今年度最後のスピード競技となる全日本学生ジムカーナ選手権(全日本ジムカーナ)が、今年も聖地・鈴鹿サーキットにて行われた。男子の部では出走した3選手がミスなく走り切り、団体3位入賞と健闘。特に昨年の全日本ジムカーナにも出場した綠川壹丸(基幹3=東京・早実)が個人5位入賞を果たし、早大の団体記録をけん引した。女子の部に出場した城越明日香(商4=福井・藤島)は今大会でも圧倒的なタイムで個人優勝を勝ち取った。
第1走者は川上優主将(商4=徳島市立)。5月の全関東学生ジムカーナ選手権(全関東ジムカーナ)ではミスコースで悔しい思いを味わったが、この日は1本目で狙い通りの安定したタイムを記録し2本目は約2秒タイムアップ。試合後「最後そつなくというのは僕らしい」と語り、大学最後の公式戦レースを締めくくった。第2走者は綠川。1本目から攻めの走行で好タイムを狙う綠川だったが、コース終盤で痛恨のパイロンタッチ。しかし2本目も臆せずに攻めスラロームやサイドターンを攻略。個人5位に入賞し「(全日本で)ようやく入賞することができました」と笑顔で喜びを表した。第3走者の鷹尾一成(先理3=神奈川・桐蔭学園中教校)は大きなミスこそなかったが、「攻略し切れなかった」とエースとして満足のいくタイムを残すことができず。3選手の合計タイムは4分15秒で団体3位となり、総合力の高さを見せつけた。
スラロームを抜けカーブにさしかかる綠川
女子の部には城越明日香(商4=福井・藤島)が出場。1本目こそサイドターンで失敗するが、2本目は苦手意識のあるシフトダウンをせずにターンをするという作戦を実行したという。その結果、約20秒のタイムアップに成功し大差で個人優勝を果たした。全日本学生ダートトライアル選手権(全日本ダート)に続き個人優勝を果たした城越は「真の全日本女王になる」と、最終戦となる全日本学生運転競技選手権(全日本フィギュア)での勝利を誓った。
コース終盤の360度ターンを攻略する城越
早大男子団体は8月の全日本ダートで4位、そして今大会では3位となり、全日本ダート、全日本ジムカーナ、全日本フィギュアの総合点で競う全日本学生自動車連盟年間総合杯(全日総合杯)の暫定順位は千葉工業大に続き現在2位。昨年の全日本フィギュアではエース鷹尾が個人優勝し、綠川も今春の全関東ジムカーナで個人優勝を決めているだけに、選手たちへ懸かる期待は大きい。最終戦で勝利を収め、11年ぶりの全日総合杯獲得へ――。悲願の瞬間は、確実に訪れようとしている。
(記事、写真 細井万里男)
綠川を中心に賞状やトロフィーを掲げる早大自動車部
結果
▽男子団体の部
3位 早大 4分15秒00
▽男子個人の部
5位 綠川 1分24秒029(2回目)
10位 鷹尾 1分24秒926(2回目)
17位 川上 1分26秒049(2回目)
▽女子個人の部
優勝 城越 1分29秒732(2回目)
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コメント
川上優主将(商4=徳島市立)
――きょうの自身の走行を振り返っていかがですか
4年目としては散々だったなとは思うんですけれど、結局最後そつなくというのは僕らしいなと思いました。
――今回の全日本ジムカーナに向けて目標や部全体で意識していたことなどはあるでしょうか
やっぱり優勝は目標にしていましたね。意識していたと言っても当たり前のことを当たり前のように、事故なくペナルティなく、車両もトラブルなく、これができなきゃいけないなという意気込みでやっていました。
――きょうの団体3位という結果についてはいかがでしょうか
主将なので、3位と言われたら惨敗ということで帰るしかないですね(笑)。
――11月の全日本学生運転競技選手権(全日本フィギュア)が主将として、また4年生として迎える最後の公式戦になると思います。最後に全日本フィギュアへの意気込みをお願いします
後輩たちが勝ってくれるでしょう。そのために環境を作っているはずなので。私は選手としては出られないのだけれど、大丈夫でしょう!後輩たちにはビシバシとやっていってもらいます(笑)。優勝します。
綠川壹丸(基幹3=東京・早実)
――1本目を振り返っていかがですか
鈴鹿は昨年も走っていて、コース中心のジムカーナで自分は結構コースが得意なので、1本目から飛ばしていこうという気持ちで走りました。天気予報でけさの時点では午後から雨が降るかもしれないという予報があったので、午前1本目からちゃんとしたタイムを残さないといけないなという気持ちがあって、最初から攻めて走りました。
――2本目はいかがでしたか
