ちばりよー! 浅見・安達組が初出場で準優勝!/沖縄インカレダブルス

男子軟式庭球

全日本学生選手権 9月11~13日 沖縄県総合運動公園テニスコートほか

 台風迫る暴風雨の中、沖縄の地で全日本学生選手権(インカレ)が開幕を迎えた。例年とは違い、ダブルス・シングルス・団体の順に行われる今年のインカレ。9月11日から13日にかけてはダブルスの試合が行われ、早大からは10組が出場した。総勢535組の中、5組がベスト32入り。三冠を狙う矢野颯人主将(社4=奈良・高田商)・端山羅行(社4=石川・能登)組が想定外の準決勝敗退となるも、ルーキーの勢い止まらず、浅見竣一郎(スポ1=宮城・東北)・安達宣(スポ1=奈良・高田商)組が準優勝を果たした。

 4年生にとって最後の学生の大会となるインカレ。初戦から4年生のプライドが見えた。山口皓太郎主務(政経4=東京・早大学院)・蛯谷誠也(法1=静岡・清水東)組は、東日本学生選手権(東カレ)で躍動を見せた石川高専の御手洗・松浦組と対戦。1-3と早くも相手にゲームポイントを取られるも、蛯谷の相手を惑わすモーションとボレーが冴え、デュースに。1ゲーム目は取られたものの、狙いを定めたレシーブで2ゲーム目をとると、続く3ゲーム目では山口の武器が爆発。長身を生かしたファーストサーブでサービスエースを1本とると、2本目も自身のファーストでチャンスをつくる。ストレートを打ち抜く攻めのプレーを展開し、4-0で3ゲーム目をものにした。しかし、相手も徐々にその実力を発揮し、勝負はファイナルゲームに。熱戦の後敗れたものの、山口は磨き上げてきた武器と意地の見える配球で自分のテニスをやり切った。蛯谷も、サーブレシーブのミスが少なく、積極的に前で勝負し、初めてのインカレで堂々と戦った。一方、平岩稜将(教2=愛知・岡崎)・山岸龍平(法4=東京・早大学院)組は飯田・内藤組(関西大)と対戦。平岩は終始笑顔で後衛として展開をしっかりつくる。山岸も4年生らしい覇気をまとい、1つ1つのプレーを丁寧にこなす。二人で善戦を繰り広げたが、関西の上位に食い込むペア相手に、2回戦敗退となった。勝ちという強さ以上に、信じることの強さで魅せた試合となった。小幡泰雅(スポ3=山口・宇部)・大竹公陽(社1=千葉・昭和学院)組は3回戦で敗退したものの、奪われたリードに小さくなることなく、好プレーで対抗。思うような結果とはならなかったが、この経験が彼らをさらに強くすることだろう。

 2日目の4回戦以降に進んだのは計7組。ベスト64を前に、同大の壁が立ちはだかった。永原遥太(スポ4=島根・松江南)・平田泰一(教1=埼玉・川越東)組が対戦したのは清水・長根(同大)組。団体にも出場する1年生・2年生の低学年ペアだ。ひるむことなく攻めてくる相手に1ゲームしか奪えず、3回戦敗退。しかし、劣勢でも声をかけあい、最後まで二人で1本をつなぎ続けた。大会前、「しっかりペアを引っ張って、後輩がこれから頑張れるように、いい経験を一緒にできたら」と語った永原。大きな声をだし、笑顔で駆け寄るその姿はプレイヤーとして、人間として成長した姿であった。吉岡藍(社4=群馬・健大高崎)・三田村優音(スポ4=北海道科学大高)組は同じく同大の塚本・滝瀬組と対戦。同大期待の新星・塚本の攻撃に立ち向かうも、攻めるがゆえネットやアウトのミスが目立ち敗戦。しかし、吉岡は普通は打たないようなコースにスピードのあるボールを打ち、三田村は独特のプレースタイルで決めてほしい時にしっかりと決めた。1ー5という数字には表れないが、二人らしい内容の一戦となった。

 他5組は4回戦・5回戦を突破し、ベスト16を懸けた6回戦に進出。髙田淳貴(政経2=東京・早実)・石森崇大(スポ4=福井・敦賀)組が当たったのは因縁の日体大、竹田・増田組だ。1ゲーム目で繰り返されるデュースを制すと、二人で猛攻撃を展開。ダブルフォワードの二人に対し、髙田が前に詰め、前方での勝負が多くみられる。前後の動きが大きい中、髙田はショートボールにも対応。しかし、粘り強く、チャンスは逃さない竹田・増田組のプレーに押し通され、2-5で敗戦した。クールな二人だが、笑顔と感情を露わにし、熱く会場を湧かせた。明大の間庭・木内組をファイナルゲームで破って上がってきた小林裕仁郎(スポ4=福井・敦賀)・飯干開生(社2=東京・早実)組は小黒・丸尾組(立命館大)相手に再びファイナルへ。1-3から飯干がスマッシュとボレーを決め追いつくも、アウトとネットミスで2点差をつけられる。1点を返したものの、勝ち切ることはできなかった。誰よりも早く練習場に行き、コツコツと人一倍練習を積んできた小林。試合後、目に光ったものは噓偽りのない、努力の証。彼の試合中、「練習やってきたよ」「大丈夫」「出し切れ」と声援が止むことはなかった。彼がソフトテニス人生を懸け得たものは、天皇杯への出場権以上のものだったのかもしれない。ベスト16には早大から3本が残ったが、吉田樹(法4=東京・早実)・松本翔太(スポ3=香川・尽誠学園)組は7回戦で敗退し、準々決勝で勝利した矢野・端山組、浅見・安達組が3日目へ駒を進めた。

