早大自動車部は今季初となるダートトライアルの大会に挑んだ。ダートトライアル競技は、未舗装の路面に設定されたコースを各選手が2本ずつ走行し、良い方のタイムを個人の記録として競い合う競技である。早大からは、3人の合計タイムで争われる男子団体の部と、女子個人の部に橋本美咲(人4=山梨・甲府南)が出場。8月に同会場で行われる全日本ダートトライアル選手権(全日本)の調整も兼ね、無事に走りきることを第一目標に臨んだ。しかし、2走目の途中で車両トラブルが発生し全関東ジムカーナ選手権に引き続いてのリタイア。記録は残ったため全日本への出場権は獲得したものの、男子団体12位、橋本が9位というふがいない結果に終わった。
3人で行われる男子団体の部。「2年生の森田真(政経2=レイブンウッド)はよかったのではないかなと思います」と稲荷経太主将(人4=岡山白陵)が話したように、今季躍進を続ける次代のエースが安定した走りを見せる。また3番目に登場した杉崎裕一(社4=東京・早実)も、「車が不調だったので、様子見していたら直っていたので、楽しく走れました」と、自分の走りに好評価をつけた。しかし2走目の最初に登場した青山広明(先理4=神奈川・聖光学院)の走行時に、早大自動車部を悲劇が襲う。ミッションが故障してギアが2速に入らず、加速ができない状況に。その結果、青山の2走目は、1走目の反省を生かしたハンドルさばきを見せるも車両トラブルの影響から大きくタイムを伸ばすことができずに終わった。速さを競う上で大きな重要度を示す2速。その故障は早大をリタイアという決断に至らせる。2走目を走ることができなかった杉崎は「楽し過ぎて勢い余ったところもあり午後で直そうと思っていたので、もっとやりたかった」と、悔恨の念にかられた。
下級生ながら安定感のある走りを見せた森田
「悔しいという気持ちもあるのですがそれ以上にあっけなく終わってしまったなという感じです」。橋本は試合後このように述べた。昨年同大会の女子団体の部で優勝に貢献。ことしは女子部員が1人ということで個人の部に出場するほかなかった。1走目、「車の挙動が自分の思っていたのと全然違った」と語ったようになかなかスピードに乗ることができない。終盤では、まさかのコースミスで記録は無効になる。昨年の女王の意地を見せるべく臨みたい2走目であったが、前に走行した青山の時点で車が故障。「一番メインで使うギアが壊れていたので、出走前から勝負にならないのはわかっていました。全日本に出場するために、記録だけ残そうと思って走っていました」と、2走目は、とにかく無事に走りきり、全日本出場権を獲得することに専念する。コースミスをした1走目から1分近く遅い2走目のタイムが個人記録となった橋本は、結果9位の最下位に沈んだ。全日本ではこの悔しさをバネに巻き返しを図る。
橋本は全日本での雪辱を誓う
全日本への出場は決めたものの、全関東ジムカーナ選手権に続きリタイアに終わった今大会。1か月後の全日本に向け、求められる課題は山積みだ。「根本からいろいろ変えていかなくてはいけない」と稲荷主将が語ったように、チーム強化のためには全員が一丸となって勝利に向かう姿勢を身につけなければならない。8月の全日本ダートトライアル選手権を皮切りに、全日本シーズンを迎える自動車部。全関東での経験を糧に、全日本で新たな歴史を刻みたいところである。
(記事 深瀬真由、写真 尾澤琴美 中丸卓己)
結果
※早大のみ
▽男子団体の部
12位 早大
▽男子個人成績
28位 杉崎裕一
35位 森田真
40位 青山広明
▽女子個人の部
9位 橋本美咲
コメント
稲荷経太主将(人4=岡山白陵)
――本日の総括を
前回の(全関東)ジムカーナ(選手権)と違って、あからさまな自分たちのミスで壊れたのではなくて運転していて壊れているので、そこは難しいところではありますし、悔しいの一言で済ませるのもどうかとは思うのですが、悔しいなと思うところもあります。自分たちの無力さと運がなかったということがよくわかったと思います。
――皆さんの走りはいかがでしたか
2年生の森田真(政経2=レイブンウッド)はよかったのではないかなと思います。
――今大会に向かうまでの部全体の雰囲気は
正直なところを言うと、あまりよくはなかったと思います。車をつくるのはつくったけどそのつくるメンバーが固定されていて、全員でやっているというよりも、選手として出る人、メカニックとして頑張っている人、というような。忙しかったのは仕方ないのですが、結局やる人しかやらなかったというような感じです。
――全日本に向けて、どのような改善を
根本からいろいろ変えていかなくてはいけないなと思う面もあるので、もう一回帰って、4年生皆で話し合って考えて、車自体はいいと思うので、ある程度他の大学と同等に戦えるところまで自分たちの技術を持っていけたらなと思います。
