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第3回は、インカレで同種目に出場する原空輝(スポ3=東福岡)と増田莉蔵(スポ1=静岡・浜松)。練習や試合でも時間を共にすることが多い2人の関係性とは。
※この対談は、8月13日に行われたものです。
お互いについて
――他己紹介をお願いします
原 早稲田大学水泳部1年生の増田莉蔵です。専門種目は僕と一緒で100メートル、200メートルの自由形を主にやっていて、 出身はどこだったっけ(笑)。
増田 静岡です。
原 静岡から早稲田大学にやってきてくれました。競技面で言うと、すごく努力をしてるような感じの方かなと思います。練習中見てても、やっぱりすごいやる気に満ち溢れてるような姿がよく見られます。 得意なことと苦手なことは人それぞれあるんですけど、それを苦手でも逃げずに真面目にやってるという印象があります。人間としてというか、性格の面では、ちょっといじられキャラに近いような人かなと思います。良い子なので、みんなから好かれるような子だと思います。
対談中の原
増田 競泳の原空輝さんです。3年生です。僕の紹介でもあった通り、僕と同じで100メートルと200メートルの自由形を主にしています。福岡県出身で、僕は空輝さんの泳ぎが結構好きで、大きく泳いでるのに速いというか。重心移動とかが結構上手で、練習中も練習の途中でなんか見たりして泳ぎを真似したりではないですが、こんな感じかな、みたいに意識しながら練習しています。空輝さんはプルが多分日本でトップ3ぐらいで速いと思います。プルがすごくて、僕は今まで会った人の中ではもうダントツで1番で、もう大学入ってからびっくりするぐらいプルが強くて、そのプルが武器だと思います。練習もとても強くて、なんか全然僕のタイムよりはるかに速いタイムで何本も来るので、正直びっくりというか、勝てる気はしないです。あとは僕がたまに空輝さんにアドバイスとかを求めた時も、優しく丁寧に教えてくださって。言語化するというか、「自分がこうやって泳いでるよ」ということを言語化する能力がすごいたけている方で、アドバイスとかを聞いても分かりやすく丁寧に答えてくださるので、本当に尊敬できる先輩だなと思っています。
――増田選手からの尊敬は日頃から感じられていましたか
原 そうですね。なんかちょっと感じていました。色々泳ぎのことについて聞いてくれるので、向上心がすごく高いなと思っていて、なんか頼りにしてくれるのかなっていうのを感じてちょっとうれしいです。
今シーズンについて
――今シーズンの目標や現時点での達成度、印象に残っているレースを教えてください
原 今シーズンで、まずはパリオリンピックの代表選考会(国際大会代表選手選考会)があったと思うのですが、まずはそれに向かって、昨年のシーズンが始まった9月の後半ぐらいから頑張っていて、結果としては全然良くはなかったので、改善すべき点とかも色々見つかり、悔しい部分は残るんですけど良い試合だったかなとは思います。そこからはインカレに向けてずっと練習を積むというかたちになってきて、その中で様々な試合をやってきたのですが、だんだん調子が上がってきて。ベストタイムは出ていないのですが、ベストタイムに近づいていってるのでとても良い流れなのかなと思っています。可愛い後輩もできたので、もっと練習を頑張って負けないようにしなきゃなという気持ちも出てきたので、より一層頑張れているかなと思います。
選考会での原
増田 僕は昨年、高校生の6月ぐらいでベストが出て、そこから1年ぐらい出てなくて。高校生の夏が終わって、夏の途中ぐらいからスランプのようななんか全然水泳楽しくないというか、試合が怖くなっちゃったりとかして、大会に出てもどうせベストじゃないなという感じの気持ちになってたんですけど、最近早慶戦終わったぐらいから、だんだん良い感じのタイムが出始めて「やっぱ水泳楽しいな」というか、結構調子も上がってきたのでもっと泳ぎたいなとか、もっとタイムを出したいという気持ちに変われてたので、そこは結構大きなところで。今の現時点での目標は、インカレでA決勝進出という目標を持っているのですが、正直今のタイムでは全然届かないところにいるので、自分が残り1ヶ月でできることとしては覚醒するしかないなというのは正直思っていますね。体調も崩さず、怪我もなく順調には来ているので、普通に泳げばベストは絶対出ると思っていて、インカレに向けて頑張っていきたいと思います。
――スランプから抜け出すことができたきっかけは
増田 大学に入ってやはり環境がガラッと変わって、初めての寮生活とかで先輩とか見たことのない速い人たちからの毎日新しい刺激というか、ワクワクがすごくて、もっと頑張りたいなと思えました。初めて聞くことを自分で取り入れたりとかして、だんだんそうして水泳に打ち込めるようになってきたことが良かったのかなって思っています。
――今回のインカレで引退される4年生もいらっしゃいますが、4年生との印象的なエピソードはありますか