 3日目は準決勝から行われた。三冠を目指す矢野・端山組は幾度も試合をしてきた法大の橋場・菊山組と対戦。序盤から、矢野と世代最強の相手後衛・橋場が激しいラリーを展開した。しかし、ファーストサーブの入りが悪く、ボール数個分のネットやアウトが続き、3ゲームを連続で落とす。流れを変えたい4ゲーム目。必死でコートに収める矢野がつくるラリーの中で、端山が積極的に動き、ボールを仕留め、1-3に。5ゲームを再びデュ―スで取られたものの、徐々に相手のミスも目立ち始める。2-4で迎えた7ゲーム目。3-2から追いつかれデュ―スとなったが、菊山にボレーを前に落とされ、アドバンテージは相手へ。菊山のレシーブに対する端山の3本目が右手に大きすぎる放物線を描き、三冠の夢がここで途絶えた。一方、ルーキーの浅見・安達組は前回王者の片岡・黒坂(日体大)組をストレートで下して決勝へ。安達の見事なバックボレーと浅見の際どい高さのボールで1ゲーム目のデュ―スを制す。しかし、左手から放たれるテンポもスピードも速い橋場のボールとフォローの隙のない菊山のネットプレーに圧倒され、2ゲームを奪われる。4ゲーム目では0-3からデュ―スに持ち込み、ものにするも、粘り切れず。そのまま3ゲームを許し、2-5で敗れた。

 矢野・端山組が第三位、浅見・安達組が準優勝という結果で終わったインカレダブルス。華々しい成績ではあるが、最後のインカレでの三冠を目指し、最前線を走り続けてきた矢野・端山組の口角は少しも上がらなかった。想像していたかたちではないが、この負けが何かを変えたに違いない。インカレの借りはインカレで返す。最終日に微笑む真の王者はここから這い上がる。

 

(記事・写真 佐藤結)

結果

▽2回戦

髙田・石森⑤-0酒井・細野(松本大)

吉岡・三田村⑤-1 堀谷・富永(大阪商大)

浅見・安達⑤-2 光岡・山口(福岡大)

小幡・大竹⑤-1 谷山・大宮(東北大)

平岩・山岸2-⑤飯田・内藤(関西大)

吉田・松本⑤-0筒井・中川(福岡大)

小林・飯干⑤-1大久保・笹尾(大体大)

永原・平田⑤-0家倉・加藤(金沢工大)

矢野・端山⑤-0海野・堀(関西外語大)

山口・蛯谷4-⑤御手洗・松浦(石川高専)

▽3回戦

髙田・石森⑤-2塚田・榊原(駿河台大)

小幡・大竹2-⑤ 竹村・石村(大阪成蹊大)

吉岡・三田村⑤-1小林・手塚(大阪商大)

浅見・安達⑤-0山本・塩野谷(星城大)

吉田・松本⑤-0清野・淺田(山形大)

小林・飯干⑤-2岡田・中野(西日本工大)

永原・平田⑤-1小林・手塚(大阪商大)

矢野・端山⑤-0石井・福家(天理大)

▽4回戦

髙田・石森⑤-2岩城・太田(札幌学院大)

吉岡・三田村2ー⑤塚本・滝瀬(同大)

浅見・安達⑤-0山中・清水(酪農学園大)

吉田・松本⑤-2塩原・竹谷(日体大)

小林・飯干⑤-2石原・池田(関西大)

永原・平田1ー⑤清水・長根(同大)

矢野・端山⑤-1大野・谷島(酪農学園大)

▽5回戦

髙田・石森⑤-1岩﨑・近藤(関学大)

浅見・安達⑤-1根岸・福島(日体大)

吉田・松本⑤ー3渡邉・田代(東経大)

小林・飯干⑤ー4間庭・木内(明大)

矢野・端山⑤ー4須田・山中(國學院大)

▽6回戦

髙田・石森2-⑤竹田・増田(日体大)

浅見・安達⑤ー4中川・宮下(中央大)

吉田・松本⑤-2木村・中川(東海大)

小林・飯干4ー⑤小黒・丸尾(立命館大)

矢野・端山⑤-0 野口・関根(日体大)

▽7回戦

浅見・安達⑤-2飯田・黒須(国学院大)

吉田・松本1ー⑤四位・津島(日体大)

矢野・端山⑤-0大村・屋比久(日体大)

▽準々決勝

浅見・安達⑤-1武市・中尾(中大)

矢野・端山⑤-1濱田・髙田(中大)

▽準決勝

浅見・安達⑤-0片岡・黒坂(日体大)

矢野・端山2-⑤橋場・菊山(法大)

▽決勝

浅見・安達2-⑤橋場・菊山(法大)