圧倒的な強さで完全優勝!全日本に向けて好発進

自動車

 全関東学生ジムカーナ選手権(全関東ジムカーナ)から約1カ月、栃木・つくるまサーキット那須で全関東学生ダートトライアル選手権(全関東ダート)が開催された。早大自動車部からは最上佳樹(社4=東京・攻玉社)、石山萌乃(文構3=神奈川・日女大付)、小林眞緒(創理3=福岡雙葉)、安達悠人(社2=早稲田渋谷シンガポール)、大矢根洋(文2=東京・和光)の5名が出場。早大は1本目から安定した強さで男女ともに団体・個人で首位につける。2本目では他を寄せつけない走りで、見事完全優勝を果たした。

個人優勝を果たした最上

 大会前日に行われた練習会で、女子の試合車輌として使用予定だった早稲田大学スターレット(82)にトラブルが発生。82の整備を進めながらも、東京に戻り、部室でミラージュを大会用に整備した。その日の夜には東京を出発し、会場までミラージュを運んだ。当日、82は出走ならず、女子はミラージュで大会制覇に向けて走り出すこととなった。

ミラージュで走行する石山

 青空が広がり、気温が高くなる中行われた1本目。女子の第1走者は、ダートトライアルでのミラージュ初乗車となった石山。「動画を見て、分かる限りの車の特徴を見ることしかできなかった」と語ったが、1分40秒856を記録し女子2位の位置につけた。第2走者は小林。小林が最後にミラージュに乗車したのは約2カ月前。「自分らしい走りはできなかった」と振り返ったが、他大の選手に10秒以上の差をつけ、女子トップのタイムを記録した。男子の第1走者は、ダートトライアル初出場の安達。「他大の第2走者、第3走者の選手よりも速いタイムを出す」と意気込み、その言葉通りの走りを見せ男子5位の記録を出した。第2走者の大矢根は、「1本目のタイムで団体の優勝を決めておきたい」と攻めの姿勢で走り、暫定トップの1分25秒303をマーク。第3走者は昨年、全関東ダート個人優勝を果たした最上。スタートで小さなミスがあったものの、安定した走りを見せ、1分23秒170をマークした。全選手が1本目の走行を終え、男女ともに個人・団体首位で折り返した。

ダートトライアル初出場となった安達

 午後から天候が崩れ各大学の戦略が変わるかと思われたが、早大の優勝を後押しするように晴れ間が続いた。女子・第1走者の石山は、1本目の走りを活かして着実にタイムを更新。女子団体優勝を大きく手繰り寄せた。第2走者・小林は序盤、1分30秒をきるのではないかというハイペースで走行。しかし、コース終盤に惜しくもスピン。タイム更新とはならなったが、1本目のタイムで見事個人優勝を決めた。男子の第1走者・安達は昼にコースを歩いた際、見つかった課題を意識しながらスタートした。中盤でミスが出てしまいタイムアップは叶わなかったが、その後は落ち着いて走り切った。第2走者・大矢根は冷静ながらも果敢な走りで1分22秒274をマークし、暫定トップに躍り出た。他大の全選手が走行を終え、今大会最終走者となった最上の走りを前に男子は団体優勝を決めた。残された男子個人優勝の栄光を手にするのは大矢根か、最上か。早大の2選手による高レベルな争いの中、勝利したのはエース・最上だった。落ち着いた走りで今大会トップの記録を叩き出し、抜群の勝負強さを示した。この結果、早大が全部門での優勝を決めた。

女子トップのタイムを出した小林

 今大会、男女での完全優勝を成し遂げた早大。前日、車輌トラブルに見舞われた中、頂点に立ったことは選手、車輌整備の部員たちのとてつもない努力と、レベルの高さが伺えた。7月末には全日本学生ダートトライアル選手権(全日本ダート)が開催される。全国から強豪が集結する全日本ダートでも、早大の総合力の高さが遺憾なく発揮されることだろう。今後も早大自動車部から目が離せない。

