【連載】 ラグビー部 対抗戦開幕対談 第3回 亀山昇太郎×鈴木風詩×西浦剛臣×若松泰佑

特集中面

 対抗戦開幕対談も早くも第3回を迎える。今回集まっていただいたのは亀山昇太郎(スポ4=茨城・茗溪学園)、鈴木風詩(社4=国学院栃木)、西浦剛臣(社4=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)、若松泰佑(文構4=東京・早実)の4名。早大が今年力を入れてきたセットプレーの要となるポジションであり、最終学年としてチームを引っ張る存在でもある彼らに、ラストシーズンを迎えた今の思いの丈を伺った。

※取材は9月7日に行われたものです。

お互いの印象を語る亀山

 

ーーまずは他己紹介をお願いします

若松 亀山昇太郎です。オフの日もずっと寮にいる子で、スクラムに関しては本当にこだわりを持ってやっています。あとは気持ちの波が激しいので、僕たちも機嫌を取るのを頑張っています。うまく調子を上げられると本当に人間離れしたパワーを見せるクマさんなのですが、僕たちがあまり機嫌を取れないと、本来の力を発揮できなくなってしまうような子です(笑)。

亀山 ちょっと後で話し合おうか(笑)。

一同 (笑)。

西浦 若松は真面目っぽい雰囲気を出しているのですが、意外と変わっているというか猫をかぶっているような感じで(笑)。初対面の人が(若松選手に)会ったら結構しっかりしているなという印象を受けると思うのですが、ここまで一緒にいたらもう本当に変わっているとしか言いようがないです。それこそ新人練の外周走の時も、1人でずっと「うわ、きついわ!きついわこれ」って言いながら走っているみたいな感じでした(笑)。でもラインアウトのことは若松からいろいろ教えてもらっていて。ラインアウトに関しては師匠ですかね。

鈴木 僕は剛臣とは小学校からの仲なのでもう十何年間の付き合いで、今もよく飲みに行きます。最近は新橋のジンギスカンのお店に先輩が連れて行ってくれて、そこにまた2人で行こうって話しているところです。あとは、剛臣は先輩にも後輩にも好かれるようなタイプで、もう誰とでも友達みたいなフレンドリーさがあるので、そこは自分も見習わなくてはいけないところかなと思っています(笑)。

亀山 えー風詩難しいなあ。ここで関わりはそこまでないのですが、同じ寮生で、ちょっと小器用な部分もあって(笑)。小器用だから人付き合いとかもうまくやれちゃうような人というイメージです。プレー面でもその器用さで監督を唸らせていることがあるので、やっぱりすごく器用なやつだなと思っています。サボり方も含めて(笑)。

鈴木 やめてやめて(笑)。

 

ーー今年の4年生の特徴や学年の色などはありますか

亀山 仲がいいですね。

若松 そうだね。なんか早稲田っぽくない? 剛臣たちもそうだし、健次(佐藤健次主将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)みたいに本当にトップ中のトップの人もいれば、池田(裕哉、スポ4=東京・明大中野)みたいに3浪してくる人もいるし、本当にいろんな人がいる。

西浦 個性強いよね。

亀山 うん、豊かすぎるぐらい。

若松 歴代の早稲田でも変な人が多いイメージ(笑)、人数も多いし。あとは良くも悪くもまとまりがないよね。

西浦 確かに。個性を消してまでまとまろうとはしないかもしれない。

若松 各々が各々のフィールドで『荒ぶる』を目指しているというか、ベクトルは同じ方向に向かっているけれどスタート地点が全員違っている感じ。

西浦 本当にそうだと思う。適切な例え。

 

ーー4人の共通の思い出はありますか

鈴木 えーなんだろう、、思いつかないな。

若松 バラバラだったらあるけれど、4人全員はないかな?

亀山 全員カテゴリーも違ったからね。

西浦 最近になってみんな一緒になったよね。

亀山 多分ここの全員で試合に出たこともないよね?