1本目で最後の方にパイロンタッチをしてしまっていい記録が残らなかったので、1本目のミスを修正してタイムが上がればいいかなと思って走りました。
――個人5位となりましたが、その結果についてはいかがですか
個人的に全日本の大会では今まで大体何かしらやらかしてしまっていい結果が出なかったのですが、ようやく入賞することができました。個人的にはうれしいですがこのままじゃダメで、まだまだ2年目なので、来年はちゃんと表彰台に、もしくは1位になれるように頑張らなきゃなと思います。
――総合杯獲得に向けて残すは全日本学生運転競技選手権(全日本フィギュア)のみとなりました。最後に、全日本フィギュアへの意気込みをお願いします
全日本フィギュアは去年も2年生ながら出場して、ペナルティで順位が落ちちゃったんですけれど、勝てる実力はあると思うので優勝を目指して頑張りたいと思います。
鷹尾一成(先理3=神奈川・桐蔭学園中教校)
――きょうの自身の走行を振り返っていかがですか
前日と2日前に鈴鹿のこのコースで走る機会があったのですが、走れたのが1日1本で2本だけでした。今年初めて鈴鹿を走ったということで1本目は初めてのレイアウトで、いまいちコースの特徴とかもつかめないまま走ってしまいました。団体のことも考えて1本目は、PT(パイロンタッチ)とかをしてしまうと団体に影響が出てしまうので、とりあえずタイムを置きにいくという感じで走りました。1本目はあまりいいタイムではなかったですけれど、タイムを残せたのでそのタイムを2秒から3秒、優勝のターゲットタイムを狙って攻めたという感じです。ただ、自身の4本目の鈴鹿の特徴のあるコースだとやっぱり攻略し切れなくて、結局去年走っている人たちに勝てなかったなという感じです。
――鷹尾選手は車両の整備にも関わっていると思いますが、事前のセッティングなど車両の状態はいかがだったでしょうか
以前にも鈴鹿をこの車で走らせたことがあって、その時のデータとかもフィードバックしたり、現地で本番に近い状態のシミュレーションもたくさんできたと思うので、車としてのセッティングをできる限りのことはやったという感じです。ただこの車も2月、3月にゼロから作り始めた車だったので、やっぱりまだまだ未熟なところがすごく目立ったりして。ターンセクションだと他大学より遅かったり、すごく曲がりにくい車だったりという感じが優勝した中大さんなどと比べると目立ったので、落第点ではないけど合格点には至っていないという感じの出来かなと思います。自分はまだ3年生なので、残り1年オフシーズンを使って煮詰めていければなと思います。
――鷹尾選手は早大のエースとして11月の全日本学生運転競技選手権(全日本フィギュア)でも期待されていると思います。最後に全日本フィギュアへの意気込みをお願いします
ことしはエースということで、全日ダート(全日本学生ダートトライアル選手権)で2位で、今回はエースとしての役割を果たせなかった、不甲斐ない結果になってしまったので、フィギュアは去年も全日本で優勝している種目ですし、2連覇も懸かっています。もちろん個人の2連覇もそうですし、団体も獲って、総合杯も中大の川村と同率1位みたいな感じでフィギュアが全てを決める試合になると思うので、必ず優勝して全日総合杯の個人団体優勝、そして2連覇をして、大学で一番名誉のある小野梓賞(小野梓記念賞)を取れるように頑張っていきたいと思います。
城越明日香(商4=福井・藤島)
――全日本学生ダートトライアル選手権(全日本ダート)に続き、個人優勝となりました。この結果についていかがですか
4年生が少ないということもあって周りからの期待も大きかったので、有言実行できて良かったなと思います。
――2本目では大きくタイムアップしました。2本目で改善できた点はどのような点でしたか
最初の8の字がすごく狭くて回れなかったのですが、その箇所ですね。シフトダウンに苦手意識があったのですが、シフトダウンをしないでいくという作戦を練ってそれを実行した結果成功できました。そのあと広場の360度ターンもあったんですけれど、それもOBに指導を仰いで、どこから行くとかどこが足りないというのを練って、コースの細かいところも詰めてやった結果が20秒くらい上がりました(笑)。
――次の全日本学生運転競技選手権(全日本フィギュア)が4年生として最後の公式戦になると思います。最後に全日本フィギュアへの意気込みをお願いします
全日本選手権最後ということで、間違いなく優勝して、全日本総合杯を勝ち取り真の全日本女王になるとともに、男子と一緒に総合杯アベック優勝を獲れるといいなと思います。