車両トラブル乗り越え団体2位の健闘! 男女共に個人入賞はならず

自動車

 節目となる第30回目の全日本学生ジムカーナ選手権が、モータースポーツの聖地・鈴鹿サーキットにて行われた。5月の全関東学生ジムカーナ選手権では平川慶一主将(創理4=神奈川・光陵)が個人3位に入賞したものの、団体は結果を残すことができなかった早大。その悔しさを晴らすべく今大会に挑んだ。車両トラブルで一時出場さえ心配されたが、メカニックによる必死の修理でトラブルを乗り越え男子団体の部では2位と好成績を収めた。一方、女子個人の部に出場した城越明日香(商3=福井・藤島)は4位で大会を終えた。

 早大応援部の声援が響く中、迎えた1本目。まず第1走者の川上優(商3=徳島市立)がスタートした。川上は全体を通じて堅実な走りを見せたが、1分32秒05とやや出遅れてしまう。続いて今大会で初の団体戦メンバー入りを果たした綠川壹丸(基幹2=東京・早実)が出走。2年生ながら1分28秒27という高タイムを記録する。綠川は「他大の同期よりいいタイムを残してこようと思って走ったのですが、予想以上に良かった」と振り返った。第3走者は、今大会が大学最後のスピード競技のレースとなる主将・平川。確実な走りを見せ、タイムは1分28秒01を記録する。早大は1本目を終えて団体2位につけた。

団体戦デビューの綠川

 昨年以来の団体優勝のため、さらなる好タイムを狙った2本目。川上は1本目よりも積極的なアクセルワークを行い、1分29秒01とタイムを約3秒縮めることに成功する。この流れに乗りたい綠川であったが、途中でパイロンをタイヤに絡めてしまい、まさかの記録なしに。平川は大きなミスなくコースを走り切るも、結果は1分27秒97。中大のエース・廣瀬正典(4年)が叩き出した1分25秒43というタイムには及ばず、平川は試合後「あれをやっていれば勝てたとかではなく、完敗という感じ」と振り返った。男子個人では3選手ともに入賞はならなかったものの、試合前日の車両トラブルを乗り越え、チームとしては見事団体2位に輝いた。

スピード競技でのラストランに挑む平川

 女子個人の部には城越が出場。全関東学生ダートトライアル選手権、全日本学生ダートトライアル選手権と表彰台に乗ってきた城越は、今回も優勝するという意気込みで今大会に挑んだ。1本目は1分36秒69をマークし、この時点で4位。2本目で結果を出し優勝を狙いたいところであったが、サイドターンセクションでのミスが響き1分41秒53と1本目から大きくタイムを落としてしまった。今大会は男子のダートトライアル用インテグラに乗っての出場となった城越。「練習が1回もできず、鈴鹿に来てから初めてこの車に乗ったので準備はできていなかった」と振り返る。最終的に個人順位は4位と悔しさの残る結果となった。

 前回の全日本学生ダートトライアル選手権から今大会までの期間はわずか2週間。準備期間が短い中でいかにパフォーマンスを高めることができるかが今大会の課題であった。クラッチの故障という予想外のトラブルに見舞われたがメカニックの奮闘によってこれを乗り越え、男子団体は2位を獲得し結果を残した。選手だけでなく早大自動車部のチーム力がいかんなく発揮された試合だったと言えよう。次にひかえるのは11月の全日本学生自動車運転競技選手権(全日本フィギュア)。この大会の結果によって全日本総合杯(総合杯)を手にする大学が決まる。早大は今年度団体での優勝こそ逃しているものの、安定した成績を残している。「選手4人をいいレベルに持っていけば勝てる」と平川は全日本フィギュアに自信をのぞかせる。総合杯10年ぶりの優勝は、十分に射程圏内だ。

(記事 細井万里男、写真 永池隼人、栗林真子)

結果

▽男子団体の部

2位 早大 4分25秒25

▽男子個人の部

11位 平川 1分27秒97(2回目)