鈴木 今度の立大戦で全員メンバーになる可能性があるからそこでだよね。

亀山 今まで4年生が僕と健次ぐらいしか出ていない時もあったのですが、ようやく3人が上のチームに這い上がってきて。4年生がいっぱい試合に出たいよねという風にも話しているので、健次だけでなく、この4人でしっかりチームを盛り上げたいなとは思っています。

 

ーー最近のマイブームなどはありますか 

西浦 一時期読書にハマっていたのですが、最近は全然読んでいなくて。今はひたすらミスチルを聞いています。

鈴木 僕は「ONE PIECE」かな。みんなは結構小学生の時とかに「ONE PIECE」を見ていたけれど、僕は全く見たことがなかったのでみんなが話している話題も全然分からなくて。それがちょっと悔しくて、誰かに「(見たことないなんて)国民じゃない」くらいまで言われてやっと一から見始めました。もう1年ぐらいアニメで見続けているのですが、僕が追っているところをみんなに話すと「小1とかの話だよそれ」とツッコまれて(笑)。結構それで盛り上がっています。

若松 寮にいて練習もものすごくきつくてという抑圧された状態で僕が目覚めたのが食で。 吉祥寺の二郎にLUUPで行って、もうその時だけは全てを忘れて二郎を叩き込むというのが僕のリフレッシュ方法です。なので一番ハマっているものは二郎ですかね。

亀山 昔はゲームをしながらアニメやドラマを流してという感じで、ながら見をすることが多かったのですが、最近はそれをせずにちゃんと見るようになったら意外と面白くて。映画をしっかりちゃんと見るのがブームです。

鈴木 最近はどういう映画を見たの?

亀山 8月ということで戦争系の映画ばかり見ていて。アメリカ側の視点の映画とかもあって面白かったです。

 

ーー座右の銘を教えてください

亀山 アントニオ猪木が引退スピーチで言っていた「道」という詩の中の「行けばわかるさ」という言葉が座右の銘というか、自分の中にずっとあって。何事も恐れずに「迷わず行けよ 行けばわかるさ」という考えを大切にしています。

若松 僕は「浅い川も深く渡れ」ということを自分の中でずっと意識していて。すぐ調子に乗りやすいし、亀山みたいにすごく体がいいわけでもないし、何か秀でたものを持っていないので、どんな状況でも慢心せずに深く渡るということを常に意識してきて、それが今につながっているのかなと思います。

西浦 僕は特にこれというものがあるわけではないのですが、いつも書いているのは「温厚篤実」という言葉で、 簡単に言うと誠実で人に情があるという意味の言葉です。自分は大して秀でたものがあるわけではないので、人に優しくできるような人間になりたいと思って、座右の銘ではないのですがそういう言葉を書いています。

鈴木 僕は「現状維持は後退の始まり」という言葉が座右の銘です。中学校も高校も自分の立ち位置に満足して現状維持に走って後々後悔するみたいなことが多くて。大学でもそんな時が何回かあったので、そういったところをやっぱり変えなくてはいけないと思って(この言葉を)大事にしています。

春シーズンを振り返る鈴木

ーーここから春シーズンについてお話を伺いたいのですが、まず今年のチームの印象や雰囲気はいかがでしたか

亀山 下からも上がってくるのですが、発展途上という部分もあって去年や一昨年に比べてスター選手がどんどん減っていて。健次とかは1年の頃からずっと出ていてスター性もカリスマ性もすごくあるのですが、上の世代が卒業した中でやっぱり今までと比べてそうじゃない選手が多くて、それでも明大や帝京大とやり合っていけているというのはスター性だけじゃない何かで勝っている部分があるんじゃないかなと思います。

若松 練習が試合に生きているのを感じたシーズンだったかなと思います。これまでで初めて、自分たちの狙ったことをやってしっかりそれに手応えがあって、結果もついてくる感じがしました。

亀山 4年間の中でやっぱり今年が一番選手層が厚いなという風にも感じていて、同じポジション内でのライバル関係とか、そういう部分もすごく充実しているなと思います。

西浦 僕は今までよりもコーチ陣や後輩ともコミュニケーションがしっかり取れているなという印象があります。自分たちの理解度が低くてそうなっていた部分もあるのですが、昨年まではそれこそ練習のための練習になってしまっていたのが、今年は自分たちから「こうした方がいいんじゃないか」とか「ここはどうすればいいんですかね」という疑問を同級生だけでなく、コーチ陣とも後輩とも積極的に話し合える環境ができてきているのかなと思います。

鈴木 僕もそう思います。

 

