加藤が二冠達成! 男子7位、女子3位でインカレ閉幕

競泳

第100回日本学生選手権 9月8日 東京アクアティクスセンター

ついに最終日を迎えた日本学生選手権(インカレ)。最終日には応援、会場の雰囲気もさらに熱を増し、選手を奮い立たせた。この日早大からは、加藤心冨(スポ1=埼玉・春日部共栄)が二冠を達成し注目を浴びた。エース・松本信歩(スポ4=東京学芸大付)、山口遼大(スポ2=東京・暁星)は2位を獲得。接戦となった最終種目の4×200メートルフリーリレーを男子4位、女子2位で終え、今年のインカレに幕を下ろした。これにより、男子は235.5点で総合7位、女子は330.0点で総合3位という結果に終わった。男女とも目標順位には届かなかったものの、各選手が死力を尽くしてハイレベルなレースを戦い抜いた。 

応援する選手たち

★1年生・加藤が二冠達成!

100メートル平泳ぎで優勝を果たし、200メートル平泳ぎでも優勝を狙う加藤は、その予選を4位で通過。「予選で疲れを感じた」という加藤だったが、決勝で再び圧巻のレースを見せる。前半から飛び出し、100メートルを過ぎて頭一つ抜け出す。他選手に追われる展開となるが、ラスト50メートルのターンでさらに加藤がギアを上げ、体一つ分以上抜け出した。そのまま2位の選手に2秒以上の差をつける、驚異的なレースで見事優勝。100メートル、200メートルともに自己ベストを更新しての二冠を達成した。

決勝を泳ぐ加藤

★松本、山口が銀メダル

松本は、自身が日本学生記録を持つ100メートルバタフライに出場。「調子があまり良くなかった」と語った松本だったが、決勝で後半から追い上げを見せる。しかし自身のベストタイムには届かず、銀メダルでこのレースを終えた。「とりあえず2番を死守できたので、今日のところは良かった」と振り返った。そしてこの日個人2種目に出場し、非常にタフなレースとなった山口は、50メートル自由形で決勝に進出。決勝は8レーンからのスタートだったが、最初から抜け出すスプリントの強さを見せつけ、22秒54の自己ベストで見事2位に輝いた。表彰式後すぐに100メートルバタフライの決勝へ。予選では自己ベストを更新し調子の良さが伺えたが、決勝は疲労が残り8位に終わった。非常にタフな1日だったがチームに貢献し、今後に弾みをつけるインカレとなった。

 

表彰台から仲間に手を振る松本

銀メダルを獲得した山口(写真右)

100メートルバタフライのB決勝には、これがインカレラストレースとなる山本拓武(スポ4=千葉・成田)と、200メートルでは4位を獲得した新開誠也(スポ2=鹿児島情報)が登場。200メートルは予選落ちだった山本。4年生の意地を見せ、インカレ最後のレースを4位で締めくくった。リレーもこの後に控える新開は、予選で更新した自己ベストをさらに更新。52秒台に乗せ、1位でB決勝を終えた。