増田 僕は4年生の山本拓武さん(スポ4=千葉・成田)というバタフライの選手で、その人とは僕が体験に行った時に声をかけてくださって、そこから大会で会うと挨拶したりという感じだったのですが、大学に入ってから良くしてくださって。日曜日の朝にパン屋さんに連れて行ってくれて、買ったパンを寮で食べて、3時間ぐらい話したことが思い出というか印象深いエピソードですね。
原 僕は水泳のことに関して、印象に残ったのは主将の長牛さん(長牛太佑、スポ4=京都外大西)です。やはり長牛さんは練習がすごく強くて、高いスピードでは泳がないのですが、高いレベルでずっと頑張りきれるという。メンタルが強いのかよく分からないんですが、とにかく普通ではキープできないタイムでずっと来ているのがすごくて、こんな人がいるんだっていうことが3年間一緒にいて感じたことですね。
――増田選手も頷かれていました
増田 はい、そうですね。ちょっと言い方が悪いですけど、おかしいなって感じですね(笑)。すごいです。そこはもう勝てる気がしないですね。
インカレについて
――インカレについて伺います、出場種目とそれぞれの目標について教えてください
原 今回も昨年と同様に僕は100メートルと200メートルの自由形に出場します。100メートルでは一応優勝を目標にしていて、今回は順位も狙いたいとも思ってるんですけど、タイムを狙うようにしています。インターナショナルというタイムがあって、その標準記録を突破することが今回は1番の目的かなと思っています。インターCという結構レベルの高いタイムを切ることができれば、この先も結構スムーズに進むことができるので、まずはそのインターCを突破して、なおかつ優勝ということが一応目標になっています。200メートル関しては、ちょっとレベルが高いと思っているので、3番以内を目標に頑張っていきたいと思います。あとはリレー種目に多分全種目出るのですが、全種目メダルは絶対取りたいですし、僕がいれば安心と思われるような印象付けというか、そういうのをしていきたいと思っています。
――昨年の4×100メートルリレーでは学生新記録を出し、優勝されました
原 そうですね。昨年からフリーリレーは早稲田が強いというイメージになっているのでそれを継続したいです。今年がちょっと優勝がどうかなという感じなので来年優勝できれば来年も多分優勝できるので3連覇して早稲田強いなという印象を持ってくれたらいいなと思います。
増田 僕は空輝さんと同じで100メートル、200メートルの自由形に出場します。目標はA決勝進出で、今年はその監督とも話して完全に200メートルを極めるという方向性なので、200メートルがメインで、100メートルはその200メートルにつながるレースができればいいなと思っています。200メートルはレベルが高くて、自分の持ちタイムから2秒ぐらいは速くないと多分戦えないと思っているので、まずベストは絶対だなって思っています。なので、しっかり大舞台でベスト出せるように頑張ります。あとは800メートルのリレーに予選は出場するので、インカレは高校生の頃ずっとテレビで見ていましたし、昨年の学生新のレースも5回ぐらい見たぐらい、もう何回も見ていて。やはり来年自分がそこに入って活躍したいというのは高校生の時からずっと思っていたので、しっかりとそこの舞台にまずは勝てるように今頑張っていきたいなって思っています。
――現在、目標達成に向けて重点的に取り組んでいることはありますか
原 昨年から通して感じたのは、やはり技術的なレベルはある程度高いとは思っていて、まだまだ足りない部分は色々あるんですが、パワーがないなと感じていて。 昨年のインカレ後からウエイトトレーニングを多くするようにしました。まだ結果にあまりつながってはないのですが、インカレではパワーもついて技術も良くなって良いタイムが出るのではないかと思います。持久力はあまりやれてないという感じがするので、そこには不安要素はありますが、前半のスピードや見ている人が軽く泳いでるなって思っても、速く泳げているということがそこにつながってくるのかなと思います。
増田 僕は監督と4月の二者面談で話したのですが、まず僕はまだ200メートルを泳げる体力がないと言われて。体力が持ってない状態で200メートルをずっと泳いで、なんとなく、運良く持っていただけというのが高校生までの現状でした。今は大学に入って200メートル、400メートルというちょっと長い距離のチームに入れてもらって、そこでまずは体力の強化、まず200メートルをしっかり泳ぎ切れる体力を作るということをずっとやってきました。結果的に最初の試合からだんだん200メートルの泳ぎ方もつかんできて、後半はちょっと最後浮いちゃうんですけど、高校生の時にあった体力の不安要素というのは全然なくなってきたので、練習の成果が出てるのかなというのは思っています。あとはスピードが足りないので、スピードがもっともっと出ればいいかなって思います。
対談中の増田
――早大で注目している選手を教えてください
原 僕が注目する選手は、1年生女子の青木虹光選手(スポ1=群馬・明和県央)です。 400メートル、800メートルという長い距離を泳いでいるのですが、400メートルはストローク、手をかく速度がゆっくりというイメージを持つと思うんですけど、この青木選手はすごくテンポが早く、すごい体力だなと思います。タイム的にも3番以内を狙えますし、もしかしたら優勝も狙えてくるんじゃないかなって、ワクワクさせてくれるような選手になります。前半からしっかりいく選手なので、そこも見ていてワクワクするようなレースをしてくるのかなと思います。
