3得点も最後までリードを守れず 首位東洋大との直接対決は痛み分けに

ア式蹴球女子
試合結果

関東大学女子サッカーリーグ 第10節

6月15日 東伏見サッカーグラウンド

試合結果

チーム 前半 後半 合計
早大 2 1 3
東洋大 2 1 3
   

得点者

前半

3分 宗形みなみ

18分 千葉梨々花

27分 相手

42分 相手

後半

78分 福岡結

84分 相手

 関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)、前節日大に0-1で敗れたア式蹴球部女子(ア女)は、今節ホームで(首位)東洋大との一戦に臨んだ。開始直後にMF宗形みなみ(スポ3=マイナビ仙台レディースユース)が先制点を挙げる。16分には、FW千葉梨々花(スポ2=東京・十文字)が、セットプレーから追加点を決める。しかし、前半のうちに相手に2点を返され同点に追いつかれる。78分には、MF福岡結(スポ1=岡山・作陽)がゴールを決めて勝ち越したが、後半終了間近に失点を許してしまう。追いつかれたア女は引き分けで試合を終えた。

先制点を喜ぶ選手たち

 開始早々に試合は動いた。3分、左サイドからドリブルで抜け出した宗形が相手ディフェンダーを交わして右足でシュートを打ち、先制点を決める。「ゴール前で足を振るところも普段の練習から意識してたので、 狙って決めた」と宗形。自身の関カレ今季初ゴールとなった。16分にはコーナーキックを獲得。キッカーMF大山愛笑(スポ2=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)の高く上げたクロスを、DF佐溝愛唯(社1=大阪・大商学園)が足で合わせると、ゴール前で千葉が頭で押し込み、追加点を挙げた。しかし、その後は、相手にペースを握られる時間が続いた。すると27分、左サイドからのクロスに相手が合わせ、失点を許す。更に42分、右サイドからのパスに反応した相手FWのシュートを、GK石田心菜(スポ4=大阪学芸)が、後ろに逸らし痛恨の失点。同点に追いつかれ、試合を折り返す。

ドリブルで前進する宗形

 攻撃の糸口をつかみたいア女は、ハーフタイムにFW生田七彩(スポ3=岡山・作陽)を投入。しかし後半は、素早いパス回しでボールを運ぶ東洋大が、ボールを保持する時間が長く続いた。それでも、福岡が再三相手のパスをカットし、ショートカウンターでゴールへと迫る。また、積極的にシュートを打ってくる相手に対しては、石田が安定的なセーブを見せて失点を防いだ。相手の攻撃に耐える時間帯が続いたが、78分、相手のパスをカットした福岡が中央をドリブルで突破し生田にパスを出す。生田がシュートを打つと相手DFに当たり跳ね返ったボールを福岡が拾い再びシュート。これが相手キーパーの頭上を超えてゴールへと突き刺さり、勝ち越し点を決める。しかし、85分、相手右サイドからあがったクロスに頭で合わせられ失点。再び追いつかれる。直後には、右サイドでボールを受けた生田がドリブルで駆け上がり、グラウンダーのクロスを送るが、FW﨑岡由真(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)と惜しくもタイミングが合わず得点には繋がらない。残り時間も限られる中果敢にゴールを狙うが、ネットを揺らすことはできず、東洋大と勝ち点を分け合うこととなった。

右CBでスタメン出場したDF杉山遥菜(スポ2=東京・十文字)

 リーグ戦首位奪還のためにも負けられない一戦だった。前節初黒星を喫したア女は、リーグ随一の得点力を誇る相手との対戦に向け、入念な準備に取り組んできた。全員で意識して入ったという立ち上がりは、宗形の良い形での抜け出しからの先制点と、ア女が得意とするセットプレーからの追加点で立て続けに得点を奪った。しかし、パスサッカーで陣内へ運んでくる相手からボールを奪いきれず、守備の時間が長くなってしまった。次戦山学大戦に向けて、後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)は「前期自分たちの課題としても積み重ねてきた部分をしっかりと発揮しながら、もう少し攻撃の部分で自分たちのサッカーをしたい」と前を向いた。リーグ戦は通過点であり、チームが目指すのは日本一。前期最後の試合、そしてその先の大きな目標に向かって、ア女はチーム全員で歩みを進めていく。

(記事 勝野優子、写真 荒川聡吾)

