【連載】競泳 インカレ前対談『栄虹』 第1回 長牛太佑男子主将×小原天寧女子主将

特集中面

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第1回は、競泳チームをけん引してきた長牛太佑男子主将(スポ4=京都外大西)と小原天寧女子主将(スポ4=東京・目黒日大)。競泳生活の集大成となる今大会への覚悟や仲間への思いを語ってもらった。

※この取材は8月15日に行われたものです。

お互いについて

――他己紹介をお願いします

小原 水泳部の主将の長牛太佑です。すごく明るくて、人の懐に入ることがすごく上手で、誰からも好かれているような人です。今年は主将ということもあって、チームの先頭になって引っ張ってきてくれました。水泳選手としては本当になんでも泳げて、種目も距離も関係なく全部泳げるのがすごいと思っています。

長牛 照れますね。同期からこういうこと言われるとうれしいです。

対談中の長牛

――小原さんの紹介をお願いします

長牛 同期で同じく女子の主将を務めている小原天寧さんです。 専門種目としては自由形の長距離やオープンウォーターという海で泳ぐ試合なんかにも出場されているような、すごく体力や練習が強いイメージのある選手です。人間性の部分としては、小原さんも人の懐に入るのがうまい、誰とでも打ち解けやすい人柄の良い性格をされていて、普段練習環境はお互い違うのですが、久しぶりに会っても毎日会ってるような感覚で話すことができますし、学外学内の練習やコミュニケーションというところも取りすくしてくれてるのは彼女かなと思います。また、レースや練習面では1年目から本当に頼りになるなというような印象を同期ながらに抱いていまして、やる時は必ずやってくれるっていう、もうすごく安心感のあるような印象を持ってます。

小原 改めてこういうことを言う機会がないのでうれしいです。ありがとうございます。

――趣味やオフの日の過ごし方を教えてください

小原 結構出かけることが多い気がします。本当にちょっと散歩したりとか、あとすごいタピオカが好きで、時間を見つけてはちょっとタピオカ屋さんに飛び込んでます。

長牛 僕もオフは結構アウトドアなタイプなので、必ず外には出るようにはしていて、最近でいうとすごく僕自身パン屋さんが好きで、パン屋さん巡りに都内に足を運んだりしてオフを楽しんでいます。

今シーズンについて

――今シーズンの目標や現時点での達成度、印象に残っているレースを教えてください

小原 昨年を通じて1年間やってきたというところで、そこで積んできたものをいかにしてどう使って、タイムを伸ばしたり、結果を出すかということをすごく考えてやってきました。選考会(国際大会代表選考会)も決勝というところを1個大きな目標にしていて、専門として400メートル、800メートル自由形では駄目だったんですけど、1500メートル自由形で決勝の舞台も経験させていただいて。100点ではないんですけど、少しずつ自分の目指しているところには近づいてるのかなというふうに思います。印象に残ってるレースは、最近の関カレ(関東学生選手権)のレースで松﨑りん(人2=東京 日大ニ)と青木虹光(スポ1=群馬・明和県央)と3人で表彰台に乗ったり、全員でベスト出したりというのが、すごく最近なのですが印象に残っています。

代表選考会での小原

長牛
 僕の今シーズンの感想としては、あまり良い調子では来れなかったかなというのが正直なところなんですけど、良い練習やトレーニングは積めてきているので、自信はついていると思います。また最近の印象に残っているレースとしては、僕も関カレになるのですが、個人で言うと400メートルの個人メドレーで 高校2年生ぶりの自己ベスト更新できたことであったり、最終日の最終種目、800メートルのフリーリレーで最後明治大学さんと接戦の中で4人で競り勝てたりしたことは、僕ら早稲田チームにとってもすごく自信になるレースでしたし、引退に向けてすごく弾みになるようなレースだったかなと思います。

――主将としての1年間を振り返っていかがですか

小原 1年前ぐらいから主将として活動し始めて、思ってる以上に難しいなというのは感じてやってきましたが、すごく同期のみんなとなんでも話せて、しっかり話し合いもできて、みんなで解決しようというような同じ方向を向いていたので、すごく良い経験になったし、自分自身も大きく成長できたなというふうには感じています。