ーーチームの始動時からスクラムには力を入れてこられたと思うのですが、具体的にはどのような取り組みをなさっていましたか

亀山 今年に入って一番意識していることは、 昨年、一昨年の延長線上にはなるのですが、やっぱり回数をしっかり組もうっていうところですね。(昨年よりも)始まる時期が早かったのもありますが昨年に比べてものすごくたくさん組んでいるので、そこは試合中にも自分たちはこれだけ組んできているんだという自信にもなりますし、やっぱり組めば組むほど理解度も上がってくるので、回数は今までとは全然違うくらい組んできました。

若松 1日100本やっていたもんね。

 

ーーそれを踏まえて春シーズンで感じた成果や課題には何が挙げられますか

鈴木 春シーズンの帝京大戦は大敗してしまったのですが、それでもスクラムの部分では戦えているなという肌感が結構あって。そこの部分ですごく負けていた昨年までとは変わってきたなというか、やってきたことが結びついているんだなという手応えがありました。

若松 あとは、その中でも健次、まあ(宮尾昌典副将、スポ4=京都成章)、由高(矢崎、スポ2=神奈川・桐蔭学園)がケガや日本代表でいなくなった時のチームとしての弱さはやっぱり感じていて。そこは4年生の責任だと思うのですが、良くも悪くも今まで僕たちが健次に任せすぎていたなと思いました。

西浦 僕はLOになってスクラムというものをちゃんと体感したのが今年からなのですが、練習を積み重ねていく中でどんどん自分の中では理解度という部分もそうですし、構造とかもしっかり分かるようになってきたのかなと思います。

 

ーー個人的に意識して取り組んでいたことはありますか

亀山 僕は最終学年になってチームのために頑張ろうとか、自分から喋ろうとか、そういう部分を(今までと)変えようとしています。今年になって特に西浦とかはすごく喋るようになって、そういう4年生としての意識の変化がやっぱり選手としての成長にもつながっているのではないかなと思います。

西浦 僕は今年からラインアウトにちゃんと参加するようになって自分でサイン出しもするようになったので、他のチームの映像を見たり、練習の中でどういうことを意識して取り組んでいくかというのを練習の最中もそうですし、練習前にみんなを集めて声をかけたりするという部分を意識しています。

若松 常に前線にいるということは意識しています。今までの歴代の4年生を見てきた時にやっぱり一番前にいたのは4年生だったので、そのかっこいい背中に自分もなりたいなと思ってプレーしてますね。4年生の背中がどういうものかというのは定義できないけれど、自分が憧れたものになれるようにきつい時でもみんなを鼓舞したり、前線でいたりというのを意識してます。

鈴木 4年生として前線で体を張ることもそうなのですが、やっぱり全力で出し切るということはここ1ヶ月でもう一度、改めて意識し始めたことなのかなと思います。やっぱり僕たちが前で一番全力でやっていかないと後輩たちもついてこないと思うので、全力で体を張る、やり切るというところを意識しています。

 

ーー春シーズンを振り返って、最も印象的な試合とその理由を教えてください

西浦 僕は早明戦ですかね。2年生の春に初めてWTBで出た試合が早明戦で、FWになって前とは別のポジションですが、もう一回早明戦に出れるってなった時は思いが込み上げてきて、またここでやれてよかったなと思いました。結果、試合にも勝つことができましたし自分の中では早明戦がすごくいい試合だったなと思っています。

鈴木 僕は帝京大戦が一番印象的ですね。後半から出た試合だったのですが、最後もうなす術がないみたいな形で僕が投入されて。自分1人で流れを変えることもできなかったですし、インパクトプレーヤーとして入ってきたからこそ、そこで何か流れを変えられるようなプレーができたら良かったなと悔しさが残る試合でした。

若松 僕も帝京大戦かなと思います。11年ぶりに春の早明戦で勝って、自分たちもネット上も今年の早稲田は強いんじゃないかという雰囲気になっている中、いざ健次なしで挑んだ帝京大戦で大敗して。FWとして良かった面もあったのですが、結局数字はとんでもなく離されてしまって、自分の無力さや帝京大との距離を感じましたし、そういう意味では春の帝京大戦が自分の中で一番印象に残っています。

亀山 僕も帝京大戦ですかね。理由はほぼ若松と一緒で、チーム内で今年は全ての試合で勝って完璧に優勝しようというのを掲げていた中でチームとして初めて負けたのが帝京大学さんでしたし、前年度のチャンピオンと自分たちの差というのを痛感しました。それまではずっと勝ち続けていて勝ち癖がついていたのですが、後半になって心が折れて大差をつけられてしまうという今までと同じような負け方をして、やっぱりそういう部分で負けてしまったというのはすごく印象に残ってます。