12位 綠川 1分28秒27(1回目)

16位 川上 1分29秒01(2回目)

▽女子個人の部

4位 城越 1分36秒69(1回目)

コメント

平川慶一主将(創理4=神奈川・光陵)

――本日の試合を振り返っていかがですか

前々日の練習でクラッチが壊れてしまったんですけど、車両担当の人が頑張ってくれて、前日には車は直りました。ですが前日練習の最後にまた車が壊れてしまって、ぎりぎりきょうの朝の車検に間に合いました。なのでこれはチームとしての整備力がよかったのかなと思います。

――本日はどのような意気込みで挑まれましたか

この車で全然練習できてなかったんですけど、今まで自分で同じ車種で練習してきていましたし、全関東で個人3位だったので、もちろん入賞、優勝を目指していました。でも終わってみれば他大学に車も腕も差をつけられてしまったと感じました。ドライバーの腕を磨く時間が全然なかったですし、車のトラブルもあったので、来年自分は出れないですけど、後輩たちにはこれを教訓として生かしてほしいです。

――全日本ダートトライアル選手権からの切り替えは難しかったでしょうか

そうですね、車はほとんど総取っ替えでした。また大学の授業の関係で練習に参加できないことがあったんですけど、同期の車両担当の藤谷(航、政経4=静岡・浜松西)を中心に車のセッティングを仕上げてくれました。本当に感謝しています。

――車体トラブルがあった中で本日の車体の調子はいかがでしたか

車自体は故障はありませんでした。ただ序盤で車体が跳ねてしまう場面があったんですけど、これは練習を多くできなかったので車の動きをあまりわからないまま挑んでしまった結果です。やはり練習時間があまりとれなかったことが原因かなと思います。

――1本目を振り返っていかがですか

最初のターンでミスをしてしまって、その後のストレートでスピードを稼げませんでした。ただ自分の後に走った中大の広瀬は自分よりも3秒速かったんですけど、自分的にはどこで離されているのかわからなくて。ドライバーがこの車に適応できなかったことが原因だと思うので消化不良です。

――タイムを更新した2本目を振り返っていかがですか

実はターンのところですこしミスをしていて。ハンドルを勢いよく回さないといけないんですけど、そこで手が滑っちゃって持ち替えてる間にパイロンから離れてしまって細かいターンができませんでした。(前半のターンセクションらしい)それ以外はベストではないですけど、いい走りはできました。なのであれをやっていれば勝てたとかではなくて、完敗という感じです。

――団体2位という結果はどう評価していますか

試合車が直前に出来上がって、当日の朝まで作業をしていたと考えるとかなり上出来な結果だったかなと思います。ただ1位と3秒くらい開いてしまったので、そこは実力の差を見せつけられてしまったと思います。今回2位になれたのは3秒差があった中でそこに他大学がたまたま入ってこなかったからなので、半分ラッキーかなと思います。勝因としては川上、緑川がいいタイムできてくれたんですけど、みんなが平均していいタイムを出せたことだと思っています。来年も期待できるのかと思います。

――これが平川さんにとって最後のスピード競技でのレースとなりましたが改めてレースを振り返っていかがですか

去年からスピード競技の選手として出ていて、大半の時間をこの車で練習して試合に出てと過ごしたのでさみしい気持ちもあるんですけど、11月にはフィギュアの大会が控えているので気持ちを切り替えて、フィギュアや総合杯を団体で取れればいいなと思います。

――最後に今後の目標をお願いします

まだ選手4人がそろっているとは言えない状況ですけど、今大会のように選手4人をいいレベルに持っていけば勝てると思うので、そこで優勝を目指したいです。そして全日本ダートトライアル選手権、全日本ジムカーナ選手権で入賞できてるので、フィギュアでもポイントを取って総合杯でも優勝できればなと思います。

川上優(商3=徳島市立)

