横幕が決めた! 最終Qでの逆転劇で立大に勝利 リーグ戦3連勝を飾る

女子ラクロス

第36回 関東学生リーグ戦 1部Aブロック

8月31日 駒沢オリンピック公園補助球技場

Team 1Q 2Q 3Q 4Q 合計
早稲田大学 0 3 2 2 7
立教大学 3 0 3 0 6

得点者

1Q

なし

2Q

脇田萌衣、田中美亜、西川佳

3Q

西川佳、星川陽恵

4Q

横幕円香

 7月に開幕した関東大学リーグ戦(リーグ戦)は、早くも折り返し地点を迎えた。早大はここまで、初戦の学習院大戦、第二戦の東農大戦と快勝が続いており、FINAL4に向けて順調に歩みを進めてきている。良い流れの中で早大が対戦したのは、昨年の全日本大学選手権で準優勝を収めた超強豪・立大だ。今年行われた六大学交流戦では、13点差の大敗で苦杯を嘗めた相手である。それでも、「柏原組」が目標とする学生日本一を達成するためには、絶対に負けられない大一番であった。試合は第1Q(クオーター)で3点を先取されるも、第2Qで追いつき、試合を振り出しに戻す。第3Qでは立大のアタックに屈し、1点のリードを与えてしまうが、最終第4Q、AT横幕円香(文構4=神奈川・公文国際学園)の2得点で逆転。最後まで1点を守りきり、7―6でゲームセット。FINAL4に王手をかける大きな勝利となった。

試合終了後、喜び合う選手たち

 第1Qでゴーリーについたのは、主将のG柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)ではなく、今年の1月にゴーリー転向したG星井萌子(スポ2=東京・駒場)。早慶定期戦で公式戦初出場を果たした星井が、大事な一戦の1Qを任された。最初のドローを制した早大だったが、自陣でのパスミスで立大にボールが渡ると、一気にアタックセットに持ち込まれてしまう。立大はゴール正面からショットを放ったが、ここはG星井のナイスセーブ。試合の目標にしていたと言うファーストセーブを見事達成した。ここから勢いに乗りたい早大は、AT横幕のランクリアからパス回しで敵陣深くまで攻め込み、横幕がフリーシュートを獲得。しかし相手のハードなディフェンスにやられ、得点には結びつかなかった。その後はセンターライン付近でのボールの奪い合いが続いたが、10分、早大のファールから立大にフリーシュートを与えると、これを決め切られ先制点を許した。14分には早大のパスミスを起点とした左上からのミドルシュート、そしてノータイムでは早大ディフェンス陣の過疎になっていたエリアを突いたショットを決められ、0―3と、厳しい状態で1Qを終えた。

 早くも後がなくなった第2Q。MF脇田萌衣(教4=東京・白百合学園)がドローを制し、早大ペースでQを展開する形に。相手ゴーリーにパスカットされるシーンも見受けられたが、それでもどうにか攻撃権を保持し続けながら得点の機会をうかがう。すると3分、相手のファールでMF脇田がフリースタートの権限を獲得。通常のフリーシュートとは異なる形ではあったが、ここを落ち着いて決め切り、チーム初得点を挙げた。この得点で勢いに乗った早大は、その後のプレーでも主導権を握る。MF田中美亜(スポ4=東京・国立)がフリーシュートを決め、リーグ戦初得点を挙げると、13分にはAT西川佳(文構4=東京・東洋英和女学院)もフリーシュートを成功させ、試合を振り出しに戻した。3―3で試合を折り返す。

仕掛けるAT星川

 このまま早大優勢で試合を進めたい第3Q。またもMF脇田がドローを獲得し、勝ち越し点が欲しいところだったが、立大にボールを奪われると、ロングパスを通され、一気にピンチに。早大はマンディフェンスで必死に抵抗するも、態勢が崩れかけたところを突かれ、勝ち越し点を与えてしまう。しかし早大も負けてはいない。MF脇田、AT星川陽恵(スポ4=埼玉・浦和一女)らを中心に敵陣に攻め込むと、AT西川がこぼれ球を押し込み同点に追いついた。しかし今度は立大。ゴール横から回り込まれてショットを決められると、終了90秒前にも、再びゴール横からのゴリ押しで得点を入れられてしまう。これで2点差に。再び厳しい状況に追いやられた早大だったが、終了間際にAT星川がフリーシュートを決め、1点差とした。勝負の行方は最終第4Qへ。