長牛 僕自身入学して以降、早稲田の水泳部の主将というところには憧れは持っていたのですが、いざなってみるとめちゃくちゃ難しくて。想像以上に主将ってこんなことするんだと思うこともありましたし、なかなかこういうところでうまくコミュニケーション取らないと難しいんだなという部分もあったのですが、小原も話していた通り、同期が本当にすごく協力的で僕1人では何もできないんですけど、小原はじめ他の4年生たちが僕のたりない部分を補ってくれたので、なんとかここまで来れているかなと思います。

――インカレで引退される4年生もいらっしゃいますが、後輩との印象的なエピソードを教えてください

小原 やはり同じ種目で結構やってきた松﨑りんとは本当に色々なレースで隣で泳いできて。一緒に遠征に行く機会も多くて、オープンウォーターだと前日から入って、すごく良い関係性でここまでやってこれたなというふうに思っていて、ラスト2年ここまでタイムが伸びたのは、もう間違いなく彼女のおかげかなと思っています。

――同士のような存在ですか

小原 一緒にベストを出そうと言って、結構何度も2人でベスト出したレースも多くて。海とかでも本当に隣にずっといたりとか。一緒に戦ってくれる仲間という感じです。

長牛 僕は寮生活でみんなと一緒に暮らしてるということもあるので、練習以外の部分で結構濃密な時間を過ごしていたかなと思います。食事に行ったり、一緒にお風呂に入ったりだとか、オフの日なんかには一緒にパン屋さんに行ったり、美味しいご飯を都内に食べに行ったり、一緒にカラオケしに行ったり。練習から遊びの部分まで後輩とも長く時間を過ごしてきたかなと思います。

インカレについて

――インカレについて伺います、早大としての目標を教えてください

長牛 今年の早稲田水泳部のスローガンとして「栄虹(えいこう)」というスローガンを掲げています。 これは「チーム全員1人1人が個性という名の色や光を放って、その先に虹という景色をチームとして作り出す」という意味が込められてます。その先に全員で栄光をつかみ取るという思いが込められているんですけれども、それを達成すべくチーム全体での目標のベスト数(210個)であったり、 あとは男女ともにインカレ総合の順位の目標であったりっていうところを定めて今シーズンはチーム全体で取り組んでいました。

――目標達成に向けて必要だと感じている部分はりますか

小原 もう結構インカレも目前にはなっているので、 その各々の競技力というのももちろんですが、いかにインカレに向けてチームとしての一体感を出して士気を高めていくかということだったりとか、試合が始まって、そのチームの流れや勢いはすごくこの大会でもあると感じているので、1日目が終わってから、そこからうまくいっててもうまくいかなくても、どういうふうにどんどん上を目指せるかという声かけや雰囲気作りというのはすごく大事かなと考えてます。

――出場種目とそれぞれの目標について教えてください

小原 私は400メートルと800メートルの自由形に出場します。目標としては、両方ともしっかり決勝に残って、決勝でベストを出すというのを目標にしています。800メートルは昨年も決勝に残ったのですが、400メートルはは昨年0.1秒ぐらいで予選落ちしてしまったので、しっかり2種目とも(決勝に)残って、決勝でベストを出すことを大きく目標にしています。

長牛 僕は200メートルと400メートルの自由形に出場させていただきます。昨年までは個人メドレーという種目も私自身はインカレで泳いでいたのですが、今シーズンはあまり個人メドレーの調子が振るわなかったっていうところもあったので、 監督と相談の上自由形で今年は戦おうという話になりました。400メートルではかなりレベルの高い選手たちがたくさんいるので、決勝進出が目標にはなるかなと思っていて、しっかりそこを達成してチームに勢いをつけたいという思いがあります。200メートル自由形に関しましては、昨年も決勝に残っているというところもあるので、しっかり決勝に残って決勝で大ベストを更新して、個人でメダルを取れるように頑張っていきたいと思っています。

――昨年の4×100メートルリレーでは学生新記録を出し、優勝されました

長牛 やはりインカレの中のリレー種目というのは、チームにものすごくいい勢いを与えてくれる種目でもあると思うので、リレーで勝てるというのは、個人のレースで勝つのとはまた違った意味で勢いがつくと思っています。今年も昨年の4×100メートルのリレーで優勝したように、またリレー種目でメダルを取っていけたらなと思っています。

