今季初戦は男女ともにまずまずの滑り出し

自動車

 大雨の中開催された全関東学生ジムカーナ選手権大会(全関ジムカーナ)。男女共に1位を狙い挑んだ早大からは、昨年から主力として活躍してきた井田翔太主将(政経4=埼玉・開智)、五月女敦(基理4=東京・早大学院)、岩脇彩香(先理3=東京・創価)と、公式戦デビューとなる白井智也(基理3=東京・早大学院)の4選手が出場。各選手が口をそろえて「悔しい」と語ったようにさまざまな課題が見つかった反面、シーズンオフの練習の成果も垣間見ることのできた今季初の公式戦は、男子団体戦3位、女子個人戦1位という結果で幕を閉じた。

 今大会の種目であるジムカーナとは、舗装された道路を会場に、走行直前に発表されるコースでタイムアタックを行う競技。各選手が2度走行を行い、それぞれのベストタイムの合計で順位が決まる。また、コースを誤った場合は失格(ミスコース)となるほか、コース上に立てられたパイロンに触れた場合などにはペナルティが課せられるため、記憶力と高いコーナリングの技術が求められる。

 会場は雨の影響もあり、スリップする車が続出する劣悪なコンディション。早大の先陣を切った主将の井田であったが、苦手意識のある雨に「思い切ってアクセルが踏めなかった」と語るように、1分11秒81という不本意なタイム。後続の白井、五月女が1分9秒45、1分6秒72と好タイムでまとめ暫定3位とするも、暫定1位の中大に7秒という差をつけられ午前の第1ヒート走行を終えた。

出走へ向かう五月女

 そして迎えた午後の第2ヒート走行。午前中の課題を修正して臨む午後の走行では、ミスコースも大幅に減り、軒並みタイムが上昇する傾向がある。逆転を狙う早大の第1走者は1走目のリベンジに燃える井田主将。1分8秒49と、3秒以上タイムを縮めるスタートでチームに勢いをもたらすと、第2走者の白井も1走目の課題をうまく修正し、中大との差をさらに縮める。そして第3走者の五月女。速度が出過ぎない雨という環境を逆手に取った走りで、個人5位に食い込む1分6秒34という好タイムをたたき出した。しかしチームの合計タイムを5秒以上伸ばしたものの、3位入賞という結果。「40点くらい」(五月女)と振り返るように、あくまで1位を狙っていた早大にとっては不本意な結果に終わった。

女子の部・個人戦で1位に輝いた岩脇

 そんな中この日早大に嬉しい結果をもたらしたのは女子の部・個人戦に出場した岩脇。第一ヒート走行では慎重になり過ぎアクセルが踏めなかったことに加え、パイロンタッチのペナルティも課され1分16秒08というタイム。それでも暫定1位で折り返すと、「とりあえずアクセルを踏む」ことを意識しながら臨んだ2走目は課題を修正し、女子で唯一1分10秒を切る1分09秒53。2位に2秒以上の差をつけての圧勝で1位を飾った。しかし、「1位になれたことはうれしいけれど、男子の選手と比べるとまだまだ」と語る岩脇の表情は晴れない。次に控えるはさくねん初優勝を果たした全関東学生ダートトライアル選手権大会(全関ダート)。今回の悔しさをバネに連覇を飾りたい。

 「初戦なので絶対に勝たなくてはならなかった」と、大会を終え険しい表情で井田主将は話した。しかし、歯がゆいレースに終わったように見えた初戦の中にも確かな手応えがあった。岡島昭英監督(昭61理工卒=東京・早大学院)が「練習に見合うだけの成果は出せた」と語るように、まだまだ課題があるものの日々の練習の成果は着実に出ている。今回出場した4人だけではなく、車両整備やフィードバックなど、チーム全体で戦う自動車競技。今回の悔しさを胸に、チーム一丸となって1カ月後に迫る全関ダートでの栄冠を勝ち取りたい。

(記事 伊藤広真、写真 扇山友彰)

結果

※早大のみ

▽男子団体の部

3位 早大 4分23秒786

▽男子個人の部

2位 五月女敦(基理4=東京・早大学院)1分23秒330

27位 井田翔太(政経4=埼玉・開智)1分29秒960

29位 白井智也(基理3=東京・早稲田)1分30秒496

▽女子個人の部

2位 岩脇彩香(先理3=東京・創価)1分33秒126

コメント

岡島昭英監督(昭61理工卒=東京・早大学院)

――きょうのレースを振り返って

結果3位というのは残念ではあるけれど、逆にいい意味で先が見えたなという感じがあります。というのは、ほかの大学と比べてうちの部が明らかに下手だなというポイントがあったんですよ。具体的には八の字の小回りの部分なんですが、そこで明らかにうちの部は技術的に劣っているなと思いました。しかし、そこを強化すれば、ほかの部分の走りは決して悪くなかったので、負けは負けで悔しい部分があるにしても先につなげられるという感触がありました。