 運命の第4Q。初めに攻撃権を得た早大は、DF山田麻由(商3=東京・国立)からMF脇田へのロングパスを通すと、AT横幕、AT西川とボールを回して勢いよく敵陣に攻め込む。そして開始1分、AT横幕がフリーシュートの機会を得ると、ここを決め切り、土壇場で同点に追いついた。ディフェンス面でも、AT陣のライドなど、チーム全員での献身的なディフェンスが目立ち、得点を与えない。拮抗(きっこう)した状態が長く続いたが、試合が動いたのは11分。再びAT横幕が、何重にもなった立大ディフェンス陣を一人で突破し、高い打点から放ったショットがゴールに突き刺さった。試合時間残り4分で勝ち越しの1点を挙げた。そこからの早大は、敵陣でのボール回しに努め、時間が経過するのを待った。短いようで長い4分間。必死にボールを奪おうとする相手を冷静に避けながら、ついにラスト20秒まで辿り着く。しかしその瞬間、立大の奇襲攻撃により、ここまで守り抜いてきたボールを奪われ、攻撃権を渡してしまう。ボールを手にした立大の選手は、第2QからゴーリーについているG柏原主将のもとへ。終了間際に倒れ込みながら最後のショットを放ったが、G柏原主将がこれをセーブし、ゲームセット。7―6で難敵との決戦を制した。

シュートを放つAT横幕

 春には大敗を喫した相手に対し、見事にリベンジを果たした「柏原組」。この試合で勝負を分けたのは、ドローの成功率と言っても過言ではないだろう。逃したドローはわずか1回。MF脇田を中心に、ほぼ全てのドローを制したことで、必然的に攻撃の時間が長くなり、この逆転劇につながったのだ。また、ディフェンスにおいても、体格差のある相手に対して臆することなく、果敢にボールを奪いに行く姿勢がブレイクにつながるなど、スコアとしては僅差だが、早大の勢いを感じさせる試合となった。絶好調の「柏原組」が次に迎え撃つのは、明治学院大。G柏原主将が「絶対に勝たなければいけない相手」だと語るこの明治学院大に快勝し、一番乗りでFINAL4進出を決めたいところだ。

(記事 長屋咲希 写真 髙岡紗也)

試合後インタビュー

G柏原陽菜乃主将(創理4=東京・大妻多摩)

――今日に至るまでどのような準備をしてきましたか

 前の二戦とは違って、やはり手強い相手になると思っていました。自分たちの気持ちの部分で、立教を上に見るのではなくて、戦う相手だとマインドを持ってくることを意識していました。

――改めて今日の試合を振り返っていかがですか

 最初は流れがつかめなくて、ギアが入っていなかった部分もあったのですが、試合をやっていく中で、自分たちで試合を作っていくことを意識していたので、しっかり修正できたり、逆転までいくことができたのは良かったと思います。

――選手全員の献身的なディフェンスが印象的でした、意識して取り組んだ部分はありますか

 ライドで奪うというところを日頃の練習から意識して取り組んでいたので、そこをしっかり体現できたのは、戦術の一つとして良かったと思います。

――試合終了間際、立大がブレイクで迫ってきた時の心境を教えてください

 正直記憶がないのですが、絶対勝つということしか考えていなかったです。死ぬ気で止めました。

――この勝利でFINAL4に大きく近づきました

 でもまだ二戦残っているので、今日は喜びますけど、地に足をつけて、着実に勝利をつかめるように、チームとしてまた切り替えて頑張っていきたいです。

――次戦に向けて一言お願いします

 明学はFINAL4に近づくために絶対に勝たなければいけない相手なので、ここからまたチームを作っていって、その先を見据えて頑張っていきたいと思います。

AT横幕円香(文構4=神奈川・公文国際学園)

――今日の試合を振り返ってください

 シーソーゲームな展開で、苦しい試合ではあったのですが、最後に突き放すことができたので、自分たちのやりたいことは体現できたのかなと思います。

――ATのライドを振り返っていかがですか

 立教はボトム陣が強いので、そこに対してむやみにいくというよりは、狙いどころを定めて奪い切るというのを意識していました。かなり運動量高くできていたので、その分走り勝てたのかなと思います。

――同点弾、決勝弾いずれもご自身で決められましたが

 立教に対しての1on1は、3Qまでやってきた中で、勝負できるなと感じていたので、取るべき時に点を取れたのは良かったです。

――これでFINAL4に大きく近づきました

 明治戦と明学戦が残っていて、どちらにも勝てば1位でFINAL4に行けるので、しっかり2勝して1位で通過したいと思います。

――次戦に向けて一言お願いします

 ここから早稲田はもっともっと強くなっていくという段階だと思うので、FINAL4も踏まえながら、さらに成長して次も絶対に勝ちます。

G星井萌子(スポ2=東京・駒場)

――初めての先発出場でしたが、出場はいつ決まりましたか

 確定したのは一昨日くらいです。

――大事な一戦の第1Qを任されましたが、どのような気持ちで臨みましたか

 最初に聞いた時はワクワクして、嬉しい気持ちでいっぱいだったのですが、昨日から緊張が収まりませんでした。

――セーブシーンもありましたがご自身のプレーを振り返っていかがですか

 この試合の目標が、ファーストセーブをすることだったので、1発目を止められた面では良かったです。ただ後半になるにつれてセーブがなくなってきて、点を決められるシーンが多くなってしまったので、後半に持ちこたえる力をつけることが課題だなと思いました。また、ラスト30秒のシーンでのブレイクは、自分の判断ミスによるもので、止められたと思うので、そこは反省して次に生かしたいと思います。