――今回のインカレは競泳生活でどんな位置付けで臨まれますか

小原 インカレはもう結構私の中ではそういうのは1個集大成になる試合なのかなと思っています。中学生の頃から泳いできた400メートルだったり800メートルだったりの自由形というのはここで最後になるので、そこで自分の納得できるレースで締めたいと思います。その後少し海の方でもう少し頑張るつもりなので、引退というかたちではないのですが、それでもやはり結構大きい試合になるなと感じています。卒業後は水泳とはまた違う就職先にはなりますが、絶対にそのスポーツの世界であったりとか、この学生スポーツというのはすごい好きなので、この世界に何らかのかたちで携わってサポートしていきたいと考えています。

長牛 僕自身はインカレが最終ゴールという思いで取り組んでいます。競技自体はインカレ後の国民体育大会の方にも京都代表で出場させていただくのですが、大学の現役中はインカレが最後の試合になるので、主将としても一選手としても競技人生の集大成をインカレの舞台で見せられるようにしていきたいなと思います。

――現在、目標達成に向けて重点的に取り組んでいることはありますか

小原 今、結構重視して練習してるのは、後半のラストスパートのところで、今までは前半積極的なレースをして、後半周りの選手に追いつかれてしまうようなレースが多かったのですが、もうここまで来たらどういう手を使ってでもなんとか食らいつくしかないので、いかに後半まで余力を残して最後のスパート勝負に対応できるかといったところをすごく気を付けて練習しています。余力が残っていても、タイムにつなげないといけないというところもあるので、そこのラストの泳ぎ方ももちろんですし、その体力の部分というところを結構広く見て練習してます。

長牛 僕は、長水路での試合になるので、50メートルプールの半分、後半の25メートルのところの泳ぎを崩さないことや、ストロークのテンポを落とさないというところを意識して練習するようにしています。400メートルでは特にその技術が求められてくるかなと思うので、400メートルで目標の決勝に残れるように今練習を取り組んでいます。

――早大で注目している選手を教えてください

小原 1年生の選手かなと思っていて、結構実力のある選手が入学してくれたので、初めてのインカレという舞台でどこまでその力を見せつけてくれるのかというのが、一選手として、また一先輩として、すごく楽しみで仕方ないところではあります。1年生のフレッシュな泳ぎに注目していただけたらと思います。

長牛 僕からは期待も込めてなんですけど、同期の4年生の村上賢之慎(スポ4=熊本西)に注目してもらいたいと思います。 今シーズン、1年生ぶりに自己ベストを更新したんですけど、そのレースはすごく感動しましたし、僕自身すごく勇気をもらえたなと感じています。これまでずっと良い練習も積めてきていましたし、久しぶりに自己ベストを更新して彼自身も調子を上げてきているので、インカレという大舞台でまた自己ベストを更新して、チームに勢いをつけてくれるのではないかなと思います。

――男子チーム、女子チームそれぞれのチームワークはいかがですか

小原 結構1年間その場所が離れてる分、いかにそのチームとしての意識をどう持ってもらうかというのは、すごく試行錯誤してきたところではあって。その練習や試合以外でも、コミュニケーションをとる場を意識して作ってきたので、その集大成がインカレになるのかなというふうに思っています。 やってきたことがどう生かせるかということを、なってみないとわからないところではありますが、女子選手全員がチームの一員として戦っているっていうところを私も見たいと思っていますし、最後まどういうふうに作っていくかというのは一生懸命やっていきたいと思います。

長牛 完璧だと思います。普段から練習だけではなくて私生活の部分でも過ごす時間というのは非常に多いですし、寮は1人部屋ですが、よく部屋の行き来をしてる姿もよく見ていますので、良い意味で仲の良い選手たちが多いかなと思います。

――ご自身のレースでの強みや注目ポイントを教えてください

小原 多分いつもであれば、前半見てほしいと言っているのですが、今年はちゃんとレース1本全体で勝ちにいきたいと思ってるので、4年生ならではの気持ちの部分などそういったところを見ていただけるとうれしいかなと思います。