レース後喜ぶ新開

★リレーは大接戦で波乱の展開に

インカレ最終種目の4×200メートルフリーリレー。満身創痍の中だが、今大会一番の盛り上がりを見せた。女子は400メートル、800メートルで活躍した松﨑りん(人2=東京・日大二)、青木虹光(スポ1=群馬・明和県央)、そして4年の松本と女子主将の小原天寧(スポ4=東京・目黒日大)の4人で決勝に臨む。1泳の松﨑が6位で青木につなぐと、青木は2分を割るタイムで2位まで追い上げて松本へ。インカレラストレースとなる松本がさらに追い上げて1位の近畿大学との差を詰める。100メートルの折り返しで1位につけると、同じくラストレースを迎える4泳の小原へ。近畿大との差はわずか。終始接戦で結果の読めない展開となり、勝負はラスト50メートルへ。しかし最後わずかに近畿大に競り負け、悲願の優勝にはあと一歩届かず銀メダルとなった。小原女子主将は「もうこれ以上はなかった。感謝の気持ちでいっぱい」と笑顔でレースを振り返った。男子の決勝はインカレラストレースを迎える長牛太佑男子主将(スポ4=京都外大西)、4日間タフなレースをこなした原空輝(スポ3=東福岡)、予選で1分49秒台の好タイムをマークした林大輝(スポ3=大阪・同志社香里)、個人でも調子を上げている新開の4人で挑む。他大学はオリンピック出場者や世界で活躍する選手たちも顔をそろえ、ハイレベルなレースが予想された。早大チームは「最高のメンバー」と語った長牛がスタートを切り、4年間の思いをぶつける泳ぎを見せ、1分49秒66で4位で原へとつなぐ。原がそこから3位まで追い上げて林へ。林が3位を守り、アンカーの新開へとバトンを託す。しかし東洋大の4泳・牧野航介が追い上げ、最後わずかの差で表彰台を逃した。悔しい結果となったが、それぞれが全力を出し切り、今年のインカレを終えた。

 

男子フリーリレー後、手を取り合う早大選手たち

第100回という記念の年を迎えた今回のインカレ。チームの目標順位には届かなかったものの、選手、そしてサポートの部員たち一人ひとりの思いがチームに力を与え、『栄虹』のスローガンを体現する早大の姿を見せてくれた。4年生の多くはこのインカレで競泳人生に一区切りをつける。小原女子主将はラストインカレについて、「今までで1番充実していた」と振り返った。1年生のメダル獲得も目立ち、早大の名がとどろいた今大会。長牛男子主将は「もっと強くて良いチームになっていくのでは」と語った。インカレを終え、早大水泳部は新体制を迎える。選手たちは日本選手権、ジャパンオープンと続く、次の舞台を見据えていた。今後のさらなる飛躍へ向け、早大は新たな一歩を踏み出していく。

表彰台に立つ早大選手たち(写真左から松﨑、青木、松本、小原)

(記事 神田夏希、写真 新井沙奈、土橋俊介)

コメント

長牛太佑男子主将(スポ4=京都外大西)

ーー最後のレース、どんな思いで

戦うメンバーとしては、自分の中で最高のメンバーだったので、この結果で終わってしまったのは悔しいですが、最後に良いレースができたかなと思います。

ーーレース前はメンバーとどのような話を

僕自身の気持ちも伝えて、一番練習も近くて見てきた3人だったので、最後良い思い出が作れるようにしようという話をしていました。

ーー1年生の活躍が目立った、今後の早稲田に期待することは

 本当に1年生中心に後輩たちがすごく良い結果で泳いでくれたので、これからの早稲田はもっともっと強くて良いチームになっていくんじゃないかなと思います。

ーー自身の泳ぎや主将としてインカレを振り返ってください

 個人のレースとしては200メートル自由形で結構良いレースができたかなと思ってるんですけど、主将として、4年生としてはもっとチーム競技だったり、声かけだったりというところで、チームを良い方向に引っ張れたのではないかと思います。ここまで来たのも僕1人の力ではないので、これからの良い糧になるような大会になったのではないかと思います。

小原天寧(スポ4=東京・目黒日大)

ーーインカレラストレースでした。振り返って

今までで1番充実してて、かつタフな4日間だったなと思うんですけど、最後後輩たちが表彰台乗せてくれたかなっていう感じです。

ーー決勝は同期の松本さん、一緒に400、800メートルを泳がれた松﨑さん、青木さんと泳がれました。いかがでしたか

大好きなメンバーで最後泳がせてもらって、ほんとに感謝の気持ちでいっぱいです。

ーー最後のインカレは全体的に振り返ってどんなものになりましたか

女子全体として、もうこれ以上ないほど頑張った4日間だったかなっていう風に思います。目標には届かなかったんですけど、全員予想得点よりもたくさん得点が取れた結果なので、もうこれ以上はなかったかなっていう風に思います。

ーー女子主将としてこのインカレを振り返って

今までとは違う、背負うものがある4日間だったなっていう風に思っていて。そうじゃなかったらここまでしっかり乗り切れてなかったと思いますし。チームのメンバーみんなに感謝の気持ちでいっぱいです。

