【連載】競泳 インカレ前対談『栄虹』 第4回 山口遼大×松井理宇×村上稜芽

特集中面

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第4回は、早稲田が誇る自由形のスプリンター、山口遼大(スポ2=東京・暁星)、松井理宇(スポ1=東京・日大豊山)、村上稜芽(スポ1=東京・駒場)の3選手。そこには学年という垣根を越えて互いを高め合う姿があった。

お互いについて

――他己紹介をお願いします

山口 (村上は)僕が早稲田で体験に来た時はまだそこまでインターハイとか切れるかなっていう多分レベルだったと思うんですけど、その時からすごく真面目で考えて泳ぐことのできる選手だなというのは一緒に練習を時には感じていました。いざ入学して一緒に練習してみるとやはりそれは間違っていなくて、高校3年生の時にインターハイも出ていますし、その目標に対しての適切な努力とか、そういう面ではすごい優れてる選手なのかなと思っています。今年は50メートル自由形ですけれど、100メートル自由形だったり他の種目だったり、色々可能性がある選手だと僕は思っています。

――村上さん、先輩の言葉を聞いていかがでしょうか

村上 すごい褒め言葉を並べていただいて(笑)。これからも考える力を使ってどんどん速くなっていきたいなと考えています。

――松井さんの紹介をお願いします

村上 理宇は高校から東京に出てきたということもあって、ずっと前から速かったので名前も知っていました。いざ大学が一緒になって、一緒に過ごしてみて感じるのは、すごく自分を持ってるというか、周りがこうやった方が良いとかあったとしても、自分なりの速くなるための手段を使って、自分の意思で自分のために行動してることが良い意味で伝わってきます。それがしっかり結果にも結びついていて、自分を持ってるという点は尊敬していて、これからももっと速くなって、早稲田の自由形を引っ張ていく存在になるのではないかなと思っています。

松井 その通りです。 


対談中の松井

――山口さんの紹介をお願いします
松井 僕が高1から東京に来て、自由形の選手ということで初めて遼大さんを知って、その時はまだ僕も何も知らなかったんですけど、泳ぎなどで全てがなんかこう繊細で細かな動きをしてる部分が僕が本当に尊敬してるところです。最初はまさか同じ大学になるとは思っていなくて、今こうして一緒に練習をすることができるので、たくさん刺激をもらっています。これからお互い自由形の頂点を目指して頑張っているので、本当に今年のインカレでは頑張ろうかなと思っています。(笑)

――後輩からの言葉はいかがですか

山口 早稲田に入ってから後輩って感じがして、今まではもう本当に競い合うライバルという感じの方が強かったので。こうして後輩になるというのも多少違和感はあったんですけど、やはり一緒に練習とかしていると尊敬というか、すごいなって思う部分が多々あるので、切磋琢磨し合いながら一緒に頑張っていけたらいいなと思っています。

――趣味やオフの日の過ごし方を教えてください

山口 休日は基本外出をしようと心がけています。あまり部屋の中に1人でいるのが好きなタイプではないので何か用事を作って外に出て洋服を買いに行ったり、家族とご飯を食べ行ったり、何かしら用事を作ってちょっと外に出るようにしています。洋服買ったりすることが多いかなという感じです。

村上 休日は、僕も1人は寂しいなと感じることの方が多いので、水泳部の同期で遊びに行くか、水泳部の同期が寮にいるって言ったら寮にいるという感じで1人にはならないようにしてます。

松井 最初の方は結構1人でいることが多くて、それこそ休日はずっと寝ることもあってもったいない時間を過ごしていたので、最近は地元の友達とかと予定を組んで外出するようにしています。

今シーズンについて

――今シーズンの目標や現時点での達成度、印象に残っているレースを教えてください

山口 今シーズンは自由形の短距離とバタフライを、結構本格的に並行して進め始めた年でした。東京都選手権で、自由形短距離とバタフライでどちらも自己ベストが出るというちょっと珍しい大会になって、自分の中ではその試合がいちばん印象に残っています。2種目やる上で少し難しいところもあったのですが、ちょっと落ち着いて考えながらできたのがそこの試合かなと思います。2種目の練習の仕方が分かってきてたところなので、インカレに関しても同じようにフリーとバタフライの2種目に出るので、そこでその時の調子に2種目合わせられるようにしていきたいなと思っています。