――意気込みをお願いします
悔いのないような試合をしたいですね。
青山広明(先理4=神奈川・聖光学院)
――1走目の走りはいかがでしたか
1走目はとにかくVテックが入っていませんでした。自分はダートトライアル(ダート)の競技自体ほとんどやったことがない中で選手をやっているので、まだ全然うまくいかなかったんですけれども、とりあえず次の人次の人につなげることはできたと思います。自分の技量という面では全然できなかったので、そこは練習していかなければいけないと思います。
――まだダートの競技自体に慣れがないということでしょうか
そうですね。
――2走目の途中トラブルが起きてしまったと伺いました
そうですね。走行中にギアが欠けてしまって一部加速しなくなってしまいました。そのためタイム的にも加速しなかったので、しょうがないかなという感じです。
――今回のコースを実際に走られたことはありましたか
練習では数回やっているんですけれど、他の人に比べたら全然練習回数は足りないです。
――印象としてはいかがでしたか
確かに1年生の頃から何度も来ているのですが、実際には運転していないというのがあって、まだ手間取っている感じはありますね。
――車との相性はいかがでしたか
実際きょねん乗っていないことを考えると、運転しやすいと感じていて、嫌いではないです(笑)
――次の全日本ダートトライアル選手権(全日本)に向けての意気込みをお願いします
全日本までに自分の腕を上げることと、もうちょっと他の人に伝えられることを見つけるよう、指導して頑張っていきたいと思います。
杉崎裕一(社4=東京・早実)
――きょうの走りを振り返っていかがでしたか
前走っている森田真まで車が不調だったので、様子見していたら直っていたので、楽しく走れました。ただ楽し過ぎて勢い余ったところもあり午後で直そうと思っていたので、もっとやりたかったとは思います。
――青山広明選手と森田選手の走りについての印象は
ずっと車がコントロールできていないということを言っていたんですけど、そこで1ヶ月間練習してきて技術は上がってきているなとは感じました。
――最上級生としてこれからチームをどうしていきたいですか
車はちゃんと作ってきてくれているので、ドライバーがそれに応えられるように。あとチームとして勝てるという良い雰囲気をつくっていきたいと思います。
橋本美咲(人4=山梨・甲府南)
――きょう1日を振り返っていかがですか
ただただふがいないですね。
――1本目はコースミスとなってしまいましたがあの場面は
車の挙動が自分の思っていたのと全然違って、車が乗り上げてしまったりしているところにああいうことになってしまって。1本目に関しては、最初のミスが抜け切らないまま最後までいってしまったと思います。
――2本目も車両のトラブルということでしたが、具体的にどういったトラブルがあったのでしょうか
車のミッションが壊れてしまいまして、ギアが2速に入らなくなってしまいました。一番メインで使うギアが壊れていたので、出走前から勝負にならないのはわかっていました。全日本に出場するために、記録だけ残そうと思って走っていました。
――これが最後の全関東ダートトライアル選手権でしたがその点については
1本目に関しては自分の責任も大いにあるんですけど、全然思うように走ることができなくて、悔しいという気持ちもあるのですがそれ以上にあっけなく終わってしまったなという感じです。
――きょう技術的に見つかった課題などはありますか
ここは路面が未舗装路で、普段走るアスファルトの路面とは操作も違うんですけど、まだまだ未熟な部分があるなというのが浮き彫りになりました。
――4年生ということでここから集大成となっていきますが、意気込みなどは
最後の年で最後の大会ということもあって勝ちたいですし、整備担当としてもきちんと試合に勝てる車両づくりという点で頑張っていきたいと思います。
森田真(政経2=レイブンウッド)
――本日の試合を振り返って
2速が抜けてしまったみたいで、1本しか走れなかったので残念です。
――1本目のご自身の走りは
とりあえず監督からは、全日本の(出場権利を得るために)記録を残せるように車を壊さずに走れと言われていたので、それができたという点では良かったのですが、あまりアクセルを踏めていなかったり、自分が想像していたように車を走らせられなかったりしたので微妙でした。
――改善すべき点は見つかりましたか
きょうのセッティングそのものがアンダーが結構強いと言われていたのですが、そういう車に乗っても早く走れるように、もっと練習しなくてはと思いました。
――全日本に向けてどのような練習を
自分は全日本に出るかわからないのですが、出られるように、これからも積極的に練習していきたいと思います。