――シーズンオフの間の練習の成果は出せましたか

出せたと思います。ジムカーナは2月くらいから結構練習会を開いてきたので、それに見合うだけの成果は出たと思います。ブランクはあったけれど埋められた、ただ埋められなかったのが先ほど言った小回りの部分であり、3位という結果なのだと思います。その部分をこれから春から夏にかけての練習でレベルアップさせよう、次の8月のジムカーナに向けてやっていこうと思います。

――次の全関ダートに向けての意気込みをお願いします。

もちろん狙うは優勝だし、優勝できる水準にあると思っています。自動車部はなんといっても車のトラブルが起こらないよう車のメンテナンスをしなくてはなりませんので、そういう部分も含めてまだまだ準備していかなくてはいけないと。基本的には部員のポテンシャルは高いですし、車も高い能力のものを持っていると思うので、当然戦えると思います。ただ、そのためにはまた練習をしていかないとと思いますので、残り1カ月しっかりやっていきたいと思います。

井田翔太主将(政経4=埼玉・開智)

――今季最初の公式戦でしたが、どのような気持ちで臨みましたか

初戦だったので絶対勝たなくてはいけない、絶対勝とうという気持ちでした。

――ご自身のタイム(1分8秒49)については

悔しさがとにかく残りますね。もともと雨というのが苦手で、1走目で苦手意識からアクセルが思い切って踏めませんでした。そのため、普通だったら1走目を終えてからいろいろ改善しようとするのですが、きょうは1走目を走り終わって改善しようと思えたのがもっとアクセルを踏むことくらいしかありませんでした。それで2走目は自分の思ったラインで走れず、結局1走目から2走目にかけての向上があまり見られなくて、悔しい結果になってしまいました。

――逆に良かった点というのはありましたか

なかったですね、良い点は。

――チーム全体の走りについては

チームの足を引っ張ったのが僕なので何とも言い難いです。が、車のセッティングについていうとサイドブレーキで後ろのタイヤをブロックするというのが、うちの車しずらいかなというのがあります。これは正直練習会のときからみんな思っていたことでOBの方からも指摘されていました。ですがそのままの状態で臨み、結果他大が回れていたところをうちは誰一人として回れていなかった気がします。それについては練習会からここがだめだったというところをもっと本気で改善して練習に臨み、そのまま本番へといきたいです。他大が普通にできていることをうちができなければもちろん勝てないので、他大と同じ以上の車をつくっていかなくてはならないと思いました。

――全関ダートに向けてはどのような練習をしていきたいですか

もっと苦手なことに対してのアプローチを強くしていかなければならないというのがあって。練習会で雨の中走ることがあったのですが、自分の中で何か目標を立てるわけでもなく漫然と走っているだけというのがあったので、全関ダートに向けては、自分の苦手なところを見つけたら一つ一つ積み重ねながらつぶすまでやっていきたいです。

――次の全関ダートに向けての意気込みをお願いします

3人の選手が1位、2位、3位になって勝ちたいです。自分自身の悔しさを晴らしたいです。

白井智也(基理3=東京・早大学院)

――今大会を振り返って、感想をお願いします

公式戦の選手として始めて大会に出て、緊張感があり、2週間前からプレッシャーに押し潰されそうでした。いざ出てみて、結果を残せて一応は良かったのですけれど3位ということで、満足な結果は得られませんでした。次回の全関ダート、またその次に向けて修練するばかりです。

――今大会に出場するにあたって意気込みや目標はありましたか

大会前まではとても緊張していたので、足を引っ張らないようにすることしか考えられませんでした。しかし本番は、監督やOBの方にアドバイスを頂きしっかりとしたイメージトレーニングも出来てきて緊張も和らぎました。結果から見ると、チーム勝利のために自分が足を引っ張らないように考えていたという目標を立てていたため、3位という結果は悔しいです。

――午前と午後のタイムでは1.7秒ほど午後のタイムが優れていました。休憩時間に振り返ったりして考えていたことはありますか

午前で掴んだタイヤのグリップの限界などを、OBさんにフィードバックをしてみて、OBさんからアドバイスを頂いたり自分で考えたりもしてみました。通るラインの場所やシフトアップ・シフトダウンするタイミングをご教授頂いたことが大きかったです。後は、イメージトレーニングを確実に行なって、本番に挑みました。