村上 今シーズンというか、大学に入学した当初は自由形とバタフライを並行してやろうと考えてはいたのですが、早稲田大学はバタフライのレベルが高いのと、6月の東京都選手権で自由形で自己ベスト出してから、自由形に本腰を入れようかなという意識に変わって、それからはインカレでも自由形で良いタイム出せるように練習しています。バタフライの練習はちょっと疎かにはなってしまっているのですが、今は自由形中心で練習しているところです。

松井 僕はずっと自由形を専門でやってきて、今年のインカレも自由形に出場させていただくんですけども、ここ最近、高校3年生あたりから練習とかがうまく詰めていなくて、自己ベストも全然もう1年以上出てない時もあったので、タイムは悪いんですけど、今の調子は結構良いです。シーズンを振り返るとタイムはそんなに良くはないですが、まだインカレという大きな試合が残っているので、そこでしっかり自己ベストを出せたらいいなとは思っています。

――今回のインカレで引退される4年生もいらっしゃいますが、4年生との印象的なエピソードはありますか

山口 100メートルバタフライで結構調子が良くなってきて、昨年もバタフライに出てはいたのですがほとんど4年生の山本拓武さん(スポ4=千葉・成田)には勝てたことはなかったのですが、今年の東京都選手権の決勝では隣で泳ぐことになってそこで初めて勝つことができて。リレーに関してもバタフライを引っ張ってくれている存在で、僕的にはその4年生が引退しても安心できるようなレースをできるようにと思って早慶戦は臨んでいたので、そこでちゃんと勝てて、シーズンベストとしても勝つことができたので、拓武さんにも安心して任せられるというようなことはおっしゃっていただいたので、そこはすごい印象に残っているかなと思います。

村上 4年生の関わりとして1番印象に残ってるのは、マネージャーの山中涼山中涼さん(スポ4=東京・駒場)です。被ってはいないんですけど、高校が一緒で何度か高校に来ていただいた時にお会いして、その時に早稲田大学水泳部の魅力など、色々なことを教えてくれたのがきっかけで体験に行かせていただきました。入学も最後に決定的となったのは、その涼さんから色々お話を聞いた内容がきっかけだったこともあるので、そこに対する感謝があります。涼さんから教えていただいた水泳部の良さ、具体的に言うと雰囲気がお互い高め合えるようなところが良いというふうに教えていただいて。引退するまでに周りと切磋琢磨して練習を積んでいる自分の姿を見せて、成長したなとか、そういうふうに試合も練習も含めて思っていただけたらなと思っています。

松井 水泳部主将の長牛太佑さん(スポ4=京都外大西)です。太佑さんがいたら、いつも練習とかでも「頑張れよ」と声をかけてくださるんですけれども、それが本当にうれしくて。関カレ(関東学生選手権)のリレーで僕が第一泳者になったのですが、その時も「頑張れよ」と一言声をかけてくださったことで、しっかり1着でつなぐこともできたので、本当に頼りになる主将だなと思います。かっこいいです。


対談中の山口

山口 長牛さんは全部のグループで練習する時やメインセットの時に、常に主将自ら明るい声出しや声掛けをしてくれて、個人に対しても「調子どう?」とか、個人に対しても的確な声掛けをしてくれているのを感じています。すごく引っ張る力のある主将だなというのは、僕が見ていても思いますし、僕もそれで調子が悪くても落ち着いて練習することができたこともあったので、そういう点ですごい主将だなと思います。

インカレについて

――インカレについて伺います、出場種目とそれぞれの目標について教えてください

山口 僕は50メートル自由形と100メートルバタフライに出場します。50メートル自由形に関しては、去年はB決勝止まりという不甲斐ない結果に終わったので、おそらく確認した段階だと3番手から8番手までのタイム差が0.1秒から1秒以内に詰まっていて、ある意味その実力差以上に本番でどれだけ力を発揮できるかというものが大事だと思うので、そこでしっかりと力を発揮して、表彰台を狙いながらみていけたらいいなと思っています。100メートルバタフライに関しては、今年初めて出場させていただくんですけど、50メートル自由形の40分後ぐらいのレースにはなりますが、先ほど話した拓武さんと僕の同期の新開(誠也、スポ2= 鹿児島情報)と3人で出場予定で、3人とも決勝を狙える位置にいると思っているので、3人で残って早稲田のバタフライの強さを見せられるようにしていこうと思っています。

