緊張の走る試合展開 2勝ならずも実りある1日に

水球女子

関東学生リーグ戦 5月25日 千葉・秀明大学ウォーターポロアリーナ

第1試合(大会規定により第2Pでコールドゲーム)

TEAM 1P 2P
早大 10 19
国士舘大
得点者 鈴木4、杉本3、阿部2 、手坂2、井上2、佐野2、橋本2、奥田、岩本

第2試合

TEAM 1P 2P 3P 4P
早大 17
東女体大 18
得点者 杉本6、鈴木3、佐野3、岩本2、阿部、手坂、橋本

 水球女子の夏が始まった。日本学生選手権(インカレ)のメダル獲得を目標に据える今季。そこに向けた「成長(奥田麗主将、スポ4=東京・藤村)」を遂げる1ヵ月にしたいのが、関東学生リーグ戦だ。初週の3連戦を2勝1敗とし、上々の結果で迎えたこの日は、1日2試合と体力勝負でもある。第1試合の相手は国士舘大だ。試合開始直後から流れるように攻撃を展開し、視線を左右に振って見せるアシストパスから大量得点。守りでも1対1の徹底したプレスディフェンスで相手のパスコースを遮断し、ほとんどのシュートを枠外に逸らした。全員の速さと正確性を存分に発揮し、最終スコアは19ー3で快勝した。第2試合は、互角の相手である東女体大。序盤は1対1の厳しいディフェンスに差し込まれ、シュートを打たせてもらえない相手ペースが続く。だが第3ピリオド(P)で一挙6得点の猛反撃に成功し、逆転した。だが第4Pを勝ち越されて試合は振り出しに戻り、PSO戦に決着を委ねることとなる。6球目以降のサドンデスゲームまで持ち込むがこれを落とし、接戦をモノにすることはできなかった。

テクニックの光るシュートでこの日計9得点の杉本

 13時、早大がセンターボールを取って試合がスタート。そのままの流れで鈴木杏梨(スポ2=東京・白鵬)がゴールを決めると、2分間で4連続得点と序盤から攻め立てる。ここで国士舘大がタイムアウトを取り、チャンスメイクを図られるが、シュートコースを逸らさせる巧妙なディフェンスが光った。守りからも勢いづいた早大は、3分半の佐野陽(スポ2=山口・西京)、6分の橋本彩星(スポ1=東京・白鵬)といった1年生も含め、立て続けにゴールを決める。その後も鈴木や阿部紗也香(スポ4=埼玉・芝浦工大柏)を起点としたスピード感のあるカウンターで相手を寄せ付けず、第1Pのみで怒涛の10得点。さらには厳しいプレスディフェンスで相手の連携を崩し続け、失点をゼロに封じた。  

パスコースを見定める橋本

 続く第2Pは、GKを木口京子(スポ2=京都女)から甘庶乃亜(スポ1=神奈川・桐光学園)にな交代して開始。まずは1分半、奥田麗主将(スポ4=東京・藤村)がゴールネットを揺らす。5分に初失点を許すも主導権は渡さず、杉本華音(スポ2=千葉・秀明八千代)の的確なミドルシュートや、鈴木のノールック気味でのループシュートなどで得点を量産した。本リーグ戦は規定により15点差でコールド勝利となるが、このPはペナルティースローを許すなど3失点。勝敗は第3Pに持ち越される展開も予想されたが、残り1分から手坂心乃(スポ4=千葉・秀明八千代)が相手得点を挟んで2点を決め切って逃げ切りに成功。無事快勝し、続く第2試合に体力を温存して圧勝した。

1年生ながら攻守ともに積極的なプレーを見せる岩本

 約2時間後に始まったのが、東女体大戦だ。序盤から抜かりないプレスディフェンスを前にボールが出せず、なかなかゴールに近づけない。先制の2得点を奪われた後に、ポイントゲッター・杉本がコート6メートル付近から的確なミドルシュートを決め入れ、なんとか1点をもぎ取った。しかしその後は相手にセンタリングを許すも、早大はシュートモーションにすら入れない場面も続き、1ー4で第2Pへ。まずは木口が連続で相手シュートをブロックし、勢いに乗った。直後の攻撃で杉本が技アリのループシュートを決めると、5分には阿部がカウンターに成功。さらにセンターへのパスも通り始め、積極的にシュートを狙っていた岩本実姫(社学1=三重・暁)がついに得点を奪った。その後ラスト1分から2失点したが、4ー8と逆転の余地を残して後半に託した。


