第4回に登場するのは小林裕仁郎(スポ4=福井・敦賀)と石森崇大(スポ4=福井・敦賀)。同じ福井出身で、小学校、中学校、高校、そして大学と、人生の大半をともにしてきた。嬉しいことも辛いことも共有してきた二人。そんな二人がソフトテニス人生を振り返り、思うこととは。そして、少ない会話に秘められた熱い友情、改めて考えるお互いの存在とは。インカレを前にした、その胸の内に迫った。
※この取材は8月7日に行われたものです。
小学生から一緒の二人、当時は鳴き虫だった
対談中の二人
ーーまず、他己紹介をお願いします
小林 彼は石森崇大です。福井県出身で、小中高、僕と一緒です。 身長は178センチで、結構スタイルも良いです。表情をあまり表に出さないので、冷たい感じに見られがちです。クールな一面もあるのですが、意外と喋ってるとよく笑ったり、そういう結構お茶目な部分もいっぱいあるので、そういうところがかわいいやつです。
石森 彼は小林裕仁郎です。福井県出身で、小学校1年生から、いやもっと前からソフトテニスをやっています。ソフトテニスに全てをつぎ込んできたみたいな人です。 小中高一緒にいるのですが、彼は頑張り屋で、僕の10倍ぐらい努力をしているのではないかなと思っています。みんなの前ではいつもふざけたりして、みんなを笑わせているという、ムードメーカーみたいな存在です。
ーー趣味やハマっていることを教えてください
小林 趣味は音楽を聞いたり、自分が歌ったりするのも好きです。 最近は、来年から社会人になるのもあるので、テレビとかでニュースを見るように心がけています。意外とおもしろいニュースがあったりするので、そういうのをチェックするのが最近の趣味です。
石森 僕の趣味はアニメや漫画を見ることです。暇があれば基本漫画を読みます。有名で人気のある漫画は大体読んでいるかなと思っています。それで、最近ハマっていることは・・・
小林 ソフトテニス(笑)?
石森 そうですね。最近はソフトテニスにハマっています(笑)。4年生になって、多分今までで一番テニスを頑張っているのではないかなと思っています。
ーーお互いの幼少期の印象はいかがですか
小林 テニスを始めたのはどっちが先かはわからないのですが、 所属していたクラブのコーチが僕の父親で、父親から同い年に結構上手な子がいるよというのを聞いていました。ずっと一緒にいるのであまり覚えていないですが、昔からなんでも淡々と器用にこなすな、上手だなというような、そんな印象がありますね。
石森 クラブに入ったのが僕が小1で(小林が)小2なのですが、入る前からたまに来ていて、クラブの練習に。そこで多分初めて会ったのかなと思っています。印象かぁ。
小林 泣き虫?
石森 そうですね、泣き虫(笑)。彼のお父さんが怖かったので、よく怒られて泣いていました。
ーー昔と今を比べて、変わった部分と変わらない部分をそれぞれ教えてください
小林 昔は、僕もですけどガキなので、良くも悪くも結構泣いたり、 悔し泣きとかそういうのはしていたかなと思います。結構(石森は)内に秘めるタイプなので、そういうのはみんなの前で見せないようにしているのかは分からないですが、もう少し人前で泣いたりしても全然いいのになと思います(笑)。変わらないところは、別にテニスは関係ないんですけど、 割と初対面の人にはあまりガツガツいかず、遠くから見つめていて、だんだん距離を詰めていく、そういうスタイルは変わらないかなと思います。
石森 変わらないところは、テニスで言うと、ずっと小学校から声を出して、気迫あるプレーをずっとしています。僕は変わってしまったんですけど、そこらへんは彼は今までずっとそのスタイルでやってきてすごいなと思います。変わったところは・・・
小林 変わってないかな?
