またも日体大の前に屈し、東日本制覇ならず

男子ソフトボール
TEAM
日体大
早 大
松木、●吉田、豊田―大嶋
◇(本塁打)溝口

 連日のサヨナラ勝利で勢いづいていた早大。その勢いを止めたのはやはり、宿敵・日体大だった。迎えた東日本大学選手権(東日本)最終日。準決勝で日体大と対戦した早大は、3回に先制を許した直後、溝口聖主将(人4=長崎・佐世保西)の2点本塁打で逆転する。しかしその後同点に追い付かれると、6回に吉田尚央(人2=長崎・佐世保西)が2本の本塁打を浴び3失点。その後も追加点を奪われ、最終回こそ1点を返すが反撃はそこまで。準決勝で敗れ、東日本は3位で閉幕した。次戦はいよいよ、8月末に三重で開催される全日本大学選手権(インカレ)だ。

 今季は春季リーグ戦、全日本総合選手権東京都予選で日体大と対戦している早大。しかし2戦2敗と白星を挙げられず。インカレ4連覇に向けての、最大のカベともいうべき相手だ。日体大の強みは、吉村正監督(昭44教卒=京都・平安)、溝口が口をそろえて「大学で一番良いピッチャー」と評するエース・河野拓郎(4年)と、その好投に応える強力打線。今季のみならず幾度も苦しめられてきた相手だけに、早大打線も「甘い球が来れば逃さない」(溝口)という意識の共有を徹底し、試合に臨んだ。すると3回、2死から吉野恵輔(スポ4=福岡・城南)が内野安打で出塁。打席には溝口が入る。フルカウントからの6球目、その「甘い球」を逃さず振り抜いた。打球は伸び、左中間のフェンスを越える逆転の2点本塁打。しかしその後は安打が出ず、チームも相手に勝ち越しを許してしまう。迎えた最終回、インカレに向けてなんとか河野に一矢を報いたいところ。すると眠っていた打線が目を覚まし、単打4本を集めて1点をもぎ取った。そして2死満塁、一発出れば同点の場面で、再び溝口に打順が回る。またしてもフルカウントとなり、6球目。際どいコースに来た球を見送ったが、無情にも審判の手が上がり、続いてストライクのコール。ここで試合終了となり、またも河野を捉え切れなかった。

逆転の2点本塁打を放った溝口

 一方の投手陣。強力打線に対し、先発の松木俊皓(スポ3=宮崎・日向)は3回まで1失点と粘りの投球を見せる。しかし逆転に成功した直後の4回、先頭打者に二塁打を打たれ、犠打と内野ゴロの間に失点。同点に追い付かれてしまった。「点を取った後の回をしっかりと抑えないと流れを持って来られない」(松木)。攻撃のリズムをつくるためにも、投手陣の粘投は不可欠だ。同点で救援した吉田は、5回の窮地こそ切り抜けたものの6回、この回先頭の四番打者に本塁打を浴びる。1死こそ奪ったが、その後死球を与え、次打者にまたしても被弾。後を受けた豊田誉彦(スポ2=兵庫・滝川)も7回に本塁打を浴びた。相手の長打力、そして一発攻勢に泣いた投手陣。与四死球はわずかに2つと制球が安定してきたため、猛暑の中での勝負どころでどれだけ集中できるかが、インカレでの勝負の分け目になるだろう。

2本の本塁打を浴び、マウンドで膝に手をつく吉田

 3-7。敗れはしたが、ただ何も得ずに屈したわけではない。選手たちは着実に、インカレにつながる『材料』を得ている。好投手・河野を相手に、どうすれば打ち崩せるのか。日体大の強力打線を相手に、どうすれば抑えられるのか。十中八九インカレでも対戦する相手だけに、その答えを見つけられるかどうかがカギとなる。秋に代替わりをして以来、変わらず掲げ続けてきた『インカレ4連覇』という最大の目標。それに恥じることなく、そこから目をそらすことなく、選手たちはここまで戦い抜いてきた。インカレまで残り20日を切ったいま、残すは最後の追い込みのみ。ここで下を向いているわけにはいかない。この敗戦は、真夏の三重で栄冠をつかみ取るための、大きな材料だ。

(記事 中丸卓己、写真 藤川友実子、土屋佳織)

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コメント

吉村正監督(昭44教卒=京都・平安)