厳しくディフェンスする奥田

 試合の風向きが大きく変わったのが、第3Pだった。鈴木がセンターボールを取ると、これを杉本にセンタリング。開始10秒で流れを引き寄せるゴールを決め、ここから早大の猛攻が始まる。佐野がミドルシュートを放ったかと思えば、3分には敵陣ゴール前で反則を誘って一気にカウンターに持ち込み、杉本が軽くネットを揺らす。そして4分、奥田のアシストを力強くシュートにつなげたのはまたしても杉本。これが同点弾となると、GK甘庶も幾度となくブロックを重ねてこのPを1失点に抑える。そして残り20秒、鈴木のペナルティースロー成功でついに逆転にたどり着き、最終第4Pに挑んだ。

度々のブロックでチームを支える甘庶

 このPも1年生GKの甘庶が躍動。ゴール目前から放たれた重量感あるシュートを、身体全体を駆使して跳ねのけていく。さらに直後のカウンターを鈴木が制し、右サイドからのループシュートで得点にまで結びついた。4分にミドルシュートで同点に並ばれるが、早大も負けじと小さな反則を誘いながらターンオーバーを繰り返す。5分には阿部が起点となり、杉本がバックをうまく使いながらセンタリングしたボールを、岩本が決め返した。ところが残り15秒で退水から数的不利に立ち、再びの同点弾を奪われる。ここで一度ゲームセットのブザーが鳴る。決着は大会規定により、ペナルティースローアウト(PSO)に委ねられた。相手と順番にシュートを放ち、5回のゴール数で勝敗を決める方式だ。早大の代表者は佐野、阿部、手坂、杉本、鈴木の5名。しかしこれも4ー4と同数になり、さらにサドンデスマッチへ。7球目を早大は失敗、東女体大は成功し、死闘は東女体大に軍配が上がった。

ペナルティースローを決める鈴木

 途中逆転勝ちが見えたゆえに、選手達の表情には悔しさを浮かんでいた。だがゲーム後半や、第1試合の国士舘大戦では、プレスディフェンスでシュートを打たせず、緻密なパス運びで着実なゴールを重ねる理想的な陣形を体現していた。「新しいことに挑戦しながらプレーしている(甘庶)」今年の早大の、毎試合の成長模様に目が離せない。

(記事、写真 中村凜々子)

インタビュー

奥田麗主将(スポ4=東京・藤村)

ーー先週が2勝1敗、落としたのは秀明大のみというところで上々な結果だったと思います。それを踏まえて、今週はどんな方針や課題点をチームで共有されましたか

 相手ありきの競技なので、勝敗の数というよりはどこのチームにどういった戦術で挑むのかを自分たちの課題であります。東京女子体育大学はこれまでも接戦をしてきた相手だったので、確実に勝ちたい一方インカレで最後に勝ちたい相手ではあるので、そこに向けて自分達がどのくらい成長できるのかというのを一つ課題にしていました。なので積極的に1年生を出場させて慣れてもらう試合にする、というのが監督含め自分達の目標でしたし、その1年生の成長具合は見て頂いた通りで、数字にも出ていると思います。その点で今後につながる一戦になったと思います。

ーー東女体大戦は、第3Pから一気に形勢を返す展開になりました。ハーフタイムで何か話し合われたりしたのでしょうか

 特に何かを変えたというわけではありません。恐らく無意識に相手の出方をインプットして、改善していった結果、3ピリあたりから良くなっていったのではないかと思いますね。

ーー今年は主将というポジションになっていますが、どのような経緯で就任されましたか

 皆さんに推薦して頂きました。

ーー今シーズン通しての目標と、それを見据えてのリーグ戦の位置付けについて、改めて教えてください

 やはりインカレに出てメダルを獲得するというのが私達の一番の目標ではあるので、学生リーグでは成長という点を一番に置いています。

ーーでは最後に主将として、今シーズン全体に向けた意気込みをお願いします

 キャプテンとしてまだまだ未熟なところはありますが、ありがたいことに同期にも後輩にも恵まれているので、個々のプレーを最大限引き出せるような環境づくりを私自身はしていけたらなと考えています。

甘庶乃亜(スポ1=神奈川・桐光学園)

ーー大学初めてのリーグ戦に先週から臨まれていますが、どのようなお気持ちや意気込みで戦われていますか

 自分の長所を活かせるようなプレーを心がけています。そして、失敗してもカバーしてくれる頼もしい先輩方がいるので、新しいことに挑戦しながらプレーしています。

ーー現時点では、前後半で木口選手と交代するスタイルを取られているのでしょうか

 今大会は1年生の育成のために、全員で交代して出場しています。木口選手とは試合状況に応じて交代しているような感じです。

ーー第2試合である東女体大戦について伺います。幾度となくボールを止め、一時逆転の展開に貢献されました。個人のプレーをどう振り返られますか

 冷静に状況を判断してポジショニングや指示出しが出来たと思います。しかし、時間がない時などに勝ち急いでしまった部分や、まだまだ周りを見れていない部分があったなと感じています。

ーー最後に、明日の日体大戦に向けて意気込みをお願いします

 全て止めます!