「浦学コンビ」の活躍で日大に劇的勝利　殊勲打は吉田の代打逆転サヨナラ２ラン

夏季オープン戦　９月４日　安部球場

　東京六大学秋季リーグ戦（リーグ戦）開幕まであと10日。残すオープン戦も２試合のみとなる中、早大は東都大学野球連盟１部の強豪・日大と対戦した。早大は、投手陣が粘りを見せ９回を１失点で乗り切ったものの、打線が援護できず８回までゼロ行進。攻守の歯車がかみ合わない展開が続く。それでも９回、代打攻勢に出た早大は、中村敢晴（スポ４＝福岡・筑陽学園）が四球で出塁すると、続く吉田瑞樹（スポ３＝埼玉・浦和学院）が左翼の頭上を越える代打逆転サヨナラ２点本塁打を放ち、２－１でサヨナラ勝ち。劇的勝利を飾り、リーグ戦前の夏季オープン戦最終戦に向けて最高の流れを作った。

　早大の先発は宮城誇南（スポ２＝埼玉・浦和学院）。ここまでの夏季オープン戦では安定感を欠く投球が続いていた宮城だったが、リーグ戦開幕が近づく中で持ち前のテンポの良い投球を披露。３回には１死一、三塁のピンチを背負ったものの、タッチアップを試みた相手走者を吉納翼副将（スポ４＝愛知・東邦）が強肩で刺すなど、バックも宮城を盛り立てた。６回に先制のソロ本塁打を浴びたが、それ以外は完璧な内容でマウンドを降りた宮城。６回自責点１奪三振５と、リーグ戦開幕直前にようやく復調の兆しを見せた。

先発の宮城

　宮城の好投を受け、何とか援護したい打線だったが、日大投手陣を前に得点を奪えない。２回には印出太一主将（スポ４＝愛知・中京大中京）、前田健伸（商３＝大阪桐蔭）の連続安打で無死一、三塁と絶好の好機を作ったものの、後続が三者連続で内野ゴロに倒れ無得点。６回に迎えた２死三塁の好機でも、小澤周平（スポ３＝群馬・健大高崎）が飛ばした鋭い打球は相手中堅手の好守に阻まれ得点ならず。初回以降は毎回走者を出しながらも、得点を奪えないもどかしい展開が続いた。

　打線の援護がない中でも、春季リーグ戦での躍進を支えた救援陣は安定感抜群の投球を見せる。特筆すべきは髙橋煌稀（スポ１＝宮城・仙台育英）だ。先頭打者を直球で押し込んで左飛に打ち取ると、続く打者２人を空振り三振に斬って取る圧巻の投球。早大の将来を担うパワーピッチャーが、その制圧力を遺憾なく発揮した。

圧巻の投球を披露した髙橋煌

　１点を追い迎えた最終回、早大は代打攻勢をかける。先頭の渋谷泰生（スポ３＝静岡）こそ二ゴロに打ち取られたものの、続く中村敢が四球で出塁。さらに代打で登場した吉田は２球目を振りぬくと、左越えの代打逆転２点本塁打に。今季こそ打棒が期待される男が、劇的なサヨナラ勝ちを決めた。試合後には「ちょっと上がりすぎたかと思ったが、入ってくれてよかった」と笑顔を隠し切れずに語った吉田。リーグ戦に向けて、最高のアピールに成功した。

サヨナラ本塁打を放った吉田。リーグ戦に向けて最高のアピールに成功した

　連覇を目指す早大の開幕戦は９月14日。夏季オープン戦最終戦には、社会人の雄・東芝が対戦相手として控えている。「春の忘れ物」への挑戦権をかけたリーグ戦に向けて、最高の流れでオープン戦を締めくくりたい。

（記事　林田怜空　写真　西本和宏）

◆コメント

宮城誇南（スポ２＝埼玉・浦和学院）
ーー試合を振り返って
　６回にホームランを打たれた場面と、３回に吉納さんがバックホームを刺してくれた場面、（ピンチだったのは）そこだけだったので、自分のピッチングとしては全体的に良かったと思います。
ーー東都１部の強豪を相手にどのような気持ちで臨んだか
　春のオープン戦で対戦した時も先発させてもらっていて、どういったチームなのかは分かっていました。しぶとい野球というか、いやらしく野球をするザ・東都といったチームで、自分自身もリーグ戦前最後の登板を良い形で終わりたいという中で、結果として６回１失点で投げられたので良かったです。
ーー同じ浦和学院出身・吉田選手のサヨナラ本塁打をどのように見たか
　最近良く打っていて、調子が良いことは知っていたので、打ってくれたら良いな、ぐらいで見ていました。まさか本当に打つとは思わなかったので、びっくりしました。
ーー自身も鋭い打球を飛ばしていましたが、打撃については
　最近になって投手も打撃練習に入っていて、六大学では投手も打席に入るので、そこを考えても自分で自分を助けられるように、打てるときに打っておきたいなという感じです。気楽に打席に入ってはいるんですけど、自援護できるように頑張りたいです。
ーーリーグ戦まで２週間、何に取り組むか
　キャンプから戻って以降、なかなか状態が上がらない中でのピッチングだったので、今日で少し兆しが見えました。ここからは調整というよりはどんどん上げていきたいと思います。

吉田瑞樹（スポ３＝埼玉・浦和学院）
――今日の試合をチーム全体として振り返って
　ベンチから試合を見ていた中で、相手ピッチャーが良かったので、点が取れなさそうだなっていうのは感じていました。投手陣が最後まで１点でしのいでくれたことが、最後ああいう形で勝てたことに繋がったんじゃないかなと思います。
――代打逆転サヨナラ２点本塁打を放ったが、どのようなことを考えながら打席に入ったか
フォアボールで中村敢晴さんがつないでくれたので、とにかく後ろにつなぐという気持ちで打席に入りました。
――打った瞬間の感触は
ちょっと上がりすぎたかなと思ったんですけど、入ってくれてよかったです。
――秋季リーグ戦に向けて大きなアピールに成功した。秋季リーグ戦に向けて意気込みを
全日本選手権の決勝にDHで出させてもらいましたが、そこで結果が出せず悔いが残りました。秋は勝負所で、チャンスで打てるように準備して頑張りたいと思います。