 

ーー改めて春シーズンの総括をお願いします

亀山 春はキャプテンがいなかったということで、スター選手、一番うまい選手がいなくなったからこそチーム力を上げるチャンスができて、最後は負けてしまったのですがチームとしては一番伸びたのではないかなと感じています。

若松 FWとして思うのは、やっぱり僕が1年の時は帝京大と試合してチームにあったのは「スクラムは負けて当然、モールは押されて当然、それ以外でなんとか勝ちましょう」ということで。大田尾さん(大田尾竜彦監督、平 16 人卒=佐賀工)が監督になってからスクラムで勝とうとか、モールで取り切ろう、モールを止めようという文化が徐々に生まれて、4年生になってようやくそれが実を結んだというか、ある一定の手応えもあり、プライドもでき、FWとしてはすごく意味のある春でした。今までやられっぱなしだったのがようやく追いかけていた背中が見えてきたような感じがする、手応えのある春シーズンだったなと思います。

最後の夏合宿を振り返る西浦

ーー次に夏合宿についてお話を伺いたいのですが、過去3回と比べて今年の夏合宿はいかがでしたか

西浦 やっぱり4年生ということもあって一段と気合いが入っていて、やりきってやるぞっという思いがすごく強かったなと思います。けれど最後、天理大戦でああいう形で終わってしまったのが自分たちの弱さであって、帝京大に勝ってせっかくいい流れに乗れる時に、ちょっと自分たちを過信してしまったという部分で弱さがすごく見えた夏合宿だったのかなと思います。

鈴木 今年の合宿は、今まで以上にラグビーに費やす時間が長かった合宿でした。健次が、普段の生活よりもラグビーに費やす時間が取れるからそこにフォーカスしようということを言い続けてきたこともあって、今まで以上に時間を費やすことができたのかなと思います。自分たち4年生が積極的にミーティングを開くということを、AチームだけでなくBチーム、Cチームと下位のカテゴリーでも行っていたのは、チーム全体としてもすごく良かったなと思います。けれどやっぱり最後に天理大戦で負けてしまって、あの時健次がいなくて自分も出ていたのに4年生は何もできなかったと感じていて。4年生が引っ張らなくてはいけないところを3年生が声を出しているような状況がやっぱり良くなかったし、まだまだこれからやれる部分なのかなと思いました。

亀山 スクラムなどに関しては、今までの成果がだいぶ出てきてチーム的にもすごく良い状態で帝京大に挑めて試合にも勝てて良かったのですが、やっぱり一瞬緩んでしまって天理大に負けて。チームが勝ち続けることがベストではあるけれども、自分の中ではその敗戦ももう1回気を引き締めるチャンスだったのではないかと、ポジティブに捉えるようにしています。あとは風詩も言ったように、ラグビー以外の自分の時間をもっとラグビーに費やす習慣というのが、今まではイメージが漠然としすぎていてなかなかできていなかったのが、今回の合宿でそのイメージも掴めるようになりましたし、フィールド外での学びがすごく多い合宿だったと思います。

若松 僕が合宿で感じたのはやっぱり「4年生とは」ということで、試合、練習、グラウンド外などいろいろな場面で4年生のあるべき姿というものを今一度見直させられた夏合宿だったかなと思います。1〜3年生の時は引っ張られる側でそこにいるだけの人間だったのですが、大田尾さんが「やっぱり大学スポーツは4年生で、4年生のチームなんだよ」ということを僕たちによく言ってくださっていて、やっぱりそういう4年生とはどういう姿であるべきなのかということは合宿から帰った後も考えさせられましたし、そういう意味ではいい機会だったかなと思います。

 

ーー今お話にもありましたが、改めて帝京大戦の勝利を振り返っていかがですか

西浦 偶然勝てたのではなくて、自分たちがやるべきことをやってちゃんと戦えたんだということをすごく実感した試合だったなと思います。

亀山 ​​やりたいことをやれば勝てるチームだというのがしっかり分かったので、そこは対抗戦(関東大学対抗戦)や選手権(全国大学選手権)で当たる時にもすごく自信につながるのではないかなと思います。逆にやりたいことをさせてもらえなかったら春のようにすごい点差で負けてしまうし、そこはやっぱり自分たちの立ち返える部分としてあの勝利があって良かったなと感じています。

