前田の適時打で一時勝ち越しも逃げ切れず 1回戦は引き分けに終わる/法大1回戦

野球

東京六大学秋季リーグ戦 9月28日 神宮球場

TEAM
早 大
法 大
(早)伊藤樹、田和-印出
◇(二塁打)石郷岡、前田 (三塁打)なし (本塁打)なし

※弊会ホームページの都合上、本来「つちよし」ですが吉安選手と表記させていただきます。大変申し訳ございません。

 開幕カードで東大に2連勝し、勝ち点を得た早大。この日は前カードで立大との熱戦を繰り広げ、4回戦に延長13回サヨナラ勝ちを果たし勢いに乗る法大と対戦した。初回、先発の伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)は、2本の安打と四死球が絡み、2点を失う。しかし3回、四球で出塁した尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)が吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)の適時打で生還し1点を返す。さらに5回には、尾瀬が犠飛を放ち2-2の同点とする。続く6回、前田健伸(商3=大阪桐蔭)の適時二塁打で勝ち越しに成功。しかし7回に同点打を浴び、試合は3-3の引き分けとなった。

 両校の先発は、伊藤樹と篠木健太郎(4年)。どちらもリーグを代表する好投手であるため、試合開始前には投手戦が予想されたものの初回から試合が動いた。初回、1番・尾瀬が左前安打で出塁すると、2番・山縣秀(商4=東京・早大学院)は初球をきっちり転がして犠打を成功。吉納副将は空振り三振に倒れるも、2死二塁で印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)がコンパクトに左前へはじき返す。この間に、二塁走者の尾瀬は、三塁ベースコーチが腕を回すのを見て本塁生還を狙うも、左翼手からの好返球でタッチアウト。先制とはならなかったものの、初回から2本の安打を放ち打線の好調さをうかがわせる攻撃となった。

初回に安打を放った印出主将

 しかしその裏、先発の伊藤樹は1番・石黒和弥(3年)、3番・中津大和(4年)に安打を浴びると、4番・内海壮太(4年)に対して四球を与え、1死満塁のピンチを招く。続く5番・姫木陸斗(4年)には、2ストライクと追い込んだが押し出しとなる死球を与えてしまい1点を先制される。さらに6番・松下歩叶(3年)に犠飛を放たれ2点を失った。だが伊藤樹はこれ以降6回まで直球と変化球を丁寧に投げ込み、被安打はわずか1本、無失点とテンポよく打者を打ち取る投球を披露した。

先発の伊藤樹

 2点のビハインドを追いかけて打線の反撃が始まったのは3回だった。1死から尾瀬が四球で出塁すると、山縣は1打席目と同様に犠打を成功。2死二塁、得点圏に走者を置いて打席に入るのは、東大戦で3本の本塁打を放った吉納副将。初球を捉えると、鋭い当たりが一、二塁間を破り右前適時安打。尾瀬が生還し1-2とした。5回、同点に追いつきたい早大は、先頭の石郷岡大成(社3=東京・早実)が逆方向へはじき返し、左翼線への二塁打で出塁する。続く打者は好投が続いている9番・伊藤樹。ここでベンチは犠打ではなくヒッティングで走者を進めることを選択し、バントの構えは見せない。追い込まれながらも叩きつけた一ゴロは貴重な進塁打となった。1死三塁から尾瀬が右翼手へ放った打球は、飛距離十分の右犠飛に。この回2-2の同点とし、試合を振り出しに戻した。

3回に適時打を放った吉納副将

 グラウンド整備後の6回、クリーンアップから始まる早大の攻撃は先頭の吉納副将が四球で出塁する。続く印出主将の遊ゴロで一塁走者が入れ替わり1死一塁に。ここで打席に迎えるのは直前の打席で左中間へ鋭い打球を放っている前田。フルカウントからの7球目を引っ張ると、鋭いライナーが一塁手の頭上を襲い、打球は右翼フェンスへ。投球と同時にスタートを切っていた一塁走者の印出主将が一気に本塁へ生還し、ついに勝ち越しに成功した。さらに続く好機をものにしたかったものの、小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)は二ゴロ、梅村大和(教4=東京・早実)は空振り三振に倒れ、1点を勝ち越して3-2で6回を終えた。

勝ち越しの適時打を放った前田

 このまま逃げ切りたい早大は7回、伊藤樹は先頭打者に安打を許すと、続く打者に犠打を成功され、1死二塁と初回以来の安打で得点圏に走者を背負う。ここで法大ベンチが動く。9番中西祐樹(2年)に代わって、代打に法大主将・吉安遼哉(4年)。エースと主将の意地のぶつかり合いとなったこの対決は、1ボール2ストライクからの5球目、高めに浮いた球を捉えられると、打球は左翼手後方へ伸びていく。左翼手・石郷岡が追いついたかと思われたが、打球はグラブをはじき、適時二塁打となり同点に追いつかれた。

 勝ち越したい早大であったが、法大のリリーフエース・安達壮汰(4年)に8、9回とテンポよく打ち取られる。この日はプロ併用日の9回制であるため、9回表を終えた時点で勝利はなくなってしまった。その裏、マウンドに上がったのは、今季ケガから復帰を果たした田和廉(教3=東京・早実)。1死から吉安に二塁打を許すと一打サヨナラのピンチを背負う。サヨナラ負けは、明日以降に悪い影響を招きかねないため、絶対に許されない。そんな張りつめた空気の中、田和は打者二人を2つの外野フライに打ち取り、引き分けで試合を締めた。

9回に登板した田和

 2点差を逆転するも、逃げ切れず引き分けに終わったこの試合。何とか勝ち越したい場面であったが安達に対して、テンポの良い投球を前に打たされてしまうような攻撃が続いた。早大ナインの目標である日本一に向け、このカードでも勝ち点を獲得したいところ。次戦以降、野手陣、投手陣ともに、より一層奮起することを期待したい。

(記事 石渡太智、写真 沼澤泰平)

◆コメント

前田健伸(商3=大阪桐蔭)

ーー今日の試合を振り返って

 勝っていた試合だったので、負けなかったことに関しては良かったですが、勝ち切れず少し反省点もある試合でした。

ーー自身の勝ち越しタイムリーを振り返っていかがですか

 ツースリーだったので、ストライクで勝負してくると思ったので、それを1球で仕留められたので良かったです。

ーー昨季の法大1回戦でもタイムリーを放ちましたが、篠木健太郎選手(4年)への印象はいかがですか

 真っ直ぐが強いので振り遅れないように準備することを意識しています。真っ直ぐを打ち崩せれば、点が取れるのかなと思っています。

ーー明日への意気込みをお願いします

 負けたわけではないので、明日から2連勝して勝ち点を挙げられるように頑張りたいなと思います。