石森 変わったというより、変なところが増したなと思います。 奇声をあげたり、訳のわからない行動をいきなりし始めたりというのが大学になって特に増えたかなと思って、そこがちょっと変わってしまって残念ではあります(笑)。
僕たちのソフトテニスの原点
試合中の二人
ーー競技はいつ、どのようなきっかけで始めましたか
小林 僕は父親がコーチなのもあって、 実は5人兄弟なんですけど、僕が1番下で兄と姉が2人ずついるのですが、 全員父の影響もあってソフトテニスをしていたので、なんとなくその流れで、そのまま始めました。
石森 僕は小学1年生の頃に姉が中学校の部活動でソフトテニス部に入っていて、 親の知り合いか誰かにそのクラブチームを勧めてもらって教室に行き始めたのがきっかけです。
ーー今のポジションになった経緯を教えてください
小林 最初は小学生は結構二人とも後ろに下がってダブル後衛というのが多くて、最初はダブル後衛をしていました。多分僕は父親が後衛なのでそのまま後衛になったのですが、どこで分かれたんだろう?
石森 ここでペア組むとなって、多分(小林が)前衛ができないみたいな感じになって(笑)。
小林 まあ全然できたけどね(笑)。
石森 消去法というか。
小林 お前が行くしかないみたいな(笑)。
石森 組むならどちらか前の方がいいとなって、僕が前衛になって、そのままずっと前衛でやっています。
ーー自分の武器や得意なプレーはありますか
小林 自分の武器はスピードのあるボールと、さっき石森も言ってくれたんですけど、元気が持ち味かなと思っています。特に団体戦であったり、チーム競技になる時に、 自分が強く打って、自分がいい雰囲気をつくってという。高校の時はあまり上の大会まで行くことがなかったのですが、今、全国でもトップに上がる大学のなかでやっていても通用している部分かなと思います。
石森 僕は、これと言って突出した部分がないんですけど、全ての技術を高いレベルでできることかなというのは自分で思っています。あとは熱くなりすぎず、相手の嫌がることをやれているというのが自分の武器だと思っています。
「どうしても負けたくない」信頼できるライバル
試合中の小林
ーー数ある関東の強豪校の中で早稲田を選んだ理由を教えてください
小林 元々もう早稲田大学なんて入れるわけないなぐらいだったのですが、高校3年生の時に僕の高校のソフトテニス部の顧問をしてくださったというか、その年に入ってこられた先生が早稲田大学軟式庭球部のOBの方でした。その先生から高校の戦績で、1回だけ全国でベスト4に入ったことがあったので、「その戦績を使えば受けられるんじゃない?」という話をいただきました。この大学のOBである船水(颯人、平30スポ卒=現稲門クラブ)選手という選手がいらっしゃるんですけど、中学校1年生ぐらいからずっと好きで憧れでした。受かるわけないだろうなとは思いましたが、その選手と同じ環境で自分もやってみたいなと思ったので、とりあえず受けてみようと思ったのがきっかけですね。
石森 僕も同じ先生に早稲田大学を勧めてもらいました。元々関東の違う大学も受ける予定だったのですが、一緒に受けてみたらみたいな感じで言われて。それで受けたら早稲田大学に合格したので、早稲田に入学しました。
ーー4年間で一番嬉しかったことや印象に残っていることは何ですか
小林 僕は団体戦でも個人戦でも、 未だにたくさん勝ったなというような思い出は振り返ってもないですが、 まず昨年の秋の関東リーグで優勝した時と、今年の春の六大学リーグで団体戦で優勝した時は、自分の代になって優勝するというのはなかなかできない経験だなと思いました。これまで2位とか3位というのを六大学でも関東リーグでも経験してきて、 結構苦い思いをしてきました。自分の代でみんなで頑張って、優勝旗やトロフィーをみんなで持った時に、頑張っていてよかったなと思えたので、その瞬間は結構思い出に残っているかなと思います。
石森 大会の度に思うのですが、 小中高とあまり強豪校でプレーをしたことがなくて、初めて早稲田大学に入って、 大会でチームメイトのレベルの高いプレーだったり、白熱した試合を見て、それを応援できてる瞬間が楽しいし、一番嬉しいことかなと思います。
ーー逆に一番苦しかったことは何ですか
