【連載】水球男子インカレ直前対談『咲』第1回 GK加納凪人×古谷典也

特集中面

日本学生選手権水泳競技大会水球競技(インカレ)直前対談第1回は、GK加納凪人(スポ3=三重・四日市中央工)と古谷典也(スポ3=東京・明大中野)の二人。高校時代は、ライバルチームとして対戦し、現在は、切磋琢磨しあう仲というお二人にお話を伺った。

※この対談は、8月17日に行われたものです。

お互いのこと

――まず、他己紹介をお願いします

古谷 加納凪人さんですね。誕生日が6月の・・・、わかんないな(笑)。多分6月の途中で21歳です。出身校は、三重県の四日市中央工業高校です。ゴールキーパーをやっています。

加納 3年生で同級生の古谷典也です。誕生日は、11月の・・・?(笑)

古谷 全然違うよ(笑)。

加納 いつだっけ?

古谷 9月ね。

加納 フィールドプレイヤーでドライバーをしています。

対談中の加納

――お互いの良いところと直してほしいところを教えてください

加納 良いところか、いっぱいあるんですけど。

古谷 ほんとかよ(笑)。

加納 水球面で言うと、シュートが持ち味で、ディフェンスがいない時やプレッシャーが少ない状態で打つシュートは、天下一品で、一級品です。私生活で言うと、いい意味でバカというか、ほんとにいい意味ね(笑)。明るいというか、エネルギーをもらえるところが良い所だと思います。直してほしいところは、いつもしゃべっているので、元気すぎるというか、うるさいので黙ってほしいなぁって思う時はありますね(笑)。

古谷 良いところは、とにかく彼はストイックで、水球に対しても、興味があることに対してもストイック度合いが他の人とは、かけ離れていて、尊敬する部分です。その反面ストイックすぎて、自分の世界入り込みすぎて、悪いリズムに乗ってしまう時があるので周りの声を聞いてほしいなと思って見ていますね。だけど凪人は、部屋が綺麗なのでそこは羨ましいです。

加納 汚いんですよ(笑)。

古谷 そういうところを僕も見習って掃除を始めて、良いところを盗んでいけたらなと思います。プレー面の良いところは、的確な指示とセービングで、キーパーにおいて必要なものは全て持っているので、このままいてもらえたらって感じです。

――趣味やハマっていることはありますか

加納 最近釣りのゲームをよくやっています。現実でもやりたいなと思って、一週間ぐらい前にAmazonで釣竿を買いました。

古谷 もう行ったの?

加納 まだ行ってない(笑)

古谷 行こうぜ(笑)。俺も行ったことないから。

加納 いいね。これから始めようかなと思っています。

古谷 基本部屋でも寝るか食べるか携帯触っているかで、趣味はあんまりないかな・・・。

加納 サッカーは?

古谷 あぁ、サッカー見るのは、好きだね。早稲田水球の3年は、特にサッカーを見るのが好きで、海外サッカーのイングランドの「チェルシー」というチームを応援していて、そのサッカーを見るために、夜に起きて見たりしています。

――プライベートで遊びに行ったりするのですか

古谷 ないよね、あんまり。

加納 ご飯は行くぐらいかな。

古谷 ご飯は行きますね。

加納 男二人で遊びに行くことがあんまりないです。

古谷 どの人ともないな、なかなか。

加納 買い物に行ったり、ご飯に行ったりするぐらいですね。

早慶戦でシュートを放つ古谷

――水球を始めたきっかけを教えてください

加納 小学校6年生で始めたのですが、それまでずっと競泳をやっていて、泳ぐのは得意で、あとドッヂボールも好きだったんですよ。ボールを投げるのも好きで、ミックスしたら水球になるなと思って始めたのがきっかけです。泳ぎも速かったし、肩も強かったから「神童」って呼ばれていました。これ鉄板(笑)。

古谷 鉄板ネタね(笑)。三重のキャプテンよりも泳ぎが速くて、エースよりも身長が高かったっていうね。

加納 入って半年で、全国大会スタメンで。気づいたらキーパーになってました(笑)。

古谷 僕は、9つ上の兄がポプラディアの百科事典で水泳を調べようとしたら先に水球が出てきて、「なんだこれ」って兄が始めたことをきっかけに、僕も水球を見に行く機会ができて、小学校4年生の時に兄と同じクラブチームだった友人に誘われたのをきっかけに始めました。元々0歳からベビースイミングをやっていて、泳ぐことはできたのですが、ボールを投げるのは苦手で、でも楽しそうだなと思い始めました。

――高校時代対戦したことはあるのですか?