土けむりを上げながら走行する大矢根

完全優勝を果たした早大自動車部とOBの方々

(記事、写真 堀内まさみ)

結果

▽男子団体の部

優勝 早大

▽男子個人の部

優勝 最上 1分21秒770(2本目)

2位 大矢根 1分22秒274(2本目)

9位 安達 1分26秒653(1本目)

▽女子団体の部

優勝 早大

▽女子個人の部

優勝 小林 1分31秒962(1本目)

3位 石山 1分35秒406(2本目)

コメント

神林崇亮主将(人4=埼玉・早大本庄)

――前日の車輌トラブルはどういうものでしたか

 女子用車輌の調子が少し悪くなってしまい、大会に出られないような状況になってしまったところがありました。また男子の車輌がタイヤを当ててしまい、車輌の破損があり、部品の交換をして走れる状態にはなったということがありました。大きなトラブルはその2つくらいです。

――当日、車輌の状態は万全ではなかったということですか

 男子の車両で言えば万全な状態ではなかったと思いますが、走る分には問題はない状態にはなっていました。

――前日の夜に部室に戻られたのですか

 前日に82が出走できるか怪しいところで、動けるのだったら82で走った方が絶対にいいので、82の整備を進めながらも前日練習の走行が終わった段階で、部室にミラージュを取りに行きました。ただ、ミラージュが試合に出られる状態ではなかったので、試合のルールに適応した車に部室で直してから前日の夜に出発して、会場に戻ってきました。

――1本目が終了した時点で男女ともに個人・団体首位でしたが、どのように捉えていましたか

 前日の段階だと選手の走りには不安はありませんでしたが、車輌に関して不安が残るところがありました。1本目が終わってみたら、選手たちがいい走りをしてくれて、油断してはいけないですが、勝てそうだなと個人的には思っていました。またミラージュが無事に車検を通って走ることができたので、少し安心したところもありました。ただ、午後の2本目にかけてくる大学もいるだろうとは思っていたので、まだ安心しきれないという思いもありました。

――完全優勝できたいちばん大きな要因はなんだと考えていますか

 選手が速くないとタイムを残して優勝することはできないので、選手の実力が十分に確保できていた点は、選手が頑張った分と部活として大会前の練習の時間や内容を濃くすることができていたことがあると思います。それと選手以外の人の動き方、サポートする人が自分たちにできることが何だろう、とそれぞれが考えて良いチームになることができたのも大きかったかなと思います。

――全日本学生ダートトライアル選手権(全日本ダート)の目標をお願いします

 昨年は広島で開催され、ある意味アウェイな中で勝つことができました。今年はホームコースのような場所で勝負するので、絶対に勝たなければいけないと思います。そこに向けてしっかりと自分たちの中でできる準備、今大会の反省なども踏まえてどこが弱いのか、強みがどこなのかということを振り返って万全な状態で挑むことができるようにしたいです。

最上佳樹(社4=東京・攻玉社)

――1本目を振り返っていかがでしたか

 スタートで少しミスをしてしまいましたが、その後これまでの練習で通った通り方をして、2番手を2秒強離すことができ1本目にしては比較的うまくいけたかなと思っています。昨年よりは、1本目にしてはうまく走れたかなというのが正直なところです。

――昼にコースを歩かれた際、何を確認されていましたか

 路面がどのような状況になっているか確認して、そのうえで車の目線のような感じで、この路面を走れば速くなるかなということを考えました。また、一緒に歩いている人から、どう考えて走っていたか、どう考えた方がいいかなどを相談しました。

――2本目は何を意識されましたか

 (午後から)雨が降る予報でしたがほとんど降らず、午前と比べて路面が良くなっている状況で、(午前と)同じように走っても勝手にタイムが上がることは考え、そんなに意識しなくても自然とタイムが上がり、抜けるだろうと思っていました。無理をして何秒上げないと団体で負けるとかもなく、団体優勝は決まっていて、路面も良くなっているので深いことは考えずにとりあえず帰って来られれば、と考えていました。