松本信歩(スポ4=東京学芸大付)

ーーリレーを振り返って

本当に最後だったので、調子はあんまり良くなかったんですけど、最後に力を振り絞って、みんなのために泳ぎました。

ーー主将の小原選手が控えていたので、1位で渡したいという思いが強かったですか

そうですね。とにかく私のところでちゃんと離して行かないといけなかったんですけど、最後ちょっと稼ぎきれなかったので、ここがやっぱり1位にはなれなかった要因だったかなと思います。

ーー今大会、早大は新1年生の活躍が目立っていました。頼もしい後輩が入ってきてどうですか

個人種目でかなり上位で戦ってくれる選手が多くて、私たちが抜けた後も頑張ってくれるかなと思います。

ーー個人種目の決勝のレースは

ほんとバタフライでとりあえず2番を死守できたので、今日のところは良かったと思います。

ーー200メートル個人メドレーの優勝もありました。全体的にラストインカレで振り返って

強化がやっぱりこの大会に向けてはあんまりできてなかったのですが、 200メートル個人メドレーの4連覇も、最後までちゃんと頑張りきれたのはよかったです。

ーー今後の目標を教えてください

いオリンピックを終えて、2分07秒台を出せる選手になってかなきゃいけないなと思ったので、ハイレベルの戦いをして代表に入って、国際大会で決勝で戦えるようになりたいです。

林大輝(スポ3=大阪・同志社香里)

ーーリレーの予選を振り返って

僕は4人の中だと力が1番低くて、決勝出るかもわからなかったので予選で全力で泳いで、後ろの原がここまでタフなレースをこなしてるので、それをできるだけ楽させてあげるつもりで頑張りました。

ーー予選のタイムについてどうでしたか

予選で僕の大学生活の中で初めて1分49秒台っていう数字を見ることができて、 決勝を絶対あげてバトンを渡したかったんですけど、力不足でした。

ーー決勝のレースを振り返って

余力持って前半入ったつもりなんですけど、やっぱり最後の50が全然上がらなくて。練習を400メートル中心で結構やってたので200のきついところで粘れるが力がついていなかったのかなっていう感じもしました。

ーーインカレ後の意気込みをお願いします

関西学院大学との対抗戦が明日あるので、そこで1回インカレで一旦シーズン的にはリセットだと思うんですけど、そこでも気持ち切らさずにもう1回、 多分僕の中では結構いい状態にはなってると思うので、頑張っていきたいと思います。

山口遼大(スポ2=東京・暁星)

ーー今日はタフなレースでした。100メートルのレースを振り返っていかがですか

僕自身、個人としてもまさか50メートル自由形で表彰台に登ると思ってなくて、多少想定はしてたんですけど、 思ったより間の時間が取れなくて、ちょっと回復が間に合わなかったのかなって思います。そこは多分今後もこういうレースはあると思うので、 疲れを抜く方法というか、そういう力が足りないことが出たレースかなと思います。

ーー50メートルは銀メダル獲得されました。振り返っていかがですか

正直8コースだったので何も考えずにというか、気負わずにいけたのが良かったかなとは思うんですけど、 同期の1位を取った重藤(重藤流世、近畿大)に0.4秒離されてるので、まだまだ足りないなっていうのは正直な感想です。

ーーインカレ後の意気込みをお願いします

(50メートル自由形の)22秒5も(100メートルバタフライの)52秒7も、 あと50メートルバタフライの23秒6も日本選手権だったりジャパンオープンでも決勝に残れて戦えるレベルだと思うので、よりタフになっていろんなレースをこなせるように頑張っていきたいなと思います。

加藤心冨(スポ1=埼玉・春日部共栄)

ーー二冠を達成しました。いかがですか

二冠を目標にしていたので、すごく嬉しいです。

ーー疲れもあったかと思います。どんなレースプランで臨みましたか

予選を泳いで、すごい疲れを感じたので、自分のレースができるか不安だったんですけど、決勝では思ったようなレースではなかったんですけど、最後全力で泳ぎ切れたのが良かったと思います。