――本日の試合を振り返っていかがですか

チームの勝利だと思います。

――本日はどのような意気込みで挑まれましたか

ミスだけしないように全力でやるだけでした。

――車体トラブルが試合前に連続して起こったということで調整は順調にいかなかったのでしょうか

まずクラッチが壊れてしまって。クラッチが割れてしまうということは想定されるトラブルの中で一番薄いものです。1年に1回壊れるかどうかです。でもこんだけトラブルをかかえていて、車も1台で、授業の関係で練習に1回参加できてないというハンデをかかえているということで、準備は毎年そうなんですが不十分と言わざるをえないです。こんな中やってきたのは奇跡です。

――実際に車体の調子はいかがでしたか

自分が運転する限りでは何も問題ありませんでした。メカニックだけでなく、他大学にも協力していただいて参加させてもらったので、今回盛り上げてくれた方々に感謝です。パーツも貸してもらったりして勝たしてもらったという感じです。

――1本目を振り返って

他大学が30秒切ったら速い方と言っていた中で、気合い入れてやったんですけど、32秒で。自分の腕が足りていなかったのかなと思います。実際緑川が1本目で28秒台を出したんですけど、あれはかっこいいです(笑)
2年生の彼がきっちりと結果を残してくれたのがすごく大きくて、この結果も彼のおかげと言っても過言ではないと思います。もちろん平川さんもです。感謝しています。

――2本目ではタイムを更新されましたが何か変えたことはありますか

もうアクセルを踏むことだけですね。それでも踏み切れてないので、もう少し踏み切れたところはあったんじゃないかなと思います。

――団体2位という結果はどう評価していますか

自分たちは正直結果が出るまで負けたと思っていました。だから2位と聞いたときは逆に驚きました。団体2位という結果は素直にうれしいし、3人そろうことはいかに難しいことなのかと感じました。

――本日の収穫はどのようなところでしょうか

チームとしての戦闘力を感じました。みんなメンタルが強いなと思いました。それに尽きます。

――最後に今後の目標をお願いします

フィギュアに向けて筋トレします!

綠川壹丸(基幹2=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

今回が公式戦初めての選手としての大会だったので、とても緊張していていました。自分の役割として確実にタイムを残さなきゃいけない、ある程度のタイムを残さなければいけないという思いがあったので、その役割が果たせるように走りました。

――きょうに向けてどのような準備をされましたか

主に個人練習を行いました。普通の公道を走るだけでも練習になるので、部活が終わった後に自分の車で走りに行ったり、ジムカーナ場に個人練習に行って練習したりしました。きょうの大会は鈴鹿だったのですが、昨年の先輩が走った動画を何回も見て予習しました。

――きのう車のトラブルがあったとお聞きしました。きょうの車の状態はいかがでしたか

きょうの車の状態は、車輌をはじめとするチームの皆が頑張って見てくれたので、車は完璧な出来上がりでした。もともとジムカーナ用の車があったのですが、それが壊れて動かなくなってしまって、それで急遽このダート用の車をジムカーナ仕様にして出場することになりました。セッティングの時間もあまりありませんでしたが、その中で十分な準備ができました。

――ご自身の1本目の走りを振り返っていかがですか

自分の中では良くできたかなという感じですね。午前は10位という順位で戻って来ることができました。自分の目標として、他大の同期よりいいタイムを残してこようと思って走ったのですが、予想以上に良かったです。チームに貢献できたので良かったかなと思います。

――1本目に好タイムを出し2本目ではフロントタイヤを交換してタイム更新を狙っていたと思いますが、惜しくもミスが出てしまいました。2本目の走りを振り返っていかがですか

1本目に好タイムが出て、自分のタイム的に、走り方的にまだ(タイムが)伸びると思われていたので、自分の前でタイヤ交換しようという事になりました。その状況の中で走ったので、いいタイムを出さなきゃいけないというプレッシャーがありました。コーナーでとりあえず(アクセルを)踏もうと思って、全部のコーナーにスピードが高い状態で進入していたので、スラロームに入った時に思ったよりもスピードが出ていて間に合わなかった感じです。気持ちにも余裕がなかったのが原因かなと思います。

