第100回日本学生選手権 9月6日 東京アクアティクスセンター
日本学生選手権(インカレ)2日目。この日も早大勢が躍進した。1年生の加藤心冨(スポ1=埼玉・春日部共栄)が100メートル平泳ぎで優勝、青木虹光(スポ1=群馬・明和県央)が800メートル自由形で銅メダルに輝いた。さらに大盛況の4×100メートルフリーリレーでは女子が銀メダル、男子が銅メダルをそれぞれ獲得。早大の強さを見せつけた。
応援する選手ら
★3枚残り達成の800メートル自由形 青木が3位
決勝レースは、5日の予選で小原天寧女子主将(スポ4=東京・目黒日大)、松﨑りん(人2=東京 日大ニ)、青木が見事3枚残りを達成した800メートル自由形から開始。優勝も狙える位置からの決勝レースには、この後自身の決勝レースを控える長牛太佑男子主将(スポ4=京都外大西)らも応援に駆けつけた。仲間から惜しみない声援が送られる中、女子の中では最も長いレースがスタートした。レースは開始直後から、日本の長距離をけん引する難波実夢(近畿大)と梶本一花(同志社大学)がリードするかたちに。インカレ前に前半から積極的に行きたいと語っていた小原は、その言葉通り先頭集団に食らいついた。レース中盤には、早大の3選手が横一列に並び、し烈な3位争いを繰り広げた。残り100メートル、長距離でも手をかくテンポが落ちない青木、後半に力を発揮する松﨑が追い上げを見せる。表彰台争いを制したのは1年生の青木。松崎は表彰台こそ届かなかったものの、予選、決勝と自己ベストを更新し成長を見せた。また、この日現役最後の800メートルレースとなった小原は6位でのフィニッシュ。思い通りの結果とはならなかったものの、レース後には笑顔で「りんと虹光とも一緒に泳げて、良い最後の800メートル自由形になった」と振り返った。
レース終盤の小原
★加藤が自身も驚きのタイムで優勝
100メートル平泳ぎでも1年生スイマーの活躍が止まらなかった。決勝レースの8名中4名が1年生という中で、早大のルーキー加藤は予選1位通過。約2週間前に行われたジュニアパンパシフィック選手権でも自己ベストを更新して優勝するなど波に乗っている。「うまく調子を合わせて、早稲田大学に貢献する」ということを目標としていた加藤は、前半から頭一つ分抜け出すと、強化してきたビルドアップでゴール付近でもさらに周囲を突き放した。圧巻の泳ぎを見せ、1位でフィニッシュ。タイムを見た加藤は、目標とはしていたものの1分6秒台という自己ベストを大幅に更新したタイムに驚きを隠せなかった。加藤は二冠を目指して最終日の200メートル平泳ぎに臨む。
★大混戦の4×100メートルリレーは男子3位、女子2位で終える
この日から学校対抗のポイントが2倍となるリレー競技が開始された。予選は女子が5位、大会連覇がかかる男子は3位で通過した。早大の絶対的エース松本信歩(スポ4=東大学付)と5日に800メートル自由形で銅メダルを獲得した青木に船越彩椰(スポ3=東京・淑徳巣鴨)と内田さくら(スポ2=和歌山・向陽)を加えた4名で決勝に挑んだ。1泳の船越が4番手で松本に引き継ぐと、松本が上位3チームを猛追。内田が順位を2位に上げ、そのまま青木が接戦を制した。予選5位からのうれしい銀メダルとなった。男子は昨年この種目で学生新記録を樹立し、前回王者としてのプレッシャーがかかる中、昨年のメンバーである長牛男子主将と原空輝(スポ3=東福岡)に加え、新開誠也(スポ2= 鹿児島情報)と松井松井理宇(スポ1=東京・日大豊山)が奮闘。新開は決勝の疲れも残る中、4位で原につなぐと、原はじわじわと周囲を抜き去りトップで3泳者の松井へ。上位3チームがほぼ横一線に並び、勝負は4泳者の長牛男子主将に託された。最後の最後までどのチームが勝ってもおかしくない状況、タッチの差を制したのは明治大学だった。優勝を狙う男子チームにとっては悔しい3位。1年生の松井は涙を堪えきれなかった。
チーム早大にとっては歓喜も悔し涙もあった1日。選手からは成長や課題など様々な声が上がった。2日目終了時点で、総合順位は女子が3位、男子は5位につけている。男子総合4位、女子は悲願の総合優勝へ、それぞれの目標に向かって3日目も選手たちは泳ぎ続ける。
優勝した加藤
3位の青木
女子4×100メートルフリーリレーメンバー(左から船越、松本、内田、青木)
男子4×100メートルフリーリレーメンバー(左から新開、原、松井、長牛)
(記事 大村谷芳 写真 神田夏希、安藤香穂、植村晧大、田中瑠花、土橋俊介)
コメント
小原天寧女子主将(スポ4=東京・目黒日大)
――レースを振り返って
自分の結果は思っているとことは違ったんですけど、昨年よりは成長しているというところが自分でも見せれたかなと思います。りん(松﨑)と虹光(青木)とも一緒に泳げて、良い最後の800メートル自由形になったのかなと思います。