 

ーー翌週の天理戦を振り返ってはいかがでしたか

亀山 ノリがすごいというか、勢いに乗らせてしまうと止められなくなる部分がやっぱりあって。昨年負けた京都産業大学などにも言えることなのですが、得点を許してしまったり、少しペナルティーを与えてしまったりするとそれだけですごく盛り上がって、またそこからどんどん元気になっていくチームが関西には多くて、そういう時に自分たちがのまれないようにするという部分があまりできていなくて大量に点を取られてしまったなと思います。

西浦 やっぱり自分たち、特に4年生の弱いところが出たなと思います。健次はプレー面でもすごく引っ張ってくれているのですが、それ以外の精神面での引っ張りも大きくて。それがなくなると、最初に結構トライを取ったけれどその後何本か取られてしまってという場面で、自分たちの力を信じて本来の姿を取り戻せば全然戦えたと思うのですが、マイナス方向にみんな行ってしまって、自分たちで自分たちの首を絞めて流れを変えられませんでした。健次がいたら何か変わっていたのかもしれないのですが、それができなかったというのが自分たち4年生の反省点で、特にFWはそこがまだまだなのですごく悔しいし、けれどそれ以上に自分たちが変わらなくてはいけないなと思った試合でした。

鈴木 初めの僕たちの感触的には悪くないなという感じだったのですが、そこで悪くないな、いけるなと思ったところにつけ込まれて、イーブンボールを取られて、押し込まれて、流れも持っていかれるみたいな形で。やっぱりそこで(流れを)持っていかれないことが大事で、僕たちが前でもっと4年生としての姿を見せるべきであったし、声を出したり円陣を組んで話したりするのもやっぱり3年生だったので、そこで喋れるような自信をつけなくてはいけないし、もっと喋って良いんだと4年生は思うべきなのかなと思いました。

若松 僕は出ていないのですが、いい雰囲気で試合に臨めたかというとそうではなくて、少しイレギュラーな部分もあって総じてあまりいい準備はできていませんでした。やっぱりそういう環境作りは大事で、​​緩い雰囲気で練習していたら結局試合はこうなると分かっていたのにも関わらず、練習の雰囲気を4年生が作れなかったというのは反省しなくてはいけないですし、ここから負けられない試合が始まる中でそういう準備の大切さを改めて学びました。



ーーチームとして合宿を通して成長したと感じる部分はどこですか

亀山 チームとしては、準備をしっかりしないとやっぱり良い結果は残せないということを、敗戦もあって改めて学んだ部分があるのではないかなと思います。

西浦 帝京大戦のように、自分たちのやるべきことをしっかり遂行する、そして自分たちはちゃんと戦えるというマインドセットを持っていれば、そういう良いゲームができて勝てるし、逆にそれができていないと天理大戦のように自分たちで崩れてしまうということで、強みも弱みも知れて学びの多い合宿だったのかなと思います。

鈴木 プレー面ではブレイクダウンにすごくこだわりを持って夏合宿は取り組めたのかなと思います。ブレイクダウンで相手を倒す、倒そうと思う力というか、圧倒しよう、『Beat Up』しようという気持ちがみんなに芽生えたことが一番成長したところだと思います。

若松 僕は、チームとしての勝つ意欲かなと思います。去年の秋ぐらいからC、Dチームの勝率が良くて、この合宿でも良い試合をしていて。僕たちが1年の時は5ー80ぐらいの点差で帝京大に大敗して、A(チーム)は勝ってもC、D(チーム)は負けてしょうがないみたいな雰囲気があった中で、今は帝京大にほぼ4本立てできるようになって、やっぱり王者のチームとしっかり戦えて勝利を収めることができたというチーム全体の成長は、過去の自分と照らし合わせてより感じました。

 

ーー夏合宿を経て、改めてセットプレーの成長の手応えはいかがですか

西浦 スクラムでもラインアウトでも、今はまだまだ改善できるところがあるなと思っています。僕はラインアウトが毎回同じ精度でできていないというのがあるので、そこは改善しなくてはいけないポイントだと思いますし、これからはその精度の部分で高みを目指していかないと対抗戦や選手権ではで自分たちの満足するように戦えないなという風に思うので、まだまだなというのが答えになりますかね。