――全日本ダートに向けての目標をお願いします

 ダートトライアルは後に走ることができれば基本的に有利なので、勝ちたいときに他大に負けないことも当然だし、まずそのためには0.5秒差まで来た後輩に負けない、部の中で第3走者、最終出走という枠を死守することを頑張りたいです。そこで負けてしまうと不利な状態になってしまうので、自分個人としてはそこで負けないように頑張るというところです。車としては今以上に壊れない、車のトラブルで出走できなくなるということがないようにして続けていければ全日本(ダート)に行っても同じように勝てるんじゃないかと考えています。

石山萌乃(文構3=神奈川・日女大付)

――車輌変更の影響はありましたか

 私は今回急遽乗ることになったミラージュという車輌にダートトライアルで1度も乗ったことがなく、昨日の1本目がミラージュの1本目だったので、結構どきどきしていました。前日にミラージュに乗っている人の動画を見て分かる限りの車の特徴を見ることしかできませんでしたが、ミラージュに乗ったことがある人と慣熟歩行を一緒にしていただきました。思いのほかミラージュは扱いやすいという評判の車で、実際自分もそんなに大コケすることなく、踏めないところもありましたがタイムは残すことができたので、怖かったですが、1本目はぎりぎり結果オーライという感じでした。

――2本目にタイムアップできた要因は何ですか

 1本目を走った後の時点でここはもうちょっといけたな、というところがありました。詳しく話すとミラージュはギアの2速と3速の幅が狭くて、2速に入れてわりとすぐ3速に入れないといけない車で、ずっと練習していた82は2速が長かったので、3速にいっぱいに入れることはありませんでした。ミラージュは2速に入れたり3速に入れたり、速度が上がったら3速、落ちてきたら2速と繰り返しやらなければいけない車で、そういう練習をしてこなかったので、1本目のときはそんなにできませんでした。2本目はここで絶対3速に入れるということを決めてやったので、安心して踏めたというのが大きな要因です。でも本当は10秒アップを狙っていたので、5秒アップしたことはよかったですが、もっと上がれたなという感じです。

――全日本ダートの目標をお願いします

 優勝しかないですね。全日本ダートまで練習機会があまりないので、今まで以上に練習の密度を濃くして、きちんと向き合い、分析して勝てるようにしたいなと思います。

小林眞緒(創理3=福岡雙葉)

――ご自身の走りに車輌変更の影響はありましたか

 1本目は結構ありました。2カ月前くらいに(ミラージュを)使って走ったことがありましたが、2カ月の間で自分の走り方を変えていたので、車輌が変わるとどうなのかなと考えていました。2カ月前にミラージュで走ったときは結構危ない走りをして、自分の中でトラウマもあったので、また危ない目にあって横転してしまって迷惑をかけてしまったらどうしようかなと思って、あまり自分らしい走りはできなかったかなと思います。

――1本目は、満足いく走行ではなかったということですか

 全然満足いってないですね。めちゃくちゃ遅いと思いました。操作の面でも慣れてないところがあって、自分がこうしたいなと思うことができなかったところが大きく3カ所くらいあり、もうちょっとタイム伸ばせるなと自分で思ったところが4カ所ありました。そこをつぶせば確実にもっと速くなるだろう、だいたい4秒は上がるなと分かっていました。自分の目安がいつも、男子1位の記録プラス6秒くらいで帰ってこられたらいい方なのかなと思いながら走っています。今回1本目を走った時点で(男子1位の記録)プラス7秒くらいで、絶対に後半タイムアップしてくるので自分もタイムアップしないと嫌だなと思っていました。1本目走ったときにこういう感じかなというのは探れて、自分で伸びしろがまだあるからタイムアップできるな、と可能性が見えたということはよかったのかなと思います。