――目標としていた3枚残りを達成されて、何かレース前に3人で話しましたか
いつも通りハイタッチして、一緒に頑張ろうねと言って3人で入場しました。
――次のレースに向けて、意気込みをお願いします
明日の400メートル自由形が自分の中では肝なるかなと思っていて、昨年はおいしいところで決勝に行けなかったので。今年はりんと虹光としっかり泳がないといけないという目標があるので、明日は予選から全力でいきたいと思います。
内田さくら(スポ2=和歌山・向陽)
――リレーは予選から非常に接戦、どのような気持ちでに臨まれましたか
始まるまでは自分が決勝で泳ぐと思っていなかったんですけど、初日から結構ベストが出て、調子が良かったので、勢いに任せる感じで泳ぎました。
――レース前にメンバーと何か話は
具体的な目標とかは話していませんが、先輩の信歩さん(松本)と彩椰さん(船越)速いので、すごく安心感があって「頑張ろう」と言ってグータッチしました。
――ご自身の泳ぎの手応えはいかがでしたか
リレーだったので結構波を感じたんですけど、それをうまく使うというか、その勢いに乗って、最後私が帰りの呼吸の時に応援席が見えるので、それを力に変えて最後まで粘ることができたと思います。
――残りの個人種目のへの意気込みをお願します
あと50メートル自由形が残っているんですけど、この勢いそのままに、さらに距離が半分な分もっと接戦になると思いますが、競り負けないように頑張りたいと思います。
加藤心冨(スポ1=埼玉・春日部共栄)
――レースを振り返って
1分6秒台は目指してはいましたが、現実的に考えて1分7秒00ぐらいかなと思っていました。前半泳いで、 1分6秒台が出そうだなと思ったので良かったです。信じられないです。
――早稲田の一員になってインカレで泳いでいる気持ちは
中学3年生くらいから憧れだった早稲田大学に入学することができて、そこで最高の同期と憧れの先輩たちと戦うことができて、優勝することで貢献することができたので良かったと思います。
――今後の目標をお願いします
鈴木聡美さん(ミキハウス)に勝って、100メートルも200メートルも速い選手になることです。
結果
◇予選
男子200メートル自由形
長牛太佑 1分49秒90【8位】決勝進出、JAPAN OPEN突破
原空輝 1分50秒39【12位】B決勝進出
増田莉蔵 1分52秒91【33位】
男子200メートルバタフライ
新開誠也 1分56秒87【2位】決勝進出、JAPAN OPEN突破、日本選手権突破、自己ベスト
山本拓武 2分00秒76【8位】
入江崇也【失格】
女子100メートル平泳ぎ
加藤心冨 1分07秒48【1位】決勝進出、JAPAN OPEN突破、日本選手権突破
熊谷奈津季 1分14秒82【57位】
男子100メートル平泳ぎ
松田藍青 1分01秒57【14位】B決勝進出、JAPAN OPEN突破
女子4×100メートルフリーリレー
早大(松本、柴田、内田、水野) 3分46秒57【5位】決勝進出
松本信歩55秒98 JAPANOPEN突破、日本選手権突破
男子4×100メートルフリーリレー
早大(松井、山口、長牛、原) 3分20 秒18【3位】決勝進出
松井理宇 50秒02 JAPANOPEN突破
◇B決勝
男子200メートル自由形
原空輝 1分50秒10【2位】JAPANOPEN突破
男子100メートル平泳ぎ
松田藍青 1分02秒00【6位】
◇決勝
女子800メートル自由形
青木虹光 8分37秒61【3位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破
松崎りん 8分38秒86【4位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破、自己ベスト
小原天寧 8分45秒04【6位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破
男子200メートル自由形
長牛太佑 1分49秒27【6位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破
男子200メートルバタフライ
新開誠也 1分57秒03【4位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破
女子100メートル平泳ぎ
加藤心冨 1分06秒56【1位】JAPANOPEN突破、日本選手権突破、インターC突破、自己ベスト
女子4×100メートルフリーリレー
早大(船越、松本、内田、青木) 3分42秒32【2位】
船越 55秒93 JAPANOPEN突破、日本選手権突破
男子4×100メートルフリーリレー
早大(新開、原、松井、長牛) 3分17秒56【3位】
新開 50秒06 JAPANOPEN突破