長牛 逆に僕は前半を見ていただきたいなと思っています。僕自身、泳ぎのフォームは意識しながら練習してるので、その泳ぎのフォームの部分というところも見ていただきたいですし、楽に速くというところをテーマに掲げているので、そんなにしんどそうではないのに前半速く泳げているなみたいなところにも注目していただきたいなと思います。後半は死に物狂いで頑張るので、応援お願いします。

――同期に向けて一言お願いします

小原 同期の存在はすごく大きくて、1人で練習することもあったのですが同期がいたことで、1人ではないというか、大学で続けるということが1つ大きな区切りで、周りの友人などがやめていってしまったところがあるので、一緒に頑張る仲間が身近にいたことが私の中ですごくありがたかったです。水泳以外の面でも一緒に食べ放題に行ったことや内容覚えてないぐらい、多分そんなに大した話ではないのにゲラゲラ笑ったりとか、すごい楽しかった思い出がいっぱいあるので、これからも仲良くしてほしいなとは思っていますし、最後の節目としてみんなで作り上げるものは多分最後になると思うので、後悔のないかたちで全員が笑顔で締めくくれたらなと考えています。

対談中の小原

長牛
 改めて言うのは照れくさいんですけど、同期が大好きで、1年目から4年目にかけて仲が良い意味でどんどん深まっているなと思いますし、1年目から4年目にかけて、背負うものも役職も増える中、みんな自分の個人の仕事の大変さというのはあまり表には出さずに、チームに良いかたちで貢献してくれているなという同期が多かったので、僕もそういう同期を見てるからこそ、主将という役割もここまでやってこれたかなと思います。この同期はこれからも一生付き合っていくんだろうなというくらいに仲が深まっていますし、僕自身すごく同期のこと大好きなので、今後もぜひ付き合っていってほしいなと思います。最後のインカレ、この4年生でチームを引っ張っていって、良いかたちで 今シーズンの早稲田の水泳部を終えられるように、後輩に良い背中を見せられるように頑張っていきたいなと思います。

――チーム全体に向けてメッセージをお願いします

小原 本当にもうチームのみんなに支えられて今ここまで来ているというのは、本当にすごく感謝していて。 最後、1番大きなインカレという舞台で、本当にもう良い子ばかりの大好きなチームにすることができたと思います。あと少し、インカレの最終日までみんなの力を借りて、私自身もみんなを引っ張れるように頑張っていきたいと思います。

長牛 こんな4年生たちに1年間ついてきてくれた後輩たちのためにも、チーム全員が良いかたちで終われるようにリードしていきたいなと思いますし、1年生は特に初めてのインカレにもなるので緊張してるとは思いますが、4年生の背中や上級生の泳ぎを見て、しっかりと自らを鼓舞して積極的なレースを1年生にもしてもらいたいなと思います。

――最後にインカレに向けて意気込みをお願いします

小原 まずチームとしては、今年女子チームがかなり強くて、本当に史上最強に近いのではないかと思っています。なので、そのインカレという大舞台で全国に早稲田の名前を轟かせていきたいと考えています。個人としては本当にもう最後の最後のレースになるので、思い残すことは無いように結構タフな種目ですが、最後ぐらいは楽しんで泳ぎたいなと思っているのと、今まで支えてくださった方であったり、後輩たち、同期、今まで私たちを引っ張ってくださった先輩方の皆さんに感謝の気持ちを伝えられるような良いレースをして終えたいと思います。

長牛 個人の目標としては、成長した姿を皆さんに、お世話になった皆さんに見せられるようにしたいなと思っています。最後、「早稲田の主将さすがだな」と誰もが思ってもらえるようなレースであったり行動っていうところをインカレでしていきたいなと思います。チームとしては、男女目標をそれぞれ達成できるように、インカレ中も声かけやコミュニケーションというところは必ず取るようにして、しっかり1年生も4年生からサポートできるようにしていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材、編集 大村谷芳)

◇長牛太佑(ながうし・だいすけ)

2002(平14)年4月30日生まれ。177センチ。京都外大西高出身。スポーツ科学部4年。後輩からも慕われる長牛選手。休みの日には、後輩と一緒にパン屋さんに行くこともあったそうです!

◇小原天寧(おばら・あまね)

2002(平14)年5月1日生まれ。165センチ。東京・目黒日大高出身。スポーツ科学部4年。タピオカが好きな小原選手は最近、フルーツティーにはまっているそうです!