古谷 2回負けました(笑)。

加納 全国だよね。全国大会は3回あって、高校2年の冬のU17の全国大会とインターハイと国体で、国体は中止だったのですが、最初の高校2年の冬の時は、ベスト4の準決勝で対戦しました。

古谷 1点差の逆転負けで。

加納 俺らが勝って、インターハイは、決勝で対戦しました。

古谷 9ー7の2点差でリード取れずに負けましたね。でも僕は、準決勝で1点決めて、決勝でも3点決めたので、凪人には負けたつもりはないです(笑)。

加納 相手のエースで、常に警戒していた因縁の相手でもあって。

古谷 本当に試合するのは、嫌でしたね。

――お互い認知はしていたのですか

加納 認知していましたね。

古谷 三重はすごく強かったので知っていました。

――大学が同じだと知った時の心境はいかがでしたか

古谷 僕は、このキーパーがいるんだ、という感じで、自分の代にキーパーがいたことがなかったので、強いキーパーがいて、シンプルに嬉しいと思いましたね。

加納 世代のトップスコアラーだったので、一緒にやれるのは楽しみだという感じでした。

――加納選手は、先日「AIDEN」さんとのエキシビションマッチがありましたが、収穫などはありましたか

加納 会場がまず東京アクアティクスセンターで、早慶戦と「AIDEN」さんとの試合とインカレ(日本学生選手権水泳競技大会)と等間隔ぐらいで試合ができたのが良かったのと、レベルの高いメンバーと一緒にできたことはよかったです。また、対戦相手に去年のキャプテンの都田さん(都田楓我、令6スポ卒=現AIDEN)もいて、同じチームではなく、対戦相手で試合ができたことも新鮮で、楽しかったです。

明大戦でのゴールを守る加納

――水球部で推している選手はいますか

古谷 最近のイチオシは、1年生の早稲田学院から上がってきた猿山智宥(先進理工1=東京・早稲田学院)という選手で、すごく成長していて、今後絶対活躍すると思うので、僕は応援しています。

加納 コーチの醍醐裕也(平22年度卒=埼玉栄)で。彼はイケメンなので、かっこいいから憧れていますね。

古谷 そういう推しね(笑)。

加納 かっこいいです、ほんとに(笑)。

今季の試合を振り返って

――関東学生リーグ戦、早慶戦を振り返り、お互いのプレーに点数をつけると何点ですか。理由もお願いします

古谷 僕は、期待を込めて75点で。基本的にパフォーマンスは良かったと思っていて、常に高いレベルでチームとしても助かったのですが、凪人だったらもっとやってくれると思うので、ここで満足せずに、ということで75点という低めの点数にしました。

加納 僕は、厳しく8点で。

古谷 おぉ、低い(笑)。

加納 理由があって、膝を怪我したよね。それで、満足のいくプレーができていなかったと思うし、もっとできるだろうけど、膝の怪我でできなくて、この8点は、期待の裏返しの点数でもあります。ただ早慶戦に関しては、勝てたらMVPだっただろうし、持っているものは、ピカイチだと思うので、学生リーグでもやってくれたらね、結果は変わっただろうし。

古谷 にしても・・・(笑)。

加納 早慶戦なかったら0点です。

古谷 0点!

加納 まじで0点(笑)。もっとできるよってことで、期待を込めてですね。

古谷 頑張ります(笑)。

――自分のプレーに点数をつけたら

加納 自分は、60点です。学生リーグの後半になってやっと感覚が良くなって、自分のプレーができている感覚があったのですが、学生リーグ序盤と早慶戦は、結果もついてこず、自分としては不甲斐なかったので、60点だと思います。

古谷 僕は50点で。理由は、まず怪我の影響で、長時間のパフォーマンスが例年のようにできなかったことと、プレー時間が短く、その中でも自分の強みを出せる場面が大事なタイミングで出せないことがリーグ戦では多くて、日体戦とか良い時はあったのですが、波があったのは、良くなかったと思っていて、早慶戦は、個人的には悪くはなかったですけど、結局勝ちきれなくて、自分がもう少し何かできたかなと思いますし、そういった部分で膝の怪我も治して、来年はもっと高いパフォーマンスを出したいなと思って、50点にしました。

――チーム全体として練習で特に力を入れている点は

古谷 フィールダーは、この1年間を通してずっとですが、泳力の強化には、特に力を入れていて、1日3000mは当たり前に泳ぎ込んできて、そこは全体の共通認識で力を入れています。最近は、戦術のシステムのディフェンスの部分を特に強化していて、練習もミーティングも何度も繰り返してより良い方法を模索しながらやっています。