――激しい雨の中でレースでしたが、どのようなことに注意して競技を行いましたか

僕の課題としてアクセルを踏みすぎてスピンしたり、ブレーキが強すぎたり、足の操作が荒いということがあったので、足のほんの少しのアクセルワーク・ブレーキ操作というものをゆっくり行い使い分けるように意識して強弱もはっきりさせました。

――違った種目にはなりますが、全関ダートに向けての課題は見えてきましたか

スピート競技自体が不慣れで、スピード競技に対する基礎知識も少ないということが今回で露わになったので、そういう箇所を詰めつつ、ダート競技に関する小技も身につけていきたいと思います。

――レース前に行われている慣熟歩行について教えて下さい

自分もまだまだ習うことが多いのですけれど、慣熟歩行では、どのラインを通って行くのかをだいたい決めて、僕の場合は景色を確認します。ポイントごとに景色を確認して、次の景色、その次の景色、またその次…、と景色を覚え継ぎ接ぎしていくとコースが出来上がります。

五月女敦(基理4=東京・早大学院)

――大会を振り返っての感想をお願いします

自分で評価すると40点くらいです。個人で5位を取りましたが1本目2本目を共に失敗してしまったうえでの結果なので、全体1位も狙えたと思います。もし、自分がミスをせずに2、3秒縮められたら全体優勝していた可能性も考えると、とても悔いの残る試合でした。

――午前と午後の休憩時間ではどのようなことを考えていましたか

1本目のサイドターンを何故失敗したのか分析し、車のセッティングなども変えてみました。しかし、それでも2本目に成功できなかったので、車の整備不足、自分の技術不足、それともその両方なのか突き詰めていかなければならないと思いました。

――大雨というコンディションにどう対応しましたか

ことしの練習会で雨になったことがあり、その時から雨に対して苦手意識どころか得意ではないかという意識もありました。大きな失敗をしたにもかかわらず、個人で入賞できたことも雨のおかげという部分があると思います。入賞したことで、ミスを無くせば1位を狙えるという自信にもつながったため、結果としては駄目でしたが次に繋がる目標は出来たと思います。

――およそ1ヶ月後に全関ダートがありますが、それに向けての課題は見つかりましたか

今回の試合で車両が少し準備不足に感じたことから、車両の整備は完璧に仕上げ、ドライバーの技術だけで勝負できるような状態にしたいと思います。

――舗装された道路での試合とダートでの試合の違いを教えてください

雨の場合は今回のような舗装された道路も滑りやすくなるため、ダートに少し似てくる部分もあります。しかし、ダートのほうが高速で豪快なレースになります。そのため、今回は滑らないように気をつけましたが、ダートの場合はわざと滑らせてドリフトをするような走りをします。

岩脇彩香(先理3=東京・創価)

――今季最初の公式戦でしたが、どのような気持ちで臨みましたか

最初で負けるとそのままずるずるいってしまいそうで怖かったので、とりあえず勝ちたかったです。

――1位になった感想をお願いします

ジムカーナがすごく苦手で、勝てるかどうか不安だったので、1位になれたこと自体はすごく嬉しいです。が、男子の選手と比べるとまだまだなので、細かいサイドターンなどの技術をしっかり練習して全日G(全日本学生ジムカーナ選手権)ではまともな走り、見ていてかっこいいと思ってもらえる走りをしたいと思います。

――雨の中でしたがどのようなことに気を付けましたか

雨だとアクセルをそれほど強く踏まなくても大丈夫で、晴れの日ほど速度も出ないので、丁寧にやれば晴れの日よりもいいタイムが出るので、とにかく丁寧にいこうと思いました。

――1走目を終えてかなり悔しそうでしたが、そこから2走目に向けてどのようなことを意識しましたか

1走目はパイロンタッチももちろん悔しかったですが、それ以上に1走目ということにびびってしまって全然アクセルを踏めなかったことが恥ずかしかったし悔しかったです。そのため2本目はとりあえずアクセルを踏むことを意識しました。

――ご自身のタイム(1分09秒53)については

1走目よりはアクセルが踏めたのでタイムは伸びたんですが、それでも先を見ていないとかいつもの悪い癖が出てしまっていて、最後のターンとかもできなくて。それで勝てたということは嬉しいのですが、本当はもっと早大の男子の選手たちと同じくらいのタイムを出したかったです。

――シーズンオフの間の練習の成果は出せましたか

ジムカーナの技術については自分自身よくわからないのですが、上手になったとOBの方々に言ってもらえたり、何回も練習会でコースを覚える練習をしたのがいかせたりなど、そういうところで成果が出せたと思います。

――次の全関ダートに向けての意気込みをお願いします

ダートはきょねんすごく楽しくできたので、ことしもとりあえず女子では絶対に優勝して、できればほかの男子選手にも追いついていきたいです。