――早大は今回団体2位という素晴らしい結果になりました。この結果についていかがですか

今回の大会で個人入賞した人が誰もいなかったのですが、その中で2位という成績が取れたのは、やはりこれがチーム力なのかなと思いました。一人だけが良いタイムというのではなく、皆がある程度の実力を持って挑んで団体で2位を取れたことは、非常に良かったと思います。

――今大会で初の団体戦メンバー入りを果たしましたが、ご自身でどのように評価されていますか

1年生の入部した時から選手希望で、早稲田大学の選手として大会に出たいと思っていました。まさかそれが2年生で叶うとは思っていなかったので、選手になれたことはすごく嬉しいです。

――今大会の収穫はどのような点でしたか

練習を何本やっても、やはり本番の1本には勝てないと思っています。1本で決めなきゃいけないという緊張感や色々なプレッシャーの中でタイムを残すという、そういう試合慣れというのが今回の大きな収穫だと思います。なんだかんだ緊張していて気持ちに余裕があまりありませんでした。2年生ということで期待されていないというのもあったのですが、年が上がるにつれてどんどん期待されるようになってプレッシャーも強くなると思うので、とりあえずこの第一歩として今回の大会を経験できて良かったなと思います。

――最後に今後の目標をお願いします

今年初めての出場で12位という結果を出すことができたので、来年は入賞、4年生の時には優勝を目指して頑張りたいです。

城越明日香(商3=福井・藤島)

――本日の試合を振り返ってどのようないった意気込みで挑まれましたか

全関東ダート(全関東学生ダートトライアル選手権)と全日本ダート(全日本学生ダートトライアル選手権)ともに、表彰台に乗ってきたので、今回も優勝する意気込みで挑みました。

――どういったご準備を今回の試合に向けてしてこられましたか

全日本ダートとスケジュールが重なるというハードスケジュールだったので、車の用意も間に合っていませんでした。練習が1回もできず、鈴鹿に来てから初めてこの車に乗ったので準備はできていなかったです。

――きのう車体トラブルがあったそうですが車体の調子はいかがでしたか

全関東ダートから本来は全日本戦(全日本学生ジムカーナ選手権)に向けて練習しなければいけないのですが、その時点でジムカーナ仕様の車が壊れてしまったので、今回はダートと兼用の車になってしまいました。6月末の段階から不調が始まっていましたが、きょうの車体には全く問題がなかったです。メカニックが今朝早くからきのうの整備の続きをしてくれました。必死にやってくれたおかげで問題なく今回走ることができました。

――1本目を振り返っていかがですか

今回の大会の1本目がこのインテグラに乗る4本目となったのですが、きのう、おとといで得られたことを大会本番で発揮できるくらいの限界まではいけたと思います。サイドターンが女子にとってはネックであり、そのサイドターンが3つあったうちの2つを決めることはできたのですが、最後の1個が1本目で決められなかったのはすごいもったいなかったです。上位に食い込んでくる女子はすべてのサイドターンを決めていたので、やはり自分の課題はそこだなと考えています。

――今回は2回目の走りでタイム更新とならず個人4位という結果になりましたがこの点に関してどのように評価していますか

2本目はタイム更新とはならなかったので、かなり不本意な結果でした。1本目が終わった後に、2本目にむけて自分でラインを考え直したり修正しタイムアップにつなげるのですが、今回は確実に2秒ぐらい縮められたはずでした。2秒縮まるとなると表彰台に乗れていたので、かなり悔しい結果となりました。

――今回の大会から得られた収穫というのはどのような点ですか

今回外周はとても整っていたとOBの方から好評をいただいたので、サイドターンや低速セクションを重点的に練習しなければいけないという課題が見つかったという点です。

――最後に今後の目標を教えてください

今後は、フィギュアシーズンが始まるのでそこで勝ち続けて、1年生の大沼(すず音、国教1=東京・日比谷)という女子部員と一緒に団体を組んで団体優勝するとともに個人の全日本総合杯を狙います。