――男子部の戦いぶりはいかがでしたか

良いんじゃないですかね。きょうまず選手たちに言ったのは、「私をここに連れてきてくれてありがとう」と。城西大にああいう勝ち方をして、中大にもサヨナラで勝って。監督がいない中で勝つというのはしんどいですよ。なので学生諸君に感謝して。本当は女子が優勝して、私のいない中で優勝しなければいけないとは言いましたけどね。そこで「溝口、良くやった」と。今回たったの3割しか打ってなかったですね。彼はそんな選手じゃないですよ。監督代行のように主将として大きな仕事をやってくれたから、「きょうは私がいるから選手に徹しろ」というアドバイスをさせてもらいましたね。それが最初のホームランに間違いなくつながったと思う。それでゲームが終わった後に言ったのは、あの最後の2死満塁の場面で、溝口がカウント3-2からストライクを見送ったのが一番の今後の課題だと。なぜかというと、試合前にそういう声掛けをしているわけで、ホームランも打っていますからね。彼がまたホームランを打てば同点で、相手もちょっとだけ気にしているわけで。何よりも、河野といったら大学で一番良いピッチャーですよ。溝口は大学で一番良いバッター。プロだったら振らなきゃ解雇ですよ。アマチュアでも勝負にいかないといけない。自分がフォアボールで出て、翼(大嶋、スポ4=群馬・新島学園)がきのう打っているから勝たしてやろうという、彼の優しさが出た。私にはすぐ分かりましたね。その前も見送っていたわけで、そこでアグレッシブに行っていれば、(最後の1球は)ファールにはできたはずですよ。その気迫が足りなかった。そこら辺は、彼の優しさという素晴らしいところから来る、強みでも弱みでもない、特徴と言いますかね。

――投手陣はいかがでしたでしょうか

投手陣は、喜久井町で週4回教えている成果が出ていますかね。松木は良い感じに仕上がってきましたね。

溝口聖主将(人4=長崎・佐世保西)

――この試合を振り返っていかがですか

チームとしては負けたことが一番悔しいですし、最後チームメートがチャンスをつくってくれた中で自分が打てなかったのが本当に悔しいです。

――相手の河野選手の攻略がカギになったと思いますが、試合前にどういった作戦を立てて臨みましたか

河野が大学で一番良いピッチャーだというのは全員わかっていることなので、甘い球が来れば逃さない、甘い球が来なくても必死に食らい付いていくことを徹底するということを共有していました。

――第2打席にその河野選手から本塁打を放ちましたが打った球は

ライズの甘く入ってきた球だったので、思い切って振り抜きました。(甘い球を見逃さないことは)チームで統一していることなので、自分がその姿勢を見せることでチームが盛り上がれればいいなと思っていたので、結果が出てよかったです。

――昨日まではなかなか結果が出ていませんでしたが、この本塁打は欲しかった一打だったと思いますが

昨日までは吉村先生がいらっしゃらない中での試合で、きょうは吉村先生からも「一選手として集中して臨め」という力強い言葉を頂いていたので、吉村先生に感謝しながら一球一球大事にしながら臨みました。

――チームとしては河野選手を攻め切れたとはいえない結果となりましたが、攻略の手応えは

秋リーグからいままでの日体大との試合を見ていく中で、かなり自分たちが何とかしようという気持ちで臨んでいるので、それも多少ではありますが結果につながってきているので、インカレで勝てるように今後は取り組んでいきたいなと思います。

――今大会は3位という結果となりましたが、この結果はどう捉えていますか

当然インカレを見据えた大会ということで優勝を目指してやってきたんですけど、また全日本総合選手権東京都予選の時と同じように日体大に負けての3位ということで悔しいです。

――インカレ4連覇を目指していくにあたってどんなところを改善、強化していきたいですか

最後自分がランナーを返せなかったという点が大きな敗因だと思うので、つくったチャンスを確実にものにする打線ができれば勝てるんじゃないかなと思います。

――インカレは4年生で迎える最後の大会となりますが、そこに懸ける気持ちは

みんなが僕を信じてこれまでついて来てくれて、最近はチャンスで回してくれているので自分がランナーを返して勝ちに貢献して、優勝できれば嬉しいかなと思います。

――インカレでの目標は

優勝です!