村上 僕は今年、50メートル自由形1本に出場させていただきます。先ほど遼大さんの話にもあったランキングを確認してみたところ、54位エントリーっていう恥ずかしい順位でのエントリーだったので、まずは周りとの勝負に勝って、自分のタイムを少しでもあげる、自己ベストを0.01秒でも速いタイムにしたいです。B決勝のラインを見てもまずは自己ベストを狙った方が良いパフォーマンスができるのではないかというふうに考えています。自己ベストを狙って、自己ベストがチームに良い流れを持って行く1番の方法ではないかと思っているので、まずは自己ベストで良い流れを持ってこれるようなレースができるようにしていきたいです。


対談中の村上

松井 50メートルと100メートルの自由形に出場するんですけど、エントリーのそのランキングが6番とか9番なので油断すると予選落ちやB決勝という結果になってしまうので、大学1年生ではあるんですけれども、しっかり決勝に残って、水泳部にしっかり貢献できるような存在になりたいと思っています。

――現在、目標達成に向けて重点的に取り組んでいることはありますか

山口 先程、今シーズンの話でも言ったように、2種目やる上で、練習ごとにどちらかの種目に絞って集中して練習するという練習方法をとっています。年度始めの方は偶数本数だったら半分半分とか分けてやっていましたが、それだとどちらも頭が回らないというか、考えて泳ぐことがあまりできない状態だったので、今日はもう自由形の日。今日はバタフライの日というように各曜日、練習ごとに完全に分けてその種目に集中して練習して、2種目とも良い結果が得られるように取り組んでいます。

村上 僕は元々スプリンターではあったんですけど、50メートル1本などの練習はあんまり得意ではなくて、何本もこなしていくうちに力を出せていくという感じでした。インカレは1本しかないということで、最近は1本当たりの出力を増したり、1本でどれだけ自分の持っている力を出し切れるかに重きを置いて、1本で全部出し切れるような練習をしています。例えば25メートル1本ダイブとかがあったら、 もう毎回練習でいちばん速い自己ベスト狙ってミスをしないとか、そういうところを意識して練習しています。

――早大には自由形の選手が多くいらっしゃいますが、お手本にしている選手はいらっしゃいますか

村上 それこそ遼大さんは本当にスタートの技術において素晴らしいものを持って いらっしゃるのと、自分が聞きたいことあって聞くとすごい丁寧に教えてくれてお手本まで見せてくれます。刺激をもらっていて、言われたことを意識して泳ぎが良くなっていると思うので、そこはすごく感謝でいっぱいです。

山口 僕自身もスタートは武器だとは思ってるのですが、それでも多分トップレベルの人たちには足りない、まだ足りないとは常に思っているので、自分も人にアドバイスする上で自分を見つめ直すということもできるので、自分に足りないものが何なのかというのも得る機会だと思っています。そこは切磋琢磨ではないですけど、お互いにその良い点があって、自分が意識していないところに気づかされたり、もっと改良できるのではないかなどそういう気づきの場面が多いので、お互いに多分恩恵を受けているのではないかなと思います。

松井 僕は結構感覚で泳ぐ人なので、 感覚が悪い日は無理して頑張らずに、ゆっくり最後までやる感じで泳いで、感覚が良い日は最後まで頑張って、ダイブも1本1本集中してしっかり泳ぐようにはしています。

――早大で注目している選手を教えてください

山口 200メートルバタフライから入江崇也(スポ2=大分・佐伯鶴城)が注目、期待している選手です。彼は大学に入った時はとんでもない不調で、それでも昨年のインカレまでに多分当時のシーズン6秒ぐらいあげて決勝に残って僕は決勝に残れなくて、その努力の力というものをすごく感じた選手です。今年は関カレだと昨年よりもおそらく1秒2秒速いタイムで泳いできているので、今年のインカレはもっと上の順位を取ってくれるのではないかという期待を込めて入江を挙げさせていただきました。

