番打ちやすいかなと思います。前の鳥岡(健、スポ1=岡山・高梁)が強打もできるバッターで、僕の前でランナーをかえしてくれてランナーがいない状態だったり一塁にいる状態で、僕はエンドラン、右方向に打つ、バントするなど役割が明確になっているので、6番はやりやすい打順です。

――これからオフになりますがオフの間はどのようなことを強化していきたいですか

ソフトボールでは左バッターのバントが多いんですけど、僕は右バッターとしてバントができるということで、転がす位置などバントというものにこだわりを持ってやっていきたいです。また、4打席目はホームランといってもフライを上げてしまったので、低い打球の強打というのを目指して筋力トレーニングなどをしていきたいと思います。

――現状では山根航選手(政経3=東京・国立)とレギュラーを争っている状況ですがそれについては

山根さんも僕より足が速かったりという面があるので、その分僕は強打というものにこだわりを持って、あとはバントもしつつその中での強打という使い分けをしっかりして、山根さんとの区別をつけていきたいです。

――では最後に残る春、夏に向けて意気込みをお願いします

きょねんのチームから練習試合とかは出させていただいていて、その中でも一歩抜け切れない自分がいて。最後の最後でレギュラー争いで気持ちを出せない自分がいたので、この冬をしっかり乗り切って、春は頭からしっかりレギュラーとしてリーグ戦にも出場して、フル出場できる選手になっていきたいです。