吉野恵輔(スポ4=福岡・城南)

――準決勝敗退という結果を受けて、いまのお気持ちは

1回戦から苦しい試合があって、チームが成長してきていたので、決勝戦まで行ってもう1試合やってさらに成長したいと思っていたのですが負けてしまって残念です。

――日体大の河野拓郎投手と対戦してみた感想は

2年生や3年生の頃から何回も対戦したことがあったので球種、コース、球筋とかは全部頭に入れてきのうからイメージしていました。きょうは正直、前回対戦した時よりも球もそんなに来ていなかったので打てるのかなと思ったんですけど、コースに丁寧に投げ分けられたので対応しきれませんでした。あとはチェンジアップにチームとして序盤から徹底できなかったところが打てなかった要因かなと思います。

――3、7回の攻撃から攻略のヒントはつかめましたか

吉村監督からチェンジアップを捨てて速い球にタイミングを合わせるようにというアドバイスをいただいてから皆球種を絞って打席に入れたのは良かったなと思いました。7回は1回戦からずっと接戦をしていたのでチーム全体の集中力があったから連打につながったんだと思います。

――7回には好機をつなぐ打撃が光りましたが、今大会はどのような意識で打席に立っていらっしゃいましたか

とにかく一球に集中すること、来た球をその一球だけに集中して打つことを意識していて、吉村監督にも「鷹の目になってボールを見ろ」と言われていたので来る球それだけに集中することを心掛けて打席に立っていました。

――今大会は4年生の気迫が感じられる場面が多くありました

自分自身、次の全日本大学選手権(インカレ)で競技としてのソフトボールを終えようと思っているので、悔いのないようにやりたいということと、試合に出ている4年生は4人でベンチにいる4年生も4人で、皆で1年間チームを運営してきたのでベンチにいる4年生のためにという気持ちは持って試合に出るようにしていました。

――チームの粘り強さが感じられる大会でした

チーム皆で一球に集中するということをテーマに掲げて東日本を戦ってきて、その結果こうして接戦をものにできるようになったんだと思います。

――インカレまでに打撃をどう調整していくべきだと思いますか

とにかく自分自身はどんなピッチャーが来てもバントを決められる技術を身に付けてまたその精度を高めていくことと、2ストライクまで追い込まれても芯に当てて野手の間を抜くようなバッティングができるように、インカレまで時間は少ないですけれどもそこを徹底していきたいと思います。

――インカレを目前に控えたいまのチームの雰囲気はいかがですか

毎年そうなんですがすごく仲が良くて、皆で集まって何かやる時はすごく盛り上がりますし、雰囲気は良いです。このチームで戦う最後のインカレが近づいてくるともっと団結力が高まってくるのでその団結力を生かしてチーム力を高めていきたいと思います。

――インカレに向けて意気込みをお願いします

自分の仕事は出塁して溝口(聖主将、人4=長崎・佐世保西)と(大嶋)翼(スポ4=群馬・新島学園)に回すことそれだけだと思うので、どんな形でもいいので塁に出ることだけを意識してやっていきたいなと思います。

松木俊皓(スポ3=宮崎・日向)

――五回途中2失点という結果をどのように捉えていますか

調子が悪い中ドロップをうまく使って押し切れたので、もっと自分に自信を持つことが大事かなと思いました。

――味方が逆転した直後に失点を許しましたが

相手に外のドロップを張られているというのはわかっていたのですが、それを押し切ってやっていたのが打たれてしまったので、配球を回によって変えるのが大事かなと思います。

――きのうの試合後どのような調整を行いましたか

自分が(調子が)良かった時のピッチングフォームのビデオを見て、朝の練習の時にフォームをチェックしてやってみたのですがあまり変わらずこの東日本(大学選手権)の本戦に挑んでしまいました。でも調子が悪い中のピッチングもあって常に調子がいいわけではなくて、調子が悪くてもいいピッチングをできるのがエースだと思うので、きょう2失点しましたけど調子が悪かったら1失点以内に抑えて、あとはバッターに任せて勝てるようなピッチングをしたいです。

――今大会全体のピッチングをふりかえっていかがですか

要所要所で自分たちが点を取った後に点を取られるというのが多くて、その点を取った後の回をしっかりと抑えないと流れを持って来られないので、そこが今回のピッチングの課題かなと思います。

――3位という結果についてはいかがですか

インカレ(全日本大学選手権)で勝つためにはここで優勝しておかないといけなくて、また国士舘大と当たるので満足はしていません。

――インカレに向けて修正点はありますか

自分はコントロールです。コントロールと1試合投げ切るスタミナが足りないところだと思います。走ったり投げ込んだりして残り3週間でインカレに臨みたいです。