スターティングメンバー

早大メンバー(数字は背番号、◎はキャプテン
GK 石田心菜(スポ4=大阪学芸)
DF 3 杉山遥菜(スポ2=東京・十文字)
DF 5 ◎ 田頭花菜(スポ4=東京・十文字)
DF 28 佐溝愛唯(社1=大阪・大商学園)
→78分、木南花菜(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉マリ)
MF 2 新井みゆき(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)
MF 11 宗形みなみ(スポ3=マイナビ仙台レディースユース)
MF 14 大山愛笑(スポ2=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)
MF 24 三宅万尋(スポ1=東京・十文字)
→46分、生田七彩(スポ3=岡山・作陽)
MF 27 福岡結(スポ1=岡山・作陽)
FW 7 﨑岡由真(スポ2=埼玉・浦和レッズレディースユース)
FW 15 千葉梨々花(スポ2=東京・十文字)
→87分、米村歩夏(スポ1=宮城・聖和)
→92分、望月美希(スポ1=INAC東京レオンチーナ)

試合後インタビュー
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

ーー前節関カレ初黒星となりましたが、そこから今節に向けてチームとしてどのようなことを準備してきましたか
 日大戦が自分たちで崩れてしまった部分が大いにあったので。本当にこの1週間、東洋相手にどういう風に戦うかというところをしっかり全員で準備してと過ごした中での試合でした。

ーー前半に2点先取したしましたが、チームとしてどういったところを立ち上がりに意識していましたか
 みなみが良い形で抜け出してスリーバックのどこを狙うのかというところをしっかり体現してくれた1点だったと思ってます。2点目はセットプレー。相手は身長が高いメンバーがいるんですけど、うちはキッカーがボールをしっかり上げてくれるので、そこはあの中で競り合って。本当にこの2点は準備してきたところをしっかりと体現できた2点だと思います。

ーー2点取った後は前後半通じて相手にボールを保持される時間が長く続きましたが、そこはチームとして想定していたことだったのでしょうか
 想定してるところですね。東洋に関しては本当にボールの置き方、運び方が非常にうまい チームなので狙いどころをしっかり定めて。ただ、その奪いきれていないところが相手の保持の時間を長くしてしまった部分があります。前半のところはあと1本プレスバックして奪うのか、 ワイドを出すのか、自分が出るのか、その辺の準備してきてる部分ではあったんですけど、奪いきれないところで前半はかなり消耗がきつかったです。あとは奪った後にどうしても1回前につけられたら、つけれてから下げるのであれば楽だと思いますが、 奪った後にどうしてもキーパーまで下げたのにプレスがかかってま五分五分のボールになるという部分が続くと非保持の時間が増えてしまうかなと。ある程度守備の時間が長いというのは全員が共通して想定してたと思います。

ーー2点先取して追いつかれ、後半に勝ち越してまた追いつかれるという展開が続きました。試合の運び方という点ではどのような課題がありますか
 失点のシーンを考えても、最後のゴール前の1個2個前のプレーで決定的なミスをしてしまってるところだったり、そこはボールを保持してるところの改善をしないと。後ろのメンバーは体張って守るとは思いますが、奪われ方があまりにも悪いと守りきれない。東洋の得点力というのはリーグの中で1番点取っているので、やはりそのボールの保持の部分というところをチームとして改善しないと、 ああいった失点を生み出してしまうかなと。試合運びという点では、正直うちは層が厚いわけではないので。競争はしてくれてはいるんですけど、層が厚いチームではないので。フィジカル的にもここが上がっていかないと、90分戦うのが大前提っていうのもなかなか厳しいと思いますがチーム全体として層を高められるように上げていかないと、こういう試合では逃げ切ることは難しくなってくる。

ーー次戦、山学大との一戦に向けた意気込みをお願いします
 またプレースタイルの違うチームに築地(MF築地育、スポ4=静岡・常葉大橘)と白井(MF白井美羽、スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が戻ってきた中で、どこまでコンディションが戻るか分からないので、もしかするとまだ出られないかもしれないですけれど、前期最後の試合にこれまで積み重ねてきたところしっかりと出す。特に前に早い3枚がいるチームなので、前期自分たちの課題としても積み重ねてきた部分をしっかりと発揮しながら、もう少し攻撃の部分で自分たちのサッカーをしたいなと思います。


MF宗形みなみ(スポ3=マイナビ仙台レディースユース)