――2本目は何を意識して臨まれましたか

 操作ミスの1カ所と、伸びる可能性があるところの3カ所をとりあえずつぶそうと思い、前半はうまくいきましたが、後半はもうちょっと稼ごうと思い欲張ったら失敗してしまいました。その瞬間はとても悔しかったですね。

――全日本ダートの目標をお願いします

 (男子の)トッププラス6秒は具体的な指標にしておいて、昨年全日本ダートが終わったあとの取材で目標として、全関東ダートと全日本ダートで優勝したいと言いました。だから優勝したいです。

安達悠人(社2=早稲田渋谷シンガポール)

――1本目は振り返っていかがでしたか

 僕は第1走者ということで、役割として他大の第2走者、第3走者の選手よりも速いタイムを出して威嚇するということを考えて走りました。実際他大の選手と比べて2、3秒くらい速いタイムを出すことができ、1本目は自分のポジションに必要とされることは果たすことができたのかなと思います。

――2本目は何を意識されましたか

 2本目は1本目と比べて路面がかなり流動的に変化するので、1本目と同じ走りをしようと思ってもうまくいかないことが多いです。昼にコースの中を歩きOBやコーチの方と話して、ここに気をつけようというところが1カ所見つかったので、そこをとにかく外さないようにということを意識して走りました。

――初のダートトライアルの大会を終えて、率直な感想を教えてください

 とても緊張しました。部の名前を背負って走ることになるので、下手な走りはできないなというところでプレッシャーが大きくて、いつも通りの走りができるかなとすごく不安でした。

――いつも通りの走りはできましたか

 1本目は何とかできましたが、2本目でミスをしてしまい、それがとても心残りです。

――全日本ダートの目標や意気込みをお願いします

 今大会では1本目でいいタイムを残すことができましたが、2本目では1本目の失敗を分かっていたにも関わらず、同じような失敗を繰り返してタイムを落としてしまいました。全日本ダートでは堅実なタイムアップを狙えるように、自分の慣熟の方法を見直して、少しでも分からないところがあったら先輩方に伺ったり、OBの方に教えていただいたりして情報量で勝負できるようになればいいなと考えています。

大矢根洋(文2=東京・和光)

――1本目はどんなことを意識されていましたか

 できれば1本目のタイムで団体の優勝を決めておきたくて、その意味では前日練習から速いことが分かっていた慶大や中大のタイムは上回っておきたいということは考えていました。

――2本目にタイムアップできた要因は何ですか

 1本目で少し責めすぎたところを抑えたら、2本目は絶対にタイムが上がることは分かっていて、そのうえで路面が有利になっているので自然と上がってくれると信じて走りました。

――今大会の率直な感想をお願いします

 団体の結果としてはすごく良くて満足しているし、チームのサポートもすごく充実していて、他大との差を見ると準備してきた当然の結果を出せたのかなと感じます。ただ全日本ダートに向けて、今回エースの最上先輩には負けてしまっているし、中大のエースの選手に僅差で詰められているので、もう少し自分自身のタイムを上げることを練習していきたいです。

――2本目の走りがキレキレに見えましたが、気持ちがこもっていましたか

 絶対に踏んでいい場所と絶対に抑える場所を研究したので、意外とそこは冷静にやっていました。むしろ1本目の方が中ではわちゃわちゃしていました。

――今回の走りに点数をつけるとしたら何点くらいですか

 タイムが出た2本目の方だと、タイムは上がりましたが、2カ所ミスしたので自分の中では80点くらいですね。分かりやすいミスだったので、そこが改善できればという思いが強くありますね。

――全日本ダートの目標をお願いします

 目標は個人で負けてしまった先輩にも勝ちたいですし、僅差でつけられていた選手には大差をつけて安心できるようにやりたいです。

――打倒最上さんですか

 打倒最上さん…です(笑)。