小林 校内戦の勝率は僕自身よくなくて。(校内戦で)勝てて大会で勝てるかと言われても、それもまた違うんですけど。 校内戦で全勝して帰れる日が少ないので、 特に1、2年生の時はレギュラーにも入れず、校内戦でも勝てずに、結構しんどい思いをしながら帰っていた時期が長かったです。レギュラーとして試合に出る前の日に、そういう時期をしっかり思い出しながら、そういう自分に胸張って見せれるようなプレーをできるように未だに心がけてはいます。
石森 3、4年になって団体戦に出る機会も増えてきて、大事な場面で自分の試合が回ってくることが多かったです。そこで勝てないことが続いたので、大会の後は自分のせいというか、責任を感じることが多くて、それが苦しかったです。
ーー同期はどのような存在ですか
小林 同期は僕らの代は10人もいるので、10人もいたら2、3人のグループに分かれたり、それこそ人間関係でギクシャクすることがあったりしても全然おかしくないと思います。 僕があまり知らないだけかもしれないですが、多分そういうのもなくて。本当に嫌な人がいないです。みんなもちろん全然違う性格なんですけど、 それがうまいことハマっていると思います。ここ二人で見ても全然性格も真逆なんですけど、そういうので、あまりぶつかることもなく、お互いにみんながいい刺激を与えたりもらったりしながらできる関係かなと思っています。レギュラーで試合に出る人も今の僕らの代が結構多くて、 テニスのプレー面でも、いろいろなことを教えてもらってるなと思えるので、切磋琢磨できるいい仲間です。
石森 同期は兄弟みたいな存在だと思っています。喧嘩はあまりないんですけど、話し合うとなった時も、気を遣うのではなくて、しっかり思っていることをそれぞれ言っています。それに対して感情的になってみたいなこともないです。しっかり高め合っていけているなというふうに感じています。同い年なんですけど、面倒を見る子がいたり、 みんなを笑わせる子がいたりというのが、本当に年が近い兄弟みたいな感じの存在だと僕は思っています。
ーー改めてお互いはどんな存在ですか
石森 うわぁ(笑)。
小林 うわぁとか言うな(笑)。お互いは・・・。実際部活でもあまり話すことは少なくて、なんなら1回も話さない日があるかもしれないです。でも、 それは僕的には長年いるからこそ、何考えているかがわかるというか、なんとなく感じ取れる部分があるからです。特に話さなくてもわかるし、いけます。そういうのもあって、そういう信頼関係は僕的にはあるのかなと思います。番手はずっとこっち(石森)の方が僕より上なので、 あまり勝たせてもくれないんですけど(笑)。そういうところでいくと、ライバルでもありながら、 まずこいつを超えなきゃいけないなという目指す目標でもあります。結構クールにバンと決めてくるので、イライラすることもあるんですけど(笑)。 でも、いい刺激をくれるやつだなと思ってます。
石森 僕もライバルだと思っています。僕の方が勝ってばっかりと言っていたんですけど、やはり校内戦で試合をやるとなると気合は入るし、どうしても負けたくないという気持ちになります。団体戦に僕が出ずに(小林が)出ているということもあったんですけど、その時は頑張ってくれという気持ちもありつつ、やはり自分が出れていないのが悔しいというのもあったので、(言ってくれたのと)同じで、刺激を与えてくれる存在です。
「インカレだけは優勝したい」、最後は誰よりも熱く
試合中の石森
ーー六大学や関東リーグ、東日本インカレを振り返って、今シーズンに点数をつけるなら何点ですか
小林 60点くらいかな(笑)。結果的に(秋の)関東リーグも六大学も優勝していて、六大学は4勝1敗でそんなに悪くはなかったです。でも、負けたから悪いとか勝ったからいいとかではなくて、試合の自分のプレーを振り返った時に、 勝った試合も負けた試合も結構淡白な内容が多かったです。多分見てる人からしてもおもしろくないというか、パンと決まったり、パンとミスったりみたいな感じで、内容がなくて。あまり中身がない試合だと、自分の中で、これできなかったなとか、これできたなとかが終わった後に見えてこないので、 そういう点で40点減点かなと思います。でも、自分の良さであるスピードボールだったり、元気の良さが出せていたので、そこで少し多目に見てあげて(笑)、60点です。
石森 ・・・。0点ですね。
小林 (笑)。
石森 やはり優勝以外ダメだなと思っているので、そこで優勝できてないという結果が0点かな(笑)。振り返ってみてもいつも通りのプレーができていなかったというか、まずメンタルで負けていました。勝負の土俵にも上がれていなかったなと感じているので、結果も内容もこの3つの大会は0点だったなと感じています。