若松 やっぱりある一定の手応えは感じていながらも、まだまだ自分たちに足りないことははっきりと分かっているし、やらないといけないことは山積みですね。けれどもう今はやるべきことを日々積み重ねていくだけなので、しっかり良い形のものを4年生を中心に作れたらいいなとは思います。

鈴木 モールのところで、春までは良い形でできたら取れるでしょうぐらいの気持ちだったのが、夏から今にかけては何がなんでも取ってやろうとか、どんな形になったとしてもトライまでやり切ろうみたいな意識が芽生えてきたなと思います。

亀山 他大学に負けたくないとか、そういうプライドみたいなものがだいぶ芽生え始めたのかなと思います。プライドを語れるような、そういう強さというのはある程度できつつあると思うので、その中で強くなった分、やっぱり少し傲ってしまう部分をしっかり自分たちと向き合って考えていく必要があるという風には感じています。

ラストシーズンへの意気込みを語る若松

ーー最後に、ラストイヤーの対抗戦への意気込みとファンの方々へのメッセージをお願いします

西浦 ここまで来たからには4年生がしっかり引っ張って、対抗戦も選手権も1つも負けずに、最後良い結果で終われるように頑張りたいと思います。

若松 僕は自分のポジションがまだ獲得できてないので、まずは何が何でも自分のポジションを獲得するというのと、まぐれで優勝したチームというのはやっぱり感じが悪いので、しっかり対抗戦から全勝して、勝つべくして勝つチームの1ピースに自分がなりたいし、それを4年生として健次と一緒に作っていきます。

亀山 自分としては、すごく勢いのあるチーム、今年の早稲田ならいけそうって応援したくなるようなチームを目指して、それこそオフザフィールドの部分での自分たちの立ち振る舞いも含めて、応援してくださる方々に気持ちよく思い切って応援してもらえるようにしっかり頑張りたいと思います。

鈴木 対抗戦に向けて常に上を向いて走り切りたいなと思っています。きつい時に上を向いてみんなの笑顔を見て戦うというのも大事ですし、やっぱり4年生でも常に『荒ぶる』を目指して上の人間をいつでも超えようと思って日々練習を重ねていくことが大事だと思うので、日々の練習も試合も全部大切にして、あと4カ月間やっていきたいと思います。

ーーありがとうございました!

(取材・編集 西川龍佑、安藤香穂、大林祐太)

 

今シーズンの意気込みを書いていただきました!

◆亀山昇太郎(かめやま・しょうたろう)(※写真右端)

2002(平14)年9月17日生まれ。176センチ。117キロ。茗溪学園高校出身。スポーツ科学部4年。1年時から赤黒をつかみ、フロントローの中核を担ってきた亀山選手。最終学年を迎え、チーム、そして『荒ぶる』にかける思いはより一層強くなりました。今季、チームとしても注力してきたスクラムで相手を圧倒し、早大を『日本一』へ導きます!

◆鈴木風詩(すずき・ふうた)(※写真左端)

2001(平13)年6月6日生まれ。183センチ。99キロ。國學院栃木高校出身。社会科学部4年。西浦選手とはかつて通っていたラグビースクールが一緒で、小学生の頃からの付き合いだという鈴木選手。今季の春季大会では5試合全てに出場し、大きな存在感を示しました。持ち味であるアグレッシブなプレーで、十数年来の親友と共に悲願の『荒ぶる』を目指します!

◆西浦剛臣(にしうら・たけおみ)(※写真中央左)

2002(平14)年1月10日生まれ。184センチ。94キロ。ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール出身。社会科学部4年。2年時まではWTBとしてプレーしていたという異色な経歴を持つ西浦選手。今季からは赤黒の4番を背負い、早大FWを率いてきました。若松選手にアドバイスを貰いながら練習に励んできたというラインアウトで、チームに流れを引き寄せてくれることでしょう!

◆若松泰佑(わかまつ・たいすけ)(※写真中央右)

2002(平14)年4月9日生まれ。184センチ。102キロ。早稲田実業高校出身。文化構想学部4年。取材では一つ一つの質問に丁寧に答えてくださった若松選手。ブルーハーツの曲が大好きだそうで、最近はアルバムも購入したとのこと。人一倍、ラストイヤーの対抗戦にかける思いが強い若松選手の気迫あるプレーに乞うご期待です!