加納 基礎の部分は妥協せずにやっていて、あと、私生活でたくさんチームメイトと話すようにしています。チーム競技なので、仲の良さみたいな、陸の上でも水の中でも、それが結構大事だと思っていて、みんなとたくさんコミュニケーションをとることは大事にしています。

――個人的に力を入れて練習している点は

古谷 自分はディフェンスが苦手なので、チームディフェンスを理解するのはもちろんで、ただ自分の苦手な部分を克服できるように、常に考えながらやっています。他の人と同じようにやっていても力が足りなかったりとか、タイミングが違ったりとかで、ディフェンスがうまくいかないことがあるので、自分なりに何が一番できるのかを考えながらディフェンスをもっと上手くなれるように練習はしています。自分の得意なシュートに関しては、誰よりもシュート練習でキーパーのことを考えたり、自分のタイミングだったりとか色々なことを意識しながら、どうしたらシュートが常に決められるかを考えています。結局シュートが決まらないと勝てないので、その部分のクオリティー高くしてやっていけたらと思います。

加納 先ほど言った基礎の部分は、見つめ返して妥協せずにやって、本番を迎えることができるように練習しているのと、自分をプレーでも私生活でも客観視することで、自分がチームの中でこうあるべきだとかを客観視して、うまくチームを回していけるようにすることや自分のプレーをより良くしていくことなどを考えてやっています。

質問に答える古谷

――学年が上がってきて変わったことや心掛けていることは

加納 シンプルに後輩が1学年増えて、上の学年が一つ減って、自分を見ている人の数も増えたと思うし、責任が良くも悪くもあるポジションになったので、リードされるのではなく、自分がリードする立場だということを考えてやっています。

古谷 僕は、先ほど凪人も言ったように責任がある立場にはなったので、発言や行動に関しては、しっかりとしないといけないと思うのと、自分が1、2年生だった時に先輩にしてもらって嬉しかったことや助かったことを自分も還元できるようにしています。

インカレについて

――インカレで注目してほしいポイントは

古谷 自分の持ち味であるミドルシュートに関してはインカレでも決めるつもりなので、そこは注目して欲しいのと、泳力の部分は力を入れているところなので、僕だけでなく早稲田全体のディフェンスでしっかり守ってからのカウンター攻撃を見てもらえたらいいかなと思います。

加納 覇気(笑)。ゴールを絶対に決めさせないという圧ですかね(笑)。

古谷 圧(笑)。

加納 そういう気合いと味方へのコーチングや指示出しなど、みんなを引っ張っているところを見て欲しいです。

――インカレの注目選手は

古谷 僕は、主将の大智さん(中村大智、スポ4=埼玉・秀明英光)かなと。小学校中学校と同じクラブチームでやっていて、高校は関東のライバルチームでやっていたのですが、ずっと憧れの選手であり、そして最大のライバルチームのエースでもあって、ずっと関わり続けてきた選手であるので、彼の実力は、早稲田内だけでなくて、他の大学をみてもトップクラスなので、その実力を最大限に発揮して、インカレで大暴れしてくれればと思います。

加納 僕は、曵地さん(曵地孝太郎、スポ4=埼玉・秀明英光) で。普段は兄貴分みたいな感じで、後輩みんなをまとめてくれる存在で、個人的にもお世話になっていますし、人一倍ストイックに頑張ってきているところを見ているので、この3年間あまり結果がついて来ず、苦しかったと思うので、最後インカレで頑張って欲しいと思います。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

古谷 1回戦目が沖縄大学で、勝てば2回戦目は日本大学か専修大学で、そこが正念場にはなると思うのですが、まずは、1回戦目からしっかり倒して、専修大学は、学生リーグで、コールドで負けている相手ですが、自分たちが勝てない相手ではないと思っていますし、しっかりと自分たちのやることをやれば、間違いなく早稲田は勝てると思うので、目の前の勝利を確実に掴んでいきたいと思います。

加納 メダル目指して頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・写真・編集 指出華歩)

対談後の加納(左)、古谷

インカレへの意気込みを書いていただきました

♦︎加納凪人(かのう・なぎと)写真左

2003年(平15)6月26日生まれ。三重県立四日市中央工業高等学校出身、173センチ。水球を初めて約半年で全国大会に出場し、「神童」と呼ばれていたという加納選手。圧のあるセービングはもちろん、味方へのコーチングなどにも注目です!

♦︎古谷典也(ふるたに・ふみや)写真右

2003年(平15)9月5日生まれ。明治大学附属中野高等学校出身、169センチ。ラーメンが大好きだという古谷選手。得意とする華麗なミドルシュートに注目です!