ーー最後のインカレとなりますが、お二人にとってインカレはどのような舞台ですか
小林 個人のことはさておいて、1年間通して毎年毎年最終的な目標にしてるのがインカレです。昨年、一昨年と2位と3位で、インカレの借りはインカレでしか返せないと思っているので、そこは返さなきゃいけないなと思っています。僕は日本一をまだ取ったことがなくて、みんなで日本一の景色を見てみたいところです。 そこにかける思いというのは4年生全員一緒だと思うので、みんなでぶつけられたらいいなと思っています。
石森 僕にとってインカレは一番大きい大会です。さっき関東学生とか東カレとか振り返って0点と言ったのですが、インカレ優勝できればもう全部100点でいいかなと思えるような大会です。他の大会はどうでもいいと言ったら違いますけど、インカレだけは優勝したい、そう思えるような大会です。
ーー他校に絶対に倒したい相手、ライバルはいますか
小林 団体に出してもらえるかは分からないですが、大学名で言うと、個人的には関東リーグで勝てなかった中大、明治だったり法政とかはインカレでも上位に上がってくると思います。そこにはどうしても勝ちたいです。できれば自分で、みんなの前で、恩返しを含めて借りを返せたらなというふうに思っています。
石森 僕は今言っていた大学のどこにも負けたくないです。一番は日体大には負けたくないです。僕個人的に日体大に負けることが多くて、プレースタイル的にも苦手なプレースタイルなので、インカレでは絶対に日体大に負けることがないように終わりたいです。
ーー支えてくださるご家族にメッセージをお願いします
小林 今のところ社会人になってバリバリテニスをやる予定もなくて、ソフトテニスに時間を費やして、ソフトテニスに向き合える大会というのもインカレが最後なのかなと思っています。そこは自分のソフトテニス人生においても集大成になるところだと思っています。勝つ負けるも大事なんですけど、自分が悔いなく、笑顔で終われた姿を両親には見せられたらなと思っています。チームに対しては4年生はこうあるべきだという、お手本のような取り組みを見せられたら、来年以降もいいチームになってくれるのではないかなと思っています。そういうのは今からですけど、インカレに向けてどんどんそのいいところを見せていけたらなと思っています。
石森 最後の大会というのもあるので、今まで熱いプレーをしてこなかったので、最後ぐらいは声を出して、「石森君ってこんなに熱いんだ」と思ってもらえるような熱い漢になります!
ーー最後に、インカレに向けて目標、意気込みをお願いします
小林 みんなでインカレ取れるように、自分の役目をしっかり果たして頑張りたいと思います!
石森 インカレ三冠します!
小林 シ、シングル(笑)?
石森 早稲田でインカレ三冠します!
小林 そうだね!
ーーありがとうございました!
(取材・編集 佐藤結)
対談後の二人
意気込みを書いていただきました!
◆石森 崇大(いしもり・そうだい)(※写真左)
2002(平14)年4月30日生まれ。178センチ。福井・敦賀高出身。スポーツ科学部4年。前衛。大会終わりはいつもラーメンを食べるという石森選手。テニス以外に好きなスポーツはOBの船水雄太選手が挑戦しているピックルボールだそう。試合中も終始クールな石森選手ですが、小林選手からは「普段会話は少ないけれど、実は結構仲が良く、僕は石森の良いところを沢山知っています」とのこと! 色紙には「この夏誰よりも熱い漢になる」という目標を書いてくださいました。果たして、石森選手はどのような姿を見せてくれるのでしょうか!? 沖縄の灼熱の暑さに負けない闘志に期待が高まります!
◆小林 裕仁郎(こばやし・ゆうじろう)(※写真右)
2002(平14)年9月12日生まれ。171センチ。福井・敦賀高出身。スポーツ科学部4年。後衛。好きなタレントは山田涼介だと教えてくれた小林選手。インカレ開催地の沖縄に行くのは初めてだということですが、楽しみにしているのは海でもなく、食事でもなく、合宿中の夜にみんなで過ごす時間! 最近嬉しかったことは4年生へのモチベーションビデオを作成したらみんなに喜んでもらえたことだそう。人生で初めての日本一を今年のチームでみんなと達成したい。そんな仲間思いな小林選手の願いが実現しますように!