ーー試合全体を振り返っていかがですか
 試合全体ではボールを持たれる時間が多くて、 自分たちも想定してはいたんですけど、自分たちの時間帯は少なかったのかなと。

ーー前節の初黒星からチームとしてどういったことを1週間意識して今日の試合に臨みましたか
 やっぱり負けたという事実は変わらないですし、首位というのもわかってた中で、勝たなきゃいけない試合、引き分けではダメな試合というのもわかっていた中でダメな試合だったので。特徴的にも繋いでくるという他の大学にないタイプのチームだったので、そこに対しては入念に準備はしてきたんですけど、1対1のところで組織としては理解していても、やっぱ個人のところでやられてしまったと感じます。

ーー開始早々に2点先取できましたけど、そこはチームとしてどういった狙いがありましたか
 東洋さんは結構つなぐというのもあって、入りというのはあまり強くない印象だったので、入りのところは全員で意識して入りましたし、 前に強く来るセンターバックだったので、背後のところは2列目から抜け出すっていうのもずっと意識していました。

ーーご自身の得点シーンを振り返ってください
 3年生でまだ関カレで得点を決めたことがなくて、今季初得点という形で東洋戦で決められたのが良かったです。センターバックが釣ってくれた分、あそこへの抜け出しというのはすごく自分自身でも意識してましたし、ゴール前で足を振るところも普段の練習から意識してたので、 強いシュートというよりかは、狙って決めたという感じです。

ーー2点先取した中で追いつかれ、勝ち越してからも追いつかれるという展開でした。失点のところでは、チームとしてどのような課題があったと感じますか
 自分たちのミスとか少しのズレっていうところから全部失点に繋がっているなというのも 話して、それを1点で防げなかったところが自分たちの課題ですし、そこで2点目、3点目も自分たちのミスから同じような奪われ方をして相手に自由に攻撃させてしまったのが1番の課題。自分たちで試合中にハーフタイムとかではなく、試合中に立て直すことができなかったのが課題だなと。

ーー次戦に向けて意気込みをお願いします
 前期1位という目標を掲げている以上、落とすことはできない試合ですし、また東洋さんとは違うタイプの相手になるので、自分たち1人1人のレベルアップはもちろんのこと組織としても1個上に行けるように頑張ります。


MF福岡結(スポ1=岡山・作陽)
ーー今日の試合を振り返っていかがですか
 入りは先制できて良い入りができたんですけど、流れが悪くなってしまって結果3-3になって。耐えれたところは耐えれたんですけど、もう1個勝ちきりたかったなと思います。

ーーシーズン初めはサイドでの出場が多かったですが、最近は中盤のポジションでの試合出場が多くなっています。プレーする時に、何か意識していることはありますか
 サイドの時は、180度しか見なくて良いんですけど、やっぱり中盤になったら360度いろんなポジションの人と関わらなければいけないので、見ることを増やすことは意識するようにしています。

ーー前半ボール受けれなかったような印象ですが、後半に向けてハーフタイムとかに何か変えようとか意識されましたか
 自分のポジショニングっていうのを、もうちょっと下がってボールを受けれるように、あとは愛笑さんとかのポジションを見て、空いたスペースに出せるように頑張りました。

ーー先週初黒星となってから、今週はどんな準備をされてきましたか
 やっぱり1番は勝ちたい、東洋は首位なので、そこは首位を奪還したいという思いでやっていました。

ーー今日の自身の得点シーンを振り返っていかがですか
 2-2の状況で、やっぱり勝ちたかったので、自分が点を取りたいとは思っていて、そこで七彩さんと一緒にゴール前に攻め入って、結果的にはこぼれてきたボールだったんですけど、点を決めれてよかったなと思います。

ーーア女に入部して東洋大学と対戦するのは初めてでした。今までの相手の中で1番強かったと思いますが、どういった印象を受けましたか
 相手がすごくパスサッカーなので、そこで守備の時にプレスに行くタイミングが難しくて、運動量もすごく多かったので、やっぱり強かったです。

ーー次戦に向けて意気込みをお願いします
 次戦は山学大戦なので、キャプテンが言ってたんですけど、もちろんリーグで首位に立ちたいとは思っているけど、日本一を目指している中で、リーグは通過点であって、その中で自分たちでもちろん勝ちに行くけど、日本一になるための試合にして行きたいなと思っています。