増田 僕も1年生から、同期の加藤心冨(スポ1=埼玉・春日部共栄)という平泳ぎの選手です。普段は一緒には練習していなくて大会や合同練習とかでしか一緒にならないのですが、本当に平泳ぎが強くて。今の大学のランキングでも、もう本当に1番、2番のところにいて、インカレでも優勝が狙える選手です。彼女の強みは、大きいストロークでずっと泳ぎ続けるところで、テンポというより、しっかりかいてしっかり進むという泳ぎです。100メートルも200メートルも両方速いので、今年結構平泳のレベルも高くなるとは思うんですけど、その中でもぶっちぎりで勝つのではないかなと僕は思っていますね。リレーでもその加藤の泳ぎは、必要不可欠な存在だと思います。
――ご自身のレースでの強みや注目ポイントを教えてください
原 100メートルに関しては、やはり僕は前半からいくというのずっとやってきているので、前半は1番で回って、後半はひたすら耐えるっていうのやっていくので、前半もしっかり見て、後半ばてると思うんですけど、みんなに応援してほしいなと思います。200メートルは僕は1人手をかく速度が少し遅いと思うので、まずそれを見て「進んでるな」思ってくれたらうれしいなと思います。
増田 僕は空輝さんに比べると前半を見てほしいです。自分の中では前半が自分の強み、特に200メートルに関しては前半が自分の強みだと思っていて、楽に3秒台で入れるようになったので。そうですね。ターンして100メートルから150メートルの泳ぎが200メートルは自分の中では大切なポイントだと思っているので、100メートルでターンしてからのその50メートルで頑張って伸びるのでそこを見てほしいです。あとラスト50メートルはもう本当に死ぬ気で耐えるので、ちょっとばてたなとか思いながら応援してほしいです。
原 ばてないよな。(笑)
増田 はい、ばてないように。
――お2人は同じ種目を泳がれますが、お互いに伝えたいことなどあればお願いします
増田 僕から何もないです(笑)。
原 100メートルに関しては、正直なところA決勝は少し厳しいのかなと感じているのですが、B決勝には絶対残って1点でも多く点数を取ってほしいですし、仮にB決勝に行かなくても、ベストを出すだけでもチームに良い流れが持ってこれると思うので、とにかくベストを出して良い流れを持ってくるっていうのをすれば、自分だけではなくて周りにも良い影響が与えられるのかなと思います。200メートルに関しては、多分ベストタイムからもう1秒上げることができれば、決勝にはいくのではないかなという予想はしているので。あと1秒だったらもしかしたら(A決勝に)いける可能性が出てくるので、期待、ワクワクしながら、でも油断はせずにしっかりやれることはやって、最後はもしかしたらいけるかもしれないという希望を持って最後まで頑張ってほしいなと思います。
増田 ありがとうございます。
――最後にインカレに向けて、インカレ後の意気込みをそれぞれお願いします
原 まず、インカレは1番長く関わってきた4年生が最後の試合になるので、僕ができることには限りはあるんですけれども、できることは全部やって笑って終わってほしいなと思います。そのために色々頑張ってきましたし、本当にできることを全てやって送り出すというか、引退してもらいたいなと思います。インカレが終わってからは、僕はもう1回インカレがあるので、その来年のインカレや3月に世界水泳の選考会があると思うので、代表に入って、早稲田大学の僕としてだけではなく、日本代表の原空輝になれるように頑張りたいと思います。
増田 僕にとって初めてのインカレで、テレビでずっと見ていて来年この舞台に立つという思いでやってきたので、まずは1年生だからこそ楽しめる雰囲気とか、もう失うものはないというような1年生だからできることというのは絶対にあると思うので1年生らしく、ルーキーらしく頑張って4年生もほぼ最後の試合になるので、本当に結果でしか恩返しできないっていうところもあるので、しっかり結果出して恩返しができるように頑張っていきたいと思います。インカレが終わったら、僕はロサンゼルスオリンピックに出たいという夢があるので、そこに向けてタイムを上げるのもそうですし、色々な面で成長できるようにしたいです。あと3年は、あっという間に来ると思うので、1日1日を大切にしてそれに向けて頑張っていきたいなと思っています。
――ありがとうございました!
(取材、編集 大村谷芳)
◇原空輝(はら・たかき)
2003(平15)年8月20日生まれ。178センチ。東福岡高出身。スポーツ科学部3年。ギターが趣味だという原選手。休みの日に少しずつ練習しているそうです!
◇増田莉蔵(ますだ・りく)
2005(平17)年11月15日生まれ。177センチ。静岡・浜松市立高出身。スポーツ科学部1年。休日はとにかく寝ていると語った増田選手。今回の対談企画でも他のメンバーから何度も名前が挙がるほど愛されていました!