村上 100メートルと200メートルの自由形に出場する1年の増田莉蔵(スポ1=静岡・浜松一立)です。彼は一緒にいたらすごい場が和むというか、面白い性格です。練習でいざ泳ぐとすごく真面目でストイックで、今日も隣で練習をしていたんですけど、勝負することでお互いに高め合える存在というか、練習も非常に強くて、僕も負けてられないなという気持ちで自由形を練習したりして。試合でも安定したタイムで泳いでいるのと、この前リレーで優勝して気持ちよさそうなガッツポーズをしていて、インカレでも見たいなという期待も込めた上での増田をあげさせていただきました。

松井 僕は村上稜芽が活躍してくれると思います。なぜなら、僕は稜芽と一緒に練習してるのですが、本当に練習は僕より速くて、1本集中が結構得意な人で、今回インカレも50メートル1本ということで、気合もかなりあるのではないかと思います。多分決勝に残って、決勝で早稲田3枚残りで点数を荒稼ぎしてくれるのではないかなと思っています。

村上 ご期待に添えるかはわかりませんが、最近1本集中の練習は特に力を入れていて、それが少し練習のタイムにも出始めています。自分でも納得のいく練習がここ最近は詰めているので、とりあえずもうできるところまでタイムを縮めないと自分の場合は何も始まらないので、タイムを今は1番大事に泳いでいます。

――ご自身のレースでの強みや注目ポイントを教えてください

山口 稜芽が言ってくれましたが、スタートからの抜け出としいうところは自分の強みというか武器だと思っています。おそらく決勝に残って戦うとなるとまだ武器と呼べるほど強いものではないと思いますが、初速というのは水泳の中ですごく大事な部分だと自分は考えていて、減速していく競泳競技の中で、自分の武器であるスタートというのはすごく大きな強みになり得るものだと思うので、そこに注目していただきたいなと思います。

村上 強みとしては、人よりちょっと身長が高いこと、腕が長く生まれてこれたので、それを生かしたひとかきひとかきガシガシダイナミックに泳ぐことが特徴かなと思います。それを生かして頑張ります。

松井 僕の武器としては競ったら負けることがないのでそれぐらいですが、競ったら負けることはないので。リレーとかもあるので、 必ず1番で来ないと僕の武器はなくなるのでそれぐらいです。

――最後にインカレに向けて、インカレ後の意気込みをそれぞれお願いします

山口 個人は最終日しかないのですが、その最終日で早稲田を盛り上げられるようなレースをしたいと思っています。そして、インカレ後に関しては来年の3月の日本選手権でユニバーシアードの代表に入れるように努力していきたいと思っています。

村上 僕は出させていただいていることに感謝をして、 1本全力で出し切れるように頑張ります。インカレの後は監督さんとも相談して、短距離の練習というよりは、中距離、短距離から中距離の間、100メートル、200メートルの練習を中心にやっていこうというふうになっています。その練習をすると、予選でリレーを泳いで早稲田に貢献できる機会が増えるかなと思うので、100、200メートルの練習しっかりして、様々な場面において早稲田大学に貢献できるように 頑張っていきたいです。

松井 僕のインカレの目標としては、どちらとも決勝に残って表彰台に上れたらいいかなと思っています。インカレ後に僕は国体などがあるので、そこで若干疲労はあるかもしれないですけど、そこでも結果を出して地元に貢献したいです。昨年の年末はあんまり強化ができていなかったので、今年はしっかり強化をして、選考会でユニバーシアードの代表に選ばれるように頑張りたいと思っています。

――ありがとうございました!

(取材、編集 大村谷芳)

◇山口遼大
2004(平16)年4月24日生まれ。179センチ。東京・暁星高出身。スポーツ科学部2年。休みの日には外出することが多いと話していた山口選手ですが、水泳部のメンバーとカラオケに行ったことが印象に残っているそうです!

◇松井理宇
2006(平18)年1月5日生まれ。169センチ。東京・日大豊山高出身。スポーツ科学部1年。対談中も常に冷静だった松井選手。そんな松井選手の好きな言葉は、「生きているだけで丸儲け」とのことでした!

◇村上稜芽
2005(平17)年10月20日生まれ。180センチ。東京・駒場高出身。スポーツ科学部1年。山口選手のスタート技術に感銘を受けたという村上選手。今回の対談でも両者の言葉から良い師弟関係が伝わってきました!