ーーここからどんな選手になっていきたいですか

4日間のレースを通して、疲れが出てきてしまって、体力がないと思うので、そこでしっかり自分のレースをできるような選手になりたいです。

ーー自己ベストでした。どこが今日はよかったですか

ベストより前半の100は速かったので、そこはよかったかなと思います。ラスト50で粘れたのが良かったです。ラスト50メートルで離すレースを何回もしてきたのでそこは自信がありました。

ーー午前中終えた時点では疲労がみられました。そこからどう修正しましたか

ケアをしっかりして、あとは予選は少しテンポを上げて泳いでしまって、前半で疲れて後半失速してしまったので、ベストが出てきてた時と同じように、前半は楽に泳いで後半勝負っていうレースプランをうまく泳げるように意識しました。

ーー来年3月に選考会もありますが、そこに向けてはどうですか

このタイムより速いタイムで、1番下でもいいので派遣のタイムを切って、代表に入れるようにがんばりたいです。

松井理宇(スポ1=東京・日大豊山)

ーー決勝のレース振り返っていかがですか

フリーリレーの時にぎっくり腰で腰痛めちゃってうまく立てなかったんですけど、その痛みの中でこの22秒台出せたのは、いい感じで泳げたのかなと思います。

ーーフリーリレーでは涙も見られました。振り返って

もちろん優勝したいっていう気持ちで練習に臨んできたので、その3番という結果になってしまったんですけど、 それがどうしても悔しくて。来年頑張ろうかなって思います。

ーーインカレ後の意気込みをお願いします

あとちょっとで国スポ(国民スポーツ大会)が始まるので、そこで決勝に残って これからにつながるレースができればなと思います。

 

結果

◇予選

女子50メートル自由形

船越彩椰 25秒93【6位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本選手権突破

内田さくら 26秒27【14位】B決勝進出、自己ベスト

柴田菜摘 26秒39【18位】

男子50メートル自由形

山口遼大 22秒82【7位タイ】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本選手権突破

松井理宇 23秒11【12位タイ】B決勝進出

村上稜芽 24秒06【62位】

女子100メートルバタフライ

松本信歩 59秒30【4位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本選手権突破

男子100メートルバタフライ

山口遼大 52秒75【4位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本選手権突破、自己ベスト

新開誠也 53秒18【12位】B決勝進出、JAPANOPEN突破、日本選手権突破、自己ベスト

山本拓武 53秒19【13位】B決勝進出、JAPANOPEN突破、日本選手権突破

女子200メートル平泳ぎ

加藤心冨 2分28秒67【4位】決勝進出、JAPANOPEN突破、日本選手権突破

男子200メートル平泳ぎ

松田藍青 2分14秒45【18位】

女子4×200メートルフリーリレー

早大(松崎、青木、水野、小原)8分13秒72【5位】決勝進出

男子4×200メートルフリーリレー

早大(長牛、飯田、林、原)7分22秒18【6位】決勝進出

◇B決勝

女子50メートル自由形

内田さくら 26秒58【8位】

男子50メートル自由形

松井理宇 22秒94【2位】JAPANOPEN突破

男子100メートルバタフライ

新開誠也 52秒90【1位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破、自己ベスト

山本拓武 53秒25【4位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破

◇決勝

女子50メートル自由形

船越彩椰 26秒05【7位】JAPANOPEN突破

男子50メートル自由形

山口遼大 22秒54【2位タイ】JAPANOPEN突破、日本選手権突破、自己ベスト

女子100メートルバタフライ

松本信歩 58秒58【2位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破

男子100メートルバタフライ

山口遼大 53秒44【8位】JAPANOPEN突破

女子200メートル平泳ぎ

加藤心冨 2分24秒56【1位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破、インターC突破、自己ベスト

女子4×200メートルフリーリレー

早大(松﨑、青木、松本、小原)8分03秒79【2位】

男子4×200メートルフリーリレー

早大(長牛、原、林、新開)7分18秒75【4位】